ウチの姉ちゃんと幼馴染、何とは言わんがデカい 作:himahy
他の小説を書いている人はどんな気持ちなのだろうか……どう書いても自分の小説が下手すぎて笑えないぜぇ……
いや、評価を気にせず書くのが筋なのかな?…何もわかんないや
ちょっと自虐を挟みましたが、本編どうぞ。
「裏切り者はアズサだ。」
そうキッパリと言い切ると、補習授業部や先生は驚愕の表情を浮かべ。誰も口を出すことなんてしなかった、ハナコでさえ俺の様子を鑑見ていた。
「みんなの晴れ渡る未来を壊したのは、アズサなんだ。」
「…………」
"……カナタは、どうしてアズサが裏切り者だって思ったの?"
最初に疑問を投げかけてきたのは先生だった。シャーレの立場上裏切り者と言われた生徒でさえも擁護しなければいけないのかもしれない。
「アズサは全員が就寝した後に、本館とは少し遠い廃墟に行く事が多い。」
「廃墟……?どうして、廃墟に行く必要が?」
「さぁな、でも俺はアズサが外部にトリニティの情報を渡してると思う。それもトリニティを恨んでる輩にな」
「じょ、情報を漏洩……!?それに、トリニティを恨んでいるって……」
「…………」
その場にいる全員が、信じたくもない事実を目の当たりにしていた。カナタ自身もこんなことは言いたくない、先生と同じ立場上の補佐なのだから。
しかし、補佐だからこそ生徒や大切な人達を守らなくてはいけない。例えその大切な人に裏切られても。
「信ぴょう性が無いかと思うけど、頼むから信じてほしい……それに、あの人にも言わなきゃいけないことがあるし。」
こんな事をするのは、正直自分でもしたくないと思っている。でもこんな事になってしまったのだから、ナギサさんに嫌われたとしても問い詰めなければいけない。
腰に手を引いて、愛銃としている双銃の’’ノーワン・ノーティスト,,を取り出した。いつでも準備できていると言う事を示唆する為に。
その光景を横目で見ていた先生が、俺の肩に手を置いて、ゆっくりと言葉を紡いだ。
"……本気でやるつもりなんだね、カナタ。"
「元から本気ですよ?……そうですね、強いて言うなら、先生に補習授業部の事を頼みたいです。」
もしも俺に何かあったとしても、補習授業部や先生が無事ならそれで良い。
"それじゃあ、カナタは?"
「はい?」
"カナタはそれからどうするの?何か考えているの?"
一問一答の返しを繰り返していた時、予想外の事を先生が聞いてきた。ピタリと口の動きを止めて、先生の質問の意図を何度も考えた。
だけど、どうにも正解なんて物は出てこなかった。こんな感覚になったのは人生でも初めてだったから。
「考えて、ますよ。」
"本当に?ちゃんと自分の事を考えてるの?"
「……………」
どうして先生は、こうも毎回痛いところをついてくるのだろうか。
「ちゃんと、考えてます。」
"……それなら、良いんだけど……"
先生は何かと腑に落ちない様子でこちらの事を見つめてきた、それでも顔を合わせない様に目線を逸らした。もうどうでも良い。
’’自分の事なんて、ちっとも考えてませんでした,なんて言ってしまえば、何を言われるのかたまった物じゃない……元々壊れる予定だったんだから、考える必要なんてないはずだ。
「……私のせいだ。」
「……!」
「………アズサちゃん…」
扉がきしんで開くと、そこには何とも言えない表情をしているアズサが突っ立っていた。先ほどの話を聞いたからか、全員がごくりと息を呑み込んだ。
「みんな、聞いて。話したいことがある。」
「……それは、裏切り者として、か?」
鋭い声を掛けたのは、既に銃を手に取り臨戦体制に移行しているカナタだった。アズサを強く睨み付け、いつどこでも戦闘をする為に備えていた。
だけど、痛い所を突かれたはずのアズサは戦闘体制を取るどころか。既に裏切り者と勘づかれた事に気づいていた様だった。
「あぁ、そうだ───ナギサの探している’’トリニティの裏切り者,,は、私だ。」
「……っ!!」
「待ってください、カナタ君!」
アズサに向けて引き金を引こうと銃口を構えた時、ハナコが咄嗟に手を掴んで阻止をしてきた。
「ハナコ……お前!」
「カナタ君の気持ちは分かります!…ですが、今はアズサちゃんの話を聞いてあげるべきです!」
「こいつは今裏切り者だと白状したんだ!その話を聞いている最中に襲撃をされたらどうする!?」
「───カナタ君っ!!」
「……!」
「ヒフミちゃん……?!」
強引にでも引き離そうと考えていると。ヒフミの張り詰めた声が部屋中に響き渡った、俺とハナコの手は止まり咄嗟に眼を大きく見開いた。
