二人のヒーローが死神の世界に現れました   作:落雷氷華

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前回

ヒーロー、助けられた
ヒーロー、知った


ヒーロー、巻き込まれる

「…………」

一方通行は何かを感じて目を覚ました

上半身を起こしたが、ボーッとしている

隣を見ると、スゥ…スゥ…と上条が寝ていた

「……いつの間にか寝ちまったのかァ」

今何時なのだろうか、と気になる一方通行

だが一方通行は知らない

寝込んでたのが三日という事に

一方通行は自分の体の状態を調べる

痛みは勿論ある

だが疲労はある程度回復されており、歩けるのは問題ないであろう

バッテリーもさっき(ではないが)から減っていない

「……………天国……か」

一方通行はこの世界について、少し考えていた

(……ここは尺魂界、即ち天国。そして死神。虚。……これしか言われなかったな)

せめてあいつらの事も教えてほしかったと、一方通行は思った

ちなみにあいつらとは更木や日番谷冬獅郎の事である

(ここが天国なら、俺と三下は死んだ事になる…だが、死んだ奴は必ず流魂街って所に行く…なら、俺と三下はまだ生きている可能性はある)

決して一方通行が死んだと諦めた訳ではない

まだ可能性はある。一方通行はそう確信した

と、丁度

「……ぅ…」

上条が目を覚ました

「……?あれ、一方通行?」

「起きたか」

上条はふわぁ…と欠伸し、辺りを見渡す

「ここは…そうか、俺寝ちゃったんだ」

「歩けそうならもう行くぞ」

一方通行は杖をつき、出口に向かう

「………ってちょっと待てよ‼︎」

それを上条は後を追う

 

 

 

ゴトンと音がした

ゴトゴトと、マンホールみたいなのが揺れている

ガタンと、マンホールの蓋が少しだけ開いた

そこから顔を覗かせるのは

 

「……異常なしっ‼︎」

上条だった

上条はマンホールの蓋を全開に開け、よじ登った

「……よし、一方通行‼︎」

「………チッ」

上条は一方通行の手を取り、一方通行を引っ張り上げる

「よっ‼︎……お前軽いな」

「うるせェ黙れ」

上条に毒吐きながら歩き出す一方通行

向かう先はあの大男にやられた所まで

「あ、待てよ‼︎置いてくなよ‼︎」

上条がまた後を追おうとした

 

その時

ブワァァ‼︎と、炎が舞い上がった

それは、一方通行と上条…ではなく

その先にある丘から出たものだった

「なっ……⁉︎」

上条は驚いた

対して一方通行は直ぐに顔を強張り、警戒した

「……ここからは慎重に行くぞ」

「ッああ」

上条と一方通行は警戒しながら階段を上っていった

 

階段を登り切り、ある程度済んだところ

「……あれ、なんだったんだろうな」

あれとは、炎の事である

あの炎は数分続いていたが、突如消えてしまった

その時は警戒をしていたが、何もなかったので上条は薄れていたが一方通行は警戒を怠らなかった

「……さぁな。何か始まったのか…それとも」

「……それとも?」

一方通行が少し間を空けたが

「……いや、何でもねェ」

上条は転けそうになった

「あいてっ‼︎」

いや、転けた

「…………」

「そ、そんな哀れむような目で見ないで‼︎上条さん惨めになるから‼︎」

ドンマイと言いそうな目を上条に向けている一方通行

いや、実際の彼なら絶対言わないが

「くそ〜……よっ」

上条は立ち上がり、砂を払った

「……………」

「無言で歩き出すなぁ‼︎」

上条に何も言わずスタスタと歩き出す一方通行

それを上条は突っ込みながら進むのであった

 

その直後

ブワァッ‼︎と、あの丘から桜の花弁が何枚も舞っていた

「おぉ…」

上条は少し感動するが

「________、」

一方通行はまた警戒を強めた

それは、その花弁が黒い何かによって散らばったからだ

「え⁉︎」

上条は今度は驚いた

一方通行は警戒を強めながら、尚且つ冷静に

「________どうやら、あそこでは何かが起こっているようだなァ」

と、上条に聞こえるように言った

上条は顔を強張め

「あぁ」

と返した

「……いい案がある」

「え」

一方通行がニタリと笑った

こんな一方通行の考えている事は嫌な予感しかしないと上条は純粋に思った

その通り

「おい三下ァ……舌噛むなよ」

一方通行の手はチョーカーに伸びており

カチッと音がした

何故かさっき(ではないが‼︎)も受け続けていたのに何故か汗が出る上条

一方通行は上条の襟首を持ち

ダァン‼︎と、飛び上がった

「どわァあああ‼︎」

上条が叫んでいるが御構い無し

バッテリーが少ないので、スピードを上げる

そして目的地の丘を見る

何か黒い何かで覆われている

一方通行はニタリと笑い、さらにスピードを上げる

「うおっぶっちょっ一方っ通行‼︎もっゆっ‼︎」

もはや上条の言葉を聞いていない

ちなみに上条は「うおっ‼︎ちょっ一方通行‼︎もうちょっとゆっくり‼︎」と言いたかったのだろう

屋根に屋根に飛び移る

途中上条が何か当たっているような気がするが、一方通行はそんな心配はしない

 

そしてあっという間に丘に着いたのだった

 

ダァン‼︎と、砂埃が舞い、足が着地した所で上条を見る

「……………………………何でンなボロボロなんだァ?」

「お前の所為だよ‼︎‼︎」

一方通行は知らんと言いそうな顔で上条を見る

「あんなスピードでいかなくてもいいだろ⁉︎」

「うるせェ」

「もうちょっとスピード下げろよ‼︎」

「うるせェ」

「何で俺うるせェで返されてるの⁉︎」

「殺す」

「何で⁉︎」

そろそろ一方通行がキレそうなので口を閉ざしとく上条

と、上条がある人を見つけた

それは、いかにも幽霊が着そうな白い浴衣に身を包んだ少女だった

「…………えーと」

「き、貴様らは誰だ…?」

「アァ?」

一方通行が睨みを利かす

別に睨まなくても良いだろ…と上条は思っていた

「そういうお前も誰だ」

質問を質問で返す一方通行

「ぇ…ぁ…く…」

「く?」

上条と一方通行が聞き返す

「……朽木……ルキアだ…」

「朽木か、俺は________」

少女_____ルキアの名前を聞いた途端

ブオオ‼︎と、上条の前を桜の花弁が横切った

「うえっ…⁉︎」

上条は数歩下がる

一方通行はチョーカーに手を伸ばしながら、桜の花弁を飛ばした相手を見る

その相手は、黒い長髪に整った顔立ちをした男

 

「…貴様ら、ルキアを助けに来た者ではないな___?」

 

____朽木百哉が刀を向けていた




第5話エンド

次回「ヒーロー、刺される」

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