ウチの姉ちゃんと幼馴染、何とは言わんがデカい 作:himahy
お待たせ致しました、初詣回ではなくエデン条約編です。
「……眠たい」
重たい瞼を擦り、暗空いっぱいに広がる星を見つめた。
空に集まっている星々は一体何のために存在しているのだろうか、どの様な活動をして俺たちの世界に利益を与えているのだろうか、そんな事を考えてしまう。
ふと背後を見れば、ウチの生徒達がせっせせっせと勉強に勤しんでいる。
「コハル、質問」
「うん、え?私!私に!?」
「そう、コハルに。今同じ所を勉強しているはずだ、この問題なのだけれど…」
「う、うん……」
もうちょい自信を持てよコハル、そこは授業でやった公式を当てはれめば余裕で攻略できるはずだ、頑張れ。
「……あ、これ知ってる!」
「これはたしかこうやって、下のところが90°になるように線を引いて……そうすると、この三角形とこの三角形が一緒になるの、分かった?」
「……なるほど、そう言うことか。」
「助かった。これは確かに、正義実現委員会のエリートと言うのも頷ける」
「……!?そ、そうよ!エリートだもの!」
「……も、もし何か分からなかったら、私に聞いても良いから、アズサはその、特別に」
「ありがとう、助かる」
おぉ、コハルが人に勉強を教えられるまで頭が成長をしている。それでアズサとも良好な関係を築けた、ちょっとナメてたけど流石は正義実現委員会のエリートって言ったところか。
外に出て冷たくなった缶コーヒーを一口飲むと、慣れていないせいか苦味を感じた、やはり飲みたくなったからと言って飲む物ではないな。
「あ、コハル。もう一つ聞きたい」
「うん?…あ、この問題?……えっと…確か、参考書に」
おぉ、参考書まで買っているのか?やけに勉強熱心になった物だな……ちょっと前に揶揄ったのがバネ台になったか?いやー良かったよかった。
もうすぐ空になる缶コーヒーを最後に飲み干し、教室に居る生徒達を見守っていた。
「確か持ってきてたはず…あ、あった、んしょっ。」
しっかし、コハルは何の参考書を利用しているのだろうか?俺ももうそろ参考書が欲しくなってきたから、ぜひ参考に……。
コハルがカバンから出したのは、赤色を基調とする丁寧な紙に包まれた本、そして右上には『R18』と書かれていた、うーんなるほど、R18の本を………………
「───ブゥゥゥゥ!!!!!」
勢いのあまりコーヒーを口から吐き出し、目を大きく見開いてコハルの出した本を凝視した。
目を疑ったさ、参考書が勉強についての参考書じゃなくて大人に関しての参考書だって、流石にそれはあの江戸モンスターコハルでもありえないだろうって
「コハル、この参考書に載っているのか?」
「うん、この参考───あれ?」
そして、当のコハルも気付いたようだ
「う、うわぁぁぁぁぁっっっ!?!?な、なんでぇぇぇぇ!!!!???」
ポッと、顔を真っ赤にして叫んだ
「コハルちゃん、それエッ○な本ですよね?まぁある意味参考書かもしれませんが、隠して無駄ですよ?「R18」ってバッチリ書いてましたからね。」
「ち、違う!見間違い!とにかく違うから!絶対に違う!!」
「私の目は誤魔化せませんよ、確実にアレな事をする本でした。それも結構ハードな……それこそ!キヴォトスでもあまり見ることができないレベルの…!!どうしてその様な本をお持ちなのですか?!確か校則で禁止されていたようですが……」
「い、いやそのっ、こ、これは私の物じゃなくて…えっと…」
「でもそれ、コハルちゃんのカバンから……」
「!…そ、そう!そうよ!!」
「これはカナタから預かってた本なの!!カナタが預かっておいて欲しいって言ってたから、私が仕方なく…!!」
「ちょ待てやぁぁぁぁ!!!!」
丁寧な口調を忘れ異議ありと申すばかりに鈍い声を上げ、コハルの元へ突っ走った。
「なんつう嘘吐いてくれてんだこのクソアマっ!!俺がいつそれを預けた!」
「!?…き、昨日よ、昨日!!カナタが私と2人になった時!!」
「昨日俺が預かれる時間なかったでしょうが!!」
「う、うるさい!うるさーい!!全部カナタが悪いの!私は悪くないの!!!」
こ、こんにゃろぉぉぉ!!!命削って毎日熱心に勉強教えてくれてる補佐になんつう嘘を吐くんだ!俺がお前に勉強教えた恩を忘れたでも言うのか!?流石にそれはNGやぞぉ!!
