ウチの姉ちゃんと幼馴染、何とは言わんがデカい 作:himahy
メチャクチャこれ描くの難しかった、駄文ですまない
「どうして貴方はこんな点数しか取れないの?」
「…………」
目の前に突き出されたのは。母様によってグシャグシャにされたテストの解答用紙、点数欄には赤で『99点』と書かれていた。だけど母様にとって所詮99と言う数字はゴミ、母様が望むのはいつも完璧だったから。
ポイっと、母様はグシャグシャにした解答用紙を僕の前に捨てた、まるで聖園家にいる僕と同様に『価値の無いもの』として扱うように。
「ミカと同じ小学校に通わせていると言うのに、どうして貴方はここまで失敗作なの……ミカは全て100点を取ってくれると言うのに、本当にどうして……」
「ごめん……なさい。」
地面に必死に頭を擦り付け、何度も殴られて血が出ている唇を精一杯に動かした。
「やはり、貴方はこの聖園家に相応しくないわ。頭も良くなければ顔も不細工、加えて何の才能も無いだなんて…情けない。」
「……!」
淡々と。母様から放たれていくのは、無慈悲にも赦しの言葉ではなく、怒りや呆れの感情が混じった言葉だった……その様な言葉を耳が拾う度に、僕の胸の中では何かがひび割れていくような音が聞こえてくる。
そして、母様が不意に椅子から立ち上がると。今度は『冷蔵』と書かれた巨大な倉庫を開けて、僕の服の首元を強く引っ張った。
途端に首元を引っ張られたからか、喉に当たり「ぉぇっ……」と、男とは思えない程の情けない声を上げてしまった。相変わらず母様は蔑んだ眼でこちらを見てくる。
「懲罰です、貴方は今日一日中此処にいなさい。食事を摂ることも禁止します。」
「……ぁ…ぁ…ぁぁ…」
「空腹程度我慢しなさい、今朝もパンを一枚もらったでしょう?貴方にはそれで充分なのです。」
パンを一枚貰ったと言われても、歯が折れそうな程の頑丈性を持ち、なおかつ食事時間を3分と決められてしまい。一つも口に入れることができなかった。
「…ゃ…だ……やぁ…だぁ……」
「………やだ?」
まるで潰れたカエルの様に凍えるほど冷たい地面に倒れるが、去ろうとする母様の足にしがみ付き、胸の奥から溢れ出る感情を口に出した。
母様の足にしがみ付いた手からは、何一つとして力が出なかった。原因はこの体に水や食事を2日間ほどまともに取らせていないから。
───子供ながら、このまま此処に居れば死んでしまうと言う『本能』が働いたのだ。
だけど、無慈悲にも僕は倉庫に入れられた。
『2日後、桐藤家が聖園家と交流する』
倉庫の外が騒がしくて耳をすませてみれば、そんな言葉が家中の話題になっていた。「桐藤家とは何か?」一度は聞いたことのある、聖園家と同じと言って良い程の規模を持つ組織だそうだ。
うっすらと開いている扉から目を通せば、食卓に並んだ大人達は「ついにあの桐藤家との交流……」などと、相当桐藤家との交流に意気込んでいる様だった。
「……桐藤家」
あの大人達の意気込み様から見るに、名前だけしか知らないが。相当な権力を持つ人々なのだろう……そんな事を聞いたとして、僕には何ら変わりない。
『どうせ蔑まれるんだ。誰も助けてなくてくれないんだ、誰も僕なんかを見ていないんだ。』
頭の中には、ただひたすらにそんな言葉が渦巻いていた。
───でも、僕にはまだ一つの希望がある……。
「カナタ、生きてる?」
「…………ん……」
「……ちっ……ミカが呼んでるの、とっとと行きなさい。」
ふと母様の声が聞こえてきたと思えば、どうやら僕の姉が僕の事を呼んでいるらしい……そういえば、姉とは様々な約束をしたばかりだった、今がその時という事。
おぼつかない足取りで母様と共に向かったのは。僕の場所なんかよりも内装や匂いがきちんとしている部屋。そして大人が2人寝れそうなベッドに1人の少女が横たわっていて、部屋を開ける音でこちらに気付いたようだ。
「カナタ?……来てくれたんだ!」
「……ゃっ…」
姉は勢いよく僕に抱き付いてくると、「こっちこっち」と、まるで待ち侘びていた様に僕の手を引いて。2人でベッドに転がった。
姉はいつも僕に優しくしてくれたし。きっと本当の僕の事だって全部分かってくれる。だから全部話して受け入れてもらうんだ、本当の僕を認めてもらうんだ。
『聖園カナタ』と言う人間は出来損ないだ、だけど『たった1人の弟』として、彼女ならばきっと、僕と言う存在を認めてくれる───。
「えへへ、カナタと読む為に買ってきたんだよ?この絵本」
