とりあえず絶望しかないアークナイツ世界を救ってついでに大多数の人間の脳みそをこんがり焼く主人公が見たかった。
クッソネタバレあるので注意が必要です。ネタバレとか気にしないよーって人は気にせず見てください。
テラという惑星において希望と呼ばれるものは存在していない。
テラの大地の北、そこにはウルサス帝国とサーミが存在しその最北端では悪魔が日夜襲い来る地獄が生まれている。果てなき氷原──インフィ氷原からやってくる奴らはサーミではサーミフィヨドがウルサスではウェンディゴの末裔と皇帝の利刃が現在押しとどめている。しかし、悪魔は穢れを撒き散らしながらあらゆる生命を奪い仲間を増やし恐怖によって力を増し世界を黒く塗りつぶす。そしていつしか世界は悪魔によって呑まれるかもしれない。
テラの大地の南、そこには海が広がっている。そして海では海の怪物、恐魚またはシーボーンと呼ばれる『生存』のために『進化』を繰り返すそれらが犇めいている。彼らは驚異的なスピードで進化しいつしか陸へ進出し何処までも進化を果たすだろう。そこに人がいるかは定かではない。
これは一部に過ぎずテラの各地にはテラの大地に住まう人々を滅亡へと誘う存在が犇めいている。
故にテラに希望というものは存在していない。だがそれを知らない多くのものがそれらに対抗しようと足掻きもがいた。
だがしかし、救済は訪れない。数多の世界線を観測した救済を願うコータスの魔王ですらその道を見つける事は出来ずにいる。
故にテラという大地に希望は存在していない。
───はずだった。
だが希望は生まれた。希望はやって来た。
これから始まるのは希望がテラという大地に光をもたらす物語。多くの人々を救うハッピーエンドだ。
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その日、作戦部の部門長で、代表のアーミヤ・医療を統括するケルシーと共に3トップ体制を築く重役であるドクターは酷く狼狽していた。
その原因は現在ドクターの目の前に辞表と書かれた封筒を差し出している青年にあった。
「い、いったいどういう事だい?メタトロン」
震える声でドクターは理解したくないとでも言うように尋ねる。
それに対してメタトロンは特に感情も込めていないような声で返す。
「ど言うことも何も辞表ですよ」
「……理由を聞いても良いかい?」
「前から言っている私の自論は知っていますよね?」
メタトロンの自論。それは良く彼が口にしている言葉で強大な力を持っているからこその言葉。
「『施すだけでは人は怠惰に落ち腐敗しいつしか立つ事を忘れ滅びゆく。1つに頼った世界はその1つが消えただけで滅ぶ』だったかな」
「ええ、ええ。その通りです。……にも関わらず今の私のロドスにおける活動状況を知らぬわけでは無いでしょう?」
それを聞いた瞬間にドクターは彼にとってひいてはロドスやそこに在籍する人々にとって様々な意味でまずい事態になってしまったとそのマスクに覆われた顔に冷や汗を書き始める。
「
ロドスとは企業である、本来ならば一人で企業1つの業務の2割を達成する事は不可能である。しかし、分身したり自身を加速させたりなどすればメタトロンにとっては容易な事だ。なんなら10割を肩代わりし企業の乗っ取りすらできるだろう。
しかし、そんな事はしない。先程彼が言った通りメタトロンの自論があるからこそ。にも関わらず既に彼はロドスの2割もの業務をこなしている。
メタトロンは能力が高くそれ故に頼られる事も多い。頼ること自体はメタトロンも度が過ぎなければ受けいる、なんなら自分から率先して動く事も多い。だがしかし、ロドスの人員は頼り過ぎたのだ。
ロドス自体は起業からまだ数年程度でしかも事業が不治の病と呼ばれる
