せっかくのTS転生だし可愛い幼馴染を化け物にしてみた(責任取るつもりは一切ございません)   作:すっごい性癖

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カガリちゃんとユリママの心温まる家族のお話 たぶん

注)一部カガリちゃんとカレンちゃんの名前を混同していたので修正しました


番外編3 カガリちゃんの頭の中はお花畑

 

それは雪の降る酷く寒い冬の日のことです。

 

「っつ、うぅっ!」

 

出産のために入院していたママは普段のつわりとは異なる、猛烈な違和感を腹部下から感じナースコールをすぐさま押しました。

 

『産まれる』

 

そう感じとったママは朦朧とする意識の中、救急の呼び出しを行いました。

 

急いで分娩室に運ばれるママ。事前のエコーなどでは一切問題がなく、つつがなく出産は終了すると誰もが思っていました。

 

しかしその考えは分娩開始より一転したと言います。

 

逆子。

 

通常赤ん坊は頭を下向き、つまりは一番最初に頭から生まれる様な体勢で子宮内にとどまるようになります。これは赤ん坊の中で頭が一番大きいことから、頭さえ出てしまえば後は流れるように出産可能なことやへその緒の位置関係による死亡率の違いからくると言われていいるようです。

 

そのため妊娠途中にエコーなどで逆子が判明した場合、体操や外からの刺激で体勢を正常にしようと試みるらしく、それが不可能なほどに赤ん坊が大きくなってきた妊娠後期では帝王切開による出産を提案されるようになります。

 

ママはそれまでのエコーではずっと問題なく、自然分娩を行うつもりでいました。担当医師からもそれで問題はない、と言われていたようです。

 

しかしふたを開けてみれば原因は不明ですが、出産当日になって赤ん坊。つまりは僕は頭と足の向きが入れ替わり、逆子の状態となってしまっていた。

 

逆子の状態で出産は赤子にも母体にも、両方ともに強いダメージを与えると言います。

 

担当医師はママに緊急帝王切開による出産を提案します。もちろん、帝王切開による死亡リスクも。

 

現代では帝王切開の死亡率は昔に比べて大きく減少してはいますが、それでも腹部にメスを入れるんですからノーリスクなわけがありません。

 

ママは即決しました。

 

「お願いします!」

 

腹部にメスを入れる痛みや後遺症もきっと脳裏をよぎったでしょう。

 

でも、ママはそんなことに一切怯えませんでした。

 

愛している娘を産む。絶対に死なせない。

 

その一点の為に、きっと怖かったというのにママは緊急の帝王切開による出産を飲みました。

 

 

 

 

そうして僕はこの世界に生まれました。

 

 

 

 

 

 

「あう、あうぅ……」

 

「わ~、カガリちゃんすごいね~。上手に積み木できてるよ~」

 

「きゃっ、きゃっ!」

 

いつものようにリビングで遊ぶ私とママ。

 

この頃は赤ん坊だったのでママが何を言っているのか分かりませんでしたが、それでも褒めてくれていることだけはわかっていつも幸せでした。

 

愛してくれている。そのことだけは確信できていたのです。

 

「カガリちゃんってば天才なのかもね~、こんなにすっごいんだもん!」

 

「あうぁ~……、んぅ!」

 

とっても幸せな日々でした。

 

 

 

 

「……うぅ、ごめんね。ごめんね、ダメなママで。ごめんねぇ……」

 

「あぃ、ぅう……。っ、あぅ」

 

しかしそんな幸せな日々はある日急に失われました。

 

日に日にやつれて行ったママの変化にも赤ん坊の僕には気が付けるわけもなかったのです。そしてもしも気が付けたとしても、できたことは何もなかったでしょう。

 

ママは涙を流しながら嗚咽交じりに僕を抱きしめました。

 

ママは離婚しました。した、そうです。

 

そう、というのは僕はもう父親の顔を思い出せないので伝え聞きでしかないからでした。

 

僕の父親らしい男は愚かにも外で別の女を作っていたそうです。つまりは浮気です。浮気してママを捨て去り、僕たち親子を捨てて勝手に消えていきました。

 

ママという人類最高の女性を捨てて、凡百の女を選ぶような凡夫に一切の理解ができません。

 