「お願いです、カナタ君……アズサちゃんの話を、聞いてあげてください」
「!?……ヒフミまで…どうして!」
「………」
そう言った途端にヒフミは黙り込んだ、何故アズサの話を聞かなければいけないのか俺には意味がわからない。ヒフミはまだ現実を見てない。
「……アズサちゃんと私達は、『仲間』だからです。」
「……は…はぁ?」
ヒフミの口から浴びせられる言葉に、意味が分からず思考を停止させ、ポツリと呟いた。
「……仲……間?」
そんな事言ってる場合じゃ無いだろうに、もうアズサ自身が裏切り者と明かしてしまったんだ。なのにどうして’’仲間,,なんて事を言えるんだ。
「……わ、私も…話…聞いて、あげ……たい。」
「……コハル…」
その様子を怯えながらも見ていたコハルが、勇気を振り絞り声を出した。あの悪を許さない正義感を持っているコハルでさえも、アズサの話を聞いてあげたいと言い出した。
どうして、なんでこんな奴の話なんかを。
"私からもお願いだ、アズサの話を聞いてあげて欲しい。"
「………っ!!!」
極め付けに、シャーレの先生さえも同調した……世界から色が消えたように感じてしまい。どうしてと疑問を訴える声さえも出てこない。
どうしても信じられなかった、信じたくなかった。俺以外の全員がこの裏切り者の話を真摯に聞こうとしている事に。
「どうしてお前らは……はぁ……」
「カナタ君……。」
深く溜息を吐いて椅子に力無く腰を据えた、もうこれ以上は何も言い返す気も起きなかった。
「………早く話せよ、アズサ」
「……私は、元々’’アリウス分校,,の出身、今は書類上の身分を偽って、トリニティに侵入している。」
「あ、アリウス?侵入?」
アズサが重々しく話した内容は、自分はアリウス分校のスパイなのだと言う事……アリウス分校とは聞いた事はあるが、詳細は知らない。
「えっと……何それ?アリウス?……どう言う事?」
「アリウス分派……かつてトリニティとの連合に反対した、分派の学園です。その反発のせいでトラブルとなり、今はどこかで身を潜めていると言われていましたが……。」
「つまり、アズサはアリウスから送られてきた刺客か?。」
「そう。私はここにくるまで、ずっとアリウスの自治区にいた。」
ならばコハルが知らないのも無理はない、話を聞けばアリウスと言うのは恐らくトリニティに恨みを募らせて、キヴォトスのどこかに身を潜めている奴らと言う事だ。
「アリウスの任務を受けて、今はこの学園に入っている。」
「……そのアリウスとやらの目的はどうせティーパーティだろ?多分、ナギサさんを消す為に」
「…………」
「それでアズサ、お前はどうしてトリニティに潜入した?」
徐々に真相に触れていく為に、ドスを効かせた視線でアズサに質問をした。アズサは少しの間黙った後に、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「……私は、ナギサを守らなくてはいけない」
「………は?」
「…………」
アズサの口から出た言葉は、ティーパーティのホストであるナギサさんを守らなければいけないと。裏切り者と言われている立場から見たら、意味のわからない事だった。
どう考えても、おかしい話だ。
"……アズサは、ナギサに危害を加える為にトリニティに潜入していたんじゃないの?"
「本来ならそうだ……だけど、明日の朝にアリウスの生徒がナギサを狙ってトリニティに侵入する。私はナギサを守らなくてはならない」
「なっ…!?」
「あ、明日……?!」
部屋の空気が一気に張り詰めた。ナギサさんが明日殺されてしまうと言う事実に。勢いよく椅子から飛び出して、アズサに向けて大きく言葉を誇張した。
「アズサ、さっきから何を言っているんだ……!…そもそも、お前はナギサさんを狙ってトリニティに来たんじゃ……!」
「……アズサちゃん自身は、最初からその目的でトリニティに来た…そう言う事ですね?」
「……っ!?」
慌てふためく俺とは対照的に、ハナコが至って冷静に放つ言葉に、アズサは静かに頷いた。
つまりアズサの立場はアリウスとトリニティを守る為の二重スパイという事なのだ。
「アズサちゃんはアリウス側からの情報捜索係、そしてアリウス側に嘘を付いて、ずっと裏切る準備をしていた……とっても甘い話ですね、夢みたいに」
「…………」
つまり、アズサはナギサさんを守る為にアリウスを裏切ってトリニティに来た。裏切り者だけど裏切り者じゃない……あれ?
と言う事は、俺は無意味に人を傷つけようとしたのか?
