登場する主人公「森羅 万(しんら よろず)」はオリジナルキャラクターであり、原作には登場しません。
※ぴくしぶにも同じ名前で投稿していますが、本人の手で投稿していますのでご安心ください。
以下の注意点をご確認いただけますと安心して読めます。
・hrak世界を知らずの転生です。
・個性の都合上、テ/イ/ル/ズ作品の魔法が多々登場します。
・俺つえー系の話にはしない予定ですが、そう感じる場合があります。
・沢山の地雷を無自覚に仕掛けている場合があります。その場合は即ブラウザバックを推奨します。
以上のことをお気をつけください。
16話:ヒーロー名考案
体育祭から2日経ち、今日からまた学校が始まる。
因みにインゲニウムさんに回復魔法かけた余波で私も自分の傷を治してたみたいで…昨日「治出先生からもう通院はしなくて大丈夫だね」って言われた。そう言えばリゼネクションは範囲内の味方の回復効果があったなぁ。
ただその後に雄英体育祭での私の無茶は結構な圧で怒られた。めっちゃ…怖かった。
そんな昨日の事を思い出して震えつつ、教室の自分の席で全科目の教科書に目を通した。入院中の宿題提出でなんとなくの科目ごとの進行度は分かった。それでも置いてかれているかもしれない。
油断、駄目、絶対。
そうこうしてると続々と教室内に生徒が入ってきて、いつもの賑やかさになってきた。高校生って感じの賑やかさだなぁ。
何人かのクラスメイトに「おはよー!」と挨拶されたので、私も「おはよう」と返しながら一番後ろからクラス全体を眺める。どうやら此処に来る途中で声をかけられた子もいるらしい。なるほど、体育祭で活躍したからかぁ。
勿論私に声掛けはなかった。
活躍しなかったし、何より私と白が一緒に暮らしている家は雄英から徒歩10分の場所だ。めちゃくちゃ近い。それに私たちは今日6時には学校に着いているし、此処に来るまで人と出会わなかった。
という理由で何もなし。平和最高。
ぼんやり見ていると、チャイムが鳴った。あ…先生来るな。そう思って姿勢を正すと丁度先生が入ってきた。そしてクラスメイト皆もすぐ様着席し、教室内が静かになった。
…あの、この2週間で何があったの…?ちょっと困惑しつつ先生を見る。
あれ?包帯取れてる。
「相澤先生、包帯取れたのね。良かったわ」
「婆さんの処置が大ゲサなんだよ。んなもんより今日の"ヒーロー情報学"、ちょっと特別だぞ。
――"コードネーム"。ヒーロー名の考案だ」
「胸膨らむヤツきたああああああ!!!」
皆喜んでいる。そりゃそうか、ヒーローっぽい事だもんね。
でもすぐに相澤先生に沈静化されてるのを見てちょっと笑った。純粋だなぁ。
…?そう言えば飯田くん、いつもならなんだやかんやで喜ぶのに…なんのリアクションも無し?…まぁそれもそうか、お兄さんが襲われたもんな。すぐに切り替えるってのは無理だよね。
昨日飯田家のお母さんから連絡が来て、インゲニウムはヒーロー活動が厳しい。とのことだった。
――私が、もっと個性の扱いが完璧だったら…インゲニウムさんはすぐに復帰できたのに。
その考えは喉につかえるように重く、苦かった。
ただその気持ちにはすぐ蓋をした。先生の話が続いていたので、それを聞くためだ。
「というのも先日話した"プロからのドラフト指名"に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2、3年から…。つまり、今回来た"指名"は将来性に対する"興味"に近い」
卒業までにその興味が削がれたら一方的なキャンセルなんてことはよくある。
峰田君が相澤先生のその言葉に「大人は勝手だ!」と怒っていたが、大人というのは…社会ってのは勝手なものだよ。
まぁそれはいいとして、今回頂いた指名がそのまんま自分へのハードルになるのかぁ。大変だねぇ。
そう思って隣の白を撫でた。
そして指名の集計結果が表示された。私は活躍してないから何にも思う事なく見ることができるや。
……と、思っていたのに。
黒板に表示された自分の名前と隣の数字に頭を抱えた。
森羅 561
「なんで私に指名が来てるの…」
あまりの意味の分からなさに頭を抱えた。いや、ヒーロー科最下位だぞこちらとら。意味分かんない…なんで…。
「そう言えば森羅、お前表彰あったぞ」
「……は?表彰?」
相澤先生のその言葉に頭を上げた。え、表彰って何?
