Last Voice   作:ArthurWesthugel

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第1話

### 第1部

 

AZKiは、ホロライブの本社ビルを歩きながら、心臓の鼓動が少しずつ速くなるのを感じていた。エレベーターの扉が開き、社長室へと続く廊下に足を踏み入れると、空気が重く張りつめているように思えた。彼女は深呼吸を一つして、ノックする手を少し震わせながらドアを叩いた。

 

「入ってください。」

 

穏やかな声が返ってきた。谷郷社長の声だ。AZKiはドアを開け、部屋に入った。社長室はシンプルで、大きな窓から外の街並みが広がっている。谷郷社長はデスクの向こう側に座り、穏やかな笑みを浮かべていたが、その目には真剣さが宿っていた。

 

「AZKi君、座って。今日は急に呼び出して申し訳ない。」

 

社長はそう言って、椅子を勧めた。AZKiは静かに座り、手を膝の上に置いた。一人称はいつも「私」だが、今は言葉を発する余裕すら感じなかった。(来るべきものが、来た……。この予感、間違っていなかったわ。イノナカMusicのこと。すいちゃんが転籍してから、私一人で守ってきたこのレーベル。でも、いつかこの日が来るって、わかっていた。)

 

谷郷社長は少し間を置いてから、ゆっくりと話し始めた。口調はいつものように穏やかで、決して相手を威圧しない。だが、その言葉の重みはAZKiの胸にずしりと響いた。

 

「AZKi君、今日はイノナカMusicの今後について話したい。経営陣で、活動の継続を判断する議論が進められているんだ。立ち上げ当初から、このレーベルはアイドル特化の実験的プロジェクトとして計画されたものだったよね。それが今、評価の段階に来ている。」

 

AZKiは黙ってうなずいた。(実験的プロジェクト……。そうよ、私とすいちゃんのための特別な場所だった。二人で歌い、夢を追いかけたあの頃。でも、すいちゃんがホロライブ本隊へ移ってから、私一人で続けている。評価段階、つまりは存続の危機。)

 

社長は資料を軽くめくりながら、続けた。

 

「状況は五分五分だ。君と星街すいせい君の歌手としての活動は、社内で大きく評価されているよ。配信やライブの数字も素晴らしい。でも、他のホロメンたちはアイドル活動がメインで、そことの親和性がどうか、という声がある。規模が拡大した時の採算性も、不安視されているんだ。」

 

AZKiの心に、すいせいの顔が浮かんだ。あの明るい笑顔、ステージで輝く姿。(すいちゃん、あなたは一足先にホロライブへ行って、歌だけでなく配信も順調にこなしているわよね。あたし……いえ、私も負けたくない。でも、このレーベルがなくなったら、私の居場所はどうなるの? 二人で作ったこの音楽の絆が、消えてしまうの?)

 

社長の声が、再び部屋に響いた。

 

「そこで、提案なんだが、今一度、君に経営陣の前で歌ってもらいたい。君の歌唱力とタレントを、直接アピールするチャンスだよ。君の持ち歌である、『いのち』はどうかな。この曲は君のイメージにぴったり合うし、アイドルとしての生命がかかった場面で、ストーリー性も有効に働くと思うんだ。」

 

AZKiは目を少し見開いた。(『いのち』……。社長の提案、ありがたいわ。この曲は、私の想いを込めたもの。命の尊さ、歌うことの意味を綴った歌。まさに今、私の状況に重なる。)

彼女は深く息を吸い、社長の目を見て答えた。

 

「谷郷社長、ありがとうございます。このような機会をいただけて、本当に感謝しています。『いのち』を歌わせていただきます。全力で、経営陣の皆さんに私の想いを届けます。」

 

社長は満足げにうなずいた。

 

「そうだね。君ならきっと、みんなを納得させることが出来るよ。詳細は後で連絡する。がんばって。」

 

AZKiは立ち上がり、深く頭を下げて部屋を出た。廊下を歩きながら、彼女の心は複雑に揺れていた。(このチャンス、絶対に活かすわ。すいちゃん、私の歌でイノナカMusicを守ってみせる。あなたとの絆を、失いたくないの。二人で歩んできた道を、もっと先へ伸ばしたい……。)

 

エレベーターに乗り、ビルを降りる間、AZKiは窓の外を見つめていた。街の喧騒が遠く感じられた。

外に出ると、風が優しく彼女の髪を揺らした。AZKiはスマホを取り出し、すいせいにメッセージを送った。

 

