ウチの姉ちゃんと幼馴染、何とは言わんがデカい   作:himahy

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本編は少し更新しないかも知れない、もしかしたら更新するかも知れない。

『どちらもありうる、そんだけだ。』
と思ったけど、本編かな。


あ、姉2人が暴走するので注意してください。


カナタ in ティーパーティ ①

 

 

「カナタさん、いかがなさいますか?」 

 

「え、ええっと……俺はぁ……」

 

ティーパーティのテラス、紅茶や駄菓子、何かの小説を持つ3人の少女(テパテトリオ)からの視線が痛々しく、どこに視線を向けるか困っていた。

 

正直に言えば、俺は友人の仕事の『手伝い』をする為にティーパーティに来たのに、いつしか本気でティーパーティに加入する流れになっている。

 

 

順を追って説明しよう、まず俺は一年生なのにも関わらずティーパーティに加入している友人から『仕事を手伝って欲しい。』と言われた。

 

最初は断ろうとしたのだが、何やら仕事を手伝ってくれればミカ姉ちゃんとナギサさんの情報を教えてくれるらしく、当時の俺はグットスマイルで承認してしまったのだ。

 

いざティーパーティの業務を手伝うとなった時、何故か最初にテラスに行くように指示された。俺みたいな無名な人物が何故テラスに?とは思ったのだが、とりあえずはと向かった。

 

テラスで会うのは恐らくティーパーティの3人、俺はすぐさま違和感を感じた。道中で会った先輩方から何故か『ティーパーティへの加入を感謝する』という言葉を受けた。

 

最初は何を言っているのか分からなかったので、軽く受け流した……しかし、後々先輩方がこう言った理由が判明した。

 

俺は手伝いという名目ではなく、正式にティーパーティに加入するという情報で入れられてしまったらしい、何度も説明はした、友人に頼まれたからだと。

 

先輩方に聞いてみても、もう決まってしまったものは覆えすことができなくなったらしく、仕事に誘った友人もこれは想定外の出来事らしく、今更の対処が難しいとのことだった。無論キレそうになった。

 

そうして、俺は一時的に『テパテの補佐』として働くことになった、補佐ならば辞める時も「付いていけない」などと理由をつければ簡単に辞められるからどう。

 

一応、ティーパーティの代表3人が似合わないと思えば外すことができるらしいのだが……何故だろうか、内心では嫌な予感しかしなかった。

 

 

 

「カナタ、もちろんお姉ちゃんの所だよね?」

 

「カナタさん、無論聞く必要もないでしょう、私の元で補佐をしていただけるのでしょう?」

 

 

 

 

 

テラスに入る前からすごく嫌な予感はしていた、やけに部員の方々が俺の顔を見てざわざわと喚くもんだから。

 

雰囲気だって大違いだ、特に姉2人(ミカナギ)の周りに漂っているオーラが半端なかった、終い付けにセイアさんの深いため息。

 

ミカ姉ちゃんの「分かってるよね?」という視線、ナギサさんの「お分かりですよね?」という表情、そしてセイアさんの呆れ切った様な顔。

 

 

 

『トリプル役満』

 

 

「いや、ぃゃ……そ、そもそも、僕はティーパーティに加入するとは」

 

「え?でも、みんな言ってたよ?「聖園カナタがティーパーティに加入する」ってさ。」

 

「それはそうなんだけど!……色々と誤解があって、その、その。」

 

ダメだ、これ以上は何を言おうと2人を納得させることなんてできない、かといってどちらかの補佐になったらそれはそれで終わり……!そうだ!

 

 

 

 

「セイアさんの補佐になります!」

 

その言葉が、午後の柔らかな陽光が差し込むティーパーティのテラスに響き渡ると、世界から音が消えた。

 

穏やかな鳥のさえずりも、外で精一杯練習に励む正義実現委員会の怒号も、風に揺れる森の木さえも、すべてが()()した。

 

そのうち二人——実の姉である聖園ミカと、幼馴染にして第二の姉とも言える桐藤ナギサの瞳から、スウッと光が消えていくのを俺は見てしまった。

 

「……へぇ」

 

女性とは思えないほどの低い声、それはミカ姉ちゃんのものだった、甘いお菓子のような声を出し。背後の羽をパタパタと嬉しそうに動かしていた面影はどこにもない。

 

今そこにいるのは、キヴォトスでも指折りの武力を持つ。もはやいつものお転婆な姉とは呼べない、一人の()()()だった。

 

「カナタ、今、なんて言ったの?私の聞き間違いかな?お姉ちゃん、最近ちょっと疲れちゃってるのかも……ねぇ、もう一度だけ、優しく正しく、言い直してくれるかな?」

 

ミカ姉ちゃんが一歩踏み出す。そのたびに、足元のタイルが悲鳴を上げている気がする。いや、気のせいじゃない。彼女の周囲の空間が物理的な圧力で歪んでいるのだ。

 