「ふふっ、そうですか、あの真面目なカナタ君とコハルちゃんがエッ○な本を……」
「ハナコサァン!?!?」
ついつい声が裏返ってしまい、視界の端にある鏡から見える信じられないと言う表情でハナコを見つめた。
「いえ、そう取り乱すことはありませんよ、カナタ君……コハルちゃんも知っていたと言うことは、これは後々合宿の授業で実践をするんですよね?……えぇ、そうです……それも、カナタ君とコハルちゃんが」
「!?…ちが…だ、だから、違うんだってばぁぁぁぁぁぁ!!!」
気付けばコハルは顔が真っ赤で涙目になっていて、取り乱していた俺もその顔を見てヒートダウンをした。
「は、ハナコちゃん…これ以上は」
「……そうですね、お話が合うのかと思ってしまって……ごめんなさい」
「…う、ぅぅ……」
それから数分が経ち、一先ずは場が沈み、コハルは鼻水を啜って顔が崩れて、そんなコハルにヒフミが恐る恐ると押収係としての役割なのだと、口を開いた。
「…うん。私、押収品の管理とか、してたから……これは、本当にその時のやつで……」
「…ごめん、ひとつ聞いていいかな…じゃあなんで僕のものだったぃ」
「!…か、カナタ君!」
疑問を口に出そうとした時、慌てたヒフミが手に持っていたペロロ人形を俺の顔に押し付けて、俺の口を開かない様にした。
いや、言っとくけど俺被害者だからな?何も知らずに江戸本持ってたとか言われた超絶10:0の被害者だからな。
まぁ、これ以上は何か言えば反撃されるから言わないけど………
「なるほど、確かに古書館の地下には何やら禁書がたくさんおいていると噂がありましたし……その様なものを正義実現委員会が取り押さえていると言われても、不思議ではありませんね。」
「うーん……あまり詳しくはありませんが、押収品と言うことはできるだけ早く返したほうがいいのではないでしょうか?」
「た、確かに……ずっと忘れてたけど。」
「数が合わなくて騒ぎになる前に、返しに行ったほうがいいかもしれませんね…」
「今のうちにこっそり行って、バレない様に正義実現委員会の所に戻してきてはどうでしょうか?」
「え、今から……?」
確かに、今から行けば間に合うかもしれないな…ただ、正義実現委員会って事はあの『デカパイ』がいるかもしれねえって事だし、難易度高いかもな
まぁこっからは先生の出番だし、俺の出る幕はないとしてゆっくり休むとしますかね。
"カナタ、ウォーミングアップ"
「?…ウォーミングアップ?」
先生が俺の肩に手を掛けてきて、トントンと指でつついてきた。
「急になんですか、ウォーミングアップって」
"悪いけど、私は席が外せなくて…代理としてカナタが行ってあげてくれないかな?"
「…………」
冗談じゃない、ただでさえそのコハルの一件があって疲れてるんだ、「行ってあげて」って言われて「はい」って頷けるほど、俺は心の広い人間じゃないんだぞ
しかし、そう言っては立場上危うい、上手く誤魔化せばならない。
「ごめんなさい先生、僕も用事があって……」
"うーん、そっかぁ……もし行ってくれたなら、このパフェ無料券を渡そうと"
ガバッと、体がバネの様に跳ね上がった。
「行きます、いかせてください、いくぞコハル」
「えっ!?…あ、ちょっ、ちょっと待って!」
荷物を持って突っ走っていくカナタを追うコハルを見て、先生は少しだけニヤリと口を和ませ「計画通り」そう心の中で呟いた。
そうしてトリニティの噴水広場に着いた2人は、無言のまま正義実現委員会の部室にまで進んで行った
「……ね、ねぇ…カナタ?」
「っ……どうかしましたか?」
コハルが緊張した口ぶりで話しかけて来て、少しドキッとはしたものの平然と返した。
「……怒ってる?」
「おこ……え、怒ってるって?」
「さっ、さっきの事……アレを、カナタの物だって言って……」
「……ぁぁ〜〜」
納得した様に手をポンと叩き、思い出していくと同時に表情を笑みで覆った。
「許してるわけないでしょ、一発
「っ!?…ご、ごめん!ごめんってば!」
慌てた様子で謝罪するコハルを見て思わず微笑むを溢すと、何笑ってんのよと言う視線を向けられ、これは失敬と頬を軽く叩いた。
「……そ、そう…じゃ、じゃあお返しにカナタにだけ、私の秘密を教えてあげる!」
「ん?…秘密?」
これはまたどんな秘密かと、俺は耳を傾けた。
「じ、実は私……補習授業部の監視を任されたスパイなの!」
「試合終了で、ありがとうございました」
「ちょ、ちょっと!ちゃんと話聞いてよ!」
おいおいおい、なーにが補修授業部の監視を任されたスパイだってぇ?さてはそれを口実に「私が他のみんなと勉強具合を合わせてあげてる!」なんて言うつもりじゃぁないだろうなぁ〜〜?????
