新人ボクっ娘ウルトラ戦士、地球に赴任す ~なお地球には既に優秀な防衛チームが配備されてるので大して役には立たない模様~ 作:よよよーよ・だーだだ
「……さて、ナガレヤマ=ホタル隊員。あなた、わたしに何か言うべきことがあるんじゃあないかしら?」
そう言って司令室に呼び出し、ボクをじっと見つめる防衛チームの隊長。その目つきは真剣なもので、何かを見通されているような気がした。
「……特に、ありません」
「……ふーん、そう」
ボクが答えると、隊長は溜息をついた。
「ところでこれを見てほしいんだけど……」
そう言ってモニタの電源を入れる。
画面に映し出されたのは、ガンQ戦の記録映像だった。アースガロンの主観カメラから撮られたもので、ボクの乗っていたジェットファイターが映っている。
「これ、あなたの機体よね」
「は、はい……」
「で、これが何か分かる?」
隊長が映像を一時停止させる。画面には、ジェットファイターのコックピットが映っていた。
画面をさらにズームしてみると、
「……誰も、乗ってないわね」
「……っ!」
ボクの背筋に冷や汗が流れる。隊長は続けた。
「自動操縦システムを使ったんでしょうけど、あなた、いつこの機体から脱出したの?」
「そ、それは……緊急回避で……」
「緊急回避?」
隊長は眉をひそめた。
「おかしいわねえ。あなたの機体、ガンQからの攻撃は一切受けていないのよ。むしろ安全圏を飛行していた。なのになぜ脱出する必要があったのかしら?」
「あ、あの、それは……」
「それだけじゃないわ。ウルトラマンが使ったマイナスエネルギー注入という手法、あれはわたしたち防衛チームの作戦を理解していなければ思いつかない発想よね。つまりウルトラマンは『防衛チームの作戦内容を知っていた』ということになるんだけど?」
完璧な推理だった。状況証拠が次々と積み重なり、逃げ道がどんどん塞がれる。
……おちつけ、落ち着くんだ。こういうときは冷静になるのが大事だ。
ボクが動揺する中、隊長はさらに続けてゆく。
「それに自動操縦になってたログを調べてもらったんだけど、あなたがジェットファイターから脱出したタイミングがちょうどウルトラマンがいた時間と重なるのよね。どういうことかしら?」
「そ、そんなはずは……」
ボクは思わず視線を逸らした。記録はちゃんと直したはずなのに。どうして……?
その瞬間、隊長の口元がわずかに緩んだのが見えた。
「……その反応、図星ね」
「え……あ」
しまった、カマをかけられてたんだ。これじゃあ自白も同然じゃないか。
すぐさま我に返ったボクが見ると、隊長はなんだか楽しげにニコニコ笑いながらボクの方を見つめていた。なんだろうこの笑顔、却って怖い。
「ウチの科学技術担当が聞いたら『防衛チームの技術力をナメるなよ』って答えるところでしょうね」
動転するボクに、隊長はふふんと得意気に笑いながら言った。
「あなたの猪口才な小細工なんて、お見通しよ。科学技術担当に見せたら一発で改竄を見抜いてたわ。まぁ、あいつは最初からあなたの正体に気づいてたみたいだけど」
「……いつから、気付いてたんですか?」
「うーん、わりと最初からかな~。なんか『それっぽいなー』と思ったし」
そう言って隊長は立ち上がり、窓の外を見た。窓の外には、街の夜景が見える。
「それに、あのウルトラマンの戦い方を見ていて思ったの。あれは『経験豊富な戦士』の動きじゃない。むしろ、必死で頑張ってる『新人』の動きだった。明らかに焦ってたしね」
……隊長の言う通りだ。あのときのボクは焦っていた。
隊長の観察眼は恐るべきものだった。ボクが気づかれていないと思っていた細かい心の動きまで、全て見抜かれていたのだ。
「……その、結果的にはガンQを倒せたわけですし……結果良ければすべて良し、というか……」
苦し紛れにそう言うと、隊長は振り返った。その表情は穏やかながらも、厳しいものだった。
「『結果良ければすべて良し』……たしかにそうね。たしかに今回の結果は悪くなかった、かもしれない」
隊長はボクの目をまっすぐ見据えて言った。
「だけどそれは『たまたま結果が良かっただけ』でもある。今回良くても、次もまた上手くいく保証がどこにあるの? 次が良くてもその次は? わたしたち防衛チームの仕事はね、そんな『たまたま』の『結果良ければ~』に賭けられるほど安いもんじゃないの」
