TS転生クウラちゃんは平穏に生きたい   作:WhatSoon

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#30 激突!100億パワーの鏡合わせ!

メタルクウラ──

劇場版ドラゴンボールZに登場する悪役だ。

 

孫悟空に敗北して宇宙空間に放逐されたクウラが、機械惑星『ビッグゲテスター』と融合した事で一命を取り留めて……ビッグゲテスターの力で量産した分身。

それがメタルクウラだ。

 

特筆すべきは──

強力な再生能力を持ち、(スーパー)サイヤ人に覚醒した孫悟空とベジータを同時に相手取ることが可能な戦闘力。

そして、ビッグゲテスターのオーバーテクノロジーによって量産された、数の暴力。

 

個として破格、軍としても圧倒的。

 

それがメタルクウラだ。

 

 

……なのだが。

私は孫悟空に宇宙へぶっ飛ばされた事はないし、ビッグゲテスターと融合した記憶もない。

 

 

しかして、前の前にいるのは──

 

 

「あ、あー……ちょっと話し合いません?」

 

 

薄い緑色を帯びた金属製の身体。

映画のような見た目ではないが、私と瓜二つな姿。

 

間違いなく、メタルクウラ……だよね?

 

では何故、ここに居るのか?

いつ製造されたのか。

 

 

「……そういうこと、か」

 

 

間違いない。

私が宇宙から拾って持って帰って来てしまった廃コンピュータ……その正体は機械惑星ビッグゲテスターの残骸だったのだ。

 

ビッグゲテスターは捨てられた宇宙船などが集まる宇宙の墓場に、とあるコンピュータのチップが存在し……それが周りの機械を吸収して、成長することによって生まれた惑星だ。

 

それは、遥か昔の話。

コンピュータのチップのまま、今も宇宙を漂っているとは思わなかった。

私の先入観の問題だ。

 

私が見つけた時……あのコンピュータは、“何者か”に破壊された状態だった。

 

恐らく、ビッグゲテスターは私の知っている通り、融合と増殖を繰り返し巨大な機械惑星となった後……何者かに破壊された筈だ。

 

そして、宇宙を漂っている中、私が拾ってしまった、と。

 

では、ビッグゲテスターを破壊したのは誰だ?

何者だ?

 

……いや、それは一先ず無視しよう。

今は目の前の、メタルクウラを片付けるのが先決だ。

 

 

「あ、あのー、聞こえてます?お話を──

 

「お前と話す事などない、裏切り者め。宇宙で拾ってやった恩を、仇で返すとは……」

 

 

私はエネルギーを身体に充填させる。

 

正直に言おう。

私は騙されやすいタイプだ。

詐欺とかに引っかかるタイプ。

宇宙平均より賢い自覚はあるが、叡智の結晶であるスーパーコンピューター相手に騙されない自信はない。

その辺りは理解している。

 

所謂、無知の知である。

 

故に、だ。

ここで何を言われようと、メタルクウラを破壊する。

 

そして、我が軍のメインコンピュータをネットワークから遮断して、処分する。

それが騙されない方法。

最も安心できる手段。

 

最適解だ。

 

 

「な、なにか勘違いしてません?クウラ様……」

 

「勘違いなんてしてない。私はお前の正体を看破している。ビッグゲテスター……私の軍を乗っ取るつもり?」

 

「え、あ、いや、なんで分かって……って、間違ってないですけど、部分的にはそーいう訳じゃなくて……」

 

「では何故、私に黙って複製したの?何故、そんな身体を作ったの?私を亡き者にして、軍を乗っ取る計画だったんだ……お前の企みは、お見通しだ」

 

「あー……確かに、そう見えちゃいます、よねぇ……?」

 

 

なんだこいつ。

自分が被害者みたいな振る舞いしやがって。

真の被害者は私だ。

食糧泥棒なんかしてないのに、勝手に犯人扱いされたんだぞ?

