メタルクウラ──
劇場版ドラゴンボールZに登場する悪役だ。
孫悟空に敗北して宇宙空間に放逐されたクウラが、機械惑星『ビッグゲテスター』と融合した事で一命を取り留めて……ビッグゲテスターの力で量産した分身。
それがメタルクウラだ。
特筆すべきは──
強力な再生能力を持ち、
そして、ビッグゲテスターのオーバーテクノロジーによって量産された、数の暴力。
個として破格、軍としても圧倒的。
それがメタルクウラだ。
……なのだが。
私は孫悟空に宇宙へぶっ飛ばされた事はないし、ビッグゲテスターと融合した記憶もない。
しかして、前の前にいるのは──
「あ、あー……ちょっと話し合いません?」
薄い緑色を帯びた金属製の身体。
映画のような見た目ではないが、私と瓜二つな姿。
間違いなく、メタルクウラ……だよね?
では何故、ここに居るのか?
いつ製造されたのか。
「……そういうこと、か」
間違いない。
私が宇宙から拾って持って帰って来てしまった廃コンピュータ……その正体は機械惑星ビッグゲテスターの残骸だったのだ。
ビッグゲテスターは捨てられた宇宙船などが集まる宇宙の墓場に、とあるコンピュータのチップが存在し……それが周りの機械を吸収して、成長することによって生まれた惑星だ。
それは、遥か昔の話。
コンピュータのチップのまま、今も宇宙を漂っているとは思わなかった。
私の先入観の問題だ。
私が見つけた時……あのコンピュータは、“何者か”に破壊された状態だった。
恐らく、ビッグゲテスターは私の知っている通り、融合と増殖を繰り返し巨大な機械惑星となった後……何者かに破壊された筈だ。
そして、宇宙を漂っている中、私が拾ってしまった、と。
では、ビッグゲテスターを破壊したのは誰だ?
何者だ?
……いや、それは一先ず無視しよう。
今は目の前の、メタルクウラを片付けるのが先決だ。
「あ、あのー、聞こえてます?お話を──
「お前と話す事などない、裏切り者め。宇宙で拾ってやった恩を、仇で返すとは……」
私はエネルギーを身体に充填させる。
正直に言おう。
私は騙されやすいタイプだ。
詐欺とかに引っかかるタイプ。
宇宙平均より賢い自覚はあるが、叡智の結晶であるスーパーコンピューター相手に騙されない自信はない。
その辺りは理解している。
所謂、無知の知である。
故に、だ。
ここで何を言われようと、メタルクウラを破壊する。
そして、我が軍のメインコンピュータをネットワークから遮断して、処分する。
それが騙されない方法。
最も安心できる手段。
最適解だ。
「な、なにか勘違いしてません?クウラ様……」
「勘違いなんてしてない。私はお前の正体を看破している。ビッグゲテスター……私の軍を乗っ取るつもり?」
「え、あ、いや、なんで分かって……って、間違ってないですけど、部分的にはそーいう訳じゃなくて……」
「では何故、私に黙って複製したの?何故、そんな身体を作ったの?私を亡き者にして、軍を乗っ取る計画だったんだ……お前の企みは、お見通しだ」
「あー……確かに、そう見えちゃいます、よねぇ……?」
なんだこいつ。
自分が被害者みたいな振る舞いしやがって。
真の被害者は私だ。
食糧泥棒なんかしてないのに、勝手に犯人扱いされたんだぞ?
くそが、被害者ヅラが上手いやつだ……宇宙の
「ふんっ!」
瞬間、私はエネルギーを放出して
そして、土手っ腹に穴を開けるべく、拳を突き出し──
「あぶなっ!何するんですか!?」
拳を避けられた。
存外、素早い。
「スクラップにしてやる」
足を振り上げ、蹴りを繰り出す。
「ちょっ」
それも距離をとって、回避される。
……こいつ、中々やる。
さっきの追いかけっこの時も思ったが、肉体の強度は私と互角……か?
