桃色の軌跡   作:逆襲

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機械仕掛けの爬虫類

「見た目的には悪いことはしなさそうだけど…あれ?なんかあっちで煙あがってない?」

 

マホロアについて話し合っていた4人だったが、モモイがふと校舎の先を指さした。

中庭の向こう側、黒煙がふわふわと空に昇っていく。

 

「ほんとだ…。」

 

ミドリも目を細めて確認する。

 

「あれってエンジニア部の部室の方かな…?」

 

「なんかまた問題起こしたのかな…まぁいつもの事だからほっといていっか。」

 

モモイがあっさり切り捨てると、4人は再び輪を作って話を続けた。

 

「それで、結局アイツどうするのお姉ちゃん?」

 

「まぁ敵意は無さそうだし、一回そのまま接してみようか…」

 

「「「OK」です!」」

 

 

 

気合を入れ直し、4人はマホロアの方へと戻る。

マホロアは、さっきより落ち着いた様子で待っていた。

 

「あー……待たせてごめんね。えーっと、マホロア…さん?」

 

「マホロアで構わナイヨ。」

 

青い体をポンと叩きながら答えると、マホロアは首を傾げる。

 

「……ット、キミたちの名前はまだ聞いてなかったネ。」

 

「じゃあ順番に!私はミレニアムサイエンススクール一年、ゲーム開発部のモモイ!よろしく!」

 

「同じくゲーム開発部のミドリです。よろしくお願いします。」

 

「アリスですっ!!」

 

「わ、私は……部長のユズです……」

 

ユズはアリスの後ろに半分隠れつつ、小さく頭を下げた。

 

「オーケーオーケー。自己紹介アリガトネ。」

 

マホロアは楽しそうに体を揺らしながら、周囲を見渡す。

 

「じゃあ、ここがモモイが言ってた“ミレニアムサイエンススクール”って場所カイ?」

 

「そうそう!」

 

モモイが胸を張る。

 

「私達はここでゲームを作ってるんだ!…そういえばマホロアはどうしてここに来たの?」

 

「ああ、ソレを言ってなかったネ。ジツは――」

 

 

マホロアが口を開きかけた、その瞬間。

 

地面が低く鳴り、校舎全体がわずかに揺れた。

砂利が跳ね、噴水の水面が波打つ。

 

「な、なにこれ!? 地震!?」

「揺れてます!!」

 

4人が慌てて足を踏ん張った次の瞬間――

 

 

中庭の中心にある噴水が内側から破裂するように崩れ、

石の破片が空中へ飛び散った。

 

「うわあっ!?」

 

その衝撃に思わずモモイは尻もちをつく。

 

 

 

水煙の奥からせり上がってきたのは――

 

 

ギラギラした金属装甲、太いアーム、巨大な口。

水色の装甲を太陽に照らしワニのようなロボットが姿を現した。

 

「え、あれって……!」

 

「ウタハ先輩の作ったメカワニだよね!? また暴走してるの!?」

 

機械的な振動音が大地に響く。

メカワニは黒い煙を各部の隙間から噴き出しながら、赤い目をギラつかせた。

 

 

(……ン? なんダカ……コノ黒イ煙……見覚えガ……?ウーン……ドコで見たんダッケ?)

 

 

マホロアは首を傾げながらも、ロボをじっと観察する。

 

一方、そのロボは四人と一匹(?)を視界に捉えたらしく――

金属の脚で地面を蹴り、まっすぐこちらに襲いかかってくる。

 

 

 

 

「ねぇ……あれ…こっち来てない?」

 

 

「来てるね……。」

 

「私達って今武器は...」

 

 

 

「持ってないです!部室にあります!」

 

 

 

 

 

「「「...ってことは...」」」

 

 

四人は顔を見合わせる。

 

 

「「「「逃げろー!!!」」」」

 

 

即答で全力逃走モードに入った。

 

 

 

 

だが。

 

一人だけまったく動いていなかった。

 

「何だっけナァ……」

 

腕を組み何かを考えているマホロアの姿がモモイの視界に入る。

 

「マホロア!? 何してるの!!?」

 

 

 

モモイが振り返って叫ぶ。

その視界の先――

 