隊長の声には、強い怒りが込められていた。だけどそれは、ボクに対する個人的な怒りではない。もっと根本的な、何かに対する怒りだった。
「……よく考えなさい。たまたまなんとかなったから良いものの、もしもガンQがあなたの手にも負えないような怪獣だったら? それであなた自身が取り返しのつかないことになったら、どうするつもりだったの?」
「それは……でも、ボクはウルトラマンですから……」
「ウルトラマンだから何? ウルトラマンなら死なないとでも? ナメてかからないで頂戴、ウルトラマンも死ぬわよ?」
隊長の言葉が、ボクの胸に突き刺さる。
「この星にかつていたウルトラマンだって、チームの仲間たちと協力して戦ってきたのよ。一人で全部背負い込んで、勝手に飛び出して、それで上手くいくほど甘くないわ」
「だけど、それじゃあ作戦が……」
「いいのよ、そんなの」
「なっ……!?」
思ってもみなかった答えで、ボクは愕然としてしまう。作戦が失敗してもいいだって? だったら、なんのために。
言葉を失うボクに、隊長は事も無げに言うのだった。
「誘導までは上手くいったんだから。ガンQを市街地から遠ざける手段が確立できた時点で、作戦は中止にしても良かったわ」
さらに続けて、隊長は毅然と言う。
「わたしたち防衛チームの仕事はね、ただ怪獣を倒せばいいってもんじゃない。誰一人死なせず、傷つけずに守り抜く、常に最良の結果を目指す仕事よ。そしてそれはあなたたち隊員だって例外じゃないの。たとえ作戦が失敗しても、人命には代えられない。一般市民はもちろん、あなたたち隊員たちの生命もね」
隊長は窓際に戻り、外を見ながら続けた。その表情は窺えない。
「……あなたは焦っていたんでしょうね。『ウルトラマンとして活躍しなきゃ』って。その気持ちはわかる。でもね、その焦りが判断を鈍らせた。結果的にアースガロンとわたしたちが何とかしたから良かったけど、最悪の場合……」
隊長は言葉を切った。その沈黙が、何よりも重かった。
「……防衛チームの隊長としての命令よ。ウルトラマンへの変身はしばらく禁止ね」
そ、そんなっ!? そんなことしたら地球が守れないじゃないか!
ボクはすかさず抗弁した。
「ボクにはっ、ウルトラマンとして地球を守る使命が……!」
「……そうね、あなたは本当はウルトラ戦士だわ」
だけどね。隊長は有無を言わさずこう答えた。
「それはあなたが変身している3分間、ほんのちょっぴりの時間のことでしかない。それともそれ以外の時間、23時間57分ずっと、ウルトラマンに変身していてくれるのかしら?」
「そ、それは……」
咄嗟に反論できないボクに、隊長ははっきりと告げる。
「わたしたち防衛チームの仕事はチームワーク、主役のヒーローだけいれば成り立つ仕事じゃない。むしろ逆、あなたの方こそ周りのわたしたちに合わせてくれなきゃ困る」
もはや返す言葉のないボクに、隊長は言うのだった。
「わかったら、まずは防衛チーム隊員として日々の務めを果たしなさい、ナガレヤマ=ホタル隊員。ウルトラマンとしての大活躍はそれからよ」
それから二週間後。
次の戦いでもウルトラマンの出る幕はなかった。
「……しっかし、とんだ悪趣味な怪獣もいたもんね~。まさか『ウルトラマンの偽物』だなんて」
「ああ、まったくだ。もっとも正体は『金属生命体』だから、金属反応を調べれば一発でダウトだったが」
今回防衛チームが倒した怪獣はなんとウルトラマンの偽物、ニセウルトラマンだった。レジストコード〈金属生命体 アルギュロス〉はその変幻自在な身体を利用してこともあろうにウルトラマンに化け、街中での破壊活動を行なったのだ。
それを撃破したのは我らが防衛チームの最強兵器、アースガロン。
「“アースファイア”、発射ァーッ!!」
そして放たれる必殺の荷電粒子砲、アースファイア。
アースガロンによる紫電のビームが見事命中。アルギュロスが化けたニセウルトラマンは、哀れな金切声の悲鳴を上げながら木端微塵に吹き飛んでいった。
「――――――――――ッ……!」
……ニセウルトラマンとはいえ、ロボット怪獣が吐いた光線でウルトラマンが倒されてしまうなんて。本物のウルトラ戦士のボクからすればあまりにも皮肉の効きすぎた、まったく笑えない光景だった。
