TS転生クウラちゃんは平穏に生きたい   作:WhatSoon

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#8 無邪気な挑戦者

地球生活7日目。

滞在可能日数をすべて消化してしまった。

 

この1週間、ブルマに両替して貰った地球通貨10万ゼニーで地球のグルメを堪能していた。

彼女には感謝しなければならない。

 

しかし、まさかブルマと出会うとは。

彼女はドラゴンボール1話から登場している主要人物だ。

ドラゴンボールレーダーを作ったり、未知の宇宙船を解析したり……未来ではタイムマシンすら作る超天才。

それが科学者、ブルマ。

 

彼女と接触した所為で、原作の流れがおかしくならなければ良いが……ま、まぁ、ちょっと会話して、両替して貰っただけだから大丈夫だろう。

 

 

うん。

うーん?

 

まぁ、考えても仕方ない……よね?

うん。

 

 

思考を逸らそう。

現実逃避ともいう。

 

目の前にカレーがある。

良い匂いだ。

 

基本的に料理という概念は宇宙にもあり、ギニュー特戦隊がオヤツのチョコパフェ奢りを賭けてじゃんけんしているのを見た事もある。

だが、そんなチョコパフェを提供できるのは規模の大きいフリーザ軍だからこそで……そして、エリート戦士である彼等だからこそ提供されるのだ。

 

一般的な宇宙人達の料理は、地球よりレベルが低い。

というか地球が文明レベルに不相応なほど食にうるさい。

 

このカレーだって、地球でなければ食べられないだろう。

 

スプーンですくって、一口含む。

複雑な香辛料、突き抜けるような旨味。

 

 

「美味しい……」

 

 

涙が出そうだ。

 

カニの踊り食い──カニミソソースを添えて──つまり、何の調理もされていない生のカニなんかより100倍は美味しい。

 

 

「ごちそうさまー」

 

 

米一粒も残さず、綺麗に食べ終えた私は、レストランから出た。

 

 

「うん、食べた食べた」

 

 

そして、私は腕を組んで頷いた。

良い店、良いコックだった。

宇宙共通貨幣で1億ゼニー相当払うから、雇われてくれないかな。

 

でも、普通の地球人には宇宙の生活、キツ過ぎるか。

だって彼等、武器を持ってようやく戦闘力5ぐらいだもの。

現地民の攻撃、その余波を喰らっただけで、木っ端微塵に吹き飛んじゃう。

 

だから、仕方ないし諦めよう。

くそ〜、最低でも戦闘力100ぐらいあれば、無理矢理連れて行っても死なないのに。

 

 

「……いやいや」

 

 

宇宙海賊らしい思考になりかけていた。

まぁ、実際、私は宇宙海賊みたいな……いや、どっちかというと宇宙規模の地上げ屋か。

どちらにせよカタギではない極悪人だけど。

 

にしても、視線を感じる。

 

やっぱ肌の色が紫色なのは目立つかな。

心なしか、男の人からの視線が多い……けど。

何でだろう。

 

とにかく、あんまり目立つのも良くないし、お(いとま)させて頂こう。

 

 

そそくさと、路地裏に移動する。

人目がないことを確認し……直後、瞬間的に上昇した。

 

 

「よっ、と」

 

 

これぐらいの速度で飛べば、地球人には見えないでしょ。

 

 

目下、都の住人たちが豆粒に見えるほどの高さまで移動し、私は空中で足を組んだ。

浮遊したまま、少し頭をひねる。

 

 

「……そろそろ帰らないとなぁ」

 

 

手元のゼニーもあまり無くなってきたし。

遅れたらサウザーに叱られそうだし。

あとちょっとホームシックな感じだ。

 

旅行先が楽しくても、長期旅行だと家に帰りたくなる瞬間あるでしょ?

あんな感じ。

 

なんだかんだ、私はクウラ軍の奴らが嫌いではない。

昔は野蛮なサルにも劣るクズどもばかりだったけど、今は割と理知的で文化的な奴らだし。

うん。

 

コルド大王から引き継いだ部下の7割をブッ殺して、新しく別に引き入れて補充した結果だ。

もう殆ど、最初のメンツから入れ替わっちゃってるけど。

 

ため息を一つ吐いて、私は宇宙船ポッドがある場所まで飛行を始めた。

 

人通りが少なそうな荒野に宇宙船ポッドを置いていたが、念の為に更に岩陰に隠しておいたのだ。

これで見つからないだろう、と思っていたのだが──

 

 

……なんか居るな。

 

 

私の宇宙船の前に、3人……いや?

