砂漠のアウトサイダー   作:上代わちき

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 新しくACを複数機組んだので、エピソードを捏造しました。
 ほぼオリキャラしか出ないのでアルノさんやブレインの時ほど派手にやれませんが、ひっそりとやっていきます。

 タグの通り、原作AC6および「一般ルビコニアンデス傭兵の話」「やぁ、独立傭兵のアルノさんだよ」「ブレイン傭兵事務所へようこそ」のネタバレを含みます。
 ご注意ください。


チャプター1「ガレージ街の野良犬」

 

 アイビスの火から、約半世紀。

 わずかに持ち出されたコーラルの争奪戦は、未だに続いている。

 

 なんせコーラルの使い道は色々ある。

 エネルギー資源、情報導体、食料、向精神薬、強化手術……という具合さね。

 これを手にすれば、金になる。

 

 

 

 

 この砂漠の惑星「ソリアーノ」においても、コーラルは争奪の対象だ。

 

 現在この惑星のコーラルは、三つのプラントに分かれて存在している。

 その内一つは、我らがベイラム陣営が保有。

 残る二つが、敵のアーキバス陣営が占領している。

 

 

 

 この三つのプラントを巡る戦争が、俺達独立傭兵の稼ぎ時ってわけだった。

 

 

 

「ヨーダン、そこにいるんだろうヨーダン!」

 

 

 この日の目覚めは最悪だった。

 娼館でやることやったのはいいが、その時調子に乗って酒をかっ食らいすぎた。

 

 おかげで二日酔いだ。

 さっきからずっと鐘の音が頭ん中でガンガン鳴り響いてやがる。

 

 

 そんな時にガリラヤ婆さんのがなり声まで参加してジャムセッションしやがるんだ。

 嫌でも不機嫌になる。

 

 

 

「……うるっせぇな、婆さん。今何時だと思っているんだ」

「もうお昼時だよ、馬鹿ヨーダン。……また酒を飲んだね、そんな金があるならさっさと家賃払いな」

 

 ガリラヤ婆さんは結構な歳の婆さんだ。

 本当ならここまで登るのはきついだろう。

 ACガレージの上にあるこの部屋まで、結構な階段があるからな。

 

 砂漠特有の熱射もあるってのにまったく疲れを見せない辺り、無駄に元気な奴だ。

 その元気を他の所に活かしてほしいと、何度思ったことか。

 

 

 

「……」

「おやだんまりかい? ならガレージはいらないようだね。普通は一機分で十分だってのに、わざわざ二機分だからねぇアンタは。さっさと荷物を纏めな」

「そのためだけにここまで来たってのか。なら話すことはない」

「アンタ自分の立場弁えてるのかい? ……まぁいい、どうせそんなことだろうと思ったよ」

 

 だがまぁ、気に入らないところはあるが悪い奴じゃあない。

 表向きベイラム筋の老婆だそうだが、実際どこで何をやってきたのかはしらん。

 が、そこそこ仕事ができる奴だ。

 

 特に、ACの仕事にも理解があるってのがいい。

 そういう星の生まれなのかもな。

 

 

 

「仕事の時間だよ。さっさと死ぬ支度をしな」

 

 

 

 

 独立傭兵ヨーダン。

 こいつは俺の名義だが、この辺りじゃまぁそれなりに売れている。

 

 自慢じゃないが、ベイラム陣営側としてはトップクラスにはできると自負している。

 この間もアーキバス側の施設を一方的に潰してやったしな。

 いい金になった。

 

 

 

 そんな俺様のために、ベイラムはまたいい金になる仕事を持ってきてくれた。

 

 アーキバスが保有する二つのプラント。

 そのうちの一つを収容する施設を、襲撃する。

 

 

 

 この間の仕事のおかげで、ベイラムは大きく攻勢に出る準備が整ったってわけだ。

 成功すればこの辺りの情勢は一気に変わる。

 だから報酬金もでかいが、死ぬリスクもヤバい。

 

 俺向きの仕事だな。

 

 

 

 

 

 俺は現在ACを二機所有している。

 

 仕事の前は、決まって四脚の方のACを見ることにしている。

 別に乗ったりはしないけどな。

 ただ「いってきます」というだけさね。

 

 

 その代わり、二脚の方のACは戦場に連れていく。

 そっちが俺の商売道具だ。

 