くそが、被害者ヅラが上手いやつだ……宇宙の(ごみ)にしてやるぞ。

 

 

「ふんっ!」

 

 

瞬間、私はエネルギーを放出して偽物(メタルクウラ)に接近した。

そして、土手っ腹に穴を開けるべく、拳を突き出し──

 

 

「あぶなっ!何するんですか!?」

 

 

拳を避けられた。

存外、素早い。

 

 

「スクラップにしてやる」

 

 

足を振り上げ、蹴りを繰り出す。

 

 

「ちょっ」

 

 

それも距離をとって、回避される。

……こいつ、中々やる。

 

さっきの追いかけっこの時も思ったが、肉体の強度は私と互角……か?

私の複製品と考えて良さそうだ。

 

ならば、様子見などしている場合ではない。

 

 

「……はあぁっ!」

 

 

全身に力を込めて、肉体を変化させる。

身体から突き出た骨格がプロテクターを粉砕し、髪はマスクへと凝固する。

 

第五形態へと変身した私は、メタルクウラへと視線を戻した。

 

 

「げっ」

 

「さぁ、第二ラウンドだ……はぁっ!」

 

 

 

高まる気と、破壊衝動のまま、偽物へと突進する。

拳を突き出し……偽物が回避した。

 

 

「ちょっ、待っ!?」

 

 

だが、咄嗟の回避だったようで体勢が崩れた。

 

 

「遅いッ!」

 

 

私の膝が、偽物の腹に命中した。

 

 

「うげっ!!」

 

 

メタルな色合いをしているが、想像よりは柔らかな感触だ。

金属、というより、バイオ素材を使っているのか。

 

まぁ、そんな事はどうでもいい。

私の攻撃に怯んだことが重要だ。

 

この隙を逃すつもりはない。

 

 

「模造品風情が、逃げられると思うな!」

 

 

両手を合わせて、拳のハンマーを作り出し、頭部に叩きつけた。

 

 

「っ!?」

 

 

強烈な衝撃に飛行能力を失い、偽物が落下する。

このままでは地面に激突するだろう。

 

だが、その程度で倒せるとは思っていない。

 

 

「まだだ!休む暇など与えん!」

 

 

正面にバリアを展開して、エネルギーを放出する。

空気抵抗をバリアによって緩和し、超高速で加速し……落下する偽物すらへ追従する。

 

そして、空中で身を翻し、片足を軸に回転し──

 

 

「消えろッ!」

 

 

回し蹴りを、落下する偽物へと繰り出した。

防御も間に合わなかったのだろう、直撃した蹴りは偽物の体すら貫通し──

 

 

「あびゃッ!?」

 

 

右肩と頭部を木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

普通の生命体なら即死に違いない重傷だが──

 

 

「……ふん、やはりか」

 

 

偽物の私は空中で何とか体勢を立て直していた。

頭部から右肩にかけて、完全に消滅しているのに……だ。

 

瞬間、抉れた断面からパイプのようなものと繊維が伸びて、失った部位を再現した。

超再生能力と呼ぶに相応しい、高速での再生。

 

本来のメタルクウラにも存在していた能力だ。

 

 

「……っぷは、酷いですね……!急に、そんな暴力なんて……!」

 

 

そして、軽い調子だ。

おちょくられているような気分だ。

 

ご丁寧に服まで再生している。

……いや、あれも奴の身体の一部なのか?

 

 

「被害者面など辞めたらどうだ?貴様が抵抗しなくとも、私は一切の容赦はせんぞ」

 

 

私の言葉に偽物は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 

 

「……そう言うなら、こっちも抵抗させて貰いますけど。怪我しても後で怒らないでくださいね」

 

「ほざけ。貴様に“この後”などあると思うな!」

 

 

体の内からエネルギーを爆発させる。

 

メタルクウラには再生能力がある。

そして原作通りであるなら、再生する度にメインコンピュータが学習してパワーアップする。

 

長期戦は不利となる。

再生できないよう、即座に木っ端微塵にするのが最適解だ。

 

