NARUTO 〜渦巻く団扇の物語〜   作:セイヴァー

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みなさま、メリークルシミマシタ(今更)
遅ればせながらあけましておめでとうございます。投稿主のセイヴァーです。投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

えっ?あけましておめでとうございますはとっくに終わったって?まだ1月だからギリギリセーフ⋯⋯のハズだ。

改めて本当は年始に投稿したかったのですが、リアルでの年末年始商戦が忙しかったため、またリアルの上司がインフルにかかり休日出勤する事になりモチベーションも落ちてちょくちょく書き溜めすることも出来ませんでした。

また、今回の話は念の為此方の注意書きをしておきます。

・この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません

それでは挨拶はこれくらいにして本編へどうぞ(^O^)/



イメージOP:アニメ ジャングリラ・フロンティアより
       【Danger Danger】


いざ行かん湯の国へ!初の里外と出会い   という名の第4話

 

蒸気が立ち込める木材で出来た壁に囲われた一室にヒスイとウツシはいた。

 

ウツシ「まだ降参しないのかい?すごいね〜ヒスイくん。」

 

階段状の椅子に座り壁に背を預けた先生が汗まみれの顔をで笑う。

その笑顔には未だに余裕がある事が伺えた。

互いの姿すら霞んで見える室内では、呼吸音と水滴の垂れる音だけが異様に鮮明だ。

 

ヒスイ「ハァッ……先生こそ⋯⋯汗が⋯ハァッ⋯滝みたいですよ。」

 

‐俺はタオルで額を拭いながら答えたが、その指先がわずかに震えている。

しかし先生はその隙を見逃さなかった。

 

ウツシ「ふふ……そろそろ限界かな?」

 

ウツシはわざとゆっくりとヒスイに近づく。二人の間に溜まった熱気をかき分けながら。

 

ウツシ「君の瞳……熱で潤んでるね。」

 

ヒスイ「……っ!?」(この男!?そういう趣味が!?)

 

‐俺の喉仏が上下する。先生の息が頬にかかるほどの距離だ。

 

ウツシ「もっと近くで確かめさせてくれよ。」

 

‐先生はヒスイの濡れた前髪を優しく払いのけた。指先がこめかみを這い、そのまま耳朶に触れる。

 

ウツシ「ここも赤くなってる……可愛いなぁ。」

 

ヒスイ「お⋯⋯、俺にソッチの趣味はありません!!」

 

ガチャリ ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ ボチャーン!!

 

‐俺は全力で身を引き、蒸し風呂の暑さで足元がふらつかせながら外に出て水風呂に飛び込んだ。

 

ウツシ「この程度で音を上げるようじゃまだまだだねぇ。因みに言うと俺もノーマルだよ。」┐(´д`)┌ヤレヤレ

 

隣の女湯では身体にタオルを巻き足をお湯につけながら、男湯での騒ぎが聞こえたレヴィは嘆息する。

 

レヴィ「まったくあの2人は⋯。何してるんスかねぇ?」

 

そして同じく女湯で頭に畳んだタオルを置き肩まで湯に浸かるアヤはそんなレヴィを見て思った。

 

アヤ(⋯⋯なんで風呂場でもマフラーを巻いてるんだろう?)

 

ヒスイ達ウツシ班が居るのは木ノ葉隠れより北東に位置する湯の国の観光街。

 

何故彼らが湯の国に居るのか。それは数日前に遡る⋯⋯。

 

─────────────────────

 

 

ヒスイ達が下忍選抜試験を合格してはや2ヶ月⋯⋯。

 

 

木ノ葉隠れの近くの森の中にヒスイ達ウツシ班が居た。

 

ヒスイ「こちらヒスイ、予定地点に着いた。」

 

アヤ『こちらアヤ、同じく目標地点に着いたわ』

 

レヴィ『こちらレヴィ、同じく配置に着いたッス。』

 

ウツシ『了解。皆、目標との距離は?』

 