メカワニが、今まさにマホロアへ飛びかかる直前。

 

金属の顎が大きく開き、食らいつく勢いそのままに一直線。

 

「危ないっ!!」

 

 

だが。

 

「ン? アア、大丈夫。」

 

マホロアはひょい、と片手を前へ突き出す。

 

その手のひらに淡い光が集まり、キラキラと音を立てて、星形のシールドが展開した。

 

色は鮮やかなピンク。形は五芒星。

見た目は可愛いのに、放つ圧力は異常なほど強い。

 

 

 

突撃してきたメカワニはそのシールドに真正面からぶつかり、目を回すように後方へ吹き飛んだ。

 

 

巨大な鉄の体が地面を転がり、火花を散らす。

 

 

「えっ!? 何今の!?」

 

ミドリが目を見開く。

 

 

「すごいです!! バリアです!!」

 

アリスは完全にテンションが上がっている。

マホロアは手をぱたぱたと払いながら、どこか照れくさそうに笑った。

 

「マァ……そんなに騒ぐほどでもナイけドネ。ボク、コウ見えテ、チョットはデキる方ナンダヨ。」

 

 

と、軽く胸を張って見せるマホロア。

 

 

だがその直後――

 

倒れていたメカワニが、火花を散らしながらゆっくりと起き上がり、再び全身のセンサーを赤く点滅させた。先程より体から出る黒い煙の量が増している。

 

 

「マダ動くンダ……ヨシ!キミたち、チョット下がっててネ!」

 

マホロアは一歩前に出て、後ろにいるゲーム開発部に振り向く。

 

「わかりました!」

「アリスちゃん引っ張らないでぇ…」

「お姉ちゃんも早く!」

「あ、うん…」

 

四人は慌てて距離を取りながらも、戦闘の様子から目が離せない。

 

 

「ンジャ、チョット本気出シちゃおっかナ!」

 

マホロアが両手を広げた瞬間、空間に光の線が走り淡い魔法陣が二つ同時に展開した。

 

複雑な紋様が回転し、まるで生きているかのように光を脈打たせている。

 

「すご…魔法陣だ…」

 

「ほんとにゲームの世界みたい…夢じゃないよね…?」

 

ゲーム開発部の4人は、戦いの緊迫感を忘れるほどその光景に見とれていた。

 

 

 

 

 

その時――

背後から、駆け足の音と荒い息遣いが近づいてきた。

4人がそちらへ振り向く。

 

 

「ウタハ先輩!」

 

「はぁ、はぁ……みんな、大丈夫かい!?」

 

白衣と紫色の髪を翻しながら、ウタハが駆け寄ってきた。

 

「ウタハ先輩。 メカワニ、また暴走したの?」

 

ウタハは肩で息をしながら、ぐっと眉をひそめた。

 

「い、いや……この子は今日は電源すら入れてなかったんだ。なのに突然起動して走り出して……!今どこに!?」

 

 

「メカワニなら、あそこで戦ってます!」

 

アリスが勢いよく指差した。

 

 

ウタハは顔を上げその指先の方向を見た瞬間、目を見開く。

 

 

そこには、小さな青い球体のような生物と、火花を散らす巨大メカワニが真正面から激突するように戦っている、常識外れの光景が広がっていた。

 

 

 

 

「なんだいあれは!?」

 

 

「あー……なんて言えばいいんだろう……。」

 

モモイは頭を掻きながら曖昧に笑う。

ふと、モモイは空を見上げた。

 

(あれ…さっきまであった裂け目が無くなってる…。)

 

「ええっとですね……」

 

ミドリが代表して、さっき起こった“謎の裂け目”のこと、マホロアのことを説明し始めた。

 

 

 

 

 

メカワニの口部が大きく開き、内部に仕込まれた発火装置が赤熱する。

次の瞬間、咆哮のような火炎放射がマホロアへ向けて吐き出された。

 

「オット!」

 

マホロアは体を回転させ風を起こし炎を防ぎつつ火炎放射の範囲から脱出した。

熱風で白いローブの裾がはためく。

 

 

「ッタク…危ないナァ……お返しにコレでも喰らっチャエ!」

 