ならば──

 

 

「ばッ!」

 

 

私は身体の中からエネルギーを放出して、バリアとして留める。

内からエネルギーを放射すれば、バリアの中で私を纏うようにエネルギーの奔流が巻き起こる。

 

 

「っ!」

 

 

瞬間、偽物は私の狙いに気付いたようで、手からエネルギー波を放って来た。

 

 

「無駄だ!その程度のパワーで受け止める事は出来ん!」

 

 

自分自身を中心に、高濃度、高圧縮、高熱のエネルギーフィールドを展開する。

そしてそのまま、偽物に向かって突進する。

 

エネルギー波など効く訳がない。

 

 

「やばっ」

 

 

偽物が回避しようと更に浮く。

だが、この攻撃はエネルギー弾ではない。

私が身に纏っているだけに過ぎない。

 

追尾など、自由自在だ。

 

 

「これで地獄に送ってやる!機械風情にあの世があるならな!」

 

 

更に加速して、偽物に衝突する。

 

 

「ぐ、ゔっ!?」

 

 

ギャリギャリと、エネルギーの奔流が偽物の身体を削る。

偽物も全力でエネルギーフィールドを展開しているが、受け止める事はできていない。

接触した場所から、消滅していっている。

既に、奴の手首から先はない。

 

このまま塵も残さず、削り取ってやる──

 

瞬間、手応えが消失した。

 

 

「なに……?どこに消えた?」

 

 

私は身体から放出していたエネルギーを拡散させて、周りを確認する。

目の前に偽物はいない。

削り切った……とは考えていない。

 

消えたのだ。

 

そうして、見渡して……少し離れた箇所に、偽物が居た。

 

 

「ふぅ……あっぶな……その姿になると、ほんと加減しませんよね」

 

 

失った手足を再生しながら、悪態を吐いている。

 

 

「フン、鉄屑に加減など必要ない」

 

「それに性格も攻撃的になりますし、よくないですよ」

 

「機械風情が知った口を」

 

「いやホント口悪いですね……」

 

 

何かしたな?

幾ら高速で動こうと、私の目からは逃れられん。

であれば、高速移動とは違う、移動方法──

 

 

「……試してみるか」

 

 

私は即座に宙を蹴り、偽物へと接近した。

 

 

「はぁッ!」

 

 

腕を振り抜き、偽物の身体を捉えて──

また、消えた。

 

 

「たぁっ!」

 

 

瞬間、私の後頭部に衝撃が走った。

宙を回転して受け身を取りながら、蹴られたのだと理解した。

 

上空の偽物を睨み付ける。

 

 

「やっと反撃を始めたか……!」

 

「このままだとスクラップにされてしまいますから……抵抗ぐらいさせて貰います!」

 

「舐めた口を!結末は変わらんッ!」

 

 

また、即座に接近して攻撃を繰り出す。

命中する瞬間、また偽物が消えた。

 

 

「てりゃっ!」

 

 

そして、背後から蹴り飛ばされる。

 

 

「……チッ!鬱陶しい真似を!」

 

 

速い──

とは違う。

 

速いだけならば見切れる。

やはり、タネがある。

 

だが、タネを見切った所で咎める手段はない。

ならば、奴を罠に掛けるまでだ。

 

私はエネルギーを放出して、再度接近する。

 

 

「ふんッ!」

 

 

それもまた避けられて、背後から蹴られる。

 

 

「ちょこまかとッ!」

 

 

激昂するフリをして、再度回し蹴りを放つ。

再び背後に避けられて、殴られる。

 

距離を取り、偽物の表情を見る。

どこか、安堵が見える。

 

このまま戦えば勝てる、と考えている。

やはり、こいつ……戦闘経験が浅い。

 

私は再び、偽物へ接近する。

 

 

「いくぞ……ッ!」

 

 

目に力を込めて、動体視力を最大限にして──

 

偽物が消えた。

 

 

「そこだッ!」

 