 

 

 

 中量二脚AC「アウトサイダー」。

 古巣であるレッドガン時代からの付き合いだ。

 

 それだけに武装もフレームもベイラム製ばかり。

 特にフレームはC3シリーズっていう、ちょっと一般には出回っていないパーツで統一している。

 普通の奴と比べて色々取り回しがいいのがウリだ。

 

 

 こいつがあれば、俺はどこへでも死にに行ける。

 

 

 

 

「聞こえるね、ヨーダン」

「聞こえてますよ、ガリラヤ婆さん」

「今回の目標基地には、MT部隊が多数配置されているよ。どうやらBAWS製ばかりのようだねぇ」

「BAWS……サイレンス・イヴのところか」

「おうさ。あの武器商人気取りのドーザー、アンチアーキバスのくせしてうまいこと名前を隠して取引してやがるよ。おかげで酷いとばっちりだ」

「とばっちりなのは俺の方だ。アンタはオペレートするだけだろが」

 

 

 アウトサイダーには、軽リニアライフル・パイルバンカー・六連ミサイル・ガトリングキャノンを搭載している。

 近距離射撃を前提に立ち回って、いざという時はパイルバンカーで仕留める構成さね。

 

 こいつで何人もぶち転がしてきた。

 今回も同じようにやるだけさね。

 

 

 

「そろそろ接敵するよ。死ぬ気で暴れてきな」

 

 

 すでにベイラム側の友軍MT部隊が暴れ散らかしている。

 何人か似たような独立傭兵もいるな。

 

 おかげで爆発塗れで砂漠の砂が舞い上がってる。

 まだまともに戦ってないのに俺のACまで砂塗れだ。

 

 

 

 だがそれがいい。

 早速他の奴じゃ手に余りそうな四脚MTを見つけた。

 でかいグレネードを持ってやがって、ついさっき友軍ACを一機吹っ飛ばした。

 

 

 

「よう、デカブツ。次は俺を殺してみるかぁ?」

 

 

 他所へ目が向いているところにパイルバンカーを繰り出した。

 パイロットは粗製のようで、しっかりクリーンヒットした。

 

 いい感じに宙を舞ったが、まだ墜ちそうにない。

 

 

 

「どうしたどうしたぁ! そんな体たらくじゃ俺は死なねぇぞ!」

 

 左肩のガトリングを回して、右肩のミサイルを発射して、右腕のリニアライフルの引き金を引く。

 ACコンセプト通りの近距離射撃だ。

 

 使い慣れた武装で、目の前のデカブツをハチの巣にしてやる。

 この焦げ付く匂いがまったくもってたまらない。

 気が付いたら、爆発四散していた。

 

 

 

「四脚MTの撃破を確認。いい追加報酬になるよ。期待しな」

「そいつはいいが、他の奴がもうすでに死んでるな。そういう"匂い"だ」

「……また"それ"か。マイナーの奴といい、ACの匂いがわかる奴ってのはどいつもこいつもいかれてるねぇ」

 

 俺には嗅覚がある。

 戦場を生きるためのものじゃなく、ACの声を聞き耳するためのものだ。

 間違ってもあのワンダラーと同じもんじゃない。

 

 が、結果的に戦場を把握することはできる。

 

 

 

 どうやらまだ終わりじゃなさそうだ。

 

 

 

 

「っ! 街区の方から新手だよ。……こいつは、AC?」

「ヴェスパーじゃない。こいつは無人か、噂のファクトリー産だ。まともな人の匂いじゃない」

「なめられたもんだね。さっさと潰しなヨーダン」

 

 新手のACは、シュナイダー製四脚型だ。

 所謂試作品パーツらしく、とにかく機動性に特化しているらしい。

 

 武装はパルスハンドミサイルとプラズマミサイルのみ。

 とにかく空中を動き回ってミサイルをばらまくことにのみ特化しているって具合だな。

 

 

 

 まぁ粗製相手なら、それでどうにかなるかもしれんな。

 MTぐらいだと、手の打ちようがなさそうだし。

 

 だが、それで俺を殺せるかどうかは別だ。

 

 

 

 シュナイダーACは空中を飛び続けることを重視しているようだが、ACである以上どっかで息切れする。

 そこへリニアライフルのチャージショットをぶち当てて、そのままミサイルとガトリングで体勢を崩す。

 

