イナズマイレブン 『王者雷門』のヴィクトリーロード   作:ヒラメもち

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第6話 事件捜査

 

 白恋中に勝ったことで、俺たち雷門中は決勝進出となる。

 その相手は、あの笹波雲明が率いる南雲原中だ。

 

 公式試合に出てさえいれば、当然のように敵チームの選手データが調べられ、数値で見ることのできる、そんな時代なんだけど。

 なんというか、長所を重点的に伸ばした個性派集団だと思えた。

 

 総合力だけで比較するなら、他の全国出場校が何倍も強い。

 でも、あの帝国学園に勝ったことは事実だ。

 

 決戦までの残り期間で、気を引き締めて俺たちは特訓を続けているけど。

 

「倉庫、倉庫、倉庫……多すぎだろ!」

「他には、会議室がいくつか、監督の部屋やデータ閲覧室のようですね」

 

 暗黒寺から聞いた話が気になって、こうして自由時間に俺とまつりさんはサッカー棟の廊下を歩いていた。どの倉庫も電灯がついたし、ちゃんと整理整頓されているし。

 

 あの時のことは事故だったと思っていたけど、もしも誰かの悪意によるものだとしたら大変だろう。副キャプテンとしては安全確認をしておくべきだ。

 

 円堂守世代のドキュメンタリー映画だと、試合前に『鉄骨落とし』のシーンがあったんだ。

 全国決勝を前にして、俺たちを負けさせようとするなんてこともありえる。

 

「廊下には監視カメラがありますね」

「監督やコーチたちなら、それも確認してそうじゃないか?」

 

 俺の推理によれば、ハッキングってやつだな。

 よほど凄腕のプロがサッカー棟に侵入したに違いない。

 

「もし、内部犯であれば……」

「か、考えすぎじゃないか?」

 

 まつりさんの言う通り、それなら簡単そうなんだよな。

 

 でも、動機がわからないぞ。

 雷門中の大人たちが、俺を怪我させたとしても何の得があるんだろうか。

 

有海崎(あみさき)さんなら、当時の映像を入手できるかもしれません」

「何者だよ、あの人」

 

 海外コーチの通訳をしてて、いつもデータ分析までしてくれてるマネージャーだ。

 

「たまに特訓してると、いろいろな機器で計測を頼まれるんだよなぁ。しかも1人で満足して去っていくというか」

「あなたのことが気になるからですよ」

 

 そんな有海崎さんに背後を取られて、恐怖でドキッとしたぞ。

 死角からスライディングを受けたような気分だ。

 

「えーと、このあとさ、時間ある?」

「ティーブレイクを取っていたところです。すでに先約が入っておりますので、その後であれば構いませんよ」

 

 そのなんとかブレイクは、必殺技か何か?

 というか、まつりさん、俺の背中をポンポンしてどうした。

 

「こほん…… 用件は私から伝えますから」

「ええ、これから私は1軍男子更衣室に向かいますが、お二人も来ますか?」

 

 どういうことだよ。

 俺たちの更衣室って、女子の集合場所扱いなんだろうか。

 

「はぁ~ ナオさんでしょうね……」

「俺たちも行くよ」

 

 というわけで男子更衣室に、2人も女子を連れて向かった。

 

 簡単な食事を取れるテーブルやベンチが置かれていたり、巨大なモニターまであったり、更衣室内にトイレあったり。

 ここは広いリビングのように至れり尽くせりなんだよな。

 

 だから去年度は同学年の女子部員が少ないからって、まつりさんとナオさんがよく来ていたけど。

 

「3人も来たか」

 

 蓮とナオさん、暖冬屋が座っていた。

 画面にはデカデカと、ハルがサッカーをする映像が流されている。

 

「これは、海王学園の試合か?」

「そうだよ。ハル君の、選手フォローカメラの映像を手に入れたの。有海崎さんが手伝ってくれて」

 

 試合全体じゃなくて、ずっとハルを追いかけているように撮影されている。

 雷門中にあるファンクラブなのか、外部のファンクラブなのか。

 