 

その瞬間、私は急ブレーキを掛けて、背後に肘を突いた。

 

 

「うべっ!?」

 

 

攻撃を繰り出そうとしていた、偽物を捉えた。

鳩尾に一撃が入り、偽物が呻いている。

 

この偽物がしていたのは、高速移動ではない。

瞬間移動だ。

ビッグゲテスターは高度な機械生命体であり、凄まじい技術力がある。

短距離のテレポート機能を、この偽物に搭載していたのだ。

 

私は、よろけている偽物に目を向ける。

この隙を逃すつもりはない。

 

勝負は今、ここで決着をつける。

 

 

「自惚れたな!機械人形め!」

 

 

私は偽物の顔面を殴った。

 

 

「ふぎゅっ!?」

 

 

首が捻じ曲がり、内部骨格を砕いた音が響く。

だが、この程度では再生される。

 

 

「加減はせんッ!!」

 

 

拳をそのまま、偽物の腹に突き刺した。

 

ズドンッ──

と音がした。

 

頭部が壊れて状況判断が出来なかったのが、エネルギーによる防御もなく、すんなりと身体を貫通した。

 

だが、これでも足りない。

私は拳を引き抜いて、偽物を掴んだ。

 

 

「さぁ、怯えるがいい……怯える余裕が、貴様にあるならな!」

 

 

そのまま宙へ投げ飛ばした。

目的は地上から引き剥がすことだ。

 

身体から再びエネルギーを放出させる。

大地が揺れて、雲が裂けて、夜空が見える。

 

私はそのまま、両腕を宙で回転する偽物へと向けて──

 

 

「消し飛べ!!」

 

 

莫大なエネルギーを、死の光線(デスフラッシャー)として解き放った。

光線は宙を裂き、宙で何とか体勢を立て直そうとしている偽物へと直撃した。

 

光、熱、莫大なエネルギーの奔流が偽物を焼き尽くす。

 

この星の外からでも見えるほど、強烈な閃光が夜空を照らして……恐ろしいほどの静寂が満ちた。

 

 

「……チッ、パワーを抑え過ぎたか」

 

 

余波が消えた後、その場には……両腕を損壊しながらも、何とか堪えている偽物の姿があった。

 

私が全力で攻撃すれば、幾ら地上とは逆の空へと放っても、余波で地上に被害が出る。

現在構築中の農業プラントや、非戦闘民も居る居住区にダメージが入る事を恐れてしまったのだ。

 

 

メキメキ──

異音が響く。

 

ミシミシ──

偽物が崩壊していた身体を修復している。

 

 

私が動き始めるより速く、偽物は再生を完了させた。

ビッグゲテスターによるバックアップと学習により、より強靭な姿へと──

 

 

「っ……んぐっ!こ、殺す気ですか……っ、まったく……!」

 

 

ならなかった。

 

何だか先程より小さくなっていた。

地球人基準で言うと5歳ぐらい若返った、幼さを感じさせる見た目になっていた。

 

言うならば、メタル・ロリ・クウラとなっていた。

 

 

「……何だ、その姿は?ふざけているのか?」

 

 

マスクの下で眉間に皺が寄る。

 

この偽物は先程からそうだ。

どこか真剣味がない。

ふざけた奴だ、腹が立つ。

 

 

「ふざけてませんよ、真剣です……!貴方が私の身体を削るから、足りなくなって小さくなっただけです!」

 

「そうか……いいことを聞いたぞ?貴様の再生能力は有限らしいな」

 

「ゔっ、失言……」

 

 

私の言葉に偽物が悔しそうな顔をした。

 

 

「それに……どうやら貴様は、第五形態(このすがた)になれないらしい。第四形態のままであれば、力の差は圧倒的だ。いずれ、すり潰せる」

 

 

現状、私と同じ第五形態になれるのであれば、既になっているだろう。

なれないのであれば……私の勝利は揺るがない。

 

 

「……ゔぐ」

 

 

