TS転生クウラちゃんは平穏に生きたい   作:WhatSoon

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#13 宇宙からの来訪者

私の後ろをちょこちょこ歩いてくるピラフ大王達と別れて──というか撒いて──私は西の都に来ていた。

ずばり目的はインスタント食品である。

購入したコンテナのホイポイカプセルに、大量のレトルトカレーやインスタント麺を突っ込む。

 

これさえあれば、宇宙に帰っても地球の食事はある程度は楽しめるという訳だ。

 

あ、冷凍食品も買っておこう。

インスタント焼きそばも良いな。

ソーダ系のドリンクも欲しい。

アイスクリームも欲しいかも。

ううん、絶対要るね。

 

あとあれも、これも、それも──

 

そうやって買い漁っていると、急に空が暗くなった。

 

 

「ん……?あ、ドラゴンボールか」

 

 

周りの人達が困惑する中、私は独りごちた。

確か、ピッコロ大魔王に殺された人々を生き返らせて欲しい、だったか。

そして、ドラゴンボールがあるということは、神様も生きているということ。

ピッコロ大魔王は孫悟空によって討伐されたが、ちゃーんとマジュニアことピッコロは誕生したらしい。

 

よしよし、よかったよかった。

 

スーパーの駐車場でコンテナに段ボールを突っ込みながら、私は一人で頷いた。

そしてコンテナをカプセルに戻して、ケースに入れる。

購入したコンテナはあと5つもある。

これで当分は地球食を楽しめる。

 

 

「ふふふ、あとは、っと……」

 

 

そう考えつつ、私は財布を開き──

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、ブルマはカメハウスで神龍を呼び出し……ピッコロ大魔王によって殺された人たちを生き返らせた。

孫くんが天界?って場所で神様に、神龍を蘇らせて貰ったらしい。

そして、孫くんは天界で神様に修行を付けて貰っている……とか。

やっぱり孫くんって、常識はずれよね。

 

いつも私の想像を上回ることをしでかすんだから。

 

そうして、実家がある西の都に飛行船を使って、帰ってきた。

彼氏であるヤムチャと、その仲間である動物?のプーアル、豚のウーロンと一緒に帰ってきたのだけれど──

 

 

「ブルマ、俺も修行の旅に出る!悟空には負けてられないからな!」

 

 

なんて言って、ヤムチャは一人で旅に出かけてしまった。

なんとも、無責任な奴だ。

 

 

「はぁ〜、ムカつく。なんで私を連れて行かないのかしら」

 

「まぁ、落ち着けよブルマ」

 

「落ち着いてるっての」

 

 

私は若干苛立ちながら、プーアルとウーロンを連れて実家に戻ってきた。

 

 

「ただいまー!」

 

「おう、おかえりブルマ……なんか怒っとるか?」

 

「怒ってない!」

 

 

父さんに苛立ちを軽くぶつけつつ、視線を逸らす。

……娘が帰ってきたのに、母さんが来ない。

普段なら我先にと出迎えに来るのに。

 

 

「母さんは?」

 

「ママはお客の対応じゃ……お、そうじゃ。ブルマの客じゃぞ」

 

「客ぅ〜?」

 

 

身に覚えがない。

少なくとも予定はない。

 

もしかしたら、孫くんだろうか。

そう考えて、私は踵を返した。

 

 

「ちなみに何処にいるの?」

 

「いつもの応接室」

 

「わかったわ。プーアルとウーロンをよろしく!」

 

 

二人……というか二匹を置いて、私は応接室へ向かう。

一階の動物はいっぱいいる庭を抜けて、二階へ。

 

応接室の前まで来ると──

 

 

「まぁ───っ!そうなのね!普段は不動産屋の社長を!その若さで偉いわね───っ!」

 

 

母さんの声が聞こえて一瞬強張る。

不動産屋の社長?

