ウチの姉ちゃんと幼馴染、何とは言わんがデカい 作:himahy
めちゃくちゃ投稿が遅れてしまって、本当に申し訳ない……最後に投稿したのもうめちゃくちゃ前だ、うわぁ………
とりあえず準備をしよう!急の波に飲まれる準備!
The fallen
外に広がる青空とは打って変わって、赤く染まる一室──4人の
四つ巴になっている空間にて、誰も、一言も喋ることはなかった。やがて、白いドレスと思われるも、所々破れて、露出する赤い肌を見せる女性、ベアトリーチェが口を開く。
「……
「特異点?……ふむ、シャーレの先生の事でしょうか?」
「確かに、あの大人も特異点ではあるでしょう。しかし、私が言っているのはその事ではありません。」
黒服は一瞬、意味がわからずに首を傾げるものの、ベアトリーチェの不気味なほどに上がる口角を目に、誰のことを指しているのかを察する。
エデン条約で起こったクーデターの全ての元凶とも言える存在。アリウスの襲撃も、彼女の命令した一端だ。
「聖園カナタ、この世界に影響を及ぼすかもしれない、未知の可能性の1人の事です。」
「聖園カナタとは……あぁ、例のですか。」
「えぇ、その通り。」
ベアトリーチェは口元に笑みを浮かべるが、その視線はどこを向いたのかもわからないまま。ただ、この先訪れるであろう恐怖を感じ取っていた。
彼の事を想っていた姉の聖園ミカの事も、ベアトリーチェは良いように利用したのだ。それも全て、彼を利用できる状況を招くために。
「本来、あの男はこのキヴォトスに産まれることのなかった、完全なる
「……………」
「言わば、あの男という存在を剥がすことは。この世にいる誰もが成し得ないことでしょう。たとえ、ゲマトリアの技術を駆使したとしても。」
聖園カナタの存在は、シャーレの先生と同じ
"ミカを、聴聞会に出るように説得してほしい……?"
「………はい。」
先生が再度トリニティに訪れると、ナギサから告げられたのは、ミカの政治上の立場。ティーパーティの権力の危うさ……そして、彼の容態に関する事だった。
ナギサは重々しい口で告げ、いつもの様に紅茶を口に運ぶことすらもままならなかった。
「先程も言った通り、私はミカさんの事を弁護するつもりです、彼女は既に自分が犯した以上の代償を支払っていますので。」
"…そうだね、私も手伝うよ。"
「えぇ、ありがとうございます……ですが、当のミカさんはご自身を弁護する気が全く無い様で。」
"自分を弁護する気が……ない?"
「…………」
ナギサは顔を沈めて、何も言わないまま拳を握りしめていた……それは自らの無力を呪ってなのか、ある人物へ怒りを抱いているからなのかは、確かでは無い。
「ミカさんは口には出しませんが……昔から彼女を間近で見てきた私なら充分に分かります、何を一番重く感じ取っているのか、誰に償いを求めているのか。」
"……ナギ"
「───彼女を説得できるのは」
先生が何か言葉を掛けようとした時、ナギサは先走って口を開いた。
「あの子しか、居ません。」
"…………!"
先生がその言葉を受けて脳裏に浮かべたのは、未だ意識が覚めずに、補修授業部の間でも心配事になっていた彼の事だった。
目覚めないカナタの事が心配なのは、補習授業部や先生も同じだが。ミカだけは、カナタの事を一番に想っていたせいか、失った時の損失が大きすぎた。
「……正直なところ、私自身にも思うところはあります。あの子をあんな目に遭わせてしまったのは。私のせいでもありますから。」
"……そっ…か。"
先生は何も言い出せなかった、大人としてどうあの子の苦しみに気づけたのだろうかと、少しだけ思い詰めた。
「私やミカさんも、きっと同じ気持ちだったのでしょう。"カナタさんを助けたい"という、純粋無垢な気持ちでした。」
"カナタを、助けたい……"
「ですが、ミカさんの場合は少々特殊なケースです、あの方はカナタさんの事を、心の底から自分の……いえ、これ以上は。」
ナギサがハーブティの匂いを含む紅茶を口に運び、先生と視線を合わせて話を続けた、ナギサの目元には薄々隈もついてあり、あまり寝ていないようだった。
先生はナギサに何を言っても無駄だと察知して、それ以上は何も言うことはなかった。
──ナギサもきっと、牢獄の中のミカと同じ条件だ。カナタが居ないと崩れていくだけと。
「失礼します、カナタ君。」
「…………」
ノックを三回して、今も眠るカナタの病室に入ってきたのは、少し憂鬱気味な下げるハナコだった。