意味が分からず頭の中にクエスチョンマークを浮かべていると、先生は私の席にやってきて何かを差し出してきた。
折り紙の…メダル?ご丁寧に名前も書かれてる…。
「オールマイトが折り紙で作ったメダルだ」
「……………へ?なんでオールマイト先生が作成を?というかこのメダル…ファンの一部からめちゃくちゃ羨ましがられるやつでは?え、私の命は大丈夫でしょうか…?」
「なんでメダル貰って命の心配するんだ」
いやだってそこの緑谷君の顔なんか凄い事になってますよ。あと、他の生徒も…。
背中を向けているせいでクラスの様子が分からない先生は私に呆れつつも説明してくれた。
「それは今年だけの"特別賞"だ。お前と他の科の奴らが第一種目で体張って他の科の奴らを守ったことで、表彰されたんだよ。理由は、守られた生徒の親と観客…そして守られた奴らからの直談判だ。どうしてもお礼がしたいという事でな。今回だけ設けられた」
「…なるほど。ただ今回だけって事は、次はちゃんと上目指せって事でしょうか?」
「そうだ。理解が早くて助かる」
以上だ。そう言って先生が教壇に戻って行った。
その間に私は何気なくメダルをひっくり返して裏側を見た。そして目を見開いた。
……これオールマイト先生のサイン入りじゃん?!!!!
私が1人慄いてる中で話は進んでいく。白にちょっと頭突きをされて我を取り戻した。…これは、取り敢えずクリアファイルに挟んで鞄の中にしまっておこう。
気を取り直して先生の話を聞くと、どうやら私たちは職場体験に行かされるらしい。
A組は一足先に経験をしてしまったけど、プロの活動を実際に体験して実りある訓練にしようという理由なんだって。
それで仮ではあるけどヒーロー名を付ける必要が出てきた。
ただ、仮の名前ではあるけど…この時の名前が世に認知されてプロ名になってる人が多いらしい。と、ミッドナイト先生が教室に入ってきながら説明してくれた。
来た理由としては、相澤先生は名付けのセンス査定はできないから…らしい。それは…あの、英断ですね。
相澤先生のセンスを頭の中に浮かべてそう思った。
「将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まり、そこに近づいて行く。それが"名は体を表す"ってことだ。"オールマイト"とかな」
そうして15分の時間が設けられた。
……ヒーロー名、ねぇ。私にはどうでもいいものだけど。
そう思って前から回ってきたペンとフリップを見つめる。
私はヒーローになりたくもないし、なるつもりもない。だからこそ、この時間はとても苦痛だ。でもヒーロー科にいるってことは、どうしてもヒーローから逃れられない。
…いっそどこかのタイミングで退学してやろうか。なんて思っても小心者の私には到底できない。大婆様の言葉に反するのが…ただ怖いから。
うぅん…どうしようかな。
上手い交わし方を考えている内に15分はあっと言う間に過ぎていった。
「じゃ、そろそろできた人から発表してね!」
うわ…よりによって発表形式…しんどいな…。
そう思っていると、青山君が堂々と教壇に行ってフリップを構えた。おっ度胸あるなー。
「行くよ。輝きヒーロー
"I can not stop twinkling."(キラキラが止められないよ☆)」
「短文!!!!」
まさかの!青山君…まさかの短文できた…!!
教室に変な緊張感ができてきた。
「じゃあ次アタシね!"エイリアンクイーン"!」
「2!!血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときな!!」
こ…これは、本人たちにその気は無くとも大喜利じみた空気になってきた…!このまま次誰がいく?!わ、私が突撃かましてちょっと場を冷やす?!