「ぇっ……?」
「『またいっぱいお話しよう?』って言ったよね?……でも、お母様やお父様からそれはやめろって言われたから、絵本を一緒に読んだら良いかなって思ったの。」
ズラズラと、目の前には『へいわ』と言う物や『げんきいっぱいのこども』と書かれた絵本が並べられて、姉はどれが良いかなと選んでいた。
「……ねぇ……何で、これを…選んだの?」
「え?…何でって……」
そう言うと、彼女の純粋な目と視線を合わせた、姉は眩しいほど濁ることの無い光が灯っている眼を持っていた。
「カナタが病気で大変だから、『早く元気になってほしい』って言う気持ちを込めてこれを選んだんだよ!」
「………ぇっ」
「お母様から聞いたんだよ?カナタは毎日病気で危ないから、私とは会えない場所にいるって。」
「………」
姉は淡々と話を続けていたけど、僕にはまるで理解することができなかった。僕は病気になんて感染してないし、何か危ない症状なども無い。
なのにどうして、母様は僕が病気で───
「お母様だって言ってたよ?カナタは才能もあっていっぱい努力してるって!」
「……ぇっ……そん、な。」
「それに、この絵本の内容もお母様と選んだんだよ?」
「……っ」
ペラペラと、困惑する僕を他所に姉は絵本を開き始めた。物語の中に出てくる登場人物は『役立たずなんて言われてたけど、僕は役立たずなんかではありません!精一杯努力をしています!』と、まるで僕を否定する様にそんな言葉を並べている。
徐々に呼吸が荒くなっていくと。姉はそっと僕の背中に手を置いた。
「この子はね、カナタみたいに病気で『役立たず』なんて言われてたけど、それを押し切ってなりたい自分になった物語なの!」
「……………」
何だよ、それ。
じゃあ、病気でも無いのに『役立たず』って『出来損ない』って言われて、無様に地に這いつくばってる僕は何なんだよ、何の反抗もできずになりたい自分になんかなれてない僕は何なんだよ。
「お母様やみんなはカナタに『役立たず』なんて言わないと思うけど、病気で大変って言う点は同じだったから、カナタもこれを読んでこの子みたいに元気を出してほしいんだ!」
「……ゃ…ぁ」
「カナタは才能があるからさ、病気でその可能性が潰されるのって何だか嫌な気がするの……。」
辞めて
「お母様もそう思うよね?」
「えぇ、私もそう思うわ。カナタは才能もあって偉い子だから、早く元気になって」
何でこんな時だけそんな顔するの、なんでお姉ちゃんがいる時だけそんな楽しそうな顔するの。
「ちが……ちが、う……ぼくは…ぼくは、できそこないで……」
「出来損ない?……何言ってるの?カナタは才能もあって頭だって良いんでしょ?」
「そんな、そんな……僕は、僕は……」
───違う、違う違う違う違う違う……僕は貴方みたいに才能も無い。頭も悪い、なのに、なのになのになのになのに……何で、何でそっちの僕を見るの。
僕はただ認めてほしいだけだ、『出来損ないでも良いって』そんな子供が欲しいんだ!……だから、だから!!
「ねぇ、ミカ……カナタは才能もあって頭も良いけど、逆に言えば、どっちもない人間ってミカはどう思う?」
「……えっ?」
「……!?」
「……うーん。」
不意に母様が質問してきた内容に、姉は考え込むかの様に手に顎を乗せた……数秒の時を得て、ようやく答えを導き出した様だ。
「聖園家って才能のある人しか生まれないし……いなくて良いんじゃ無いかな!」
「うふふ……そう?…そうでしょ?……偉いわよミカ!お母さんの言った事をちゃんと言えて!」
「うん!……お母様が毎日『才能の無い人間はいらない』って言うから!私も覚えたよ!」
「うんうん、そうよね……偉いわミカ。ふふっ、ふふふふふふ………」
「………ぁ…ぁ…ぁぁ」
僕の考えていた理想は甘かった。本当に甘かったんだ。
才能のない人間は要らない
才能の無い人間はいらない
さいのうのないにんげんは、さいのうのないにんげんは
───いらない
いらない、いらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらないいらない………
パキッ…………!!!!!
お姉ちゃんと母様が笑い合う横で、誰にも聞こえることの無い。胸の中の何かが壊れる音が頭に響いた。
曇らせを描くのって難しいんだなぁと、しみじみ感じました……ですが僕目線カナタはどん底に落ちたので、次はついに待望の彼女が登場します。恐らく次も過去編です、知らんけど。