そんな知り合い居ないんだけど。

 

そう思いつつも、応接室のドアを開けると──

 

 

「あら!ブルマったら、お友達を待たせたらダメじゃな〜い!」

 

「約束してないから仕方ないでしょ!というか誰?誰が来て──

 

 

ちら、と椅子に座っている自称不動産屋の社長を見る。

そこには紫色の肌をして尻尾を生やした女が居た。

オレンジジュースをストローで啜りながら、私を見ていた。

 

彼女の方も私を見ていて……何か話すのかと思えば……ずぞぞぞーっとオレンジジュースを啜った。

 

 

「……えっと、クウラちゃん?」

 

 

この女性の名前を私はよく知っている。

宇宙人のクウラちゃんだ。

不動産屋の社長をしてる、とかそういうのは初耳だけど、印象深い娘だったからよく知っていた。

 

私の呼びかけに、クウラちゃんはオレンジジュースを机に置いて、何故か安堵の息を吐いた。

 

 

「お久しぶり、ブルマ。あの時はお世話になった」

 

 

ぺこ、と頭を下げる彼女に手を振る。

 

 

「別にそんなお世話なんて……あの時貰った鉱石も凄く役に立ったし。お互い様よ、お互い様」

 

「そう言ってくれると嬉しい」

 

 

ほのかに笑みを浮かべるクウラちゃんを見て、私も笑みを浮かべた。

そんな私に横から母さんが顔を突き出してきた。

 

 

「ねぇねぇねぇ!何の話?何があったの〜!?」

 

「別に大した事ないって。母さんは退室してて!」

 

「もう、反抗期なんだから〜」

 

 

母さんを外に追いやって、私はクウラちゃんの向かいの席に座る。

 

 

「ごめんね、やかましい母さんで」

 

「ううん。よくして貰ったから。いいお母さんだね」

 

「……そう?」

 

「うん」

 

 

私も別に母さんが嫌いな訳じゃない。

だから褒められると、ちょっと嬉しい。

 

しかし、素直に喜ぶと脳内の母さんの反応がムカつくので、少し照れ隠しで話題を変える。

 

 

「それにしても、不動産屋の社長って……クウラちゃん、そんな仕事してるの?」

 

「うん、まぁ……厳密にはちょっと違うんだけど。星の売買とかしてる会社の一番偉い人というか……最終責任者というか」

 

「へー、星の売買とか、凄い規模ね。流石は宇宙人」

 

 

私もオレンジジュースを飲む。

飲み慣れているオレンジジュースだけど、クウラちゃんには目新しいのか美味しそうに飲んでいる。

……そういえばこの娘、孫くんみたいに健啖家の大食らいだったわね。

 

 

「それで?ずばり、今回地球に来た目的は?」

 

「最近仕事で忙しかったから。部下がバカンスにでも行ったら?って」

 

「ふーん、バカンスに地球ね……もっといい星とかあるんじゃないの?」

 

「いや……地球以外だと、結構……ね?こう、暑すぎたり寒すぎたり、未開の地だったり……住めるなら私も地球に住みたいぐらい」

 

 

クウラちゃんは切実そうにそんなことを口にした。

なんというか、目に見えて本音だと感じた。

 

なんだか苦労してるんだなぁ、なんて思いつつ私も頷く。

 

 

「それで?私に用があって来たんでしょ?」

 

 

私が問いかけると、クウラちゃんがバツの悪そうな顔をした。

 

 

「いや、えーっと、その……私、バカンスに来てるんだけど」

 

「うん」

 

「お金が底をついちゃって」

 

「……あー、また?」

 

 

私がそう言うと、クウラちゃんは目線を逸らした。

 

 

「いやっ、今回はちゃんと地球でも使えるような貴金属に換金して持って来たんだけど。換金レートが思ったより低くて、全然足りなくて……その、また交換して欲しいなーって……ど、どう?」

 

 

なるほど、お金の無心に来たという訳だ。

でも、不思議と嫌な気持ちはしなかった。

こうして頼られるのは嫌な感じはしない。

それに、彼女は前回も私に利のある交換をしてくれた。

だから、少しも印象を悪くせずに頷いた。

 

 

「分かったわ。それで、今回はあの金属を持って来てくれたの?」

 

「あ、それがなくて……えっと、これを」

 

 

クウラちゃんが腰にかけてるバッグから何かを取り出して、机に置いた。

それは機械だ。

耳につけて目元に透明のプラスチックの板を付けるメガネみたいな……。

 

 

「何これ?」

 

「それは、スカウター。宇宙の技術で作られた道具で、それを使うと相手の強さが数値化できる機械。一応、最新モデルのものだけど」

 

「へぇ……って、ちょっと待って。これどっかで見た覚えが……」

 

 

私は少し考えて、ちょっと前にブラックマーケットで買ったポンコツ道具を思い出した。

 

 

「あーっ!“測るんです”だ!」

 

「ハカルンデス?何それ」

 

「ちょーっと前に売られてた電子機器でね。人の強さを数値化できるっていう売りの……ちょっと待ってね!」

 

