「……で?あたしとヒルダの愛の巣にそいつを呼び込んだと?減給よ、減給!」
エヴァーレインは店内にまでついてきたロックに露骨に機嫌を悪くした。
「整備してたんだから、仕方ないじゃない?そんな態度で先生にも接してたの?」
「は?んなわけないでしょー?お嬢ちゃん?」
そんな様子にあのねえ、と苦言を呈するレイに彼女は笑顔を浮かべながら煽った。
ロック・ボックスはレイニーマートについていく、と言った。
ルーデンスたちはロックの挑戦者たちをどうするのか、と尋ねると人差し指、中指、薬指と三本立てた。
「俺とこの拳闘最強《ベイルナイト》、ラッシュスターがスリーカウントで相手してやる」
それはランカー第六位、不可視のロックの煽り文句だった。
ランカーの着装者たちの中でも地味だと言われるが、その戦闘力は折り紙つき。
湧き立つ観衆、闘志が湧くロックの挑戦者たち。
ロックが着装するラッシュスターに向かってきた、《ベイルナイト》達を不可視の拳の
超高速の不可視の拳を防ぐ術はなく、胸部のベイルタルは損壊する。
「これが第六位……」
レイはこんな実力者があと五人いることに驚いた。
ルーデンスが戦ったソードルプスと
六つのスケイルを操る、スケイルルプスでの実力は計り知れないだろう。
「相変わらず、厳しいなぁ?女王サマと並ぶと絵になる美人だが、
「昔からそうだよ」
やれやれ、とため息をついたロックはルーデンスの肩を叩いた。
そんな男はどうも気楽な性格をしているらしく、エヴァーレインを品評する様子は女好きらしい。
ロックはケラケラ笑いながら、レイニーマートの店内で5体並んでいる量産型のザトスを見た。
ザトスの中に唯一、ディースと呼ばれる歩兵型の中で高出力の物が一つある。
そのディースが
どうやら、エヴァーレインのヒルダへの
「女王サマから聞いてたぜ?弟は熱心にベイルバトルの配信を見てんだってな?」
「今も見てるよ。前にあった、同じ徒手空拳使い同士のバトルも凄かった。
あんたは正真正銘の徒手空拳使い、《ベイルナイト》にグローブや
ケラケラ笑いながらも、ルーデンスを揶揄うように言うロックにルーデンスは静かに頷いた。
「……驚いたな。
他に印象に残った
ロックは軽口に対し、ルーデンスを品定めするように続けた。
「ランカー第五位の“
武装を積んで手当たり次第にブッ放してくる、
あの《ベイルナイト》とは
とんでもない、
「ランカーに選ばれるには、強さだけじゃない。
着装者がバトルを盛り上げられるかにもかかってんだな」
ルーデンスの評価にロックはヒュウ、と感心したように口笛を吹く。
第五位、“
ロックの無手の拳闘スタイルに対し、ネリルは数多の装備で弾丸を挑戦者に食らわせる。
性格に難がある美少女だと言うが、ロックの自慢の
ベイルバトルはエンターテイメントである。
エンターテイメントは一方的な勝負であってはならない。
ヒルダとアルビオン・ブリュンヒルドは世界中に圧倒的な力を見せつけた。
しかし、それでも、第六位・“不可視のロック”には矜持がある。
「スマッシュリングは各ランカーにとって、有利な場所で行う。
俺は故郷のテックステイツでやるし、他の連中もそうだな」
「つまり、敵の陣地でやるって想定なのよね。
今更言われなくっても、ルーデンスは分かってるわ」
ロックの言葉にエヴァーレインは舐めちゃいけないわ、と誇らしげにルーデンスの肩に手を置いた。
このまま投げられる?と身構えたルーデンスを見ると、笑顔のまま、「なあに?ルディ。イヴ姉に何か?」と威圧する。
レイはヒルダに指導を受けた立場であり、スマッシュリングが先の戦争を模した祭であることを差し引いても、ロックの親切な説明に下心を疑った。
ヒルダ以外の対面したランカーは
「貴方の目的は?」
「俺かい?マギニックのエヴァーレインが一晩共にしてくれること」
冗談めかしたロックの言葉にエヴァーレインが「は?」と威圧した。
「本音は肉親であれど、絶対女王を
それに見たぜ、あの流星のようなヤツとのベイルバトル」
レイの言葉にこっちもいいなと頷いたロックに彼女は身構えた。
そんな様子にケラケラ笑いつつ、ロックは表情を変える。
“流星”とルーデンスやレイが呼ぶ、謎の人物との戦いは広く知られているらしい。
「ただのアルビオンカラーのザトスじゃあ、勝ち目がなかった。なのに、新しく
ロックがルーデンスを捉える眼差しは獲物を見つけた、猛禽類のようだった。
エヴァーレインはため息をつきつつ、
エヴァーレインが男に興味がない、と言う印象であったロックは開いた口が閉じなかった。
「ルーデンス、良かったじゃない。第六位がアンタを褒めてくれたわよ?……何、その顔?」
「エヴァーレイン、お前、男に興味がないはずじゃ!?」
「今も昔もアタシが好きなのはヒルダだけ。だから、ヒルダにそっくりなルーデンスはいつも見てたい。それだけよ?ねえ、ルーデンス?」
エヴァーレインがルーデンスへのロックの賞賛に目を丸くした後、ロックの言葉にはあ?と眉をひくつかせた。
続いたエヴァーレインの言葉にルーデンスが助けを求めるようにレイを見るも、レイは首を振った。
「まぁ、イヴ姉はそうだよな」
「アンタもずいぶん物分かりよくなって嬉しいわ」
ルーデンスがエヴァーレインの言葉に同意すると、上機嫌に鼻歌を歌い出した。
そんな幼馴染のやり取りを続ける、
「……ろ!」
「ロック・ボックス?」
「羨ましいから俺様と勝負しろ、今すぐにだ!」
ビシッと人差し指をルーデンスにつきつける、ロック・ボックスの宣戦布告にレイは呆れた。
「ランカーってこんなのばっかりなの?」
次回予告
第六位、ロック・ボックスとの野良試合をするルーデンス!
装備を一切持たない、ロックの不可視の拳がルーデンスを襲う!
アルビオンの武装の掠奪が効かない相手に対し、ルーデンスが取るのは!?
ベイルバトル、GO!