あれ、人じゃなくて犬っぽいのもいるな。

ちゃんとした人の形をしているのは、女ぐらいか。

 

 

「めんどくさ……」

 

 

急下降する。

 

 

コイツら、私の宇宙船ポッドに何やら機械を付着させて、調査しているみたいだな。

……というか、所々、分解されてるし。

眉間に皺を寄せながら、飛行に使用していたエネルギーを霧散させて、宇宙船ポッドの前へ重力に任せて落下する。

 

ズドン、と地面にヒビが入った。

 

 

「えっ」

 

「あっ」

 

「なっ」

 

 

3人とも、驚いたような顔で振り返った。

 

一人は……子供ぐらいの身長で、肌が水色の変なやつ。

あ、いや、肌の色については私も言えないか。

めちゃくちゃ不健康そうな色をしてるけど、私も同じだ。

 

二人目は……犬っぽい顔をしてる。

というか犬だろ。

動物型の地球人って奴かな?

忍者っぽい格好をしてる。

 

そして、三人目は……普通の女だな。

軍人っぽい格好をしてるけど。

結構かわいいかも。

 

……あれ?

見覚えあるな。

誰だっけ……原作にいた奴ら、だと思うけど。

 

 

「な、なにものだ!きさま!」

 

 

……う、うーん?

喉の「このへん」まで、来てるんだけどな。

誰だったかなぁ。

 

え、えーっと……。

 

 

「きっ……きさま!このピラフ様を無視するとはいい度胸だな!」

 

「あ、そっか」

 

 

そうだ、ピラフ大王だ。

思い出した。

ドラゴンボールの序盤に出てくる小悪党どもだ。

 

思い出してスッキリした私は、宇宙船ポッドを指差した。

 

 

「それ、私のなんだけど」

 

「なにぃ〜?そんなウソで、これを盗もうというのか!これは我々が拾った飛行船だぞ!」

 

 

飛行船じゃなくて、宇宙船だけど。

……あー、アレか。

この世界の地球人はまだ、宇宙開発が進んでないのだ。

単純に飛行能力がある飛行船だと思っているのだろう。

 

まぁ、そんな事はどうでもいい。

 

 

「元に戻してくれる?今すぐに」

 

「な、誰が貴様の言う事なんか──

 

「……あーもう、面倒くさいな」

 

 

面倒くさくなってきた私は、エネルギーを放出する。

身体から立ち上る気が、スパークを起こす。

そして、ピラフ一味に視線を戻した。

 

 

「いますぐ、元に、戻せ。分かる?」

 

 

大気が震えて、地面が割れる。

それと同時に、彼等も驚いたように後退した。

 

 

「ピ、ピラフ様……ちょ、ちょっと何か、まずくないですか?」

 

「う、うろたえるな、マイ!たたかうぞ!」

 

 

……弱過ぎて、相手との力量差が測れないのか。

私と彼らの間にある戦闘力の差に気付いていない。

 

相手の強さを感知するには、それなりの強さが必要なのだ。

 

 

「いくぞ!」

 

 

三人がホイポイカプセルのスイッチを入れて、地面に投げた。

 

 

「それいっ」

 

 

瞬間、そこそこ大きなマシンが3機あらわれた。

 

やっぱりホイポイカプセルって凄いなぁ。

宇宙に帰る前に、いくつか購入したかった。

……まぁ、現金が足りないから、碌なの買えないんだけど。

元々あった筈だったけど、全部食費にしちゃったしなぁ。

 

 

「い、いそげっ」

 

 

思考から戻ると、ピラフ達がマシンに乗ろうとよじ登っていた。

 

 

「…………」

 

 

今すぐ、エネルギー波を放ってブッ壊しても良いが、乗り込もうとしている彼等もまとめて殺してしまうな……なんて考えていたら、ピラフ一味はマシンに乗り込み終えていた。

 

 

『がはははは!怖かろう!これが我々の切り札、ピラフマシンだ!』

 

 

……自分のマシンに、自分の名前つけるんだ?