そう思って手を上げようとした時、梅雨ちゃんが手を上げた。梅雨ちゃんが発表したのは、小学生から決めていたという"梅雨入りヒーロー フロッピー"。カワイイ!
梅雨ちゃんのおかけで空気が変わって嬉しいのか、教室内はフロッピーのコールがされている。
そこから更に続いていく。
切島君が"剛健ヒーロー 烈怒頼雄斗(レッドライオット)"。どうやら"漢気ヒーロー 紅頼雄斗(クリムゾンライオット)"リスペクトの名前らしく、何より切島君が目指すヒーロー像は"紅"そのものらしい。
「フフ…憧れの名を背負うってからには相応の重圧がついてまわるわよ」
「覚悟の上っス!!」
一度火がつくとそこからは完全に"ヒーロー名祭り"になり、皆楽しそうにヒーロー名を発表していく。その姿は私にとって眩しく見えた。ミッドナイト先生も楽しそうに名前に突っ込んだり褒めたりと、ウキウキする表情を隠しきれていない。
そんな中、私は汗ばんだ手を握り締め、真っ白になっている自分のフリップを見つめた。
ヒーローになるつもりがないからどうでもいい…筈なのに。クラスメイトが真剣に自分の未来を考えているその姿に胸の奥がざわついた。…このざわつきの正体が何かは私にも分からない。
不愉快なぐらいざわつくそれに蓋をして、見ないふりをした。
「残ってるのは再考の再考の爆豪くんと森羅さんね!森羅さん!真剣に考えるのは良いけど、1回出してみない?何かあったら私が言うわ!」
その言葉にクラス中の視線が私に集中した。居心地が悪過ぎる。でも先生に言われた以上は出さないと、変な勘ぐりをされてしまう。
1つ深呼吸をしてフリップに書き込み、それを持って教壇に向かった。白はこちらにノータッチの姿勢だが、顔だけは私に向けている。
そしてフリップを見せた。
「私は…"ヨロズ"にします」
「あら?名前でいくの?」
「この名前は両親が私のために付けてくれた名前です。これ以上の名前は…私の中にはありません」
そう言い切った後、勘ぐられないように偽りの自信を身に纏う。勿論この言葉は嘘ではない。私は両親が付けてくれたこの名前を誇っているし、これ以上の名前はないと言い切れる。
でも本音は"ヒーローになるつもりがないから当たり障りのない自分の名前にした"だけ。ただそれだけ。
「ヨロズ…万物を意味する言葉」
そう呟いた相澤先生を見た。
先生は寝袋の中から私を見上げている。
「そこから考えると…"全てを"救うヒーロー…か。お前の性格上そこも含んでいても可笑しくはないな」
「なるほどね!万物となると…救う対象を選ばないってニュアンスにも取れるわね。うん!いいじゃない!!」
いや、あの…私、そこまで考えてないんですが…!なんか勝手に推察された…!
てか他にも本名をヒーロー名にした子にはそこまで言ってませんでしたよね?!なんで私だけ…!
…というか、私はそんな立派な意味を背負える人間じゃない。だから――そんな立派な意味、持たせないでほしい。
先生たちのその言葉を聞いたクラスメイトはワァっと盛り上がった。盛り上がってしまった。
そこまで意味を含めていたなんて、流石ね万ちゃん。
なんて男らしい意味合いなんだ…!
マジかっけー!
アイツはそこまで考えてねぇわアホ!!
ワイワイ盛り上がるクラスメイトたち。偶然かは分からないけど、唯一私が何も考えてないと察してくれたのは爆豪君だけだった。
白は後ろからそんな私たちの様子を見て尻尾を緩く振ってから丸まってしまった。
あの仕草は純粋な"元気出せ"の仕草だ。…元気、出ないよ…。
その後は爆豪君のヒーロー名考案に全ての時間が使われた。
因みに彼の名前は中々決まらなかった。