ほんっとうにありがとうございます!!
当初の目標だったものが達成できました!
まだ結構続きますがよろしくお願いします!
外へ出た瞬間。
目に飛び込んできたのは、さきほど校舎に入る時に見た光景とはまるで別物だった。
銃声や悲鳴、爆発音や怒号が絶え間なく響き渡る。
あちこちで黒い煙が立ちのぼり、石畳の広場はすでに戦場と化していた。
地面には砕かれた校舎の一部や砕け散ったガラス。誰かが落としたのであろうバッグが落ちている。
壁には弾痕。空には、まだいくつもの黒い点が浮かんでいた。
「……?」
視界の端で、激しく動く影。
シロコはそちらへ目を向ける。
「あっ…!」
そこにいたのは自分より先に風紀委員会室から出ていったイオリだった。
校舎の壁を蹴り、反動で宙へ跳ぶ。
着地するより先に引き金を引く。
乾いた銃声が何度も鳴り響く。
跳躍の最中でも、弾丸は正確にダークマターを撃ち抜いていく。
地面を滑るように着地し、流れるような動きですぐに次の射線を確保する。
だが――
彼女を追う黒い影は減らない。
背後から迫る個体。
横合いから回り込む個体。
周囲には地に倒れ込んでいる風紀委員の姿。
イオリの動きに、わずかな焦りが混じっているように感じた。
表情に余裕は無く、歯を食いしばり、次々と迫る敵を捌いている。
一瞬でも止まれば、囲まれる。
その緊張が、遠目にも伝わってきた。
シロコは銃を構える。
「……援護しよう」
肩の上で、カービィが小さく身を乗り出した。
「ぽよ!」
だが、イオリのもとへ駆けようとした瞬間――
行く手を「黒」が埋め尽くした。
壁を這い、地を滑り、空からも落ちてくるダークマター。
無数の目が、一斉にこちらを向く。
ぞわり、と空気が震える。
(……多い)
舌打ちする間もなく、包囲が狭まった。
じりじりと黒が距離を詰める。
そのとき。
カービィが肩からふわりと飛び降りた。
とん、と軽い着地音。
小さな足が瓦礫を蹴る。
(カービィ?)
シロコが意識を向けた瞬間――
カービィは大きく口を開いた。
次の瞬間、竜巻のような吸引が爆ぜ、空気が逆流し始める。
砕けたコンクリート、転がる鉄片、粉塵、瓦礫。
周囲のあらゆるものが渦を巻き、強引に引き寄せられていく。
ダークマターは吸い込まれまいと少し距離を開けた。
「また、何か能力を……?」
シロコがそう呟いた刹那――空気が、ひりついた。
ダークマターたちもまた、カービィが何かをすると本能で理解したのだろう。
次の瞬間、遠ざかっていたはずの数体が同時に動き始める。
黒い残像を引きながら、一直線にカービィへと迫る。
シロコは反射で銃を構え、引き金を引く。
乾いた銃声が連続し、弾丸が一直線に飛ぶ―――はずだった。
弾丸は途中で軌道を乱し、ぐいと引き寄せられる。
カービィの吸引が生み出す暴風圏に呑み込まれ、弾すらも渦に巻き取られていく。
それでもカービィの吸い込みは止まらない。
瓦礫、鉄片、砕けたガラス、アスファルトの破片。
戦場のあらゆる残骸が宙を舞い、カービィの口へと収束する。
そして――
ぴたり、と吸引が止まった。
弾けそうなほどにカービィの頬が限界まで膨れ上がる。
目前には、数匹のダークマター。
あと一瞬で届く距離。
(……まずい!)
時間が、引き延ばされたように遅く感じる。
次の瞬間。
カービィの口が大きく開き、中から吸い込んだ瓦礫が飛び出す。
吐き出された瓦礫が、衝撃波を伴って炸裂する。
圧縮された質量と速度が生む、散弾銃のようなの瓦礫の雨あられ。
至近距離の個体は瓦礫に直撃し。黒い体が内側から弾け、断末魔すら上げる間もなく霧散する。
弾丸の雨は減速しない。
むしろ、吸い込みで加速した反動をそのまま叩きつけるように、群れを薙ぎ払っていく。
黒い影が次々と撃ち抜かれ、爆ぜ、砕け、煙となって崩れ落ちる。
衝撃が地面をえぐる。
舗装が剥がれ、コンクリート片が跳ね上がる。
空気が震え、鼓膜を打つ連続音が戦場を満たす。
その破片の嵐は、さらに前方――
イオリの周囲のダークマターへと突き刺さった。
「なっ――!?」
イオリは新たな敵が現れたかと思い一瞬目を見開く。
だが、視界に入った二人を見て即座に理解する。
飛来する瓦礫。
それを障害ではなく足場に変える。
飛んでくる破片を踏み台にし、身体を捻り、射線を確保。
回避行動を取ったダークマターへ、正確無比な射撃を叩き込む。
「覚悟しろ!」
目を撃ち抜かれた個体が、次々と崩壊する。
瓦礫の嵐と銃撃。
二方向からの制圧。
やがて。
最後の一体が霧散し、爆音の余韻だけが残る。
抉れた地面。
砕け散った舗装。
焼き付いたように残る黒い残滓。
カービィはふう、と小さく息を吐き、
くるりと振り返る。
「ぽよ!」