「いいえ、ミカさん。聞き間違いではありませんよ。彼ははっきりと聞こえました。」

 

「カナタさんが選んだのは、この学園で最も信頼すべき『私』ではなく、あまり接点のないセイアさんなのです。」

 

次に口を開いたのはナギサさんだった。彼女は相変わらず優雅な仕草でティーカップを戻したが、その際に生じた『カチャリ』という小さな音は、処刑台のギロチンが落ちる合図のように鋭く響いた。

 

「カナタさん……貴方は昔から、少しだけ詰めが甘いところがありました。ですが、これほどまでに判断を誤るとは。」

私の元で、一から……いえ、0から『礼節』と『忠誠』を教え込む必要があるようですね。」

 

 

「それこそ、呼吸の仕方を忘れるほどに、みっちりと」

 

ナギサさんの背後に控える護衛たちが、一斉に姿勢を正した。彼女の目は笑っているが、その奥にあるのは、獲物を絶対に逃がさない『捕食者』の冷徹な光だ。

 

俺は冷や汗が背中を伝い、制服のシャツが肌に張り付くのを感じた。心臓の鼓動がうるさい。ドクンドクンと、耳元で鐘を鳴らされているようだ。

 

やばい……これ、選択肢を間違えたとかいうレベルじゃない。死ぬ、『物理的』に消されるか、『社会的』に監禁されるかの二択だ……!

 

助けを求めるように、俺は唯一の希望——指名した当本人であるセイアさんに視線を向けた。

 

「……ふむ」

 

セイアさんは、手に持っていた本をゆっくりと閉じた。彼女だけは、どこか遠くを見るような瞳で俺を見つめている。

 

「カナタ、君が私を選んだこと、その勇気と……無謀さには敬意を表そう。」

 

「セ、セイアさん……助けてください。俺、本当に死んじゃいます!」

 

「助ける、か。すまないが私にできるのは、君の終末を美しく飾ることくらいだ。なにせ、私の親友二人は今、嫉妬という名の猛火に身を焼かれている。」

 

「これに水を差すのは、火山の噴火口に素手で触れるようなものだ」

 

セイアさんはやれやれといいたげに肩をすくめ、紅茶を一口啜った。その優雅な動作が、今の俺には『最後の晩餐』を楽しんでいるようにしか見えない。

 

「ちょっと、セイアちゃん!さっきから黙って聞いてれば、カナタを独り占めしようだなんて許さないよ!?カナタは私の弟なの!()()()()()……じゃなかった、私の最愛の家族なんだから!」

 

「あら、ミカさん。とうもう独占欲を隠さなくなりましたね。ですが、親族だからといって優先権があるわけではありません。」

 

「学園の運営を考えれば、カナタさんのような『扱いやすい』人材は、私の直属に置くのが最も効率的です。彼は私のすべてを知る幼馴染なのですから」

 

「ナギちゃんまで!?なにそれ、ずるい!幼馴染とか関係ないもん!私の方がカナタと一緒に寝た回数多いもん!」

 

『今それ関係ねえだろ』とは言いたかったものの、今何か口を出せば俺は消し炭コース間違い無しだ……ここは、もうセイアさんに全てを託すしかない。

 

「セイアさん、僕はサンクトゥムに加入します。」

 

「「え?」」

 

「おや、本当にいいのかい?……もちろん歓迎はするが、君のその判断が……」

 

「まぁ、はい。セイアさんが一番落ち着くというか…姉二人みたいに暴走しないだろうし」

 

そっと背後に目を向ければ、言い合っていた2人の顔がこちらを見て止まっていた、あの。普通にガチ目な顔して結構怖いんですけど。

 

「これからよろしくお願いします、セイア様。」

 

「そんな畏まらなくても今まで通りで構わないよ……しかし、あくまでも手伝いという名目だと言っていたね?ならば、私の世話でも頼んでみようか。」

 

「「……………」」

 

やばい、何か『ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!』って聞こえてきそうな気がする、セイアさんマジで頼むぞ。

 

セイアさんは察した様に目配りをすると、またしてもため息を吐いた。先程はあまり協力的ではなかったものの、俺の苦労を労ってでもくれたのだろうか。

 

「それは光栄ですけど、セイア様の身が危なくなると思いますよ?」

 

「……なに、君が私のすぐそばに居て世話係をしたらいい話さ。何はともあれ、よろしく頼むよ、カナタ……これからは、四六時中私の元で働いてもらうことにしようかな。」

 

「はい、承知しました。未熟な身ですが、精一杯励みますのでよろしくお願いします」

 

このまま良い雰囲気で進めば……と思った時、どこからかテーブルをミシミシと握る音が響いた。

 

「ね、ねえカナタ?やっぱりさ、パテル派でお姉ちゃんのお世話しない?いや、しよ?」

 

「カナタさんは優秀ですので、是非とも補佐を……そう、決してセイアさんに独占されるのが許せないというわけではないのです。」

 