ハナコはいつものように破廉恥な言葉を使うのではなく、ただ顔を俯かせ、静かに目を閉じているカナタの方に目を向けた
ピッ、ピッ、ピッ
心電図の音が規則正しく聞こえる、リズムを刻んで、同じタイミングで音を発していた……それでも、カナタが目覚めることはない。
お見舞いに持ってきた品物をゆっくりと机に置くと、ハナコはベットの隣に腰を据えた。
「……ヒフミちゃん達はみんな、頑張っていますよ。カナタ君が居ない今でも、ずーっと頑張っています。」
「その中でも───コハルちゃんは特に頑張ってます、カナタ君が目覚めた時に、ちゃんと褒めて欲しいからと……コハルちゃんは素直ではありませんが、カナタ君の事を大切に思っているんですよ。」
まるで誰かに語りかけているように話すも、帰ってくるのは複雑な機械の音だけ。それどころか、耳鳴りまでも邪魔をしてくる。
その後も、ヒフミがペロロのグッズをアズサに譲ろうとした事、「私はお姉ちゃんだ、正真正銘、カナタのお姉ちゃんだ」と無理やりカナタの体を見に行こうとしたこと……。
しかし、思い出話をしている最中に、ハナコがふと立ち上がり、目を閉じているカナタの体を見た。
ハナコがカナタの病室にきたのは、近況報告だけでもなく、仲間のお見舞いだけでも無い───確認だ。
してはいけないと分かっている、もしこれが本当ならば、世間や世論にどれほどのダメージが入るのか……全て、理解していた。
「私は……ずっと疑問に思っていました、何故。カナタ君は意地でも自分の体を見せようとしないのか。」
「"異性として、他の人に体を見せたく無い"と言う意見ならば、賛同もできました……しかし、それでもおかしな点はいくつかありました。」
一つ目は、補習授業部が会って間も無い頃にプール掃除をした日、カナタ君はプールに入らずに、猛暑の日だと言うのに長袖で居続けた。
途中でカナタ君が汗びっしょりなことに気づいた先生や私が何度も声をかけようが、「大丈夫」という一点張りで意地でも脱ごうとしない。
二つ目は、
何も知らない周りからすれば、姉が大好きな男の子に見えるかもしれない……コンプレックスを持っていたとしても、少し愛が強いの範囲内に収められる。
だけど、カナタ君は彼女達2人が好きと言う範囲ではなく依存している、それも。2人以外に居場所がないと思わせるほど。
ナギサさんが私達を嵌めて試験を落とさせた日、私は見てしまった。カナタ君が部屋で「まだ、ミカ姉ちゃんが居る…大丈夫、大丈夫。大丈夫だ、まだ、まだ…」と、壊れた機械のように繰り返し放っていた事を。
そして、ミカさんがトリニティの本当の裏切り者だと判定した日にカナタ君は壊れた。
「カナタ君は、いつも1人でもやっていけているように見えましたが。それは全て、
ミカさんやナギサさん以外依存場所がないと言う、異例の事態……しかし、それも全て。ある二文字で納得させることができる。
恐らく、カナタ君は───
その上で、世間や世論が大変になると言ったのは、カナタ君が生まれた家系があの聖園家だから。
トリニティの政治上強い立場にある聖園家が、まさか産まれた子供に虐待をしているなど、知られれば世間への評価地に堕ちて、やがて忘れ去られていく。
本当なら、苦楽を共にした仲間を虐待している家など、滅んでしまえばいいと思っている……しかし、今やってしまえば一番に被害が行くのはカナタ君だ。
聖園家から反感を買われたカナタ君の命が狙われるかも知れない、現に今も命の境目を渡っている瞬間だと言うのに、聖園家からの攻撃に耐えられる確率は少ない。
「……カナタ君…。」
この事実を知るまで、私はカナタ君を単なる"努力している子"という認識を持っていた……これを知ってしまった今、私はカナタ君にどんな目を向ければいいのでしょう。
「……早く、目を覚してくださいね。」
何を言えば良かったのか分からない私は、逃げる様にその病室を後にした。
「……いた……アレ、魔女の弟」
「ちょ、ちょっと…本気でやるつもりなの?」
ハナコが去って数時間が経過すると、病院に忍びの様な動きをして、2人の少女がカナタの元へ到着した。
「やるに決まってるでしょ?元々は魔女が悪いし……あの女には、自分がどれほどのことをしたのかって、自覚させなきゃいけないんだし。」
「……………」
彼女らは、パテル分派──いわば、今やミカのせいで冷ややかな視線で見られている人達の一員。彼女らは、ミカに強い恨みを持っていた。
だからこそ、ミカの弟が病院で眠っていると言う噂を聞きつけて、報いを受けさせてやろうと考えていた。