私の複製品と考えて良さそうだ。
ならば、様子見などしている場合ではない。
「……はあぁっ!」
全身に力を込めて、肉体を変化させる。
身体から突き出た骨格がプロテクターを粉砕し、髪はマスクへと凝固する。
第五形態へと変身した私は、メタルクウラへと視線を戻した。
「げっ」
「さぁ、第二ラウンドだ……はぁっ!」
高まる気と、破壊衝動のまま、偽物へと突進する。
拳を突き出し……偽物が回避した。
「ちょっ、待っ!?」
だが、咄嗟の回避だったようで体勢が崩れた。
「遅いッ!」
私の膝が、偽物の腹に命中した。
「うげっ!!」
メタルな色合いをしているが、想像よりは柔らかな感触だ。
金属、というより、バイオ素材を使っているのか。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
私の攻撃に怯んだことが重要だ。
この隙を逃すつもりはない。
「模造品風情が、逃げられると思うな!」
両手を合わせて、拳のハンマーを作り出し、頭部に叩きつけた。
「っ!?」
強烈な衝撃に飛行能力を失い、偽物が落下する。
このままでは地面に激突するだろう。
だが、その程度で倒せるとは思っていない。
「まだだ!休む暇など与えん!」
正面にバリアを展開して、エネルギーを放出する。
空気抵抗をバリアによって緩和し、超高速で加速し……落下する偽物すらへ追従する。
そして、空中で身を翻し、片足を軸に回転し──
「消えろッ!」
回し蹴りを、落下する偽物へと繰り出した。
防御も間に合わなかったのだろう、直撃した蹴りは偽物の体すら貫通し──
「あびゃッ!?」
右肩と頭部を木っ端微塵に吹き飛ばした。
普通の生命体なら即死に違いない重傷だが──
「……ふん、やはりか」
偽物の私は空中で何とか体勢を立て直していた。
頭部から右肩にかけて、完全に消滅しているのに……だ。
瞬間、抉れた断面からパイプのようなものと繊維が伸びて、失った部位を再現した。
超再生能力と呼ぶに相応しい、高速での再生。
本来のメタルクウラにも存在していた能力だ。
「……っぷは、酷いですね……!急に、そんな暴力なんて……!」
そして、軽い調子だ。
おちょくられているような気分だ。
ご丁寧に服まで再生している。
……いや、あれも奴の身体の一部なのか?
「被害者面など辞めたらどうだ?貴様が抵抗しなくとも、私は一切の容赦はせんぞ」
私の言葉に偽物は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……そう言うなら、こっちも抵抗させて貰いますけど。怪我しても後で怒らないでくださいね」
「ほざけ。貴様に“この後”などあると思うな!」
体の内からエネルギーを爆発させる。
メタルクウラには再生能力がある。
そして原作通りであるなら、再生する度にメインコンピュータが学習してパワーアップする。
長期戦は不利となる。
再生できないよう、即座に木っ端微塵にするのが最適解だ。
ならば──
「ばッ!」
私は身体の中からエネルギーを放出して、バリアとして留める。
内からエネルギーを放射すれば、バリアの中で私を纏うようにエネルギーの奔流が巻き起こる。
「っ!」
瞬間、偽物は私の狙いに気付いたようで、手からエネルギー波を放って来た。
「無駄だ!その程度のパワーで受け止める事は出来ん!」
自分自身を中心に、高濃度、高圧縮、高熱のエネルギーフィールドを展開する。
そしてそのまま、偽物に向かって突進する。
エネルギー波など効く訳がない。
「やばっ」
偽物が回避しようと更に浮く。
だが、この攻撃はエネルギー弾ではない。
私が身に纏っているだけに過ぎない。
追尾など、自由自在だ。
「これで地獄に送ってやる!機械風情にあの世があるならな!」
更に加速して、偽物に衝突する。
「ぐ、ゔっ!?」
ギャリギャリと、エネルギーの奔流が偽物の身体を削る。
偽物も全力でエネルギーフィールドを展開しているが、受け止める事はできていない。
接触した場所から、消滅していっている。
既に、奴の手首から先はない。
このまま塵も残さず、削り取ってやる──
瞬間、手応えが消失した。
「なに……?どこに消えた?」
私は身体から放出していたエネルギーを拡散させて、周りを確認する。
目の前に偽物はいない。
削り切った……とは考えていない。
消えたのだ。
そうして、見渡して……少し離れた箇所に、偽物が居た。
「ふぅ……あっぶな……その姿になると、ほんと加減しませんよね」
失った手足を再生しながら、悪態を吐いている。
「フン、鉄屑に加減など必要ない」
「それに性格も攻撃的になりますし、よくないですよ」
「機械風情が知った口を」
「いやホント口悪いですね……」
何かしたな?