偽物は悔しそうに顔を歪めている。

図星のようだ……よく、表情に出る。

 

保護欲をそそられるような小さな女の子の姿だが、自分の姿に瓜二つ。

寧ろ、他人の姿よりも破壊し易い。

私はナルシストでもないし。

 

 

「次は加減せん。といっても、本気の五分も必要ないだろうがな」

 

 

私の言葉に、偽物が少し目を伏せた。

 

 

「あ、あのぉ……やっぱり話し合いしません?」

 

「貴様と話す口が、この私に必要か?」

 

「必要ですよ……!というか、なんでそんなに目の敵にしてるんですか!私、何もしてないじゃないですか〜っ!」

 

 

何もしてない、だと?

 

 

「よくもまぁ、そんな事を言える……くくくっ、まったく、人を苛立たせるのが上手い鉄屑だ」

 

 

そもそも、食糧庫に盗みに入り……その罪を私に擦りつけたのが問題だったのだ。

それを何もしてないとは、よくもまぁ言えたものだ。

 

 

「っそ、そもそも、私は鉄製じゃないんですけど!バイオメタルです!」

 

「知った事か。これからスクラップになるのは違いないだろう?」

 

「いやだから違……って、そうじゃなくて!取り敢えず、その姿やめて戻りません?すぐ煽るし、話し合いにならないんですけど……!」

 

「貴様と話す口など、持たぬと言った!」

 

「言ってないです〜っ!」

 

「ならば今、聞け!そして死ね!」

 

 

そう言い合っていると──

 

 

「姉さん!」

 

 

真下から聞き覚えのある声が聞こえた。

直後、声の主が私と偽物の間へ上昇してきた。

 

 

「ブロリーか」

 

 

長引かせるつもりはなかったが、決着にそれなりの時間を要する。

エネルギーを隠匿しない派手な戦いだった。

 

深夜とはいえ、援軍も来るだろう。

これで完全に終わりだ。

 

 

「……っ!?」

 

 

ブロリーは何も現状が分からず来たようだ。

私と偽物を交互に見て、困惑した。

 

そして──

 

 

「姉さんが、二人……?」

 

 

なんて、宣う。

いや、全然似てないだろ。

そもそも、そっちは幼女みたいな見た目をしてるんだぞ。

 

なんて少し苛立っていると、偽物が手を上げた。

 

 

「た、たすけて、ブロリー……っ!」

 

 

なに?

機械の癖に、一丁前に人に助けを求めるのか、コイツは。

プライドが無いのか?

 

 

「ち、小さいほうの姉さん……?」

 

 

小さい方とは何だ。

そもそも、そいつはお前の姉ではないだろう。

 

 

 

いや、まぁ私も姉ではないか。

 

 

 

いや、今はそういう話ではない。

機械風情に、何を言っているんだブロリーは?

 

 

「そいつの戯言を聞くな!ブロリー!ここで木っ端微塵に吹き飛ばしてやる!」

 

「こ、怖いほうの姉さん……!?」

 

「……は?」

 

 

怖い方だと?

何を言ってるんだ、私は別に怖くないだろう!?

なんだ、この姿が悪いのか!?

普段からそんな事を考えていたのか、ブロリー!

 

私が青筋を立てていると、偽物がまた声を上げた。

 

 

「ブロリー、助けて!話し合いしたいのに、そこの“怖いほう“のお姉さんが、殴ってくるの!」

 

「え……」

 

 

ブロリーが私の方を責めるような目で見てくる。

 

 

「ブロリー!貴様、そんな偽物の言う事を聞くのか!戯けが!」

 

「で、でも……」

 

 

ブロリーがちらちらと偽物を見る。

 

 

「ブロリーっ、戦うにしても、話し合いしてからでいいよね……?いつも言ってるもんね?」

 

「え、あ……そ、そうだ。た、確かに」

 

 

ブロリーがまた私の方を責めるような目で見た。

 

 