 

### 第2部

 

 

AZKiは自室のソファに座り、スマホを握りしめていた。部屋は静かで、窓から差し込む夕陽がオレンジ色に染めている。彼女は深呼吸をして、星街すいせいにメッセージを送った。「すいちゃん、今部屋に来てくれない? 大事な話があるの。」返事はすぐに来た。「了解! すぐ行くよ!」その明るい言葉に、AZKiの胸が少し温かくなった。(すいちゃん、いつもこう。私のピンチに、飛んできてくれる。)

 

ドアのチャイムが鳴り、AZKiは立ち上がって開けた。すいせいが息を弾ませて立っていた。髪を軽く揺らし、いつもの元気な笑顔だ。

 

「アズキ、どうしたの? 急に呼び出して。なんかあった?」

 

「入って、すいちゃん。座って。」

 

二人はソファに並んで座った。AZKiは簡潔に、谷郷社長からの話を伝えた。イノナカMusicの存続が五分五分で、経営陣の前で「いのち」を歌うチャンスをもらったこと。すいせいは目を丸くして聞き、時折うなずいた。

 

「え、社長室に呼び出されたんだ……。それで、『いのち』か。谷郷社長、ほんとにアズキのことわかってるよね。あの曲、アズキの魂みたいなものだもん!」

 

すいせいの言葉に、AZKiは小さく微笑んだ。(すいちゃんのこの素直さ、好き。社長の選択を喜んでくれるなんて、私の不安を溶かしてくれるわ。)

 

すいせいはAZKiの手を握り、目を輝かせて言った。

 

「あたし、アズキとずっと一緒に歌っていきたいよ。イノナカMusicがどうなろうと、二人で作った音楽は消えない。でも、守れるなら守りたい。あたしも何か手伝えることある?」

 

その言葉が、AZKiの心を強く揺さぶった。(ずっと一緒に……。すいちゃんのこの想い、私と同じ。ホロライブで輝くあなたが、私を置いていかないでいてくれる。)

 

AZKiはすいせいの手を握り返し、静かに告白した。

 

「私もよ、すいちゃん。私も歌い続けたい。すいちゃんと一緒に、歌いたい。あなたがいない音楽なんて、考えられないわ。」

 

二人は見つめ合い、部屋に温かな沈黙が流れた。AZKiは少し躊躇ったが、デスクから五線譜を取り出し、すいせいに差し出した。手書きの譜面で、タイトルは「The Last Frontier」。

 

「実は、隠してたことがあるの。これ、新曲。すいちゃんに見てほしくて。」

 

すいせいは目を輝かせて受け取り、すぐに譜面を開いた。

 

「新曲!? やったー、アズキの新曲だなんて、超楽しみ! どんな曲なの!?」

 

彼女は興奮気味にページをめくり、音を口ずさみ始めた。最初は笑顔だったが、読み進めるうちに表情が変わった。目が大きく見開かれ、眉が寄る。手が微かに震え始め、譜面を握る指に力が入った。(このメロディー……この歌詞……。まさか、こんな……。)

 

すいせいは最後まで読み終え、譜面を膝に置いた。顔はこわばり、怒りと悲しみが混じった目でAZKiを見つめた。唇が震え、言葉を探すように。

 

「アズキ……これ、何? どういうこと?」

 

AZKiは穏やかに、静かに語り始めた。声は優しく、決意に満ちていた。

 

「そう、それが私の最後の曲。私のいのちの終わりと、永遠に続くすいちゃんの未来を描いた、私の墓標であり、バトン。」

 

 

### 第3部

 

 

星街すいせいの目には、涙がにじみ始めていた。譜面を握った手が白くなるほど強く、部屋の空気が一瞬で張りつめた。彼女の胸に、怒りと悲しみが渦巻いていた。(アズキのこの曲……。私の未来を描いて、自分の終わりだって? そんなの、許せない。二人で始めたのに、なんでアズキだけが犠牲になるような歌を作るの?)