幾ら高速で動こうと、私の目からは逃れられん。
であれば、高速移動とは違う、移動方法──
「……試してみるか」
私は即座に宙を蹴り、偽物へと接近した。
「はぁッ!」
腕を振り抜き、偽物の身体を捉えて──
また、消えた。
「たぁっ!」
瞬間、私の後頭部に衝撃が走った。
宙を回転して受け身を取りながら、蹴られたのだと理解した。
上空の偽物を睨み付ける。
「やっと反撃を始めたか……!」
「このままだとスクラップにされてしまいますから……抵抗ぐらいさせて貰います!」
「舐めた口を!結末は変わらんッ!」
また、即座に接近して攻撃を繰り出す。
命中する瞬間、また偽物が消えた。
「てりゃっ!」
そして、背後から蹴り飛ばされる。
「……チッ!鬱陶しい真似を!」
速い──
とは違う。
速いだけならば見切れる。
やはり、タネがある。
だが、タネを見切った所で咎める手段はない。
ならば、奴を罠に掛けるまでだ。
私はエネルギーを放出して、再度接近する。
「ふんッ!」
それもまた避けられて、背後から蹴られる。
「ちょこまかとッ!」
激昂するフリをして、再度回し蹴りを放つ。
再び背後に避けられて、殴られる。
距離を取り、偽物の表情を見る。
どこか、安堵が見える。
このまま戦えば勝てる、と考えている。
やはり、こいつ……戦闘経験が浅い。
私は再び、偽物へ接近する。
「いくぞ……ッ!」
目に力を込めて、動体視力を最大限にして──
偽物が消えた。
「そこだッ!」
その瞬間、私は急ブレーキを掛けて、背後に肘を突いた。
「うべっ!?」
攻撃を繰り出そうとしていた、偽物を捉えた。
鳩尾に一撃が入り、偽物が呻いている。
この偽物がしていたのは、高速移動ではない。
瞬間移動だ。
ビッグゲテスターは高度な機械生命体であり、凄まじい技術力がある。
短距離のテレポート機能を、この偽物に搭載していたのだ。
私は、よろけている偽物に目を向ける。
この隙を逃すつもりはない。
勝負は今、ここで決着をつける。
「自惚れたな!機械人形め!」
私は偽物の顔面を殴った。
「ふぎゅっ!?」
首が捻じ曲がり、内部骨格を砕いた音が響く。
だが、この程度では再生される。
「加減はせんッ!!」
拳をそのまま、偽物の腹に突き刺した。
ズドンッ──
と音がした。
頭部が壊れて状況判断が出来なかったのが、エネルギーによる防御もなく、すんなりと身体を貫通した。
だが、これでも足りない。
私は拳を引き抜いて、偽物を掴んだ。
「さぁ、怯えるがいい……怯える余裕が、貴様にあるならな!」
そのまま宙へ投げ飛ばした。
目的は地上から引き剥がすことだ。
身体から再びエネルギーを放出させる。
大地が揺れて、雲が裂けて、夜空が見える。
私はそのまま、両腕を宙で回転する偽物へと向けて──
「消し飛べ!!」
莫大なエネルギーを、
光線は宙を裂き、宙で何とか体勢を立て直そうとしている偽物へと直撃した。
光、熱、莫大なエネルギーの奔流が偽物を焼き尽くす。
この星の外からでも見えるほど、強烈な閃光が夜空を照らして……恐ろしいほどの静寂が満ちた。
「……チッ、パワーを抑え過ぎたか」
余波が消えた後、その場には……両腕を損壊しながらも、何とか堪えている偽物の姿があった。
私が全力で攻撃すれば、幾ら地上とは逆の空へと放っても、余波で地上に被害が出る。
現在構築中の農業プラントや、非戦闘民も居る居住区にダメージが入る事を恐れてしまったのだ。
メキメキ──
異音が響く。
ミシミシ──
偽物が崩壊していた身体を修復している。
私が動き始めるより速く、偽物は再生を完了させた。
