登場する主人公「森羅 万(しんら よろず)」はオリジナルキャラクターであり、原作には登場しません。
※ぴくしぶにも同じ名前で投稿していますが、本人の手で投稿していますのでご安心ください。
以下の注意点をご確認いただけますと安心して読めます。
・hrak世界を知らずの転生です。
・個性の都合上、テ/イ/ル/ズ作品の魔法が多々登場します。
・俺つえー系の話にはしない予定ですが、そう感じる場合があります。
・沢山の地雷を無自覚に仕掛けている場合があります。その場合は即ブラウザバックを推奨します。
以上のことをお気をつけください。
生徒たちがパニックになっている。
「な、なんだよ!さっきまでと動き違うぞ!!」
「おい!ど、どうするよ!?」
「助けて…!」
もう種目どころじゃない。でも実況のマイク先生は先頭集団の事しか言っておらず、最後尾のこちらの話はしていない。
……と、なるとこの異常事態に先生たち込みで気付いてる人は殆どいない。仮にこの説があってるなら、助けは来ない。何より種目を中断させるメリットが雄英にはない。それに多分だけど…雄英はこう言った壁を乗り越える子たちが欲しい。
だから気付いてもほっとく可能性がある。
冗談じゃない、そう思った。
命の危険がある状況をほっとくなんて、そんなの誰かが許しても私が許さない。
その感情のまま魔力が満ちて強化された体で武器を強く握り締め、ロボ・インフェルノを殴り飛ばした。
「お、お前…ヒーロー科?!なんで此処にいるんだよ!」
「今はそんな事いい!必要なら後で説明する!今はただ…この場を切り抜けるのが先!
――戦える人は手を貸して!戦えない人は負傷した人を連れて後ろへ!!!」
長柄武器を構えてロボ・インフェルノの軍団と向き合う。
私の声で動き出した生徒がおり、無事な人同士で声を掛け合って負傷者と一緒に後ろに下がっていった。そして何人かの戦える生徒は私と横並びに立った。
「私の個性は"魔法"。ファンタジー作品によくあるやつ。威力はあるけど連発は難しい。君たちは?」
ロボたちが様子見している間に一緒に戦ってくれる子たちの個性を把握するため、先に私の個性を伝えた。
教えてもらうにはまず自分から。前世で大切にしていた事だ。これをする事で心理的な安心感も与えられるし、情報の交換がしやすくなる。
「俺は…"氷柱"。氷柱を作って…落とすだけの個性」
「僕は"弱点視"。弱点を視られるだけの個性。あんまり役に立たないと思います…」
「ウチは"捕縛"。道具さえあれば捕縛できる個性。やけど…何もなかったらできひん。ちっぽけな個性や」
「俺のは"強化"。触れることで相手を強化する。だけど、触れないと意味ないのと自分自身の強化はできない。…使いどころがない個性だ」
「何言ってるの――この場では皆、最高の個性だよ。
おかげで全員無傷で切り抜けられる。確信した」
4人の個性を把握して、ひと呼吸置いて頭の中で作戦を組み立てる。できるかどうかは賭けもあるが、ハマれば強い。ただこれを実行するには私の事を信じてくれないと駄目だ。
…信じて、力を貸してくれるかな。
不安が過ぎったがすぐに振り払った。まず私が信じて力を貸さないと貸してくれない。
魔力を練りながら4人に話しかけた。
「お願い。私の力を君たちのために使うから…君たちの力を私に貸してほしい」
その言葉を皮切りにロボたちが襲い掛かってきた。勢いは良いが、速さはない。その代わり一撃は重たいだろう。
だから攻撃を出す前に妨害する。
ふわりと私を中心に魔法陣が広がる。上級以上の魔法は使えないから一網打尽にはできない。それなら、まずは手前のロボだけでも妨害できればいい。
「怒りを穂先に変え、我らに害なす障害を貫け――ロックブレイク!」
岩がロボたちを浮かせるように連続的に隆起した。ロックブレイクは範囲内の敵を浮かせる中級魔法だ。ただロボたちは重さがある。完全には浮かすことはできないが、バランスを崩すことはできると思ってこの魔法を選んだ。
その思惑通り手前のロボはぐらりとバランスを崩した。まずはこの個性を使ってもらう。
「弱点視の君!!」
「は、はい!」
「今の内にロボたちの弱点を視て!それを共有お願い!」
男子生徒は私の声に背中を押されるように前に出た。