愛するママをここまで悲しませた存在を僕は一生許すことができないでしょう。

 

 

その日からママは生活と貯蓄のために働き始めました。

 

 

 

 

ママが働き始めてから僕はよくママのママ、おばあちゃんに面倒を見てもらうことになりました。

 

日中仕事をしているママの代わりにおばあちゃんが僕のお世話をしてくれる、と。当時赤ん坊の僕を一人家に置いておくわけにはいきませんでしたから。

 

僕は幼心に悲しみました。大好きなママと会えなくなることもそうでしたが、それ以上におばあちゃんが怖かったのです。

 

おばあちゃんはママのことは愛していました。ママと喋るときの声は楽しそうで、その目も柔らかなものでしたから。

 

ですが僕には……。

 

「あぅ、……あっ、あっ」

 

「……なんです?」

 

それはとても冷たい目でした。

 

僕という存在に一切興味がなく、ママが頼んできたから面倒を見てやっている存在としかとらえていない。彼女の頭の中に僕という存在は焼き付いていなかった。

 

おばあちゃんの興味の対象はママだけでした。

 

「ユリちゃん、お紅茶飲む?今日はスコーンも用意したの!」

 

「えぇ、これからお仕事が……。まぁお茶を飲む時間くらいなら……」

 

「よかった!ちょっと待っててね?」

 

とても同じ人間とは思えません。

 

おばあちゃんがママを見るときと、僕を見るとき。まるで見た目が同じ存在が入れ替わっているようでした。

 

 

「ま、まぁ……」

 

僕が初めてママのことを自分の口で呼べたとき、ママはその場にはいませんでした。

 

お仕事で家に居ないママを想いに想い続けて僕は初めて言葉をしゃべったのです。

 

 

 

 

 

 

「カガリちゃん、小学校入学おめでと~!」

 

ぱぁん、とクラッカーの爆ぜる乾いた音が室内に響きます。

 

小学校入学式の夜、僕とママは二人で小さなパーティーを開いていました。

 

食卓の上にはピザと餃子、それとケーキが二つ。ピザは僕の好物で、ギョーザはママの好物。そしてケーキはお祝いの特別な食べ物です。

 

僕たちは二人で一つの家族。特別な日には二人でお祝いを、と二人の好きなものを一つずつ食べるのが我が家の習わしになっていました。

 

「えへへ、ママありがと」

 

小学校入学の頃ですから僕もその頃には言葉を理解していますし、昔とは違ってママとも会話ができるようにもなっていました。

 

それが僕にはとっても嬉しい事でした。

 

その頃には仕事量を増やしていたママとは一緒に過ごせる時間が減っていたので、少しでも会話ができることがたまらなかったのです。

 

「ね、カガリちゃん。もう一回だけランドセル背負ってママに見せてくれる?」

 

「え~、また?」

 

「うんお願い、ダメかな?」

 

「ん~ん!ママが見たいならいいよ!」

 

ケーキを食べ終わって2人でゆっくりしていた時、ママが私にそう言ってきたことを今でもよく覚えています。

 

私は急いで自室に向かい、少し前に買ってもらったピカピカの赤いランドセルを持ってきてママの前で背負いました。

 

「ママ、どうかな?似合ってる?」

 

 

「……ぐすっ。うん、うんっ。似合ってるよ、カガリちゃん。とっても、とっても似合ってる」

 

 

きっとママはこの時無理をしていたのでしょう。

 

小学校入学にあたって重なってた出費に対し、ランドセルによる追加出費はお世辞にも潤っているとは言えない我が家の家計状況には強い一撃だったのです。

 

中古でも良かったと、今の僕ならそう言います。我が家の状況だってちゃんと理解していましたから。

 

しかし僕がママとお出かけ中、ふと新品のランドセルを見て、

 

『ピカピカで、赤色で、かわいいなぁ』

 

と。そう言ってしまったのです。もしも過去に戻れるのなら、僕はこの時の僕を思い切りぶん殴ってやりたい。しかし出来ないのが歯がゆい事この上ありません。

 

ランドセルの値段はピンキリですが、僕が欲しいと言ったのは革製の高級なランドセルでした。

 

ランドセルなんて、どれもいっしょだというのに。同じ形をしていて、教科書を入れることさえできれば問題はないって言うのに。

 