 

私は向かいの自室に駆け込んで、ジャンク置き場から片目側しかないサングラスみたいな道具を手に取った。

そうして、クウラちゃんの元に持ち込んだ。

 

 

「……これ?」

 

「そう!結構前に市場へ現れたんだけど……どうにも、強さを測るって言っても精度が低くて、4から6ぐらいで収まっちゃうし……孫くんに使ったら測定出来なかったし。ガラクタ扱いされて売れなかったのよ。作ってた会社も倒産しちゃったし」

 

「……ふーん」

 

 

クウラちゃんが“測るんです”をじろじろとみている。

そして、縁に書いてある「ぴらふ印」という会社のロゴを見て、苦笑しつつ、視線を私へ戻した。

 

 

「多分これ、そのスカウターの劣化コピー品。市販に流通させるために、粗悪なパーツを使ったんだと思う」

 

「へぇ、そうだったの?そんなことも分かるのね」

 

「……まぁね」

 

 

何とも言えない顔をするクウラちゃんの言葉に頷き、私はそのスカウターとやらを装着する。

 

本家本元の性能はいかに。

 

視線をクウラちゃんの方へ向けた。

……何やら意味不明な数字らしき文字の羅列がたくさん現れる。

 

 

「これ何語?」

 

「宇宙公用語……あ、読めないのか」

 

 

しまった、という顔をしているクウラちゃんを再びスカウター越しに見る。

数字らしき文字が沢山並んでる……クウラちゃん相手にこれだけ有効数字が出るということは、すごく精密な測定が出来るのだろう。

 

さっきの“測るんです”とは大違いだ。

 

 

「んー、宇宙公用語ってのは分かんないけど、比較して計算していけば翻訳できそう……これ、いくらするの?」

 

 

値段を問うと──

 

 

「え?分かんない」

 

 

あんまりな返答が返ってきてしまった。

地球基準で考えれば、かなりの高級品だろう。

触っただけで分かる、精密さとハイテクノロジー。

 

喉から手が出るほど欲しい。

未知の技術なんて、科学者からすれば垂涎の的だ。

 

しかし──

 

 

「……値段、分かんないの?」

 

「……あ、うん。いつも部下が発注してくれてるから」

 

 

このぽやっとした、少し抜けたような女の子から購入していいものだろうか。

実はこれ、かなりの貴重品なのに彼女は分かっていないという可能性があるのではないか。

 

そう考えつつも、この技術は欲しいし。

ただでお金を渡すのも受け取りづらいだろうし。

 

 

「じゃあさ。私がお金払って借りてもいい?」

 

「借りる?」

 

「そう。次に地球に来た時に返すから、ね?」

 

「……いいの?」

 

「いいから、いいから。その間に解析しちゃうから。それで価値は十分ってわけ。でも、あくまで持ち主はクウラちゃんのままだからね」

 

 

私の言葉の意図を理解してか、クウラちゃんは目を瞬かせた。

 

 

「……うん、ありがとう」

 

 

そうして、約束をして……私はクウラちゃんにお金を手渡した。

 

 

「はいこれ」

 

「また世話になっちゃった」

 

 

少し申し訳なさそうに、しょんぼりとしたクウラちゃんを見て私は笑う。

 

 

「別に、気にしてないって……というかさ、クウラちゃん、いつ帰る予定なの?」

 

「え?明々後日には、帰るけど」

 

「宿はある?」

 

「……まだ取ってない」

 

 

私は一つ、名案を思いついた。

 

 

「ならさ、うちに泊まっていかない?あたしも宇宙の話、聞いてみたいし」

 

「いいの?」

 

「いいのよ。寧ろこっちからお願いしたいぐらい」

 

 

宇宙の事情について知りたい。

科学者として、地球外の技術進歩について知っておきたいい。

カプセルコーポレーションも宇宙開発をするかも知れないし。

 

 

「……でも、迷惑かけるかも──

 

「ご馳走するわよ?いっぱい美味しいもの食べたくない?」

 

「食べたい。お泊まりさせて貰っていい?」

 

 

クウラちゃんは即落ちしてしまった。

 

私は心配になる。

クウラちゃんがいずれ、悪い奴に騙されてしまうのではないかと。

惑星を侵略する悪い宇宙人とか……SF映画の見過ぎかな。

 

まぁ、とにかく……そうしてクウラちゃんは三日間の期間限定居候となったのだ。

 

 

 

 

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