 

「あたし、こんなものアズキに歌ってほしくない! アズキはアズキのことだけを考えてよ! あたしのことなんか考える暇あったら、自分のことを考えてよ!」

 

すいせいの声は感情を爆発させるように高くなり、部屋に響いた。息が荒く、頰が紅潮している。(なんでアズキはいつもこうなの? 自分のことを後回しにして、私を優先する。嬉しいけど、悔しい。こんな歌、聞きたくなかったのに……。)

 

AZKiは静かにすいせいを見つめ、穏やかな声で言った。

 

「聞いて! すいちゃん。私は始めから期限のあるプロジェクトだって受け入れてた。すいちゃんのことも、ホロライブで活躍してくれて本当に嬉しい。これは間違いなく本心。でも、嫉妬と羨望も、私の中に確かにある。それが今の私のリアル。それを、曲という形にして世の中に生み出す。だから、この曲は100%私の意志。」

 

AZKiの言葉は、静かだが力強かった。彼女の目には、揺るぎない決意が宿っていた。(すいちゃんの輝きを見て、嬉しいのに、心のどこかで羨ましいと思ってしまう自分。あなたが先へ進む姿が、美しくて、切なくて。それを隠さず、歌に込めたの。この曲は、私の真実よ。)

 

すいせいはAZKiの言葉を聞き、肩の力が少し抜けた。だが、まだ涙が止まらない。(アズキの本心……。嫉妬と羨望? そんな気持ちを抱えながら、私を応援してくれていたの? それなのに、こんな形で終わりを描くなんて……。)

 

AZKiは少し照れ隠しに目を逸らし、微笑んだ。

 

「すいちゃんには、ありがた迷惑かもしれないけど。」

 

すいせいは首を振り、涙ながらに答えた。

 

「そんなこと、ない……。」

 

彼女の声は震え、涙が頰を伝う。(迷惑だなんて、思わないよ。アズキの想いが、こんなに深いなんて。嬉しいのに、悲しくて、胸が痛い。)

 

AZKiは深呼吸をし、すいせいの手を優しく握った。部屋の夕陽が、二人の影を長く伸ばしていた。

 

「この歌を一緒に完成させてほしい。そして、経営陣の前で一緒に歌ってほしい。」

 

すいせいは驚いて顔を上げた。涙で濡れた目が大きく見開かれる。

 

「ぇ? さっき歌うのは『いのち』だって……。」

 

「この曲は私の『今』の全てを賭けてる。そこに、すいちゃんの音楽と想いを合わせる。それでダメなら、もう私に悔いはない。」

 

AZKiは静かに、しかし決然と語った。声は低く、部屋に響くように。

AZKiの言葉に、すいせいの心が揺れた。(アズキの全て……。この曲に、そんな覚悟を込めてたの? 私と合わせることで、完璧にするって。悔いがないなんて、言わないで。でも、わかる。アズキのこの決意、私も感じてる。)

 

部屋に沈黙が訪れた。夕陽が窓辺を赤く染め、二人の顔を照らす。AZKiの表情が、ふっと変わった。静かな決意から、いたずらっ子のような、無邪気で輝く笑顔へ。目が細くなり、唇が軽く弧を描く。あの頃の、二人がイノナカMusicで夢を語り合っていた頃の、純粋な喜びに満ちた表情だ。彼女はすいせいの手を強く握り、声を少し高くして言った。

 

「ねえ、やろうよ。私たちの歌が世界を動かせるって、見せつけてやろうよ。」

 

その瞬間、部屋の空気が一変した。AZKiのいたずらっぽい笑顔が、ドラマチックに光を浴びて輝き、すいせいの心を強く引きつけた。夕陽の赤い光が彼女の髪を金色に縁取り、目には星のようなきらめきが宿る。まるでステージのスポットライトの下で、観客を魅了するアイドルのように。彼女の声は、軽やかだが力強く、部屋全体を振動させるようだった。

すいせいはその表情に、息を飲んだ。涙が乾き始め、心に熱いものが込み上げる。(アズキのこの顔……。懐かしい。いたずらっ子みたいで、でも本気。世界を動かせる? うん、私たちならできるかも。)

 

二人は見つめ合い、笑みが広がった。部屋に、希望の風が吹き始めたように感じられた。(この曲で、二人で挑む。イノナカMusicの未来を、掴み取るわ。すいちゃん、ありがとう。一緒にいてくれて。)

 

### 第4部

 

それからというもの、星街すいせいは仕事が終わると、まるで自分の家のようにAZKiの自室へ駆けつけた。配信を終え、汗だくのままタクシーを飛ばし、夜の街を抜けて。手にはAZKiから渡された合鍵。カチャリとドアを開けると、部屋はいつもと同じように、しかし少しずつ変わっていく音楽の坩堝だった。

