カール・フリッツ一代記 ーBefore the Wallー   作:allkeybeadeath

11 / 12
第11話 攻城戦 (1)

 

 

 

 

 

 

攻城戦が続いた。

 

義弟がカール・フリッツの司令部を訪れた。

兵士の支持と師匠の信頼により軍権はカール・フリッツが握っていたが、君主の権限で義弟アウレル2世は軍権を奪おうとしていた。

彼は不満を募らせて語った。

 

「最前線で兵士たちが無残に虐殺されている!

カール・フリッツ、どうやって要塞を攻略するつもりだ?」

「塹壕がもう少し進めば迫撃砲を配置できる。

迫撃砲が配置されれば要塞は陥落したものと同じだ」

「獣家の援軍が今もここへ向かって進軍していることを忘れたのか?

彼らが来れば我々は終わりだ!

「獣と車力、二つの家門に包囲される。」

「彼らは皇帝との戦いで軍を召集するのにさえ長い時間がかかるはずだ。

断言するが、この要塞が陥落するまで彼らはここに来られない。」

 

アウレルはチッ、と音を立てて不安感を示した。

最前線で犠牲になった兵士の数はすでに五千だ。

長い包囲戦で兵士たちはあらゆる病に苦しんでいた。

 

それだけでなく、昨冬の行軍中にも多くの兵士が補給不足と天候で死んでいった。

いつもそうだった。

前回の戦闘でも軍勢の2割が犠牲になったが、カール・フリッツは顎家の兵士たちを躊躇なく死地に突き落とした。

 

「兵士たちが君に従うからといって勘違いしているようだが、この軍隊を育てたのは君ではない。

我が家、私の父が育てた軍隊だ。

それをただ君の保護のために使っているのだ」

「アウレル、私は約束したはずだ。

君にローゼ王国を捧げると。

その話を聞いてついてきたのではないのか?」

「毎日司令部に座って望遠鏡で眺めているから分からないだろうが、私は最前線の恐ろしい光景を見てきた。

兵士たちの四肢が散弾と爆弾で引き裂かれるあの光景を······。

王国の要塞は軽々しく挑める相手ではないのだ!

何とか敵を誘い出して、包囲網で決着をつけるべきだった。」

「同感だ。

我々が相手しているのは難攻不落の要塞だ。」

 

カール・フリッツは義弟を見つめた。

 

「だから容易な道を選ぶべきだ。

顎の巨人を兵士たちと共に投入する。

義弟よ、お前が巨人化して敵砲兵隊を攻撃すれば、我々はより容易に城壁に接近できる。」

「何だと?」

 

アウレルは深刻な表情だった。

 

「俺に今あの地獄図に飛び込めと?

俺は一国の君主だ!

砲弾と銃弾が雨あられと降るあの場所に飛び込めと?

これは野戦とは違う。

瞬く間に敵の注意は俺の方へ引きつけられるだろう······。」

「だからこそ、たった一度の決定的な一撃にかかっている。

時が来れば我々は城壁への総攻撃を実施する。

まず敵の視線を分散させるために」

 

カール・フリッツは地図に手を置いた。

 

「ここ、ここ、ここ、三方向から攻勢をかける。

もちろん陽動だ。

主攻は別に用意している。

ここで君は巨人化して敵の砲撃を無力化させ、その後撤退する。

突撃隊はその隙に城壁を登る。

今、お前が動かなければ、数百、数千の兵士がさらに犠牲になるだろう。」

「ちくしょう······。」

「恐れているのか?」

「お前が車力の巨人を継いでいれば、攻城戦はもっと楽だっただろう。」

今は君の言う通りにするが、状況が危急となれば車力の巨人は我々が奪い取る。」

 

アウレル2世は司令部の幕舎を出て、鉄格子の中のクラウス公爵を見つめた。

クラウスは完全に戦意を失っていた。

自分の兄が目の前の要塞内にいるにもかかわらず、彼は王国が敗北すると悟っていた。

 

この時、アウレル2世公爵に従う軍勢は少数だった。

わずか5千の精鋭部隊は彼の父アウレルと共に戦場を駆け巡ったが、この兵士たちは依然としてアウレル2世に高い忠誠を示していた。

しかし他の部隊は、カール・フリッツをユミルの末裔として神話上の偶像のように崇めていた。

彼らはアウレル2世よりもカール・フリッツに忠誠を誓っていた。

 

数日後、総攻撃が開始された。

塹壕の最前線で再び突撃が始まった。

歩兵たちは味方の死体を乗り越えながら駆け抜けた。

彼らに向けて王国砲兵隊の一斉射撃が一度あった。

その隙にアウレルは城壁近くで巨人化した。

顎の巨人へと変身したアウレルは城壁を軽々と飛び越えた。

城壁上の砲兵隊が叫んだ。

 

「くそっ、顎だ!」

「早く装填しろ!」

 

彼らに装填する隙を与えずに、顎の巨人は城壁上を駆け抜けた。

砲が城壁の下へ次々と倒れた。

兵士たちは爪に裂き裂かれた。

襲撃は成功した。

他の三方向からの攻撃が同時に行われ、そちらに敵の注意が逸らされていた。

 

顎の巨人が後退し、その隙に前進してきた兵士たちは梯子をかけ、要塞に登った。

城壁上の兵士たちは互いに銃剣とカールをぶつけ合い、白兵戦を始めた。

そして一人の騎手がその上に立ち、顎家の旗を翻した。

 

「奇襲成功です!