両手でひし形の形を作るとそれ越しにロボたちを視た。あの子の個性はそうやって発動するのか。
「ロボたちの弱点は、胸の中心!そして、氷!です!」
「――了解!ありがとう!!先に後ろへ下がって!」
「は、はい!」
「私じゃ弱点視られないから助かったよ。ありがとう!」
私の魔法の中に弱点を視るものはない。私が参考にしてるゲームの中にはあったかもしれないけど、どうしても思い出せない。だから今、弱点を視られる子がいて助かった。
魔力を再度練って次の魔法行使に備える間に他の子に言葉をかける。後続のロボたちは先頭のロボで行く手を塞がれてこちらに来ることはできていない。
そして先頭のロボたちはまだ立ち上がる事に難儀している。
今の内に作戦を共有しよう。
「今の聞いたよね?胸の中心と氷が弱点。…ということは、氷柱を出せる君の力が今必要」
「で、でも俺の氷柱は命中に不安がある。せめて動いてなければいける、けど…」
「なら捕縛ができる貴方の力が活きてくる。私が捕縛できるような道具を作るから、捕縛をお願いできるかな?」
そう言って女子生徒の方を見た。
女子生徒は少し震えている。目も怖さで揺れている。――それでも、ほっぺを叩いて気合いを入れた。覚悟を決めた目をしている。
前世でも何回も見たことある目だ。この目をした子は、強い。
「ウチに任せて。完璧に捕縛したるわ」
「いいね、その心意気。ただ数が数だから…強化の君が捕縛のサポートをしてあげてほしい」
「……触って、いいか?縛野」
「今回だけやで?」
「……よし。いけるぞ、ヒーロー科」
「皆最高だね。じゃあ…やろうか。――構えて。くるよ」
予想通り、ロボ達が襲い掛かってきた。
先頭のロボを踏むことで後続がやってきたんだ。ロボらしい冷徹な判断。ただ、予想はしてた。
前に1歩出て深呼吸する。
捕縛するための物質は…この場合は金属だと確実にできると思う。ただ如何せん金属を生み出す魔法なんてない。だから踏まれて機能停止したロボを使わせもらう。それなら生み出さなくてもいい。あとは、物を作るだけ。
再度魔法陣を展開させる。魔力が十分な量満ちているのを感じた。
そして今から使う魔法も強くイメージする。…お願いだから成功してよね。口を開く。
「金属、形を変えて再び我らの前へ――シェイプ!」
瞬間、機能停止したロボの部品は溶けていき…ロープ状の物に姿を変えた。対象が金属に限定している事にプラスして一度に大量の金属を変化させる事はできない。
今作った魔法だから練度が足りないせいだ。
ただ、今は十分な…はず!
「捕縛をお願い!いける?!」
「これだけあったら十分や。完璧に捕縛したる……!いくで、人吉!」
「ああ!」
女子生徒が強化個性の子と手を繋ぎ、空いている手をロボットたちに向けて伸ばした。すると足元の金属製のロープがみるみるロボットたちに絡んでいく。
そして女子生徒は手をぐっと握った。絡んでいたロープは勢いよくロボたちに食い込んだ。ギチギチ…という音が聞こえてくるぐらいの強い力だ。
「捕縛…完了や。因みにウチの個性は10分は継続されるで。ただ、強化の個性かけてもろうたからか分からへんけど…いつもより長く継続される気ぃするわ。あと威力もなんか強いなぁ」
「俺の個性は大体2倍に強化されるって考えてくれていい」
「すんごい個性やねぇ」
その会話を聞きながら最後の合図を出す。
最後まで油断はしない。
「じゃあ…フィニッシュの氷柱をお願い!」
「まっかせろぉ!!!」
男子生徒の気合いの入った声と共に、氷柱が勢いよくロボたちに降り注ぐ。
それらは胸の中心に命中、または胸の中心を巻き込むように落ちて…ロボは沈黙した。
「……沈黙、した?」
「そう見えるなぁ」
「と、ということは!僕たちの!」
「勝利だー!!!!!」
ワァと歓声があがった。後ろを振り向くと後ろに避難していた生徒たちも両手を突き上げて喜んでいる。中には抱き合って喜んでいる生徒もいる。それだけ怖かったんだろう。
その様子を見てふっと気が緩みそうになった。
でも微かに金属の擦れる音が聞こえた。
ロボたちの方を振り向いて様子を見ると、1体の巨大なロボが起き上がった。胸の中心にはポッカリ穴は空いている。
『ギ…ギ…コロ、ス…』
ロボなのに執念が凄いな。…褒めてるよ?