 

「アズキ、ただいまー!」

 

すいせいが声を上げると、キーボードの前に座るAZKiが振り返る。彼女の指は鍵盤を離れず、左手には何度も赤と青のペンで修正された譜面が握られていた。紙の端はくしゃくしゃで、折れ目が何重にも重なり、まるで彼女の命を削り取るようにして生まれた痕跡のようだった。部屋の床には、切り刻まれた歌詞の断片が散乱し、壁には付箋がびっしりと貼られていた。「ここはもっと高く」「この言葉、違う」「すいちゃんの声でこうなるはず」——そんなメモが、AZKiの心の叫びのように貼りついている。

 

(……また、こんなに。)

 

すいせいは息を呑んだ。AZKiの目は充血し、髪は少し乱れ、頰はこけていた。けれど、その瞳は燃えていた。自らの命を削り取って曲を編んでいるかのようで、すいせいの胸が締めつけられた。(アズキ……こんなに必死で。私たちのために、自分のために。こんな姿、見たくなかった。でも、止められない。)

 

「すいちゃん、来てくれた。ちょうど、ここ、聞いてほしいの。」

 

AZKiは微笑み、キーボードを弾き始めた。メロディーが流れ、歌詞が紡がれる。すいせいは隣に座り、譜面を手に取り、一緒に歌い始めた。声が重なり、響き合い、時にはぶつかり、時には溶け合う。二人は何度も止め、何度もやり直した。

 

「ここ、もっと切なく。私の嫉妬が、ちゃんと伝わるように。」

 

「うん、でもアズキの声、もっと優しく。バトンを受け取る私の未来が、希望に満ちるように。」

 

合間には、コーヒーを淹れ、ソファに並んで座った。夜が更けても、二人は話し続けた。生い立ちのこと。すいせいが田舎で歌を始めた頃、AZKiが一人で音楽を追いかけた日々。好きな歌のこと。古いアニメの主題歌、深夜ラジオで流れたバラード、二人で初めて聴いた洋楽の衝撃。運営のこと。イノナカMusicが実験的プロジェクトだったこと、ホロライブの規模が大きくなりすぎたこと、数字に縛られるアイドルの現実。

 

「私、すいちゃんがホロライブに行った時、本当に嬉しかった。でも、夜中に一人で泣いたこともあるよ。」

 

「……ごめん、アズキ。あたし、気づかなかった。」

 

「嫉妬って、醜い感情だと思ってた。でも、今は違う。リアルだから、歌える。」

 

「誤解もあったよね。あたし、アズキが遠くに行った気がして、勝手に拗ねてた。」

 

「羨望も、達観も、全部私の中にある。すいちゃんの輝きを見て、追いかけたくて、でも届かなくて、それでも諦めきれなくて。」

 

「希望は……私たちの中にある」

 

言葉は歌詞に、想いはメロディーになった。付箋が剥がされ、新しい言葉が書き込まれる。キーボードの音が鳴り、声が重なり、夜が明ける。二人は眠気を忘れ、ただ音楽に没頭した。すいせいがハーモニーを提案し、AZKiがコードを修正する。時には笑い、時には涙し、時には黙って見つめ合った。

 

(この時間、宝物だわ。すいちゃんとこうしていると、曲が生きてくる。私の終わりじゃなくて、私たちの始まりになる。)

 

(アズキの声、こんなに近くで聞けるなんて。嫉妬も羨望も、全部歌に変えちゃおう。私たちのリアルを、世界にぶつけるんだ。)

 

散乱した譜面は、少しずつ一枚の完成形へと近づいていった。赤と青の修正跡は、二人で歩んだ道のりそのもの。キーボードの鍵盤は、二人の指紋で黒く光り、部屋は音楽の息吹で満ちていた。

 

「ねえ、すいちゃん。もうすぐ、完成するよ。」

 

「うん、アズキ。私たちの『The Last Frontier』。」

 

二人は微笑み合い、夜の窓の外に広がる星空を見上げた。そこには、二人だけのフロンティアが、静かに、しかし確実に広がり始めていた。

 

 

### 第5部

 

 