「ほーん」

「ここまでは、いつも通りの動きができている。想像以上なほどだな」

 

 こうしてハルの動きを見ていると、フィールドを激しく動き回っていることがわかる。メインストライカーとして天性の才能というか、たとえ数人でマークされていても、まるでアサシンのようにチャンスを狙う動きができていた。

 

「こっからのシーンやろ?」

「やはり、ハルの足に敵の選手は接触していない、か……」

 

 通常の速度で見てもわかるほどだ。

 ナオさんも、決して目を離さないように集中している。

 

「なにか…なにか原因があるはず……」

 

 この時の審判がそう判断したように、スライディングを直接受けたかのように転倒してしまった。

 そうして、ハルが担架で運ばれていくシーンに繋がっていく。

 

「化身で1度、吹き飛ばされてしもたせいか?」

「でもハル君、平気そうだったじゃん」

「我慢した様子はなかった…はずだ……」

 

 蓮が言い淀んだように、我慢強いやつなんだよな。

 俺たちの前で、ハルが弱音を吐いた姿を見たことがないほどだ。

 

 一時的に立てなくなって、再起不能と診断されるほどの大怪我だった。あのスライディングを受けそうになっているシーンに、何かヒントが残されているはず。

 

 巻き戻した映像を一時停止させた後、スローモーションをじっくり見るけど、特に見当たらないな。

 

「あれ、ハル君のスパイクさ……これじゃなかったよね!?」

 

 ナオさんが突然そう叫んだ。

 

「そうか? これ雷門のデザインやろ?」

「いえ、これは新デザインのものですね」

 

 まつりさんの発言で思い出した。

 そういや、周年記念とかで新発売されるなんてことを聞いたな。

 

 とはいえサッカー選手はスパイクを新しく変えれば、プレイに誤差ができるものだ。だから、フットボールフロンティアの最中に、スパイクを履き替えるようなことはしないだろうけど。

 

「あぁ! そういやハルが包み紙やリボンを持っていたな!」

「言われてみれば、贈り物の箱を開けていたような」

 

 贈り物は試合後に見る選手が多いけど、あの時はすぐ開封したらしくて、包み紙やリボンを折り畳んでいた気がする。

 律儀で丁寧なやつだなと感心していたんだった。

 

「ほんと!?」

「それならば、贈り物のスパイクに何か仕掛けがあったのかもしれません」

 

「せやけど、ワシらへの贈り物なら、事前に検査受けるはずやろ?」

 

 雷門中の選手にファンは付きやすい。

 だから、アイドルかよって思うほどに、贈り物やファンレターが来ることがある。しかしそれは全て検査が通っているはずだ。

 

「この映像に映るスパイクを調べてみる必要があるな。今は、ハルの家にあるのか?」

 

「運ばれる時に、ハル君が言ってたはずだよ! スパイクはお父さんから貰ったって! あとスタジアムで保管しておいてほしいって!」

 

「それなら円堂守さんが怪しいってことやん!? いやいや、あのレジェンドが試合前に渡すわけあるかいな!?」

 

 暖冬屋が言うように、これはサッカーだけに当てはまらないはず。

 履き慣れていない靴で、激しい運動をすること自体が危険だ。

 

 でも、まだハルも中1なんだ。

 父親から貰ったと思い込んでいたら、すぐに履き替えるかもしれない。

 

「とにかく、スパイクを渡したやつが真犯人ってことだろ!」

 

 悪意を持って、ハルを怪我させたやつがいるんだ。

 絶対に許せないぞ。

 

「有海崎さん、スタジアムの管理センターに連絡を取れるか?」

「ええ。まだスパイクを保管しているかどうか、それと監視カメラ映像ですかね」

 

「それとハル君自身に確認しましょうか」

「ん! すぐ電話してみるね!」

 

「ワシらの後輩に喧嘩売ったやつがおるわけや」

「ああ、ハルを騙して大怪我させるように仕組んだんだ」

 

 必ず真犯人を引きずり出して、後悔させてやる。

 

 

 

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