独特なセンスだ。

……と思ったが、私も惑星クウラとか何とか言ってるから同族か。

アレ、コルド一族特有の名付け方で、私のセンスがダサいって訳じゃない……と、思うけど。

 

なんて言い訳を脳内でぐるぐるしてると、ピラフマシンが両手を上げて威嚇のポーズを取ってきた。

 

 

『降参すれば許してやるぞ〜!ふははは!』

 

「なんで降参する必要があるの?」

 

 

自分より弱い相手に、降参しなければならない理由はない。

 

 

『ぬ、ぬぅ〜!マイ!やつを痛め付けてやれ!』

 

『え!?私ですか!?そんなの、ピラフ様がお手本見せてくださいよ!』

 

『うるさーい!やれったら、やれ!』

 

 

もう攻撃していいかな?

なんか意見が割れてるみたいで、中々動かないし。

 

 

『で、ではっ──』

 

 

私は即座に、軍服の女……マイが乗っているピラフマシンに接近した。

瞬間、ピラフマシンは腕を、私に向けて伸ばしてきたが──

 

私は、そのピラフマシンの腕を引きちぎった。

 

 

『『『は?』』』

 

 

腕を千切られてバランスを崩したピラフマシンがよろめく。

追撃で、その足を蹴り砕き、残っていた腕も引きちぎれば──

 

 

『ぎ、ぎええ〜っ!ピラフ様、助けてくださ〜い!』

 

『なに!?ま、待て!女!待つんだ!』

 

 

両手足のないピラフマシンの完成だ。

ついでにパイロットも引き摺り出しておこう。

 

 

『待て!待てって!』

 

 

手でコックピットのハッチを破壊し──

 

 

『待てと言ってるだろうに!』

 

「え、なに?」

 

 

コックピット部のドアを取り外そうとしていた私は、ピラフの方に視線を向けた。

 

 

『しめた、隙ありっ!』

 

 

直後、足蹴にしていたピラフマシンから、ミサイルが発射され……私に直撃した。

 

 

『が、がははは!どうだ、まいったか!がは、がははははは──

 

 

何故、避けなかったのか。

答えは単純だ。

 

 

『『『いっ!?』』』』

 

 

避ける必要がなかったからだ。

私は身体の……というか服の上から、エネルギーによるバリアを張ったのだ

単純なミサイル程度では、服に傷すらつけられない。

 

いや、バリア張らなくても私の肌は傷すら付かないけど。

服が焼けたり、砂埃付着したら嫌だからね。

 

私はため息を吐いて、3人に目を向けた。

 

 

「どうする?今すぐ、そのポッドから手を引くなら追撃しないけど」

 

『く、くぅ、くそ!なめるなよーっ!』

 

 

まだ破壊されていないピラフマシンが、私に襲いかかり──

 

 

 

 

2分後。

ピラフマシンはジャンク品になっていた。

 

 

 

私の目の前にいるのは、ボロボロになった三人組。

全員、コックピットから引き摺り出したのだ。

直接殴ったりはしてないが、引き摺り出す際に抵抗された所為でコックピット内に頭をぶつけたようだ。

まぁ、私がぶん殴ったら、手加減してても即死だし、殴る訳がないんだけど。

 

目線をピラフに戻す。

 

 

「で?ピラフだっけ?」

 

「だ、大王……」

 

 

足元で正座しているピラフ“大王”を見下ろす。

 

 

「ひっ。いや、な、な、なんでもない、です」

 

 

……別に睨んだ訳じゃないんだけど。

犬型地球人のシュウと、女のマイを一瞥する。

三者三様、怯えている。

 

 

「じゃあ、あの変な機械外して。分解した所も元に戻してくれる?」

 

「は、はい!今すぐに!」

 

 

逆らったら殺されるとでも思ってるんだろうな。

さっさと急いで、彼らは作業に取り掛かった。

 

うーん、殺すつもりはないんだけど。

少なくとも原作キャラを殺すと、大きな影響が出そうだし。

余程の悪事を働いてないと、殺しなんてしたくないし。

 

私は手頃な岩の上に腰掛ける。

 

ピラフが主導で変な機械の取り外しをやっている。

あと犬忍者のシュウも手伝っているようだが──

 