ホロライブ本社の地下にある収録スタジオは、いつもの賑わいを欠いていた。照明は控えめに落とされ、壁の吸音材が静寂を飲み込む。スタジオの隣のスタッフルームには、経営陣の面々が黒い椅子に座っている。谷郷社長は中央に控え、穏やかな視線をブースに向けていた。スタッフの一人がヘッドセットを外し、小さくうなずく。準備が整った合図だ。

 

AZKiはブースのガラス越しに軽く息を吐き、マイクスタンドの前に立つ。経営陣はモニター越しに彼女を見守る。ブースのドアが静かに閉まる音が、スタジオに小さく響いた。

 

谷郷社長がインカム越しに、穏やかな声で確認した。

 

「AZKi君、準備は良いですか?」

 

AZKiはマイクに向かって頷き、経営陣全員に視線を巡らせる。彼女の声は静かだが、スタジオの空気を震わせるほど澄んでいた。

 

「これまでイノナカMusicを支えてくださった皆さん、そして今回のチャンスをくれた谷郷社長。本当にありがとうございます。――実は、もう一人、招きたい人物がいます。」

 

その瞬間、スタッフルームのドアが静かに開いた。星街すいせいが現れる。普段の弾けるような笑顔は影を潜め、唇を固く結んだ真剣な表情。黒いジャケットの肩がわずかに上下し、足音を殺すように歩み寄る。ドアが閉まる音が、まるで幕が下りるように響いた。

 

続いて、AZKiもブースから出て、経営陣のいる部屋へ移動する。ガラスのドアが開き、閉まる。二人は自然と経営陣の中央に並んで佇んだ。谷郷社長の眉が一瞬跳ね、驚きの色が浮かぶ。だが、すぐに穏やかな微笑みに変わり、二人を見据える。

 

AZKiは静かに、しかし確かな声で告げた。

 

「私達で曲を作りました。聞いて下さい。――『The Last Frontier』」

 

 

### 第6部

 

 

二人は、経営陣の中央に佇むと、互いに視線を合わせた。AZKiの瞳に、すいせいの青い星のような輝きが映り、すいせいの目にはAZKiの穏やかな決意が宿る。その瞬間、ぴたりと息が合い、アカペラの歌が始まった。生の声だけが、スタッフルームに満ちる。BGMはなく、ただ二人の喉から紡がれる音が、空気を震わせる。経営陣は予想外の事態に息を呑んだ。全員の意識が、二人に集中する。谷郷社長の穏やかな表情が、静かに固まり、他の役員たちの目が大きく見開かれる。部屋の空気が、歌の波に飲み込まれていく。

 

『Woah-woah, woah-woah…』

 

二人の歌姫の声量に、たちまち経営陣は圧倒された。鼓膜を震わせる生の声。AZKiの柔らかな低音が基調となり、すいせいのクリアな高音が絡みつく。歌の響きが、部屋の壁を跳ね返り、まるで宇宙の風のように広がる。経営陣の一人が、無意識に息を止めた。谷郷社長の指が、デスクの上で微かに震え、予想外のハーモニーに体が硬直する。

 

『未知の期待抱え出会った あの日の僕らは』

 

AZKiが静かに歌う。彼女の声は、穏やかだが深く、未知の期待を胸に抱えた少女の純粋さを描き出す。言葉一つ一つが、部屋の空気に染み込み、経営陣の心に過去の記憶を呼び起こす。すいせいは隣で静かに聞き、AZKiの声に寄り添うように息を合わせる。役員たちの視線が、AZKiに釘付けになり、誰一人として動かない。まるで、あの日の出会いが、目の前で再現されるかのようにドラマチックに。(あの日の私たち……。未知の期待、すいちゃんと出会った瞬間。私の声で、みんなに伝わって。)

 

『底に湧き上がる何かを 言葉にできなくて』

 

すいせいが力強く引き継ぐ。彼女の声は、底から湧き上がる感情を爆発させるように、力強く響く。言葉にできない何かが、喉から溢れ出し、部屋を震わせる。AZKiはすいせいの横顔を見つめ、微笑む。経営陣はさらに圧倒され、谷郷社長の目が細くなり、二人の絆の深さを悟るかのように。息もつかせぬドラマチックな移行に、部屋の空気が熱を帯び始める。(あたしの声で、この感情を。底から湧くもの、アズキと共有したあの想い。みんな、感じてよ。)

 

『聞こえていたよ 君が歌を歌うから ずっと』

 