「ふざけるなよ……!調子に乗るな鉄屑が!ブロリー、貴様も奴の戯言に流されるな!」

 

「お、落ち着いて、姉さん……!」

 

「落ち着け、だと!?私は落ち着いている!」

 

 

私は変じゃない。

おかしいのは偽物と、そんな偽物に流されているブロリーだ。

 

私が気を荒げると、偽物が媚びるような笑みを浮かべた。

 

 

「そ、そうですよ〜!落ち着きましょうよ、ね?大好きなプリンでも作ってあげますから、それでも食べて──

 

 

ブチンっと、頭の中で何かがキレた。

 

ビッグゲテスター、いや、ドクターAI……こいつの所為で、私は夜食禁止になっていたんだぞ?

こいつが食糧を盗む所為で私はサウザーに叱られたんだぞ?

 

分かっているのか?

いや、分かっていないのだろう。

 

やはり、機械に人の心は分からない。

 

 

「くっ、くくくくく!」

 

 

あまりの怒りに笑い声が漏れる。

そんな私を見て、ブロリーは困惑していた。

 

 

「ね、姉さん?」

 

「……もう、ここまでだッ!」

 

 

エネルギーを解放し、身体を満たす。

スパーク音が鳴り響き、空気が爆ぜる。

 

そして、私は偽物を睨みつける。

 

 

「決めたぞ!消耗など狙わん!ここで即座に、塵も残さず消し飛ばしてやる!」

 

「え、あっ、ちょっ……!?」

 

 

焦る偽物に対して、私は踏み込み──

 

 

「待って、姉さん!」

 

 

ブロリーが間に割り込んだ。

 

 

「なんの真似だ、ブロリー!退け!」

 

「姉さんはいつも言っていた……困った時は、まずは話し合いだって……戦うのは最後で良いって!」

 

「そうだ、だが違う!その理屈は人相手だからだ!そこに居るのは機械人形!鉄屑相手に交渉はせん!」

 

 

私が怒鳴ると、偽物がちょっと悲しそうな顔を浮かべた。

 

 

「……ヘ、ヘイトスピーチです……」

 

 

黙れ。

機械に人権などない。

 

 

「姉さん……っ!」

 

「うるさいぞ、ブロリー!二度は言わん、退け!」

 

「だめ、だ!」

 

 

ブロリーの横を通り過ぎようとすれば……ブロリーもそれを防ぐべく、合わせてくる。

 

 

「……チッ、良いだろう」

 

「姉さん……!」

 

 

私が諦めたと思ってか、ブロリーは少し安堵の表情を浮かべた。

だが──

 

 

「お前を力ずくで排除し、そこの鉄屑を蒸発させてやる!」

 

 

私はブロリーを押し除けようとして──

 

 

「っ、待って!」

 

「退け!」

 

「退かない!」

 

 

私とブロリーは両手で、倒し相撲のように掴み合った。

私が力を込めると同時に、ブロリーも力を解放していく。

 

くそっ、これが偽物の狙いか。

クウラ軍を内部から分断し、消耗させる。

その為にブロリーを嗾けたのか。

 

ブロリーの手を握り、捻り上げつつ……偽物を睨む。

 

 

「あ、あわわ、大変な事になっちゃいました……!」

 

 

ふざけた、見え見えの演技だ。

この状況を作り出した張本人が、慌てるような真似など。

 

 

「……姉さん、落ち、ついて……っ!話を……!」

 

「そいつをスクラップにした後なら、幾らでも話をしてやる!退け!」

 

「こ、の……ッ!」

 

 

瞬間、ブロリーがエネルギーを放出した。

いよいよ、本気で私を止めるつもりだ。

 

対して、私もエネルギーを解放する。

 

 

「ぎゃっ!」

 

 

空間が爆ぜて、偽物が吹っ飛んだ。

だが、そんな事を気にしている余裕は私にはなかった。

 




クウラちゃんTIPS
第五形態になると声と態度と性格と言動が厳つくなるらしい
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