 

「これ、どれぐらいで終わる?」

 

 

私が訊くと、マイが背筋を伸ばした。

 

 

「い、3時間程ですっ!」

 

「え?そんなに?」

 

「すみません!1時間で終わらせます!」

 

 

私とマイの会話を聞いて、シュウは青ざめていた。

 

しかし、そうなると暇だな。

宇宙船は使えないし、街に戻ったらコイツら絶対逃げるし。

この場から離れるのは拙い。

 

……情報収集、という名の世間話でもするか。

 

 

「三人はさ。こんな荒野まで、どうやって来たの?」

 

「え、あっ!?私ですか!」

 

「うん」

 

「車です!車で来ました!」

 

「へー、車か」

 

 

私は腕を組んで頷いた。

目の前では、軍服を着た女、マイが手でゴマを擦っている。

……この女、めちゃくちゃ卑屈な顔をしているが、容姿はけっこう可愛いな。

なんか続編とかあったらヒロインとかにされそうな感じある。

あ、でもブウ編後だと結構な年齢か。

ドラゴンボールで若返ったりすれば……って、うん?

何か、風を切る音が聞こえるな?

 

飛行機のようなジェット音はないし、ヘリコプターよりも速い。

 

立ち上がって、音のする方向へ目を向ける。

 

 

「ど、どうかなさいましたか……?」

 

 

マイの言葉を無視して、地面を踏み締める。

気を使った飛行能力か?

機械動力ではないし、鳥でもなさそうだ。

 

警戒していると──

 

その飛行物が目に映った。

 

 

黄色の雲……あれ?

もしかして、筋斗雲か?

 

 

そこから小さな影が落下して来て……私達の前に着地した。

それを見たピラフ一味が顔を青ざめた。

 

 

「げげっ!あ、あの小僧だ!」

 

「そんなバカな、何故ここに!?」

 

「今日は厄日かも……」

 

 

なんか酷い言いようだな。

私は着地して来た小さな影、男の子に視線を戻した。

 

 

「よっと……あれ?しってるやつと、しらねぇ奴がいっぞ?」

 

 

尖った黒髪に、橙色の道着。

胸と背中には亀のマーク。

うーん、会った事はないが、知ってる顔だ。

 

……私の背後で、ピラフ一味がコソコソと何か喋ってる。

 

 

「ふ、不意打ちするつもりが……」

 

「く、くそっ、道端にこんな『おたから』が落ちてたから……」

 

「ピラフ様が我慢していれば……」

 

「アホっ、人の所為にするなっ……!」

 

 

前言撤回。

コソコソと言えるほど小声ではない。

 

賑やかだなぁ、と思いつつため息を吐いた。

私は首の裏を掻いてから、道着を着た少年……この世界の主人公である、孫悟空に視線を戻した。

 

 

「何か用かな?」

 

「そいつらが、ドラゴンボールっちゅう球を持ってる筈なんだけど……おめぇ、知ってっか?」

 

「ドラゴンボール……?」

 

 

あ、もしかして。

私はピラフ大王達に視線を向けた。

 

 

「し、知らん!知らんったら、知らん!」

 

 

必死に首を振るピラフ大王に、孫悟空が視線を向けた。

 

 

「嘘吐け!占いババに教えてもらってんだ。おめぇらがドラゴンボールを持ってるって!」

 

「うらな……なんだ、それは言いがかりだぞ!」

 

「ははぁ?おめぇらまたドラゴンボールで悪いことしようとしてんだろ!だったら大人しく、オラにドラゴンボールを渡せ!」

 

「ぐ、ぐぬぬ……!」

 

 

私を挟んで色々言い合ってる二人に、どうすべきかなぁと腕を組む。

 

 

「あ、そ、そうだっ!」

 

 

直後、ピラフ大王が私に視線を向けた。

 

 

「わ、私めが負けたら、この機械を取り外せる人がいなくなります!あの小僧をやっつけてくださいませんか!?」

 

「……え?めんどくさ」

 

 

なんという面倒くさい提案をするんだ。

そもそも、私は原作に介入するつもりはないし、孫悟空とも関わるつもりはないんだが。

正直、こうやって会話するのも拙いし、今すぐ宇宙に帰りたいのだが。

 