二人は目線を交わし合い、完璧なユニゾンで歌う。声がぴたりと重なり、互いの音が溶け合い、感情の奔流となる。聞こえていたよ、という言葉が、永遠の絆を象徴するように、部屋に広がる。経営陣の心臓が、強く打つ。誰かが小さく息を漏らし、圧倒的なハーモニーに体が前傾になる。ドラマチックな視線の交わりが、二人の純愛を物語り、役員たちの表情が柔らかく変わる。(君の歌、ずっと聞こえてたわ。すいちゃん、私の声と重なって、永遠に。)

 

『孤独な星たちへ捧げる歌を(Last frontier) 』

 

AZKiの伸びやかな歌声に、すいせいが力強くコーラスで支える。孤独な星たちへ、というフレーズが、宇宙の広大さを思わせ、部屋を無限の空間に変える。AZKiの声が優しく広がり、すいせいのコーラスがそれを包み込む。経営陣は息を呑み、谷郷社長の目が輝き始める。予想外の深みに、皆の意識が完全に二人に奪われる。(Last frontier……。私の捧げる歌、すいちゃんの支えで、輝くわ。)

 

『一人で最果てへ旅立つ歌を(Last moment) 』

 

すいせいのコーラスに導かれるように、AZKiの声が舞う。一人で最果てへ、という言葉が、切ない別れをドラマチックに描き、部屋の空気を重くする。AZKiの声が優雅に舞い上がり、すいせいの支えがそれを高みへ導く。経営陣の一人が、無意識に手を握りしめ、感情の奔流に飲み込まれる。(Last moment……。この一声に、全てを賭ける。)

 

『交わることのない世界を今変えるから』

 

強い意志で、AZKiが歌い上げる。声に込められた決意が、部屋を震わせ、交わることのない世界を変えるという力強いメッセージが、経営陣の胸を打つ。谷郷社長の表情が、真剣に変わり、他の役員たちが互いに視線を交わす。ドラマチックな高揚感が、皆を包む。(今、変えるわ。この世界を、すいちゃんと一緒に。)

 

『最後に 君と 僕は』

 

『出会う』

 

AZKiとすいせいはお互いを見つめ、歌を届ける。二人の目には涙が伝う。最後に、という言葉が、切なく響き、出会うの瞬間が、純愛の頂点を描く。声が重なり、涙が頰を滑る。経営陣はその熱量と感情の奔流に圧倒される。二人の声は融け合い、導き、支えながら、歌はどこまでも、高く遠く。役員たちの目が潤み、谷郷社長が静かに息を吐く。(君と僕は、出会う。すいちゃん、涙が……。この想い、みんなに届いて。)

 

『最前線の地へ 君なら行ける まだ見たことのない 世界へ行ける』

 

すいせいの声が力強く導き、AZKiが応じる。最前線の地へ、というフレーズが、未来への希望をドラマチックに描き、部屋を明るく照らす。経営陣の表情が、驚きから感動へ変わる。(君なら行ける。あたしの言葉で、アズキを未来へ。)

 

『僕は観測する 輝き止まぬ星の名を Remember the frontier』

 

AZKiの声が、観測する輝きを優しく歌い、Remember the frontierが、永遠の記憶を刻む。すいせいが支え、二人のハーモニーが頂点に達する。経営陣は完全に魅了され、誰一人として目を逸らさない。(輝き止まぬ星……。私の観測、すいちゃんの名を、永遠に。)

 

『響かせよう 僕ら 今を』

 

『歌う』

 

二人の声が、最後に重なり、響かせようという言葉が、部屋を満たす。今を歌う、という終わりが、ドラマチックに締めくくる。声が徐々にフェードし、残ったのは、二人の吐息と、静寂だけだった。経営陣はしばらく動けず、谷郷社長がゆっくりと拍手を始め、他の役員たちが続く。部屋に、感動の余韻が漂う。

 

 

1か月後――AZKiの活動継続が、ファンに報じられた。

 

 




The Last Frontierに脳を焼かれたので。曲を聴いて、「あずきが死期を悟ってすいせいに自分の存在とVsingerの未来を託した歌だったのでは?」という思いが湧き上がって、AIさんに歴史事実を質問しながら、成立するストーリー(ロジック)を考えました。5th fes.で歌詞が書き換わった事実も、ストーリーと矛盾しないように留意しました。



作成に当たっては一部AI(Grok)を使用しています。
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