エクシリアmore -過ちを犯したからこそ足掻くRPG-   作:あんだるしあ(活動終了)

59 / 59
エピローグ 手紙(後)

 最後に署名して……よし、できた。

 

 ちょうどトリグラフ行きの列車がホームに滑り込んだ。うん、タイミングはばっちし。

 ワタシは立ち上がったんだけど、ウィンガルはそうしない。どうしたのかしら。

 

「黒き片翼が鉄くずの塊に恐れを成した?」

「――――」

 

 睨まなくてもいいじゃない。

 

 少しだけ広がった青空へ、シルフモドキをもう一度放してから、ワタシたちは列車へと乗り込んだ。

 

 

 

 

  アルフレド・ヴィント・スヴェント様

 

  ***

 

  20年間、本当にお疲れ様。ずっと独りで、誰にも弱音を吐かないで、ここまでよく頑張ったね。アルはエライ。ユティが保証する。きっとレティシャおばさまもそう言ってあげたかったって断言する。

 

  セルシウスに会った時に伝えておくね。アルのありがとうの気持ち。

 

  ジランドおじさまを目指すアル、カッコイイよ。きっとその内、女の人がほっとかないイイオトコになるんでしょうね。この分だとプレザとの復縁も夢じゃないんじゃないかしら。

 

  でもね、ずっとずっと、ユティが一番アルを大好きよ。ユティのもう一人のとーさまで、一番の友達で、大切な家族。

 

 

 

 

  イバル様

 

  ***

 

  今だから言うけど、アナタの活躍はユティにとって最大のイレギュラーだったわ。叔父貴もフェイ姉もそうだったはずよ。

 

  ユティたちがいた「旧世界」で、アナタは端役がせいぜいだった。それが自分の意思で村を出て、ずーっと最後まで叔父貴のパーティから外れないで、世界の変わる瞬間に立ち会ったんだもの。しかもアルとエリーの真ん中で三兄妹みたくなってるし。

 

  ワタシもイスラに働きかけて歴史を変えようとしたけど、イバルはそれ以上だったわ。いい意味でも悪い意味でも。

 

  うん。そんなアナタだから、『あの』ミラの巫子が務まったんでしょうね。さすがは意思の賢者クルスニクの末裔。ミラに関してはイバルの意思力が勝因だった。

 

  精霊の命は人の祈りによって支えられる。離れていても、逢えなくても、アナタのその信仰心はとこしえに『ミラ=マクスウェル』を生かし、守るのでしょう。息吹を感じるというなら、ミラは確かにアナタの祈りに応えているんだと思うわ。

 

  弛まぬ意思と情熱を懐く、不屈の巫子。アナタと同じクルスニクの血の下に産まれたことを、一族の娘として誇りに思います。

 

 

 

 

  エリーゼ・ルタス様

 

  ***

 

  イスラが心配するのは当然。だってアナタはオンナノコなんだから。まだ言えないけど、女のカラダはイロイロめんどくさい。イスラはその辺詳しいから、レクチャーしてもらうといい。

 

  ジャオは……うん、子離れさせるべきかも。ワタシもフォローできない。四象刃(フォーヴ)の良心であるプレザが呆れてたくらいだもの。ちゃんと仕事してるからまだいいけど。隙あらばエリーゼが入学する時に撮った写真見てる。そう、アレ。

 

  君影草の簪、まだ使ってる? 叔父貴に聞いたの。君影草の花言葉。

  アナタに幸福が帰ったのは、アナタが幸福を取り戻す選択をし続けたから。自覚しにくいと思うけど、クルスニクのワタシから見れば、そういうコトなのよ。

  ヴィクトルのこと、ハ・ミル村のこと、ニ・アケリア村のこと、イバルのこと、イスラのこと、断界殻(シェル)のこと、全ての選択を積み重ねて今のエリーゼが在る。

 

  これからもドロッセルやイバルと仲良くして、幸せに暮らしてください。

 

 

 

 

  イスラ・キタル様

 

  ***

 

  結婚おめでとう。ユルゲンスとならきっと幸せに歳を取っていける。

  招待してくれればよかったのに。見たかった、ユルゲンスの隣にいるアナタの花嫁姿。

 