フリッツ公爵!」

「伯爵に兵士を指揮してあの方向へ総攻撃を開始するよう伝えよ」

 

その方面に配置されたヴェルナー伯爵の師団が全員塹壕から出て進軍した。

味方の砲撃が続く中、兵士たちは突撃の雄叫び、太鼓の音と共に突撃した。

要塞から敵軍が彼らに向けて弾丸を放ったが、突撃隊は整然と停止して彼らに向けて応射した。

部隊が塹壕間を移動しながら次々と激戦地に投入された。

ついに攻城戦が終わろうとしているように見えた。

 

その時、カール・フリッツと軍隊の目に映ったのは、驚愕を禁じ得ない光景だった。

 

白兵戦が繰り広げられる要塞の方で、幾度かの稲妻が走った。

 

要塞の向こうから無数の巨人が姿を現した。

 

「こんな場所に無数の巨人が……!」

 

突撃隊を率いるヴェルナー伯爵は驚愕した。

要塞の壁の向こうで稲妻が閃き続け、そうして十、いや二十九体もの巨人が白兵戦が繰り広げられる要塞の向こうに立った。

 

巨人たちは手で両軍の兵士を掴み上げた。

彼らはグチャグチャと兵士たちの肉体を噛み砕いた。

この時から味方と敵の区別は意味をなさなかった。

味方と敵軍は巨人の出現に共に逃げ出した。

一人の兵士が要塞の上から転落して転がったが、その上に味方と敵軍が一斉に飛び降りた。

 

兵士たちは要塞の前後で押し潰され、押し潰されなかった者は巨人の餌食となった。

頭部が引き裂かれ、死体の山が城壁に生じた。

 

「なるほど。

最後の手段を使ったな」

カール・フリッツが言った。

「敵が我々の捕虜を巨人化したのか」

ヨゼフ・アッカーマンが言った。

「そうだ。

彼らもこの突撃は到底防げないと判断したのだ。

巨人化薬物を味方の捕虜たちに注入したのだろう」

「これでは到底要塞を突破する方法がありません!

巨人たちが溢れかえっているのですから」

「いや。

言い換えればこれは好機だ。

無具の巨人は奴らにとっても障害物だからな」

 

ヨゼフはカール・フリッツの言葉に驚いた。

 

「敵は今や無具の巨人がいる側には砲兵も歩兵も配置できなくなる。

あの巨人たちさえ倒せば要塞を簡単に越えられる!

そうすれば我々の勝利だ」

「とんでもない!

どれほど多くの捕虜が要塞にいるか分かりません。

敵がまた巨人化させたら······。」

「いや。

これ以上無具の巨人を作ることは敵にとっても自滅だ。

巨人は要塞内の自分たちまでも喰い尽くすだろうからな。

敵国の王の名前はディーターだったか?

小賢しい真似をしたものだ。」

 

カール・フリッツは地図を指さしながら言った。

 

「巨人が活動できない夜になれば、迫撃砲を前進させて巨人側に向けて集中砲撃する。

その後、擲弾兵を配置して手榴弾で倒れた巨人たちを処理する。

そうすれば巨人は全滅するだろう。」

「迫撃砲を前進させるには塹壕をもっと掘らねばなりませんね。」

「我々に時間はまだたっぷり残っている。

おおよそ四日……

四日後、迫撃砲の射程内に要塞が入る。

四日で首都は我々のものとなる。」

 

「ご報告します!」

その時、幕舎に入ってきた伝令が言った。

彼は偵察部隊からの知らせを持ってきた。

「何事だ?」

「獣家の軍隊が港に上陸しました。」

ここからわずか120kmの地点に大軍が集結しています」

 

『上陸だと!』

カール・フリッツは背筋が凍った。

 

カール・フリッツは獣家の軍隊がここに到達しないと考えていた。

しかしそれは彼らが陸路で来る場合に限った話だった。

海路で来るなら話は別だ。

 

「だが彼らの軍を上陸させるには海軍が必要だ!

私の知る限り、獣家には海軍はないはずだが……。」

「超大家の赤の公爵です……

彼らの戦艦が獣家の軍を乗せてここへ来たのです。」

 

『赤の公爵、またあの野郎か……』

 

カール・フリッツは超大型家についてよく知っていた。

彼らはエルディア帝国最強の陸軍を保有しているだけでなく、植民地戦争のための海軍も強力だった。

 

『おそらく港には数十隻の戦列艦が集結しているだろう……

ちくしょう、なぜ海軍を考えなかったんだ!』

 

偵察部隊によれば、その数は概算でカール・フリッツが率いてきた軍隊の半分以上と把握されていた。

もし獣家の軍隊と要塞の軍隊が連合すれば、到底敵わない。

しかも敵には獣の巨人までいるではないか。

 

「それだけでなく、獣家の軍の一部は我々の公国、顎家の領地に向かって進撃しています……」

「撤退せねば!」

義弟アウレルが言った。

「この侵攻は失敗だ!

急いで戻り、我々の首都を守らねばならない!

カール・フリッツ、お前から軍権を剥奪する。

今後は私が全軍を指揮する」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。