ビッグゲテスターによるバックアップと学習により、より強靭な姿へと──
「っ……んぐっ!こ、殺す気ですか……っ、まったく……!」
ならなかった。
何だか先程より小さくなっていた。
地球人基準で言うと5歳ぐらい若返った、幼さを感じさせる見た目になっていた。
言うならば、メタル・ロリ・クウラとなっていた。
「……何だ、その姿は?ふざけているのか?」
マスクの下で眉間に皺が寄る。
この偽物は先程からそうだ。
どこか真剣味がない。
ふざけた奴だ、腹が立つ。
「ふざけてませんよ、真剣です……!貴方が私の身体を削るから、足りなくなって小さくなっただけです!」
「そうか……いいことを聞いたぞ?貴様の再生能力は有限らしいな」
「ゔっ、失言……」
私の言葉に偽物が悔しそうな顔をした。
「それに……どうやら貴様は、
現状、私と同じ第五形態になれるのであれば、既になっているだろう。
なれないのであれば……私の勝利は揺るがない。
「……ゔぐ」
偽物は悔しそうに顔を歪めている。
図星のようだ……よく、表情に出る。
保護欲をそそられるような小さな女の子の姿だが、自分の姿に瓜二つ。
寧ろ、他人の姿よりも破壊し易い。
私はナルシストでもないし。
「次は加減せん。といっても、本気の五分も必要ないだろうがな」
私の言葉に、偽物が少し目を伏せた。
「あ、あのぉ……やっぱり話し合いしません?」
「貴様と話す口が、この私に必要か?」
「必要ですよ……!というか、なんでそんなに目の敵にしてるんですか!私、何もしてないじゃないですか〜っ!」
何もしてない、だと?
「よくもまぁ、そんな事を言える……くくくっ、まったく、人を苛立たせるのが上手い鉄屑だ」
そもそも、食糧庫に盗みに入り……その罪を私に擦りつけたのが問題だったのだ。
それを何もしてないとは、よくもまぁ言えたものだ。
「っそ、そもそも、私は鉄製じゃないんですけど!バイオメタルです!」
「知った事か。これからスクラップになるのは違いないだろう?」
「いやだから違……って、そうじゃなくて!取り敢えず、その姿やめて戻りません?すぐ煽るし、話し合いにならないんですけど……!」
「貴様と話す口など、持たぬと言った!」
「言ってないです〜っ!」
「ならば今、聞け!そして死ね!」
そう言い合っていると──
「姉さん!」
真下から聞き覚えのある声が聞こえた。
直後、声の主が私と偽物の間へ上昇してきた。
「ブロリーか」
長引かせるつもりはなかったが、決着にそれなりの時間を要する。
エネルギーを隠匿しない派手な戦いだった。
深夜とはいえ、援軍も来るだろう。
これで完全に終わりだ。
「……っ!?」
ブロリーは何も現状が分からず来たようだ。
私と偽物を交互に見て、困惑した。
そして──
「姉さんが、二人……?」
なんて、宣う。
いや、全然似てないだろ。
そもそも、そっちは幼女みたいな見た目をしてるんだぞ。
なんて少し苛立っていると、偽物が手を上げた。
「た、たすけて、ブロリー……っ!」
なに?
機械の癖に、一丁前に人に助けを求めるのか、コイツは。
プライドが無いのか?
「ち、小さいほうの姉さん……?」
小さい方とは何だ。
そもそも、そいつはお前の姉ではないだろう。
いや、まぁ私も姉ではないか。
いや、今はそういう話ではない。
機械風情に、何を言っているんだブロリーは?
「そいつの戯言を聞くな!ブロリー!ここで木っ端微塵に吹き飛ばしてやる!」
「こ、怖いほうの姉さん……!?」
「……は?」
怖い方だと?
何を言ってるんだ、私は別に怖くないだろう!?
なんだ、この姿が悪いのか!?
普段からそんな事を考えていたのか、ブロリー!