‐俺達はトランシーバーとインカムによる無線通信で情報の交換をしていた。

 

ヒスイ「約5メートル。いつでも行けます。」

 

アヤ『こちらも。』

 

レヴィ『同じくッス。』

 

ウツシ『よし⋯⋯、かかれ!!』

 

ヒ・ア・レ「『『!!』』」

 

‐先生の命令を受け俺達3人は目標に襲いかかる。

 

?「ギニャーー!!??」

 

アヤ「捕まえたわ。」

 

‐そして今回の忍務の目標であるトラが捕獲された。

最初は暴れていたが今はアヤの腕に抱かれて大人しくなっていた。と言うかそのままトラを可愛がっていた。

 

ウツシ『右耳に赤いリボン。目標のトラに間違いないかい?』

 

レヴィ「目標に間違いないッス。」

 

ウツシ『よし、迷子ペット・トラ捕獲忍務終了。皆、木ノ葉に帰還するぞ。』

 

ヒ・ア・レ『『『了解(ッス)。』』』

 

 

木ノ葉隠れの里 忍務受付室

 

?「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙〜〜!私のかわいいトラちゃん!!死ぬ程心配したのよ〜〜〜!!!」

トラ「ギニャーー!!??」

 

レヴィ(ありゃ〜、あれは逃げたくもなるッスね〜。)

 

ヒスイ(あのトラ、見たことあると思ったら原作でナルト達が捕まえたトラか。)

 

アヤ(トラちゃんっ!!(TдT))

 

‐俺達に捕獲されたトラが涙を流しながらふくよかな女性に抱きしめられていた。

彼女は火の国の大名の妻しじみ。今回の迷子ペット・トラ捕獲忍務の依頼人だ。

 

?→しじみ「毎度ありがとうね!これ今回の依頼料、いつもウチのトラちゃんが迷惑かけちゃってるから今回は色つけとくわね?」

 

そう言ってしじみは、忍務の受付担当の人に報酬金を渡し涙を流すトラを抱いたまま忍務受付室を後にした。

 

ヒスイ(と言うか脱走⋯今回が初じゃないのか⋯⋯。)

 

‐そう、このトラ何度も脱走(未遂含む)を繰り返しておりその度に木ノ葉に捕獲忍務が発行され、木ノ葉側も新人の下忍達の育成も兼ねて忍務を受注すると言う循環が発生して最早常連のような感じになっているのだ。

 

そしてヒスイもご存知の通り、およそ1年後にあのトラがまた脱走に成功して今度はナルト達が捕まえることになるのだ。

 

ヒルゼン「さて、ウツシ班の次の忍務じゃが⋯お主達第2班が忍者学校を卒業して2ヶ月、そろそろお主達にはCランクの忍務をやってもらおうと思っておる。」

 

ヒスイ「!」

 

レヴィ「いいッスねぇ。お使いとか子守とか簡単な忍務ばっかりでちょっと不満が溜まってたとこッスよ〜。」

 

アヤ「どんな任務なんですかお祖父様?」

 

ヒルゼン「ある人物の護衛忍務じゃ。」

 

ヒスイ「護衛忍務ですか。誰を護衛するんですか?」

 

三代目の言葉に少しばかり驚きながら聞き返す。

 

ヒルゼン「今からお呼びする。⋯お入りください!」

 

ガチャリ

 

?「お前さんらが儂の護衛を受けてくれる忍達か。」

 

ヒルゼンの言葉とともに扉が開き、そこから上品そうな衣服をまとった恰幅の良い男性が入室する。

 

?→タヌマ「儂は湯の国で仕入れや商談を担当しとる『湯銭商会』のタヌマと言うもんだ。よろしく頼むぞ。」

 

 

 

木ノ葉隠れの東西南北に其々位置されている、大きく【あん】と書かれている門。

その1つ、北門に位置する門に背負子を背負った護衛対象のタヌマと、同じく自分の荷物を其々背負ったヒスイ達ウツシ班が集まっていた。

 

