イナズマイレブン 『王者雷門』のヴィクトリーロード 作:ヒラメもち
コンバート、つまりFWからDFにポジション変更は、監督に
3年の引退をきっかけに、全員が総合的な実力を見せる機会もあった。
それで俺も無事に2軍入りは果たしたんだけども。
なんというか不完全燃焼だった。
「なんだこの……異世界のような空間は……」
FW組もしくは2軍未満だけで集まっていた頃は、もっと活気があったのに。
DF組の練習機会になれば驚いた。
「パスの角度を予測して―――」
「タクティクスの発動時間を―――」
「相手選手をデータ化して入力すれば―――」
いつからサッカーは数学の勉強になったんだ。
脳トレだけじゃなくて、もっと筋トレしろよ。
2年の先輩たちに、1年の何人かも釣られてるし。
もしかしてこれが最先端な特訓だというのか。
「
「パワプロ、気持ちは分かるぜ」
「……俺たちはハブられてる」
天宮司と紫雨も無事に2軍入り、そりゃ普通に特訓してたら
「今の雷門はキーパーがみんな優秀だからな。シュートに関しては大抵なんとかなるんだとさ」
「……円堂守に対する憧れ」
「な、なるほど……いや、それならDF組は壁山塀吾郎に憧れろよ。あの人の安心感すげぇだろ」
海外コーチなのか知らないけど、白衣の人が部員に解説してるぞ。
そして、あの緑髪のマネージャーの女子はずっと翻訳してるのかな。
さっきからずっと口を動かしていてすごいな。
でもたとえ外国語が話せなくとも、サッカーしてれば雰囲気で通じ合えるものだろ。え、サッカー言語はグローバルツールだよな?
「このままじゃダメだ! 俺たちはディフェンスの基本からやり直すぞ!」
俺は天宮司や紫雨、残っている1年DF組に声をかけた。
ナオさん、まつりさんみたいな優秀なMFの協力が欲しくなるな。
まあそれは休みの日とか2軍練習の時に優先して練習させてもらおう。
だから今は、必要かと思って準備していた『シュート自動発射装置』が、すぐ役立ちそうだ。
「……それキーパー用のやつ」
「おっ、もしかしてシュートブロックってやつか?」
そうそう、天城大地選手とか、狩屋マサキ選手とか、相手の化身にすら立ち向かうからな。
「……そういう必殺技は練習してない」
「俺なんてブロック技自体よくわかってないな」
ビックリしすぎて、思わず目が飛び出るかと思ったぞ。
とりあえず2人に聞いてみれば。
紫雨が使える必殺技は『コイルアッパー』や『ディメンションカット』で、相手が持つボールを操作して奪うことらしく。
天宮司に至っては、『ツナミブースト』や『なみのりピエロ』で、ロングシュート技とドリブル技じゃないか。フィジカルでなんとかしてるらしいが、現状の適正MFなんじゃないか。
「ええい、とにかく特訓だ! 特訓! 特訓特訓特訓!!」
「……暑苦しい」
「まっ、パワプロがいると面白くなりそうだ」
紫雨も立ち上がってやる気だし、天宮司も上のユニフォームを脱いで本気モードだし。
俺たちでDF組に、根性ってものを見せつけてやろうぜ。
*****
今日は雷門中1軍と、木戸川清修中との練習試合を部員全員で観戦した。
雷門と帝国に匹敵するほどには名門校で、お互い総合的な実力は拮抗している。
それで気になったことがあって、居ても立っても居られなくなった。
「よう蓮、お疲れのようだな」
「……ああ、パワプロか」
フィールドだとイケメンスマイルを浮かべていたのに、休憩室で疲れきった表情を見せていた。3-0という結果の勝利は、間違いなく蓮のおかげだろうけど。
「司令塔をやりながら2得点も、さすが次期キャプテン候補だな」
「……俺が引っ張っていかないといけないだろ、今は」
相変わらず
「聞いたよ、DFとして2軍入りしたんだろう。おめでとうパワプロ」
「1軍の中心選手から言ってもらえるなんて、偉くなったものだな」
こういう挑発に乗ってくることもなく、深くため息をつくだけだ。
「偉いわけあるか。1年も上の先輩たちに指示する身にもなってくれ……」
「あぁ、それは見てて思った」
発言力を高めるには、シュートで得点という分かりやすい形で、チームに貢献しなければならない。チームメンバーを納得させるべくサッカーをやっている。
だからこそ、ますます決意は固まった。
「最初は意表をつく作戦だったんだけど、フェアにするために、あらかじめ伝えようと思う」
―――2軍チームは1軍に下剋上する
「……こちらには
「知ってるさ。そのための特訓はしてきたつもりだ」