アズサは補習授業部やアリウスの仲間であろう人物さえも騙し、自らの平和を目指して突き進んでいた……誰にも言わずに、誰にも相談せずに。
「ですが、それでもアズサちゃんが離れなかったのは…補習授業部との時間が、楽しかったからでは?。」
それじゃあ、俺はそれを勝手に’’悪,,と決め付けて、アズサの事を裁こうとしたのか?……大切な生徒だと言うのに、その関係を信じきれずにすぐに裁こうと?。
みんなの笑顔や幸せを守ろうと一直線に突っ走ったら、そのせいで本来悪ではない人物から笑顔や幸せを奪おうと……もしこの事実が、アズサが裁かれた後に公表されたのだとしたら?
後もう少しで、俺は1人の人間の幸せを奪おうとしていたたんだ、本来人を守る為に動いていた正義の心を。俺が壊してしまう所だったんだ。
俺の、せいで。
「………………………」
「………カナタ。」
そっと、アズサは膝をついて顔を俯かせている俺と眼を合わせてきた。その眼は何かと憐んでいるような、正直な真っ直ぐな眼をしていた
こんなにも光が灯って真っ直ぐな眼を。もう少しで絶望の淵にいる様なドス黒い眼に変えようとしていたんだ。
「……ごめ……ごめん……なさい」
「………。」
「……カナタ君……。」
小さく、謝罪の言葉を嘆いた。こんな謝罪だけで許してもらえるとは思っていない、相変わらずアズサの瞳は俺の目を見つめている。
「……ぇっ…?」
「良いんだ、カナタ。」
トン、とアズサが俺の頭に手を置いた。
「謝らなくていい、私こそがトリニティの裏切り者なんだ。カナタは何も間違っていなかった。」
「……でも!」
「何より───」
そう声を掛けたアズサの端正な指が、俺の頭を優しく撫で初めた。ゆっくりと、まるで腫れ物を扱うかの如くゆっくりと撫でた。
そこで即座に理解した───あぁこれ、確定演出だ。
「カナタは私の弟だ、お姉ちゃんは弟の間違いを正す立場にある。」
「………」
何度聞いたのかもわからない、アズサの弟発言……何故こんなにもシリアスな場面でこれを言えるのかは分からない。それに俺はアズサの弟じゃない。
「……悪いけど、俺の姉はもう先客2人いるんだ。3人目は勘弁してくれ。」
「むっ……ならば、私が3人目の姉になる」
「いやだから募集してないんだって……。」
悪いなアズサ、俺の2人の姉は胸がデカくて疑心暗鬼になっても誰にも相談しないクソボケな姉が1人、正直ゴリラっていう名前の方が似合ってる姉が1人なんだ。
どっちも本当に世話を焼く姉だ。弟がいなければどちらもお転婆娘化してしまう。
「ですけど、分かる気がします……同じ様に思った人がいますから。」
ハナコは神妙な表情でそう口を開いた。本当に申し訳ないんだけど俺は何も話を聞いていなかった。
「誰にも本当の自分を話せないまま、誰にも本性を表せないまま……本当に毎日が無意味だった。そんな人がいるんです。」
「………ハナコちゃん…。」
「ですが……その人はアズサちゃんとは違いました。話は変わりますが、アズサちゃんはその任務が終わって仕舞えば。この学校での生活も終わってしまうんですね?」
「……確かにな。」
俺はハナコの言葉に同意して、頭を捻った。
とりあえず気を切り替えて。アズサは書類上偽装してトリニティに入ったのだから、アリウスも裏切るとして。最終的に帰る場所がどこにも無くなってしまう。
「それを知っていたはずなのに…アズサちゃんは、補習授業部で一生懸命でした。」
「その人は試験をわざと台無しにして、学園から逃げようとしていたのに……一方のアズサちゃんは、短い学圏生活に全力でした。」
「どうしてそこまでするのでしょう?どうしてそんなにも……アズサちゃんが口癖の様に言っていた
ハナコは今までの事を思い返すかの様に頭を上げて、補習授業部での思い出を長々と語った……それはまるで。これからも青春を続けると言いたいばかりに。
話を続けているハナコの表情は、何かと人生に楽しみを見出した人間の様に。思い出を楽しく語った。
「アズサちゃんの言う通りです、全てが虚しいとしても、抵抗を止めるべきではありませんね。」
「ハナコ……」
俺の出番が来たと、直感が反応した。
「……じゃあ、最後まで抵抗してやろうぜ。」
「?……カナタ君?」
横槍を入れる様で申し訳なかったが。補習授業部の補佐としてここで格好付けなければどこで付けるのだと本能が叫んでいた。
「生き恥にずぶ濡れだって良いし、何度倒れたって良い……泥臭くやったって。笑われたって、正義を貫き通す姿が1番にカッコいいんだ。」
「………カナタ君」
「だから……」
ドン、そう音を出して。俺は思いっきり地面に頭をつけて。誠心誠意言葉を絞り出した。
「……俺の大切な人を、どうか一緒に守ってください……おねがいします……」