「……ね、ねぇ…本当に、こんなことしていいの?」」
「はぁ?今更何言ってるの、コイツはあの魔女の弟よ?もしかしたら、魔女と同じ危険性を持っているかもしれないじゃない。」
「だから、私たちが今のうちに危険を取り除いておくの。そうすればパテル分派の英雄にだってなれるかもしれないし、姉弟揃って無様に地獄の業火で焼かれる絵面、考えてみれば面白くない?」
「……ぁ……う、うん…そう、だね…。」
パテル分派の1人は、カナタの顔を強く掴むと、ストレス発散に何度もカナタの頬を手のひらで打った、コイツのせいで、コイツのせいで全部が狂った──そう、ドス黒い感情を向けて。
何度か平手打ちを繰り返すと、パテル分派の生徒は少しは気が済んだのか、手を止めて次の行動をするための準備をした……まだまだ、苦しませるつもりだ。
「そういえば、魔女ってコイツと話す時とかに「お姉ちゃんのこと〜」とか、コイツの前では自分の事お姉ちゃんって言うらしいよ?高校生なのにお姉ちゃんって、めちゃくちゃ気色悪いよね!」
「……ぅ、うん…」
「あぁ〜〜ほんと、魔女の話してきたらうざくなってきた…ねぇ、このままコイツどうするの?魔女と同じ牢屋にでもぶっこんでなんかする?」
魔女と同じ牢屋にぶちこんで、何をさせるか───彼女の目の前で大切な弟を悲惨な目に遭わせる。
パテル分派の生徒は覚えていた、目の前で弟が撃たれた時の、彼女の揺れ具合を……もしこれが成功すれば、魔女を壊せることができて、快感を得ることもできる。
一石二鳥、いいや、もっと規模の大きいものかもしれない。
『ねぇ、◯◯◯』
『………?』
『この曲知ってる?トリニティの讃賛歌でさ……え、もしかして知らないの?……うーん、そっかそっか、じゃあ教えてあげるね!』
『この曲はね───』
『カナタ』
「…………………」
『貴方は一体何をしているのですか……こちらへ来なさい、まさか。お姉様のお願いを断るわけではありませんね?』
「……お姉、様……?」
『えぇ、そうですよ』
肌が赤く、所々破れたドレスを持つ女性が、お姉様と言っている……お姉様、コイツが、姉……?
あれ、え……あぁ、そっか。
「……ごめんなさい、
「全く、お姉様を忘れてしまうとは…とんだ無礼者ですね…まぁ、思い出したのなら良いでしょう。」
ふと、ベアトリーチェお姉様が指を差した……そこには、傷を負って倒れている、狐の様な耳をこちらに向けている少女が居た。
「カナタ、あの人物が何者か、もしくは会ったことがあるか、覚えていますか?」
「……………」
目の前の人物は、声こそは聞こえないものの、僕に向かって何かを叫んでいる様に見えた……肝心の声が聞こえないから、僕からすれば叫んでいる仕草だけだった。
「……いえ…覚えて、ありません」
「…そうですか……分かりました、ありがとうございます、カナタ……くくっ、くくく…。」
お姉様が高らかな声をあげると、僕の翼を少し撫でて、言葉を掛けてくれた。
「カナタ、お姉様からの
「………………」
「カナタッッ!!!」
「……はい、お姉様。」
不吉なほどに光る祭壇をゆっくりと降りて、小狐と呼ばれる人物の元まで歩いた、彼女は何か僕に言っていた、僕にそんな事は関係なかった。
───お姉様の命令は、絶対だから。
「いやっ…ぁぁ……いゃぁぁぁぁ!!!!」
「………………」
「お願い!!離して、離してぇぇぇぇ!!!ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい!!私が悪かったからぁ!!」
胸ぐらを掴まれて泣き叫ぶ人物、煩わしく思い、その頭に銃口を向けて、何度もトリガーを引いた。
やがて顔に血がついて、何も動かなくなった……これが、これこそが、お姉様の望み。
『よくやりました、カナタ………ふむ、
「…………」
『衰弱しきってくれていたのが、一番に幸運な事だと言えるでしょう……えぇ、そうです。』
『カナタ、お姉様からの命令を下します。アリウススクワッドとシャーレの先生を殺害しなさい、私と繋いでいる貴方なら、あの者達の位置情報などお手のものでしょう?』
「………はい、お姉様。」
『必ず遂行しなさい、絶対にお姉様を失望させることのない様に。』
「……はい」
頭の中からお姉様の声が消えて、血まみれな床をオモを立てて歩く……アリウススクワッドと、シャーレの先生の殺害……それだけ、それだけ。
片手に持った銃を引いて窓を壊すと、横にある廃墟のビルに飛び移り、移動を開始した。
あ、近々カナタのR-◯8出しますね