あいつの『正義の鉄拳』はすでに完成していた。1年ながら正ゴールキーパーを勝ち取っていて、才能と努力は本物だ。
俺と
しかも1軍の攻撃面には野神先輩、蓮の2トップを想定しなければならない。
「雷門1軍の名に
「まあ俺たちは勝つつもりでやるからいいけどさ」
それにしてもまだ一緒に試合すらやってないのに、こうして蓮と対立するなんて思ってなかったな。
「なぁ蓮、サッカー楽しめてるか?」
「……どうだろうな」
蓮、お前のためにも。
俺たちは絶対勝つからな。
****
昼休みも練習しようと思って、部室にボールを取りに行ってた時のことだ。
すでに白髪の美少女が静かに立っていた。
「まつりさん、もしかして待ってた?」
「はい。そしてナオさんは日直の仕事です」
そういや名前呼びの許可を貰ったけど、表情が変わったように思えなかったな。ナオさんの言っていた好感度アップはしてなさそうだ。
「パワプロ君はまだここを使っているんですね」
「旧体育倉庫を使ってはいけないという校則もないからな。それに、雷門中サッカー部の原典って感じでいいだろ」
部室から使いこんだボールを取って見せれば。
まつりさんも、こくりと頷いた。
「それで、俺はリフティングとかやるけど、まつりさんはどうする?」
今は女子制服でスカートだもんな。
冬なのに、足は寒くないのだろうか。
「……それは考えてませんでした」
「いつも冷静な、まつりさんにしては珍しいな」
俺はリフティングを中断して、手でボールを持った。
「なら、ボールを下投げしてくれないか」
「わかりました。守備を想定した練習ですね。パワプロ君のポジションを考えれば」
まつりさんも理論派と思うんだけど、いろいろと理解してくれてやりやすいんだよな。特訓中の俺たちにしてくれるアドバイスも丁寧だしさ。
そうしてボールのやり取りをしてると、会話が途切れた。
まつりさんと2人きりで話す機会って珍しいな。
「えっと、まつりさんの好きな選手って聞いたことあったっけ?」
「霧野蘭丸さんですよ」
おぉ、あのDFとして有名な人か。
『ザ・ミスト』もその影響で習得したのかもしれないな。
「んー」
まつりさんも大きくなったら、ああいう綺麗な人になりそうだ。
いや、霧野蘭丸選手は男性だけどさ。
「おっ」
「……?」
それに、あの人のプレイを思い返してて、良いことを思いついたぞ。
「なあ、今度の1軍との試合さ。守備の司令塔を任せてもいいか?」
「……どうしてですか?」
ほんの少し目を見開いたし、ボールを投げる手が止まった。だいぶ分かりづらいけど、驚いてるんだろうな。
「まつりさんが適任だと思ってさ」
「2軍キャプテンはパワプロ君だと思いますよ。攻撃と守備で的確な指示ができていて、それに……周囲に良い影響を与えています」
他にやれる1年がいないし、蓮ほど上手くできてるとは思えないし。
「どうだろうな。事故の噂もあってだいぶ疫病神扱いなんだけど」
「いえ、良い影響を与えている、そういう風に私には見えてます」
『譲りません』って顔で真っすぐ見てくる。
まつりさん、実は頑固なところもあるみたいだ。
「えっと、ありがとな。それで1軍の試合なんだけど、戦術や守りのことを考える余裕がないと思うんだ」
「もし暖冬屋君から得点を取れるとすれば、そうなるでしょうね」
やっぱりすでに理解してるじゃないか。
それに、周りのことだっていつもよく見てる。
「だから俺の意見なんだけどさ。まつりさんは、今の蓮より司令塔として信頼できるほどなんだ」
「……わかりました、引き受けます。天宮司君と紫雨君たち、それにナオさんをまとめ上げることは大変でしょうけど」
いや、ナオさんまでかよ。
俺も気づかないほどに、いいところに走り回ってくれるけどさ。
「そろそろ教室に戻りましょうか」
「ああ。そうしようか」
ボールを受け取って部室に戻そうとした時、小さな声で『
「私のことを評価してくださり、ありがとうございます」
「おう。こちらこそ褒めてくれてありがとう、まつりさん」
確かに下の名前呼びって、好感度が15くらいアップしそうだな。
【1軍ネームド】
月影蓮:MF(神童?)
暖冬屋哉太:GK(井吹)
鬼門悟:MF(浜野?)
遠野善弥:3年DF(真名部陣一郎)
野神有:3年FW(南沢?)
【2軍ネームド】
パワプロ:DF(パワポケ13主)
天宮寺嶺:DF(綱波)
紫雨雄介:DF(宍戸?)
嵐大佑:現FW(染岡)
海老原夏生:FW(少林?)
春日玲央:MF(影野)
(女子)
星村ナオ:MF
赤袖茉莉:MF
ところで……原作の赤袖さんのセリフ少なぎませんか???