タヌマ「改めて、よろしく頼むぞわっぱ共。」

 

ヒ・ア・レ「「「よろしくお願いします(するッス)。」」」

 

木ノ葉隠れを出発する一行。

 

レヴィ「いや~、にしてもまさか『湯銭商会』から依頼が来るとは驚きッスね〜。」

 

ヒスイ「?そんなに有名なのか?」

 

レヴィ「えっ!?まさかヒスイさん知らないんスか!?」

 

ヒスイ「知らない。」

 

レヴィ「いいっスか?『湯銭商会』って言うのは⋯⋯。」

 

ヒスイへのレヴィによる『湯銭商会』の説明が始まった。

 

 

 

『湯銭商会』

湯の国を中心に他国に最低1つ、多い所では3つも支店を持つ超大手の老舗の商会で木ノ葉隠れの里ができる前より存在していた。

 

当時は湯の国内のみで商いを行っていた小さな商会であったが、各国に里が出来て第二次・第三次忍界大戦に伴い何処も物資が大なり小なり不足、そこを商機と当時の商会長が目をつけ掻き集めていた物資を他国に販売しその利益を元手にその国で仕入れた物資を他の国で販売してそれが成功、商会を大きくしていき今では文字通り超大手の老舗の商会となったのだ。

 

それに伴い護衛忍務を各国に依頼することも多く、忍界大戦を利用して商会を大きくしたのもあって一部の界隈では死の商会とか言われている。

現在も湯の国の本店を中心に各国に支店を展開、一般の家庭用品や忍具はもちろんその国の名産・特産品等を幅広く仕入れては別の国で販売しているのだ。

また、本店には湯隠れの里の下忍に依頼を出し店の手伝いをしてもらうこともあるそうだ。

 

 

レヴィ「⋯⋯と言うことッス。」

 

ヒスイ「なるほど。」

 

レヴィ「と言うか一応は豆腐屋の息子ッスよね?なんで知らいないんスか?」

 

ヒスイ「いや~、店の手伝い以外は基本修行ばっかりで木ノ葉の里外にもあんまり出たことは無かったから。」

 

タヌマ「豆腐屋?」

 

タヌマがレヴィの発言に興味を持つ。

 

レヴィ「そうッス。此方のヒスイさん、木ノ葉の里内で有名な うずまき豆腐 の一人息子ッスよ。」

 

タヌマ「うずまき豆腐⋯⋯あぁ、あの豆腐屋か!」

 

ヒスイ「知ってるんですか?」

 

タヌマ「あぁ。儂は今回、取引先との大きな商談の為に木ノ葉に来ておってな。そこで出された軽食の稲荷寿司が絶品だったんでな。商談後に何処の商品か聞いてこうして商会長への土産として買ったんだ。」

 

そう言ってタヌマは背負子を強調するように見せる。

 

そんな話をしながら一行は湯の国を目指す。

 

 

 

 

 

‐道中で山賊や侍くずれの襲撃に遭うも撃退中にアヤが新しく覚えた瞬身の術を実践で試していたり、レヴィが独学で覚えたチャクラ糸を使用したり、俺も写輪眼を使うことなく撃退。

その後数日の野営の後俺達はは無事湯の国に到着した。

 

タヌマ「世話になったなわっぱ共!これは今回の依頼のサービスだ!」

 

そう言ってタヌマは懐から四枚のチケットと、別でチケットの束をウツシに渡す。

 

タヌマ「それは『湯銭商会』が運営する旅館の宿泊券と商会の系列店で使える割引チケットだ。」

 

ウツシ「イヤイヤ、そんな豪華な物いただけませんよ!!」

 

‐先生はチケットの束を返そうとするが⋯⋯。

 

