嘘彼氏の彼と本当の幸せを掴むまで   作:type-eclipse

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書きため分は少ないです。

執筆及び投稿フォームの機能確認しながら頑張ってます。


嘘告白をするに至る経緯

 

 私は男の人が怖い。

 

 そして今では、同世代の女の子も恐怖の対象だった。

 

 きっかけその物は多分ありふれている理由。周りの女の子達よりも二次性徴が早く始まり、だからなのか同世代より胸がやお尻が膨らみ始めるのが早かった事だった。

 

 身長は今も昔も平均的な癖に、中学生になる頃には同年代で頭一つ抜けて発育が良かった私は、性という物を意識し始める周囲の男子達から胸やお尻、脚といった部分をジロジロと見られる事が日を追う毎に増えていった。

 

 その頃から沢山の人に告白される様になったけれど、どれ一つとして受けようとは思えなかった。だれも彼もが私の目を見るより胸とかにばかりに視線が向かっているのが分かりやすかったから。

 

 私には、少女漫画に夢見たキラキラとした告白イベントが与えられないんだなということに、悲しいを通り越して虚しささえあった。

 

 それだけならまだしも、友達とお出かけすれば道行く大人の男性ですら私をそういう目で見てくる。一人で電車に乗った時など、わざと身体を押し付けてきたり直接的な痴漢行為をされる事も珍しく無かった。

 

 そんな日々でも引きこもったりせずにいられたのは、中一の時に出会った親友と呼べる秋葉ちゃんのおかげだった。

 

 秋葉ちゃんは所謂強い女の子で、クラスの女子達のリーダー的存在だった。背は在学中バスケ部やバレー部から勧誘が絶えなかった程高く、背筋はピンとして凜々しい雰囲気を漂わせ、癖の無い黒髪をなびかせて歩く姿は同性ですら見惚れるほど格好いい。

 

 1年生の時に偶々席が近かった為に仲良くなれたのは本当に幸運だったと思う。

 

 秋葉ちゃんを中心とする女子グループと仲良くしていたおかげで、多少嫌な事はありつつも、概ね平穏で楽しい中学時代を過ごす事が出来た。

 

 残念ながら高校は別となってしまったが、今でも頻繁にメッセージのやり取りは続いている。

 

 そんな中学時代において一つの学びを得たつもりでいた。

 

 ーークラスの中心となる女子グループでリーダーの女の子と仲良くなれば、近寄ってくる男性は減る。

 

 私が男性から狙われ易いのは容姿もそうだか、大人しい性格で押せばイケそうと思われるからだ。リーダー的女子を中心として複数人で纏まっていれば、声をかけるハードルはぐっと高くなる。

 

 そうして私は入学してすぐクラスで最も派手な金髪ギャル(我が校は勉強さえしていれば髪を染める位はスルーするというスタンスだった)の平良さんに近づいた。

 

 ーー今にして思えば、これが全ての失敗だった。

 

 中学時代に秋葉ちゃんという親友を得てしまった為に、同世代の女子に対する警戒心というものが私には薄かった。

 

 女の敵は同じ女。よく聞くその言葉の意味を、わたしは身を以て知ることになる。

 

 

 6月も半ばを過ぎた放課後。グループの中で部活に入っていない女子が集まってお喋りをしていた時。

 

「そういえば最近サクはさぁ」

「? どうしたの平良さん?」

 

 他のクラスメイトが教室からいなくなったタイミングで、平良さんがネイルをいじりながら私を呼ぶ。クラストップのカーストの中でも明確な格差は存在する。上は下を渾名で呼び、下は上をさん付けで呼ぶといった具合に。

 

「ちょっと調子乗ってるよねぇ?」

「えっ……?」

 

 ぞくりと、背中を冷たい何かが走った。

 

 さっきまで楽しそうにお喋りをしていたのに、平良さんのその一言で空気ががらりと変わっていた。

 

「優真とか坂田とかに媚びてさぁ、ずぅぅっとチヤホヤされてんの。アレさ、アタシすっごく不快なんだよね」

「わ、私は媚びてなん「は?」ーーっ!」

 

 弁解しようとしたら、平良さんは目を鋭くして首を傾げる。たったそれだけの事で言葉出かけた言葉を引っ込んだ。

 

 石神優真君と、坂田慎一君は私達のグループにいる男子だった。中学の時は秋葉ちゃんを中心として女子だけのグループだつたけど、今私がいるのはクラスの男女で人気のある人達が固まった物だった。

 

 その中で、サッカー部とバスケ部でそれぞれ1年生にも関わらず早くもレギュラー入りした石神君や坂田君は、容姿の良さもあって女子から人気があった。

 

 例に漏れず平良さんも石神君に好意を持っていて、皆で一緒に遊ぶようになってすぐ下の名前で呼び始めている。

 

 そんな石神君達が、私にアプローチしている事が心底気に食わないのだろう。私が男性か苦手で、普段から角が立たないように距離を取ろうとしているのは知っているはずなのに、そんな物は彼女には関係無かった。

 

 彼女にとって、自分が1番でないことはそれだけで許されざる事なのだから。

 

「そのえっろい身体でさぁ、男共を誑かしてんの。カッコ悪いって思わないわけ? 正直一緒にいて恥ずかしいんだよね。アヤもそう思わない?」

「えっ? そ、そうだね。私もちょっとどうかと思ってて……」

「そーだよねぇ! ほら、みんなサクのそういうとこ良くないって思ってるんだよ?」

 

 この場にいるもう1人、綾香ちゃんは平良さんに合わせて私を責め始めた。それを残念だとは思わない。平良さんの機嫌が最悪なのは誰の目にも明らかで、クラスの女王様に逆らう事は、今後の学校生活がろくでもない事になるのは想像するまでもないから。

 

 今のところクラスでイジメみたいな事は起こっていないけど、聞いた噂では平良さんが中学の時、自分と衝突した女子生徒を不登校になるまで追い込んだという話もあった。

 

「わ、私は……そんなつもりは……」

「ないって? 結果的そうなってんだから一緒だっつーの」

 

 どうすれば良いのか。そういった事に対処する経験の無かった私には、思考がぐるぐる堂々巡りするばかりだった。

 

「そぉーだいいこと考えた! サク! アンタが優真や石神の事なんとも思ってないんならさぁーー」

 

 口角を吊り上げながら、心底楽しげに平良さんは言う。

 

「ーー今すぐ適当な男引っ掛けて彼氏作んなさいよ。そのやらしい身体使えば簡単でしょ? 中途半端に期待持たせてたら男子達みんなかわいそうだし、アンタに彼氏ができればきっとみんな諦めるじゃん!」

「そんな……」

「なに? なんか文句でもあるの?」

 

 楽しげにしていた平良さんの顔が一瞬で無に戻る。

 

 私に、拒否権なんてありはしなかった。

 

 

 

 

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