 

 後はパイルバンカーで撃ち抜けば、中身はボロボロだ。

 防御性能はクソだから、今回はこれで終わりだな。

 

 さっさと帰ってビリヤニを食いてぇ。

 自分で作るとだいたいうまくいかないが、それでもそういう気分だ。

 

 

 

「結局、今回も生き残ったか……ん?」

 

 ただし、終わったのはACの方だけだ。

 中身は、アスファルトの上でまだ生きている。

 

 

 

 

「……脱出レバーを引いたようだね。パイロットは生きている」

「じゃ消しておくかぁ? 生かしても幸せにならないだろ」

「……いや、そうとも限らないよ。そいつの目の色を分析してくれ」

「なんだってんなことを…………あ? コーラル色ぉ?」

 

 

 そいつは、ティーンの少女だった。

 見た感じ十五ぐらいに見えるが、十中八九ファクトリー産であることを思うと十八だったり二十だったりしてもおかしくない。

 

 灰のように白い髪と、コーラルのように赤く輝く瞳が特徴的だった。

 

 

 

「やっぱりか。少し嫌な予感がする、連れ帰ってくれ」

「ちょ、おい……!」

 

 

 俺は、その女を連れ帰る羽目になった。

 女はガリラヤ婆さんと面談した後、しばらくの間俺のところで面倒を見ることになる。

 

 故あって名付けた名は「ターナー」だ。

 

 

 




 例によって以下にパイロットとACのデータをまとめてあります。
 今回は本作オリ主であるヨーダンとそのAC「アウトサイダー」です。
 よろしければ、合わせてお楽しみください。



 ヨーダン

 砂漠の惑星「ソリアーノ」で活動する独立傭兵。

 もともとレッドガンに所属していたヨーダンは、とある作戦の際G2ナイルとトラブルを起こす。
 その結果、自身のものを含めたAC二機を持ち出して部隊を脱走した。

 とりわけ「嗅覚」に優れており、特にACの声を聞くことに特化しているという。



 AC // アウトサイダー

 独立傭兵ヨーダンが駆る中量二脚AC。アウトサイダーとは「部外者」「門外漢」「一匹狼」などを意味する。

 軽リニアライフル・パイルバンカー・六連ミサイル・肩ガトリングキャノンを搭載する近距離機。
 フレームはメランダーC3で統一。
 内装は「BST-G2/P04」「FC-008 TALBOT」「DF-GN-06 MING-TANG」。実はフレームと内装はイグアス機と一緒。
 拡張機能はアサルトアーマー。

 基本的にリニアライフル・ミサイル・ガトリングで近距離射撃を仕掛けて、体勢を崩したらパイルで仕留める王道スタイル。
 やばくなったらアサルトアーマーで巻き返す攻撃型。
 ガトリングを搭載する都合上射撃精度には若干難があるが、そこは展開する弾数の多さでカバーするベイラムらしい機体。
 塗装されたエムブレムは「アラビアオオカミ」。



 メタ解説
 本作主人公であるヨーダンのポジションは、621&イグアス。
 ある意味"両者のいいとこどりをしたキャラ"を目指したのが、ヨーダンとなる。
 でも口調はACVの「主任」や"やぁ、独立傭兵のアルノさんだよ"の「ハンドラー・アーデン」に近しいのはご愛敬。多分見た目も赤毛のおっさんイメージ。

 機体もG13機体として有名なメランダーC3を採用。
 そのうえで、武装は621らしい雰囲気である攻撃性を持つものを選定。序盤で手に入る軽リニアや、看板武器でもあるパイル辺りがわかりやすいかも。
 一方で内装は前述通りイグアスと同じものを採用。

 一番個性的なのは肩ガトリングで、レッドガンに由来するこのパーツを採用するならレッドガンに縁のあるキャラがいいと愚考。
 それを踏まえての「元レッドガン」でもある。


 強さの格としては、フロイトやラスティ辺りと同格のイメージ。つまりだいたいマイナーさん・アルノさん・ブレインとほぼ同格。
 火ルートラスボスにもワンチャン勝てるかもだが、多分三週目ラスボスにはギリ負けちゃうような塩梅。
 強者ではあっても地に足がついているイメージ。
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