桃色の軌跡   作:逆襲

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気が付いたらルーキーランキングに載っていました。
ありがとうございます!


メタナイト&ミカ&ツルギでゴー!

「では、行くぞ!!」

 

メタナイトが叫ぶと同時に、背中のマントがぱっと広がり――

瞬く間に漆黒の翼へと変形した。

 

「わ、わーお……」

 

ミカは思わず口を開けたまま目を丸くする。

翼はコウモリのような形状だが、光を帯びていてどこか神秘的だ。

 

(なんか……ゲヘナの子みたいな羽だったなぁ……って、ちがうちがう!今はそんな場合じゃない!)

 

自分の感想に自分でツッコミを入れ、ミカは頭を振って邪念を振り払う。

 

「……どうかしたのか」

 

その様子を横で見ていたツルギが、銃を構えたまま問いかける。

 

「ううん、なんでもないよ☆」

ミカはにこっと笑い返し、空へ視線を戻した。

 

その上では――

メタナイトが光のように一気に飛翔していく。

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

一筋の雷がメタナイトへ襲いかかる。

だが彼は翼をわずかに傾けると、剣を閃かせてその雷を跳ね返した。

 

弾いた雷が雲の奥へ吸い込まれるように消える。

 

(上へ行くほど……ダークマターの気配が濃くなる…確実にクラッコを操っている者はいるはず…!)

 

雨脚は針のように鋭く、風は肌を切り裂くかのように強まっていく。

だがメタナイトはまるで空を泳ぐように、さらに高度を上げていった。

 

 

 

そして、ついに――

雲の“壁”の目の前に到達する。

 

どろり、とした分厚い雲が渦巻き、内部から不気味な光が脈動している。

その奥に“本体”がいる。

 

(さて……どこから来る?)

 

メタナイトは急停止し、雷雲の前で静止する。

剣を構え、気配を探る。

 

 

 

その瞬間――

 

背後から、雷鳴とともに殺気が走った。

 

「――そこか!!」

 

こちらに向かってきた雷を剣で弾く。

彼はその一点へ向かって真っ直ぐ突進し、身体の前で剣を水平に構えた。

 

 

「奥義――マッハトルネイド!!」

 

 

叫びと同時に、メタナイトの身体が高速で回転を始めた。

 

 

空気が悲鳴を上げるようにねじれ、

周囲の風が吸い寄せられるように巻き込み、

やがて――

 

 

赤い竜巻が“柱”のように空へ伸び上がった。

 

 

竜巻の内部を走る黄色い稲妻の線。

上昇気流と剣圧が混ざり合い、雲の塊を次々と引き裂いていく。

 

 

轟音が空を震わせ、雷雲が縦に裂けていくほどの威力だった。

 

 

 

 

地上からその光景を見ていたミカとツルギは、

ただならぬ気配に顔を上げた。

 

「えっ、なにあれ!?」

 

ミカが目をまん丸にする。

 

雷光が一筋の直線となって斬れ、その直後――

まるで空に炎の柱が立ち上がるかのように、

赤い竜巻が天へと伸びていく。

 

雲は竜巻に巻き込まれ、裂け、吸い込まれ、

巨大な穴となって削り取られていく。

 

ツルギはショットガンを握り直しながら、

眉ひとつ動かさずその光景を見上げた。

 

「……派手にやっているな」

 

だが声には僅かな感嘆が混じっていた。

 

 

 

 

 

 

マッハトルネイドの竜巻はさらに勢いを増し、

空を覆っていた厚い雲を次々と巻き込み、吸い上げていく。

 

裂けた雲の隙間から――

太陽の光が白い光柱のように漏れ出す。

 

そして。

 

雲の奥深くに隠されていた“目玉”が、ついに露出した。

 

「見つけたぞ!!」

 

メタナイトは高速回転を止め、一気に加速して目玉へ肉薄する。

 

 

雲の中なら守られていたはずのその弱点は、今や完全にむき出しだった。

 

 

 

剣を握る手に力を込められる――

 

 

「アッパーキャリバー!!」

 

 

下から上へ突き上がるように剣が走り、

光の軌跡が大きな弧を描く。

 

 

刃は目玉へ直撃し、衝撃でクラッコの身体が大きく跳ねた。

 

 

間髪入れず、メタナイトの姿が空に残像を刻む。

 

背後――

右――

正面――

上――

そして左へ。

 

 

四方八方から斬撃が嵐のように叩き込まれる。

 

 

「はああああっ!!」

 

最後の一撃は、上空へ大きく跳躍してからの――

渾身の振り下ろし。

 

 

轟音と共に命中し、巨大な目玉はくるりと回転しながら、

そのまま地上へと落下していく。

 

 

 

「後は任せたぞ二人とも!」

 

メタナイトは剣を鞘へとしまい、上空から下の様子を伺っていた。

 

 

 

 

 

「あっ!!」

 

「……来たな」

 

屋上から戦いを見ていたミカとツルギは、同時に空から落ちてくる影に気付いた。

 

雨雲の切れ間から突き抜けるように落下してくる巨大な目玉。

クラッコの本体だ。

 

ミカとツルギは屋上から一気に駆け降り、

落下地点へ向けて一直線に走った。

 