私がそう言ってしまったがばっかりに、私にはかねてから無理を強いてきたと思っていたママはこの望みだけでも叶えてあげたいとそう思ってくれるようになりました。

 

 

仕事量をさらに増やし、なんとかお金を捻出して僕に新品の革のランドセルを買ってくれて、それを背負った僕をみて感極まって泣いてしまった。

 

 

そんなママを見て、我が儘を言うのはやめようと、そう思う様になりました。

 

 

 

 

 

「……ただいま」

 

「おかえり、カガリちゃん!」

 

中学校から帰宅した僕はぼそり、と帰宅を告げるとリビングの方からママの声が聞こえてきました。

 

「ママ、今日は……」

 

「ごめんね、今日もお夕飯作っておいたから先食べて寝ててね?お風呂もそろそろたまるから!」

 

「……うん」

 

中学校に進学した僕はクラスで浮いていました。友達なんて一人もおらず、学校に行って一言も発することなく家に帰ってくる毎日。

 

そしてママも僕の成長に伴って仕事量を更に増やしており、毎晩のように夕飯を用意してくれてはお仕事に行くようになっていました。

 

こんなに仕事を増やしていた理由はあのクソ男にあります。自分で浮気をしておいて、養育費の支払い額がひどく少なくなっていたのです。

 

ただでさえ火の車であった我が家の家計にそれは大打撃でした。

 

後でママに聞いたら、一度そのゴミと話を行ったそうですが、浮気相手との子供が大きくなってきてそちらにお金がかかるので大きな金額を送れない、と言われたそうです。

 

ママは優しい人なのでそう言われては強い言葉を返せませんでした。自分が無理を言ったら相手の家族の子供が酷い目にあうのではないか、と考えてしまった。

 

それならば自分が仕事を頑張ればいい、そうすれば我が家は二人だし何とかなると。

 

僕としては正直、選ぶのなら僕を選んでほしかった。そんな顔も知らない子どもなんか捨てて、僕との為にお金を無理にでも奪ってきてほしかった。

 

法律でもそう定まっているのだから、心を鬼にしてきてほしかった。

 

それができないのがママのいいところだって知っているけれど。

 

 

 

僕とママとの会話は日に日に減っていき、僕は孤独感を抱えるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

高校に進学し、もう僕は今までのようにクラスで浮かないようにと明るい人間を演じようとしました。もし高校でもデビューに失敗したら、あの地獄の様な三年間をまた過ごしてしまうと恐怖していたのです。

 

『あのっ、僕とお話しようよっ!!』

 

『……何、急に?うっさいんだけど』

 

失敗してしまった僕はクラスで浮いた存在にすらなれませんでした。

 

 

 

僕はもうどうすればいいのか分からなくて、部屋から出られないでいました。

 

 

「ママ……、まま……っ」

 

 

一人膝を抱えて涙を流します。

 

もう僕はどうやって生きればいいのかわからなかったのです。

 

学校に行っては虐められて、家に帰ってきてもママは僕との生活の為にお仕事を頑張っていて休日くらいしかまともに会話もできません。

 

 

「……あい、たい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ママ大好き!」

 

「えぇ、ママも大好きですよ?カガリちゃん」

 

僕とママはまた昔のように仲良しになりました。

 

いえ、ずっと仲良しだったのですが心だけじゃなくて、生活上での付き合いとしてとっても仲良し。毎日お話をして、抱きしめ合って愛を確かめ合う様になれました。

 

僕が抱きしめればママも抱きしめてくれる。

 

僕が頭を差し出せばママは優しく撫でてくれる。

 

僕が大好きって言ったらママも大好きって返してくれる。

 

 

 

もう僕に怖いモノはありません。だって、大好きなママがずっと一緒に居てくれるんだから。高校だってヘッチャラなのです。

 

 

だって、だって。

 

 

「だって僕はママが認めるいい子なんだからね!!」

 

 

 

 




こんな感じの記憶を十六年分、みっしり作った女の子がカガリちゃんです

R18版希望調査

  • カレンちゃん
  • キッカちゃん
  • スイレンちゃん
  • カガリちゃん
  • カスミさん
  • スミレ先生
  • シスターキキョウ
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