 

「そこを、そこを何とか〜!」

 

 

……でも、ゴタゴタしてたら結局、宇宙に帰るのも遅くなるしなぁ。

サウザーに怒られたくないし。

 

……私は視線を孫悟空に戻した。

 

 

「えーっと、私が先に用事があるから待っててくれる?」

 

「え?それは、どれくれぇ掛かるんだ?」

 

「1時間って聞いたけど」

 

「えーっ!?オラそんなに待てねぇぞ?ウパも待ってっからさぁ」

 

 

ウパ……あー、なるほど。

ドラゴンボール集めの理由は、桃白白に殺されたウパの父親を蘇生するためか。

 

そういう時系列なのか、今は。

なんとなく知れたのは良かったが、干渉したくないんだよな。

 

 

「でも、私も急いでるから……ちょっと待って貰おうかな」

 

「そりゃ困るよ!みんな待たせて──

 

 

私は孫悟空の背後に高速移動し、抱き抱えた。

わ、子供って軽いな。

 

 

「いっ!?」

 

 

耳元に口を近づけて、囁く。

 

 

「お願い。聞いてくれるかな?」

 

 

こういう時は力で意見を押し通すに限る。

……あー、コルド一族の価値観に毒されてる気がする。

めんどくさくなったら力で解決しようとするのは、私の悪癖だ。

 

 

「ぐ、ぎぎ……」

 

 

悟空が身体を捻って抜けようとするが、全く動かない。

それどころか、苦しそうな声をあげている。

 

 

「あ、ごめん」

 

 

……ちょっと力を加えすぎたみたいだ。

あれだな、小動物を大の大人は抱きしめたら、力を込める込めないに拘らず危ないよ、って感じ。

 

即座に手を離して、悟空を地面に転がした。

 

 

「お、おめぇ……すっげぇ、速ぇな……!?」

 

「まぁね。今の地球だったら、一番速いと思うよ」

 

 

うん。

この時代の実力者って、亀仙人とか神様ぐらいだろうし。

私に比べれば、全然だ。

 

 

「……へ、へへっ、すげぇ奴がいたもんだな」

 

 

素直だな。

この頃の孫悟空は、特に純粋だ。

 

私が関わるべきではないんだろうけど……ちょっと、お節介を焼きたくなる。

だって、子供だもん。

子供って可愛いよね……いや、母性本能とかじゃなくて。

 

ほら、子犬とか子猫とか可愛いでしょ?

そういう感情だから。

 

しかし、どうするかな。

ピラフ大王がドラゴンボールを素直に渡せば即解決なんだけど、コイツら抵抗するだろうし。

それで宇宙に帰るの遅れたら、私がサウザーに叱られちゃうし。

 

かといって、無理矢理ドラゴンボールを没収するのも……コイツらが真面目に仕事しなくなる可能性あるし。

 

どっちもの意見を尊重するなら……。

 

 

「うん、いいこと思いついた」

 

「ん?」

 

 

私は孫悟空の前に立つ。

両手を組んで、仁王立ちの姿勢だ。

 

 

「私と手合わせしよっか」

 

「手合わせ?」

 

「君が勝ったら、今すぐそっちの用事を済ませていいし。私に勝てなかったら、このまま1時間は待って貰おうか」

 

 

そう提案する。

 

孫悟空が急いでる理由は、仲間を待たせたくないからだ。

別に、今すぐ帰らないと死ぬって訳じゃないんだし──というか死んでるのを生き返らせるってだけだし──待たせるのは別に構わないでしょ。

 

だから、彼にとって、より魅力的な提案をする。

 

孫悟空……いや、カカロット。

彼はサイヤ人だ。

強い相手と戦う事に喜びを見出す、戦闘民族。

 

だから、この提案を──

 

 

「いいよっ……オラが勝てば、いいんだな?」

 

「うん」

 

 

断る訳がないんだよなぁ。

我ながら名案だ。

 

 

「……そういや、おめぇ名前は?オラ、孫悟空だ」

 

「ん?私?私は……うん、クウラだよ」

 

 

孫悟空が私の前で構えを取った。

 

 

「……よーっし、いっちょやってみっか」

 

 

そして、私に向かって踏み込んだ。

 

 

 




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