 

 

グラウンドの一部だけが不自然に明るい。

裂けた雲の隙間から差し込む太陽光が、そこだけを照らしていた。

 

そして――

 

クラッコの巨大な“目”が地面へ叩きつけられ、

泥と水飛沫を盛大に跳ね上げながら、小さなクレーターを作る。

 

 

≪……!≫

 

 

目玉は地面にめり込みながらも、必死に周囲の空気を巻き込み始める。

雲を作り出し、再び身体を形成しようとして――

 

 

 

その瞬間、暴力的な銃撃音が響いた。

 

「回復なんてさせないよーっ!!」

 

「き”ゃ”はははははぁッ!!」

 

ミカのサブマシンガンと、ツルギのショットガンが

目玉へ怒涛のごとく連射される。

 

 

弾丸は雲の形成をかき消すようにぶち込まれ、白煙と霧が激しく散る。

 

クラッコの目玉がぐらつくその一瞬。

ツルギが地を蹴り、跳んだ。

 

空気を裂いて飛び上がると、

そのまま全体重を乗せた蹴りでクラッコの目を地面へ叩き伏せる。

 

 

「沈めェ!!」

 

 

地面がくぼみ、ひびが走るほどの衝撃。

クラッコが抵抗する暇もない。

 

 

そして、追撃は止まらない。

 

 

ミカが指を鳴らし、勢いよく足を踏み込む。

 

「えぇーーい!! 落ちろーっ!!」

 

 

空気が震え、熱が走る。

どこからともなく光の尾を引いた巨大な隕石が轟音とともにクラッコの落ちている地点へ直撃した。

 

炎と土煙がグラウンドを覆い、

爆風が校舎の壁を揺らすほどの衝撃が広がった。

 

 

 

 

グラウンドには、隕石の衝撃でできた大きなクレーター。

周囲の土は焼け焦げ、まだ熱気が揺らめいていた。

 

「ちょっと……やりすぎちゃったかな……?」

 

ミカがクレーターの縁に手をかけ、恐る恐る中を覗き込む。

 

その瞬間――

中から、黒い煙をまとった何かが勢いよく上空へ飛び上がった。

 

「うわっ!? な、なにっ!?」

 

「……まだ生きていたか。」

 

 

ツルギが地を踏み込もうと体勢を取るが、

すでに影は空高くへ逃げてしまい、追撃には届かない距離だった。

 

 

 

 

≪ハァッ……ハァッ……ッ! 何なんだあいつら……!隕石を落とすなんて正気の沙汰ではない……!!≫

 

 

クラッコから脱出したダークマターは、息も絶え絶えに上昇しながら雲の方へと逃げていく。

 

 

≪あの方に……報告…っ……報告をしなければ……!≫

 

 

ようやく雲へ届こうとした、その刹那――

鋭い光が走った。

 

 

 

 

 

その直後、ダークマターの身体が、音もなく“真っ二つ”に裂ける。

 

 

≪……ナ……ニィ……!?≫

 

 

メタナイトが雲の影から姿を現し、光る剣を軽く払う。

 

 

「ふん、まったく…懲りない奴らだな…。」

 

 

切り裂かれたダークマターは、苦鳴のような音を残して崩れ、空の中へ吸い込まれるように消えていった。

 

 

≪ガ……アアア……≫

 

 

 

静寂。

 

残ったのは、メタナイトの羽ばたく音と、遠くで落ち続ける雨の音だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

スズミの号令で気絶者の搬送が続く寮の外。

イチカとサクラコたちが撃ち続ける校舎の廊下。

どちらの戦場も、黒い靄が絶え間なく湧き続けていた。

 

だが――

 

最初に異変に気づいたのは、

寮の窓際で負傷者を診ていたセリナだった。

 

「……あれ、外…、静かになりましたね…?」

 

その声に、救護騎士団のメンバーたちが窓へ目を向ける。

 

確かに、先ほどまで雨に溶け込むほど濃かった黒い靄が、

ゆらり、と揺れてから――すっと後退するように消えていく。

 

「本当ですね……」

 

保健室から医療セットを取ってきたミネが眉をひそめる。

 

 

 

その直後、校舎内でも同じ現象が起き始めた。

 

イチカが応戦していた黒い影が、銃弾を受ける前に突然ひび割れるように揺れ、

まるで力を失ったように霧となって床へ崩れ落ちた。

 

「えっ…何!?何っすか!?」

 

廊下の奥から迫っていた黒い群れが、バキンと硬質な音を立てたかと思うと、一斉に溶けるように崩壊した。

 

黒い靄は床に触れる前に空気へ拡散し、最後には雨音に溶けて完全に消えてしまう。

 

 

 

 

「霧が……退いていく……?」

 

「何が起きたんでしょう……?」

 

寮、校舎にいる誰もが言葉を失う。

 

 

 

 

ナギサは窓の外に流れる影を見つめていた。

 

ふと、黒い靄がふわりと揺れ――

そのまま溶けるように消えていく。

 

 

ナギサは小さく瞬きし、遠くの空を見た。

 

「……終わったのですね」

 

厚い雲の裂け目から差し込む光が、ゆっくりと虹を描き出していた。

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