  ……アナタの過去をユルゲンスにバラした時は、ユルゲンスがアナタを見捨てるはずがない、って確信してたけど、今思い返すとイスラの危惧も分かる。あの時は軽はずみな真似をしてごめんなさい。

 

  せっかくの新婚なのに、イスラの志は堅苦しい。ちょっとくらいユルゲンスとのハネムーンを楽しんでも罰は当たらないんじゃないかしら。ユルゲンスがイスラを愛してるなら尚更。

  確かにユルゲンスはアナタのものになったけど、アナタだってユルゲンスのものになったんだから。

 

  アナタは若い。時間はまだある。ゆっくりで大丈夫だから、今度こそまっすぐ歩いて行って。

 

 

 

 

  ローエン・J・イルベルト様

 

  ***

 

  遅くなったけど、宰相就任オメデトウ。やっぱりどのローエンも、「王様」の横にいるのが似合うわね。――こっちの話だから気にしなくていいけど。

 

  これからエレンピオスとリーゼ・マクシアとの国交はダンゼン増える。王様が二人いるこの『新世界』のリーゼ・マクシアをまとめるのは、きっとアナタの役目。スペシャルヒントだけど、マルシア首相はブラッドベリの著書がスキなんですって。

 

  でも、ご主人様につられて無理しすぎないこと。アナタはおじいちゃんなんだってこと、自覚してよ?

 

 

 

 

  クレイン・K・シャール様

 

  ***

 

  アナタを王として迎えられて、ラ・シュガルの民はきっとようやく安心できたと思います。

 

  重くて潰れそうだって言うけれど、ダイジョウブ。アナタにはローエンもガイアスもいる。辛かったらいつだって話しに行けばいいと思うわ。きっとどちらも拒まないから。

 

  それと、ちょっとした重大報告。

  ボスは知ってることだけど、ビズリー社長はワタシの祖父でもありまして。会社に行くと若い頃のとーさまがいるわけでして。来年にもなればきっと、とーさまの弟である『新世界の正史のヴィクトル』と堂々と会えるようになるわけでして。

 

  だからって勢いで飛び出さないでね、ラ・シュガル新王陛下?

  あくまで会えるのはヴィクトル――ルドガーだけで、フェイ姉も新世界に「居る」とは限らない。フェイ姉自身はそもそも分史出身者なんだから。その辺はボスと裏を取ってまた連絡する。

 

 

 

 

  ジランドール・ユル・スヴェント様

 

  ***

 

  お手紙ありがとう。正直、ボスからお返事来ると思ってなかったので驚いてる。

 

  お仕事忙しいのね。大丈夫? ちゃんと食べて寝てる?

  セルシウス、ボスがムリしすぎないように見張ってあげてね。ボスがダウンしたらワタシ、お世話に行くから。これでもちゃんと炊事洗濯はできるの、知ってるでしょ。

 

  ボスも、焦らないで。断界殻(シェル)が開放された今、エレンピオスの崩壊は今日明日の話じゃなくなった。おじさまは旧世界の発明者と違って、もう『証』が何かを知ってる。ダイジョウブ。絶対、ダイジョウブ。

 

  ――ワタシの始まりはアナタでした。アナタがワタシを信じてアルクノアに置いてくれたから、今のワタシがあって、今日、世界が在ります。

 

 

  生きる意味を無くしたワタシを生かしてくれてありがとう。

 

 

  この世界を救ってくれて、ありがとう。

 

 

 

                            From Mace, Eustia Lacey




 これにて「エクシリアmore-過ちを犯したからこそ足掻くRPG-」をおしまいとさせていただきます。

 オリ主ものから派生の上にパーティもラスボスも大きくいじって最後なんかもはや原型を留めてないに等しいストーリーにお付き合いくださってありがとうございました。

 手慰みのはずが、何をトチ狂ったか載せてしまい連載にしてしまい。いやあ穴があったら入りたいって感じですねアハハハ。

 最後のユースティアの「この世界を救ってくれて、ありがとう」は、ジランドだけでなく仲間全員、そして消滅したヴィクトルとフェイに向けての言葉でもあります。
 この後、ユースティアはもう少しだけがんばらねばならないのですが、その物語がどうなるかの構想もあったりするのですが、やはりこの先は読者様方に委ねます。

 最後に。
 ここまでお読みくださった全ての方に、ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。