「つまり、秘密のミッションを遂行中の身ってこと!だから今は私がバカみたいに見えるかも知れないけど、それも全部フェイクだから」
と思えば案の定、コハルが出してきた話題はそんな物だった。
「ほうほう………ん…ミッション?ちなみに誰の命令で?」
「う、えっと……だ、誰って、その」
「んと……は、ハスミ先輩!」
「あぁはいはい、ハサミ先輩ね」
「そうよ、ハサミ先……ハスミ先輩よっ!!」
「あはは、ごめんごめん」
「そう!ハスミ先輩はトリニティの中でもすっごく強くて、正義実現委員会の副委員長なんだし」
あぁ確かに、ハサミ先輩じゃなくてハスミ先輩って結構強いもんな、少し前に誤解が発生した時に戦って…なんて、冗談だよ冗談。
「………ん、んと!後ツルギ委員長もいるんだから!」
「ツルギ委員長……あぁ、あの顔面強面の人ね……アレ絶対ホラー映画の作品の顔だろ」
「つ、ツルギ委員長はその、えっと、委員長だし……そう、何でもできるのよ!ぶ、文武両道だから…多分」
「多分って」
「と、とにかく!何回かしか会った事ないけど……とにかくすごいの!」
「だ、だから!私が本当は頭が悪くて補修授業部に入ったわけじゃないってこと、覚えといて!…私はエリートなんだから!」
「はいはい……」
「ふふんっ。」
うん、十中八九嘘だと考えて良いのだろうが……こんな事をこの場で言って仕舞えばコハルの案外弱弱メンタルはブレイク真っ逆さま、それで俺が勉強面でハナコにボコられるとか言うのは勘弁だ。
と言うか、それって…
「…ちなみに聞きますけど、それって教えて良い事なんですか?」
「……………」
「か、カナタはそんな…私達の秘密を言いふらしたりしないでしょ!?しないよね!?…じゃあ大丈夫!」
そう言葉を残すと、コハルは逃げるように正義実現委員会の部室に向かっていった。
その後を追うかのように、俺もコハルの背中を目掛けて走った。
◇
そうしてコハルについて行くがままに正義実現委員会の押収品管理所に到着すると、入って早々素早い手つきでコハルは押収品を押し入り、何とかなったと安心をしていた。
しかし、その安心も束の間……背後から扉をけたたましく開ける音が聞こえ、俺たちの視線は音のした方に向いた。
「…‥コハル?」
「!?…は、ハスミ先輩…!?」
「どうしてここに…?……成績が良くなるまで、立ち入りは禁止されていたはずですが………」
「そ、その、違うんです、えっと………」
「シャーレの先生から、授業に使う書類の件で用がありまして」
「…!」
一歩足を前に踏み出し、ハスミ先輩と目線を合わせた
いやデッカ
「貴方は確か、ミカ様の……」
「兼補修授業部の補佐の聖園カナタです、先ほども言った通りシャーレの先生に頼まれた書類の件で用事があり、コハルさんには案内を頼んでいました」
「なるほど……そう言う事ならば、仕方がありませんね。」
「は、はい……。」
「ですが、ある意味ちょうど良かったです、コハルには伝えておかねばならないことがありましたし……」
「え?…わ、私ですか?」
「………」
「聖園カナタさん、申し訳ございませんが、少し席を外していただけまさでしょうか?…これは他でもない正義実現委員会としての話です」
「なるほど…分かりました、それでは。」
そう言って手際良く扉を開けて、俺は心地の良い風を感じる窓際に立ち尽くし、コハル達の会話が終わるのを待っていた。
二人が話してから、やや数分が経っていた。
「でも…………には………無理……」
「……ん」
しかし、外で立ち尽くしていたとしても、トリニティの室内はミレニアムの様に防音機能がついておらず外まで会話が聞こえてきてしまっていた。
もしかしたら何か大事な事を話しているのかも知らないと、好奇心に従って扉に耳を傾けた。
「なんて……あまりにも……です」
「それではダメなんです!」
「……!?」
突如として普段のハスミ先輩が醸し出している雰囲気とは裏腹に、怒鳴り声が飛んできた……まさか叱られているのか?とは思ったものの、俺が口出しできる案件ではないので黙って聞いていた。
「……なさい…………ずっと……ために……」
「先生……を……です……」
「……!」
おおう、これはまたびっくらポンだぜ、まさかの話題の内容が先生についてだったとは。
「…………はい……ます」
しかし、まさかあのデカパイ女うちの生徒に何か押し付けてたりしてないだろうな?……コハルの声量が弱くなっていってるのも感じるし、出てきたら聞いてみるか。
そうこうしている間に、扉からコハルが出てきた。
「お、お待たせカナタ……帰らないの?」
「コハル…大丈夫か?何かされなかったか?」
「え?…う、うん、別に大丈夫だけど……」
「………そっか。」
とりあえずはと、コハルと俺はみんなの元へ帰る事にした。
「わぁっ⭐︎水が入ってるー!」
「あはっ、ここに水が入ってるところなんて久しぶりに見たなー、もしかしてこれから泳ぐの?それともみんなでプールパーティ?」
高価なネックレスやアクセサリーを身につけているピンク髪の少女が、こちらに向けて意気揚々と話しかけていた。
"お待たせ、要件を聞いても良いかな?"
「……えへへ。」
「カナタと先生は上手くやってるかな?って思って」
ミカを東山奈央にした人に表彰したい