「……全く、君たちのそんな面が出る事を危惧して、カナタは私の元を選んだというのに。」

 

ゆっくりと立ち上がったセイアさんは、手に持っていたシマエナガを庭へと飛び立たせ、こちらへと足を進める。

 

「カナタ、少々時間をもらえるかい?手伝いという名目でも、様々な資料を渡しておきたい」

 

「?……はい、それはもちろんですが」

 

今にも荒ぶりそうな姉2人の方を見て、セイアさんは何かと不敵な笑みを浮かべた。俺には分かる、あの表情や眼は何かを企んでいる顔だ。

 

 

「それと……セイア様ではなく、「姉様」とも呼んでくれるかい?」

 

「………えっ」

 

 

「は?????」

 

 

何を言うのかと思えば、まさかのセイアさんが『姉様』と、俺に呼んで欲しいそうだ……信じられなかった、俺にはあまり関心なさそうなあのセイアさんが。

 

それは姉2人の方も同じで、不服そうな表情を浮かべでこちらに口を挟んできた。

 

「セイアちゃん?それはいくら何でもライン越えでしょ?職権濫用じゃんね…?」

 

「か、カナタさん?別に無理をしなくても……」

 

「分かりました、姉様。よろしくお願いします」

 

しかし、こうなったら身を持って分かってもらうしかない。姉2人がどれほどの()()()()なのか、どれほど俺が困っているのかと。

 

「飲み込みが早くて助かるよ……では、君は姉様の指示に従ってくれ、それと私はあまり激しい運動をする事ができないんだ。悪いがエスコートを頼めるかい?」

 

「仰せのままに。お手を拝借します、失礼。」

 

授業でひっそりと学んだ、完璧な執事ムーブをかました。初の試みでちょっとばかし失敗してしまったのだが、セイアさんは何とか見逃してくれた。

 

「…私、あれやられたら意識飛ぶかも」

 

「私もです…」

 

手をゆっくりと引いて、病人を扱うかの様に支えて。自分の思う優雅な足取りで扉へと向かった。

 

「では早速向かおうか、ミカ、ナギサ。先に失礼するよ。」

 

「はい、もちろんです……それでは失礼致します、()()()()()()()。」

 

「「………え?」」

 

 


 

 

「ありがとうございます、セイア様。セイア様が引き取ってくれなければ、今頃僕は……」

 

「謝罪を述べる必要などないよ、私ももうそろそろ。ミカやナギサの口から出る君の話題にうんざりしていた頃だからね……」

 

「あはは……すいません。」

 

セイアさんはやはり、俺を助ける為に選んでくれたそうだ。彼女自身俺を引き取るのに嫌々なところもあったのだろうが、本当に頭を上げることができない。

 

「しかし、一体何があった?彼女ら2人の危険性を身に沁みて感じている君が、急遽ティーパーティに加入するなど。」

 

「あぁ、それですか……信じてもらえないかも知れないんですけど、実は………」

 

俺はセイアさんに、今までのことを全て話した。本当はティーパーティに加入するつもりなどなかったこと、本当に手違いで補佐になってしまったことなど。

 

話している最中、セイアさんは「……あぁ」と、少しだけ察してくれた表情を見せて、少しだけ労いの言葉を掛けてくれた。

 

 

「なるほど、そんなことが……君も苦労しているのだね。」

 

「ありがとうございます、ですがこうなってしまった以上、僕は僕の責務を全うしようかと考えています。」

 

「ふむ、良い心がけだね。ならば私からも、君がティーパーティを脱出できる手立てを探しておこう」

 

「本当ですか?……何から何までありがとうございます、セイアさん。」

 

「何、気にすることはないよ。むしろ彼女ら2人を助けた君に比べれば、ちっぽけなものだと思ってくれ。」

 

こう見えると、セイアさんはわんぱくで好奇心旺盛な一面もあるが、やる時はやると言う人間だと言う事が分かる……尚更、頼りにすることができる。

 

実際に書類を受け取ると、中には高校一年生ではあまり理解できない様なものばかり。セイアさんが手伝ってくれるらしいけども、少しだけ心配だ。

 

「そういえば……セイアさん、あの『お姉様』とやらは。」

 

「ん……あぁ、あの事かい?……アレは私の冗談だと思ってくれて良いよ、だが、もしも本当に私の事をお姉様と呼びたいのなら、呼んでもらっても構わない。」

 

「じゃあ、セイアお姉様と呼ばせていただきますね、そろそろあの2人にはブラコンと言う事をわかって欲しいので。」

 

「ふふっ、そうだね。」

 

少しだけ優しい笑みを浮かべるセイアさんを見て、何だか胸が暖かくなった感じがした、彼女は神秘的な人物だが、心のどこかで寄り添うことのできる優しさもあるんだろう。

 

 

こうして、俺のティーパーティ生活が始まってしまった。

 

 

 

 

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