 

彼の手のひらに魔法陣が浮かび、そこから回転する三つの火の玉が放たれる。

しかし、それらはメカワニの装甲に着弾した瞬間、乾いた金属音を響かせて弾かれた。

 

「ウーン……レボリューションフレイムまで効カナイとなるト...炎トカ電気には強イみたいダネ……ナラ!」

 

マホロアはそのまま地面へ降り立つと、両手を広げて力を集中させた。

 

その様子を見たメカワニは、隙アリと判断したのか、全身の脚部を最大駆動させ突進してくる。

 

「ヤッパ機械だからバカダネェ……!!」

 

マホロアはニヤリと笑い、両手を頭上へ掲げた。

 

「クアッドキルニードル!!」

 

そう叫んだ瞬間――

地面のタイルが音を立てて割れ、そこから黒く鋭い八本の棘が一斉に突き上がった。

まるで獲物を逃さない罠のように、装甲の隙間へ正確に突き刺さり内部機構を一気に貫通する。

 

メカワニは悲鳴のようなノイズを上げ、

次の瞬間――眩い閃光とともに大爆発した。

 

 

 

 

衝撃波が中庭の植え込みを揺らし、

巻き上がった砂埃が校舎の壁にまでぶつかる。

 

「メカワニくーーん!!!!????」

 

ウタハの絶叫が、中庭の騒音を貫いて響き渡った。

 

砂煙の中から、ひょいっと回転しながら青い影が姿を現す。

マホロアは軽く手で煙を払いながら、周囲を確認した。

 

「皆? ケガは無イ?」

 

「すごい……」

「めっちゃ強いじゃん!!」

 

ユズとモモイとは思わず声を漏らす。

 

マホロアは、ぽかんと立ち尽くすウタハに気がつき、首をかしげた。

 

「アレ?キミはさっきまでいなかったヨネ?」

 

が、ウタハはショックのあまり微動だにしない。

目は虚空を見つめ、口は半開き……完全に停止している。

 

「オーイ?」

 

「あ、ウタハ先輩フリーズしてる……」

 

モモイが苦笑して肩をすくめる。

 

「じゃ、私が代わりに紹介するね。この人はエンジニア部の部長さん、ウタハ先輩だよ。」

 

「エンジニア部? ……ッテことは、さっきのメカも彼女ガ?」

 

「はい! なんでも作れるすっごい人なんです!!」

 

アリスは胸を張って言うが、

 

「たまに爆発したり暴走したりするけどね……さっきのが良い例。」

 

「うん…」

 

ミドリがそっと補足し、ユズも控えめにうなずく。

 

「ヘェ……」

 

マホロアは感心したように目をぱちぱちさせ、散らばったメカワニの残骸を眺めた。

 

(メカの完成度はカナリ高カッタ…彼女と仲良くナッテ損は無いかもネ…)

 

 

 

 

 

 

その時、ウタハの肩へと手が置かれ、ぞくりと背筋に冷たいものが走る。

 

(ハッ……!? いけない、気絶してたのか……?)

 

一気に意識が覚醒し、視界がはっきりする。

目の前には、怯えた表情でこちらを覗き込むゲーム開発部の4人。

その横では、謎の存在マホロアがメカワニの残骸をつついている。

 

 

「みんな、そんな顔してどうしたんだい?まるで鬼でも出たかのような……」

 

言いながら、自分でも嫌な予感が背中を這い上がる。

 

(……おかしい。全員目の前にいる……。じゃあ――今、私の肩に触れたのは誰だ?)

 

緊張に喉がひきつる。

ウタハは、ごくりと息を飲み、ゆっくりと首を後ろへ回そうとした。

 

その瞬間――

まるで空気そのものが重くなるようなヌッとした圧が、背後から押し寄せた。




マホロア

ブラボー ブラボー、と 「星のカービィ Wii」から
キュートな きょげんの まじゅつしが やってきた!
フレンズと言えば トモダチ。 トモダチと言えば
そう、ベストフレンズ。 つまり ボクの出番だネ!
さぁ ミンナ、サッサと宇宙ヲ 支配しに イックヨォ!
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