「ギャー!!!立ち上がった!!」
「胸貫いたのに?!」
「…寸でのところで弱点動かしたとか、ないやろうか?」
「そんな事有り得るのか?!」
「み、視ます!!
――う、動いてる!!弱点は…頭!!」
一緒に戦ってくれた子たちが動揺している。無理もない。完全に倒したのに、1体だけ弱点を移動…この場合は機能の核とでも言えばいいかな?それを動かしたんだ。
なんでそこまでして私たちを狙うのかは分からない。でも、ここまで来て最後皆揃ってボロボロにされました――なんて未来、受け入れられないよね?
「後は任せて。弱点も分かったあの1体だけなら――倒せる」
ロープが絡んでるおかげで全く動けていないロボに向かって走り出す。魔力を全身に回す。ここまで頑張ってくれたんだ、私も最後気合いを入れよう。
とんっとロボを踏んで飛び上がった。
くるんと1回して勢いをつけてロボの頭を狙い、武器を振り下ろした。
「粉砕、玉砕!大…喝采!!!」
前世で見たカードゲームアニメに登場する社長の言葉を叫び、頭を思い切り粉砕した。ロボは完全に沈黙し、私はお腹を庇うようにしてその背中になんとか着地した。
…完全に、傷が開いた気がする。とても痛い。それでも痛がる顔は見せられない。見た子たちが不安になるから。
表情だけは取り繕い、他に動くロボがいないか確認してから1つ息を吐いて振り向く。
「――今度こそ、もう大丈夫だよ」
その言葉に再び大歓声があがった。
ロボから下りると強化個性の男子生徒が近寄ってきた。
「……さっきの言葉、めっちゃ物騒だったな?」
「ふふっ今回は許して?」
《カッッッコよかったぜオメーら!!!最高じゃねぇか!!》
プレゼント・マイク先生のその声が聞こえて気付いた。
そう言えばこれ、体育祭だったね。なんか、忘れてたよ。
ポツリとそう呟くと、男子生徒はヘドバンぐらいの勢いで首を縦に振った。やっぱり忘れるよねぇ…。
ちょっと遠い目になった。
その時、1人の女子生徒が近寄ってきた。さっき傷を治した子だ。どうしたんだろ?
「あ、あの!カッコよかったです!でも…順位が…その」
「ん?いいんだよ。別に」
「え、でもこの体育祭はヒーロー科にとって重要なんじゃ…!!」
「確かに重要だね」
「……なら、なんで助けた?俺たちを」
「人を助けるために動くこと、それに理由はないよ。強いて言うなら…」
「言うなら?」
少し笑って言葉に出した。
私にとっては当たり前な行動理由。
「誰かが痛みで泣くところ、私が見たくなかっただけだよ。あくまでも利己的な理由だね」
「…それでも、お前のおかげで俺たちは助かった。…ありがとう、ヒーロー科」
「いいえ。今回は君たちの力のおかげたよ。こちらこそありがとうね」
その後、時間切れにより私たちは一律で最下位になった。ヒーロー科にとって体育祭が重要なのは認める。けど、私にとっては目の前の子たちを守る方が大事だったから後悔はない。でも、無理したことは怒られるだろうね。
そこまで考えて、ちょっぴり怖くなった。なので魔力がある内にこっそり魔力で回復力を高めた。ちょっとでも傷…塞がってくれてるといいなぁ。