故に端的に言ってしまえば人が常に足りていない。負担が社員にかかりやすいというのは自明だろう。
その皺寄せが無意識のうちに優秀な彼に集中してしまった。そして彼の許容出来る心のボーダーを突破してしまった。過剰な施しは彼の信念に反するが故に。
「そういう訳ですのでこの度私はロドスを退職させていただきます。では……」
言うべきことは言ったという態度で彼はその場を後にした。そこに残されたのはあまりのショックに動きを止めたドクターだけだった。
しばらくしてハッと動き出したドクターの動きは早かった。
「ロドス艦内の全職員にドクターから緊急連絡。オペレーター「メタトロン」を退職届を提出。至急、メタトロンを私の執務室に連行するように」
そう言うと手元のタブレットを起動し初める。その画面には艦内を歩くメタトロンの姿が映っていた。
「メタトロン、君は少々救いすぎた。絶対に逃がさない」
そう呟いたドクターの瞳には昏い炎が宿っていた。
先程ドクターに辞表を叩きつけたメタトロンはロドス本艦内に作っていた秘密の部屋で自分の玉座でぐでーっとリラックスしながら騒がしくなったロドス艦内を玉座に繋がれたテレビ画面で見ていた。
辞表を提出したのにまだここにいるのか、それは単純な事だった。
「ちょっとした冗談なのに大袈裟ですね」
そう、ちょっとした冗談であった。あくまで彼にとってだが。
「貴方が居なくなるのなら妥当な反応だと思うのですが……」
そんな彼の横には少女が1人いた。
「そうかなぁ?」
「ええ、私も貴方が居なくなるなど考えたくもありません」
そう言うとコータスの少女は過去を振り返った。
もはや数えるのも億劫に成程の昔、彼女は
──強大な力を手に入れた
──数多の可能性を見た
──世界の真実に近付いた
だがそれでも
いつしか彼女は自らの庭園で膝を抱え縮こまる事が増えた。
幾つもの
幾つもの
幾つもの
幾つもの
だが──
──
希望はやってきた。
顔を上げれば知らない顔が立っていた。だけど彼女はすぐに気が付いた。彼女の知る姿では無かった、彼女の知るよりも神々しかった、彼女が知るよりもその手は暖かった。それでも彼女はすぐに気が付いた。
──ド、■■ー
彼は彼女が何時しか見つけた希望で、でも希望足りえなかった。でも彼はやって来た。傍観者を辞め、力を手に入れて彼女の元にやって来た。
彼のお陰で彼女は再び立ち上がった。彼女は彼女がもっとも欲していた
そして彼女の心を満たす愛を手に入れたのだ。
その時から彼女は片時も彼のそばを離れない。彼が居なくなるのは考えられない。彼を感じられなくなるのが耐えられない。彼の温もりからもう抜け出せない。彼に撫でられるのが好きになった。彼と言葉を交わすだけで幸せだ。彼の好きな事嫌いな事そういった彼の事を知れるだけで嬉しくなる。
もう彼が存在しないというのは彼女には考えられなくなった。
「……何処にも行かないですよね」
だから彼女は問い掛ける。きっと彼の答えは変わらないけど、それでも彼女は聞く。
「もちろんだよー」
だってその答えを聞く度に彼女は幸せを噛み締められるから。
そっとメタトロンに寄りかかった彼女は幸せそうにはにかんだ。
そこには
脳焼かれ用意その1
ドクター(︎︎ ♀)
記憶喪失でわけも分からない状況で優しくしてくれて導いてくれてなんでも解決してくれる凄い人である主人公にこんがりされた。
「絶対に逃がさない」
脳焼かれ用意その2
魔王アーミヤ
救済の為に数多の平行世界を巡ったり第三の壁を超えてドクター(プレイヤー)すら認識したのに救済を手に入れられなかったところにやって来て救済の方法を与えてくれて彼女の苦しみを知って手を差し伸ばしてくれた主人公に脳をこんがり焼かれた。
「いつまでもずっと一緒に」
多分次はケルシーの話しかな。