得意げな声が、戦場の静寂に軽く響いた。
「……ありがと。助かった」
制服に付いた砂埃を払いながら、イオリが短く礼を言う。
息は荒いが、目の奥の闘志は消えていない。
「ん。そういうのは後で」
シロコは淡々と返し、すでに次の標的へと銃口を向けていた。
視線の先。
黒い靄が、まるで最初からそこにあったかのように再び浮かび上がる。
消したはずの空間を埋めるように、じわり、じわりと。
「……キリが無いな」
イオリも小さく舌打ちし、銃を構える。
弾倉を確認し、照準を上げる。
だが――
「……?」
シロコの隣で、カービィが動かない。
さっきまで得意げに胸を張っていたはずなのに、今はじっと空を見上げている。
呼びかけても反応がない。
「カービィ?」
返事はない。
それどころか、ダークマターたちも奇妙だった。
こちらへ向かってくる気配がない。
まるで何かを待っているかのように、その場で静止している。
空気が、重く沈む。
その瞬間――
上空から、異様な圧が降りてきた。
三人が同時に顔を上げる。
その正体は巨大な、黒い球体だった。
先ほどの個体とは比べものにならない質量。
闇そのものを凝縮したような塊が、一直線に落下してくる。
(……あれは……)
直感が、警鐘を鳴らす。
地面が爆ぜ、衝撃波が放射状に広がる。
アスファルトがめくれ、瓦礫が舞い上がり、爆風が二人の髪と制服を激しく揺らす。
そして――
球体が、内側から裂けた。
べちゃり、と粘性のある黒い液体が周囲に飛び散る。
それらは地面を濡らし、黒い煙を上げていく。
その中心から、ゆっくりと何かが立ち上がった。
一つは、堂々とした影。
黒いガウンを纏い、巨大なハンマーを肩に担ぐ。
その姿勢は余裕すら感じさせる。
もう一つは、静かに羽を広げる影。
白い髪が風に揺れ、鋭い視線が戦場を一瞥する。
その背後に広がる翼が、ただの存在ではないことを示していた。
黒い液体が足元から滴り落ちる。
「い……委員長……!?」
イオリの声が震える。
「それに……アイツまで……!?」
驚愕が、はっきりと表情に浮かぶ。
「ででで!」
カービィが思わず叫ぶ。
懐かしさと焦りが混ざった声。
だがデデデ大王は、ぴくりとも反応しない。
ハンマーを握ったまま、無言で立っている。
その目は、黒目すらないまったくの無色。
焦点がどこか分からない視線の奥で、黒い光がゆらりと揺れている。
その隣。
白い髪を風にたなびかせ、翼を広げたヒナもまた、静かに立っていた。
だがその足元からは、黒い液体が糸のように絡みつき、じわりと地面へ溶け込んでいる。
「……多分、いや、確実にダークマターに洗脳されてる」
セイアから事前に伝えられていた情報が脳裏に蘇る。
――ダークマターに洗脳された人を助けるには、一度“意識を落とす”ほどの衝撃を与える。
実際、周囲に転がっている風紀委員たちはイオリの攻撃でダウンした後、黒い靄が抜け落ちていた。
つまり。
「あの二人も……倒さないといけないってことか……」
力が未知数なデデデ大王。
そして――
風紀委員長、空崎ヒナ。
キヴォトス最強とすら言われる実力者。
その名は他校にも轟いている。
二人ともその強さは十分に理解している。
圧倒的な制圧力、冷静沈着な判断、隙のない戦闘運び。
正面からぶつかって、無傷で済む相手ではない。
……しかも今は、加減なんてしてくれそうにはない。
「ねぇ、カービィ。デデデ……だっけ。そっち、お願いできる?」
巨大なハンマーを担ぐ王を顎で示す。
「ぽよ!」
任せて、と言わんばかりに強い返事をし、カービィは前へ出る。
小さな体が、しかし一歩ごとに確かな覚悟を滲ませる。
銃を握るシロコの指先に、自然と力がこもる。
「ハッ……委員長は、私たちが相手するのか…」
イオリが苦笑する。
視線の先では、白い髪が風に揺れ、翼がゆっくりと広がっていく。
その圧力だけで、足が鉛のように重くなった気がした。
「ん。やるしかない」
イオリも弾倉を叩き込み、スライドを引く。
金属音が乾いた空気に響く。
二人並んで銃を構える。
対するヒナも、静かに構えを取った。
足運びは無駄がなく、重心は低い。
翼がわずかに動くだけで、周囲の砂塵が舞い上がる。
デデデ大王はハンマーを地面に叩きつけ、鈍い衝撃音を鳴らす。
カービィはそれを真正面から見上げ、小さく構えを取った。
風が止む。
それぞれが、それぞれの間合いを測る。
緊張が、極限まで張り詰める。
――次の瞬間。
乾いた発砲音が静寂を裂く。
誰が撃ったのか判別するより早く、戦場が一斉に動き出した。
コピー能力:無し
吸い込んだもの:瓦礫とか色々
すってはいてで てきをうて!
カービィのげんてん ココにあり
コピーが なくても つよいんだ!