タヌマ「なぁに、今回の依頼を受けてくれた個人的な礼のようなもんだ。後ろ髪を引かれるってんならそのチケット使って商会の売り上げに貢献してくれ!じゃあな!」

 

そう言ってタヌマは手を振って笑いながら人混みの中に消えていった。

 

アヤ「⋯⋯で?先生どうするんですか?そのチケット。」

 

ウツシ「うーん⋯⋯まぁ貰ったものはしょうが無いし、2〜3日滞在して羽根を伸ばしますか。」

 

ウツシの言葉に3人は喜びを顕にした。

 

 

 

 

 

 

時は戻り現在、ヒスイは1人で湯の国の観光街を散策していた。

 

硫黄の香りが漂う石畳を踏みしめながら、ヒスイは肩を落として歩いていた。

 

ヒスイ「ちくしょう。なんで写輪眼なしでじゃんけんを受けちまったんだ……。」

 

口を尖らせながら呟く。

 

ヒスイは他の班員、レヴィ及びアヤとの帰りの物資の購入のじゃんけん(写輪眼無し)でまさかの初手一人負け。

家族へのお土産の購入も兼ねて買い出しに出ているのだ。

 

ヒスイは頭に

 

レヴィ「今日は絶好調ッスよ~♪」

 

アヤ「勝利のV。」

 

という2人の勝利宣言が脳裏をよぎり顔を顰める。

 

観光街の通りには様々な露店が並び、饅頭や漬物の匂いが食欲をそそる。

土産物屋の前では人形浄瑠璃の人形が踊り、芸人たちが即席の舞台で漫才を披露していた。

 

‐俺は諦めて観光街を散策する。すると通り掛かった路地の入口から観光街の騒音に紛れて揉め事のような騒ぎが耳に入った。気になった俺は路地に入り進んでみる。

足を進める途中で俺は歩みを止める。喧噪の原因はすぐに判明したからだ。奥で怒声が飛び交っている。

 

湯忍1「おい姉ちゃん、いい服着てんなぁ!」

 

湯忍2「ちょっと付き合えよ、なぁ!」

 

荒っぽい声と共に壁を叩く音。ヒスイは眉をひそめた。無視するのが最善策——だが体はすでに路地へ踏み出していた。

 

路地の奥で、チンピラ風の湯隠れの里の額当て──3本の短い斜線が並んだデザイン──をした忍二人が壁際に追い詰めた少女を囲んでいた。

少女の服装は——確かに目を引く。白い振り袖の裾が地面に触れ、大胆に開いた胸元からは陶磁器のような肌が覗いている。だが少女のその凛とした佇まいに、ヒスイは違和感を覚えた。

 

ヒスイ(あの女、只者じゃないな。忍か……?)

 

‐俺は佇まいから少女の事を忍かと推察する。しかし見た限り、額当てのような物が見当たらなかった。

 

?「嫌です。」

 

少女の声は氷のように冷たく、また視線も冷たく2人の湯忍を殺さんとばかりに鋭かった。

 

?「離してください。」

 

湯忍の一人が少女の腕を掴もうとする。

 

‐俺は内心ため息をつきながら静かに目を閉じた。瞼の裏に、幾重にも重なる赤い勾玉の幻影が浮かび上がり、そしてゆっくりと目を開き俺は微塵の気配も立てずに男たちのから接近する。二人が少女に注意を向けていたのが幸いだった。俺は男たちの肩に軽く手を置き振り向かせると、直接その目に己の写輪眼を映した。

 

ヒスイ【幻術・写輪眼!