私が青筋を立てていると、偽物がまた声を上げた。
「ブロリー、助けて!話し合いしたいのに、そこの“怖いほう“のお姉さんが、殴ってくるの!」
「え……」
ブロリーが私の方を責めるような目で見てくる。
「ブロリー!貴様、そんな偽物の言う事を聞くのか!戯けが!」
「で、でも……」
ブロリーがちらちらと偽物を見る。
「ブロリーっ、戦うにしても、話し合いしてからでいいよね……?いつも言ってるもんね?」
「え、あ……そ、そうだ。た、確かに」
ブロリーがまた私の方を責めるような目で見た。
「ふざけるなよ……!調子に乗るな鉄屑が!ブロリー、貴様も奴の戯言に流されるな!」
「お、落ち着いて、姉さん……!」
「落ち着け、だと!?私は落ち着いている!」
私は変じゃない。
おかしいのは偽物と、そんな偽物に流されているブロリーだ。
私が気を荒げると、偽物が媚びるような笑みを浮かべた。
「そ、そうですよ〜!落ち着きましょうよ、ね?大好きなプリンでも作ってあげますから、それでも食べて──
ブチンっと、頭の中で何かがキレた。
ビッグゲテスター、いや、ドクターAI……こいつの所為で、私は夜食禁止になっていたんだぞ?
こいつが食糧を盗む所為で私はサウザーに叱られたんだぞ?
分かっているのか?
いや、分かっていないのだろう。
やはり、機械に人の心は分からない。
「くっ、くくくくく!」
あまりの怒りに笑い声が漏れる。
そんな私を見て、ブロリーは困惑していた。
「ね、姉さん?」
「……もう、ここまでだッ!」
エネルギーを解放し、身体を満たす。
スパーク音が鳴り響き、空気が爆ぜる。
そして、私は偽物を睨みつける。
「決めたぞ!消耗など狙わん!ここで即座に、塵も残さず消し飛ばしてやる!」
「え、あっ、ちょっ……!?」
焦る偽物に対して、私は踏み込み──
「待って、姉さん!」
ブロリーが間に割り込んだ。
「なんの真似だ、ブロリー!退け!」
「姉さんはいつも言っていた……困った時は、まずは話し合いだって……戦うのは最後で良いって!」
「そうだ、だが違う!その理屈は人相手だからだ!そこに居るのは機械人形!鉄屑相手に交渉はせん!」
私が怒鳴ると、偽物がちょっと悲しそうな顔を浮かべた。
「……ヘ、ヘイトスピーチです……」
黙れ。
機械に人権などない。
「姉さん……っ!」
「うるさいぞ、ブロリー!二度は言わん、退け!」
「だめ、だ!」
ブロリーの横を通り過ぎようとすれば……ブロリーもそれを防ぐべく、合わせてくる。
「……チッ、良いだろう」
「姉さん……!」
私が諦めたと思ってか、ブロリーは少し安堵の表情を浮かべた。
だが──
「お前を力ずくで排除し、そこの鉄屑を蒸発させてやる!」
私はブロリーを押し除けようとして──
「っ、待って!」
「退け!」
「退かない!」
私とブロリーは両手で、倒し相撲のように掴み合った。
私が力を込めると同時に、ブロリーも力を解放していく。
くそっ、これが偽物の狙いか。
クウラ軍を内部から分断し、消耗させる。
その為にブロリーを嗾けたのか。
ブロリーの手を握り、捻り上げつつ……偽物を睨む。
「あ、あわわ、大変な事になっちゃいました……!」
ふざけた、見え見えの演技だ。
この状況を作り出した張本人が、慌てるような真似など。
「……姉さん、落ち、ついて……っ!話を……!」
「そいつをスクラップにした後なら、幾らでも話をしてやる!退け!」
「こ、の……ッ!」
瞬間、ブロリーがエネルギーを放出した。
いよいよ、本気で私を止めるつもりだ。
対して、私もエネルギーを解放する。
「ぎゃっ!」
空間が爆ぜて、偽物が吹っ飛んだ。
だが、そんな事を気にしている余裕は私にはなかった。
クウラちゃんTIPS
第五形態になると声と態度と性格と言動が厳つくなるらしい