 

刹那、男たちの目から生気が失われた。虚ろな表情となり、その場に力なく膝をつき倒れた。

 

?「あら?」

 

ヒスイ「大丈夫か?」

 

‐俺は少女に声をかける。少女は取り繕う様にハッとしながらも襟元を正していた。年齢は俺と同じくらいか、やや年上に見える。整った白い肌に水色の透き通るような独特の光彩の眼が特徴でセミロングの髪の後ろでリボンをしていた。

 

少女は口元を手で隠しながら少し驚いたように目を細めヒスイを見る。ヒスイはその表情には少しの驚愕とヒスイに対する好奇心が見て取れると同時に視線に違和感を感じた。

 

?「ありがとうございます。助かりましたわ。」

 

発された声はか細く丁寧だった。

 

ヒスイは少女の顔を改めて見る。年の頃は自分と変わらないくらいか。銀灰色の髪はしっとりとした艶を帯び、青い帯が映える純白の振り袖は明らかに良家の子女のそれに見える。

 

ヒスイ「別に礼なんていらない。ただの通りすがりだ」

 

ぶっきらぼうに言って踵を返そうとするヒスイ。

 

しかし少女はヒスイを呼び止めた。

 

?「お待ちください。せめて何かお礼を⋯⋯。」

 

ヒスイ「さっきも言ったが礼はいらない。それじゃあな。」

 

ヒスイはさっさと路地を出ようとする。

 

?「待ってください!!」

 

しかし、少女の声が追いかけてきた。先程までの丁寧さとは打って変わって、どこか必死な響きがあった。

 

ヒスイが足を止めて振り返ると、少女がはっきりとした視線でヒスイを見ていた。

 

ヒスイ(礼なんていらないと言ったはずだがな……。)

 

ヒスイは内心でうんざりしながらも、目の前の少女が本当に困っていることが見て取れた。仕方なく彼女の方へ向き直る。

 

ヒスイ「何度も言うが礼なんて要らん。それより、アンタくらいの美人さんならあんな奴らに絡まれるなんて珍しくもないだろう。アンタ、湯の国の人間か?」

 

ヒスイの言葉と問いに、少女は頬を少し赤らめながらハッとしたように顔を上げた。

 

?「美人……。あっ、申し遅れました。私、名を雪泉(ゆみ)と申します。」

 

ヒスイ「⋯⋯ヒスイ。⋯うずまきヒスイだ。」

   (雪泉……。少なくとも原作にはいない人物だな。)

 

ヒスイは自己紹介を返しながら内心で相手の名を反芻した。珍しい名だが、どこか凛とした響きがある。

 

だがそれ以上に気になるのは、彼女の服装だ。湯の国の観光客の装いとは明らかに違う。

 

‐俺は咄嗟に写輪眼の力を再び呼び覚ます準備をした。もし危険人物であればすぐに対処しなければならない。

 

そんなヒスイの警戒心に気づいたのか、雪泉は困ったように微笑んだ。

 

雪泉「ご安心ください。私は貴方の敵ではありませんわ。貴方と同じ他国の忍です。少しばかり目立つと思いましたので今は額当ては外しているのですわ。今回はそれが仇となってしまいましたが⋯。」

 

雪泉のその言葉に嘘はないように見えたヒスイは、軽く頷きながらも警戒を続ける。

 

ヒスイ「それで、アンタはなんでこんな路地にいるんだ?」

 

ヒスイが尋ねると、雪泉は少し躊躇ったあと、小声で答えた。

 

雪泉「実は……。」

 

ヒスイ「なんだ?」

 

雪泉「私、道に迷ってしまいまして……。」

 

ヒスイ「……は?」

 

雪泉「詳細は省きますが忍務で訪れたのですが、他所の国は初めてで……。」

 

頬に手を当てて困ったような仕草をする雪泉を見て、ヒスイは思わずため息をついた。まさか忍でありながら迷子とは。あまりにも危機管理意識が低いのではないか。

 

ヒスイ「まったく……アンタみたいなのが良く生きてこられたな。」

 

雪泉「申し訳ありません……。」

 

心底反省している様子の雪泉に、ヒスイは一瞬同情するような気持ちを抱いたが、すぐさま首を振って邪念を振り払う。

 

ヒスイ(いや、油断は禁物だ。それにこの子を助ける義務なんてない。)

 

そう自分に言い聞かせながらも、見捨てるわけにもいかない状況だと理解していた。

ここで見捨てれば後味が悪いし、もし万が一何か問題があれば後で面倒なことになりかねない。

 

仕方なくヒスイは口を開いた。

 

ヒスイ「……行く場所がわからないなら案内するぞ。」

 

雪泉「あら、よろしいのですか?」

 

雪泉は少し驚いた様に聞き返す。

 

ヒスイ「助けておいてそのまま放置ってのもあれだしな。」

 

雪泉「お優しいのですね。では、お世話になります。」

 

こうして二人は共に目的地を目指すこととなった。

ヒスイはこの出会いが何を意味するのか考えつつも、まずは目の前のことに集中することに決めた。

 

ヒスイは肩をすくめると、路地の出口に向かって歩き始めた。

 

ヒスイ「行くぞ。アンタ、どこに行けばいいんだ?」

 

雪泉「『湯銭商会』の本店です。」

 

ヒスイ「湯銭商会?」

 

ヒスイは思わず立ち止まった。湯銭商会といえば、ついさっきまで関わっていた依頼主・タヌマが所属する商会だ。

 

ヒスイ「偶然だな。俺もそこに用がある。」

 

雪泉「まぁ、奇遇ですね!」

 

雪泉の目が嬉しそうに輝いた。

 

彼女の笑顔は陽だまりのように温かく、ヒスイは逆に少し居心地の悪さを感じた。

 

ヒスイ「とにかく一緒に行こう。アンタみたいなのが一人で歩いているとまた面倒なことに巻き込まれる。」

 

雪泉「ありがとうございます。では、お願いしますね、ヒスイさん。私の事は雪泉と呼んで構いませんよ。」

 

ヒスイ「さん付けはやめろ。俺の事もヒスイでいい。」

 

ヒスイは照れ隠しに前を向き、早足で歩き出した。雪泉は少し戸惑った様子だったが、すぐに後を追ってくる。

 

雪泉「わかりました、ヒスイさん。」

 

ヒスイ(さん付けはやめろと言ったばかりなのにな……。)

 

ヒスイは苦笑しながら、観光街の喧噪の中へと踏み出した。

この奇妙な縁が何を意味するのかはわからない。だが少なくとも、湯隠れの忍から救った少女が次なるトラブルの種でなければいいと祈るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

                         続く

 

 

 

 

 

 

 





本話のご読了ありがとうございます。

今話は下忍選抜試験を終えて数カ月(大体2ヶ月後くらい)が経ってます。原作でもナルトがワガママ言わなかったら、多分このくらいの月日の後にCランク忍務を受けてたんじゃないかと予想して書きました。(まぁ、内容が思いつかなくて大幅カットしましたが。)
また、今回は前書きに注意書きを書いたのですが、当作中に出てくる湯銭商会は当作品の設定の中だけの話です。(1文字違いで似た名前の商会があった為。)

そして今話より新たな新キャラ雪泉(ゆみ)が登場です。
他作品キャラで閃乱カグラの雪泉が元なのですが、正直自分は閃乱カグラを観たことがないのでピクシブ等の調査情報や自分個人の第一印象を元にイメージして書きました。また設定もほぼまとまっているのですが、何この才能チートって言うくらいには設定を盛りました。(それでも原作の強キャラバグキャラ勢にはインフレ激しく敵わないのですが。)


それと今話の投稿に伴い、プロローグ・2話・3話を書き直しました。大まかには変わりませんが細かい設定の変更や追加の加筆及び修正を行いましたのでよろしければそちらも読み直すのもいいかも知れません。
1話も内容が固まり次第描き直す予定です。(話数を分ける予定ですので描き直し後の話数がずれると思います。)

また前書きでも言いましたが、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

それでは生暖かい目で次話をお待ちくださいませ。

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また インドのお茶 様 高評価ありがとうございます

イメージED:アニメ 銀魂より
      【修羅】
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