チームで作戦の録画を見返しながらボクが何とも言えない気持ちになっている中、作戦ルームにやって来ていた科学技術担当――今度は御茶菓子を貰いに来たらしい――が何気なく呟いた。
「ウルトラマンへの擬態は収斂進化か、それとも地球人への心理的効果を狙ったものか……怪獣も出現が重なるにつれて、手が込み入ってきているような印象もあるな」
……たしかに、そうだ。
物理的な破壊を繰り返すだけだったコッヴから、異次元から一方的に攻撃しようとしたメザード、不条理の塊だったガンQ、そして今回のアルギュロスが化けたニセウルトラマン。科学技術担当の言うとおり、手口がどんどん巧妙になってきている。
科学技術担当の言葉に、隊長が賛同した。
「……たしかに、そうね。コッヴ以降、一貫した意思というか、計画めいたものを感じる気がする。ニセウルトラマンもそうだけど、あのガンQの気持ち悪い見た目も威嚇や
「かもしれんな」
科学技術担当もお菓子をぽりぽり食べながら頷く。
「他のバースでもヤプールやかの“皇帝”、果てはレイブラッドやベリアル帝国のような、長期に渡る侵略計画を実行に移してきた侵略者の例は枚挙に暇がない。コッヴをはじめとする一連の怪獣を送り込んできている輩も、そういう手合いである可能性は否めない」
「……厄介なのに目をつけられた、ってことね」
そんな物騒な会話を聞きながら、ボクはただ黙って立っていた。
……計画的な侵略が進んでいるかもしれない。そんな危機的状況なのに、ボクはまだ何の役にも立てていない。それどころか、隊長から「ウルトラマン変身禁止令」を下されてしまった。
ボクがそんなことを考えていると、
「あ、そうだ、ナガレヤマ隊員」
……ボクの正体がウルトラマンだとわかってからも、隊長のボクへの接し方は変わらなかった。
隊長は相変わらず、ボクのことを防衛チームの新人隊員:ナガレヤマ=ホタル隊員として接している。それがどういう意図によるものなのかはわからないけれど、隊長はボクの正体のことを黙っていてくれていた。
そんな隊長が、ボクに言った。
「あなたにぜひとも頼みたいことがあるの」
防衛チーム隊員としての日々の務め。
ボクたち防衛チームの仕事は何も怪獣を倒したり、怪事件を解決することだけじゃない。
時には、こんな仕事もある。
「良い子の皆さん、こんにちは~! わたしたちは防衛チームでーす!」
「「「こんにちわー!」」」
司会役の隊員の挨拶に合わせて、元気よく応える子供たちの声が聞こえる。場所は市民会館の劇場ホール。地域の子供たちが集められ、防衛チームによる怪獣災害の啓蒙活動が行われていた。
「今日は特別な避難訓練です! さあ皆さん、怪獣災害に備えてしっかり勉強しましょうねー!」
「「「はーい!」」」
司会役の隊員が挨拶を終えたあと、ホール内に怪獣の足音や鳴き声のSEが流れ始めた。
「あれれー? あれは何の音でしょー? ……ああッ、大変です! 怪獣のゴロゴロンです!」
さあ、出番だ。デデーンと大仰なサウンドエフェクトと共に、ボクはステージの上へと躍り出た。
……怪獣ゴロゴロン。丸っこいシルエットに柔らかいカラーリング、デフォルメの効いたどこか可愛らしい顔つきの着ぐるみ。『子供たちを怖がらせすぎないように配慮されたデザイン』と言えば聞こえはいいけれど、要するにとてつもなくダサくてカッコ悪い。
そしてそれが、今のボクの姿だった。ゴロゴロンの着ぐるみを着たボクを指差して、子供たちは声を挙げて笑った。
「あははー、ぶっさいく~」
「ジャガイモみたい~」
「よわそ~」
……何も言わないでくれ、頼むから。本当はウルトラ戦士であるこのボクが、よりにもよってこんなダサくてカッコ悪い怪獣を演じることになるなんて。
着ぐるみの下でボクが涙を呑む中、司会役の隊員が緊迫した演技で声を張り上げた。
「さあ、どうしましょう! 怪獣のゴロゴロンが街に近づいてきました!」
……だけど、これも仕事だ。たとえどんなにイヤでもやらなくちゃ。
なんとか腹を括ったボクは、着ぐるみ内に仕込んだインカムを通じて声を上げた。
「が、ガオオーッ!!」
精一杯、怪獣らしく恐ろしげな唸り声を出したつもりだった。けれど、やっぱりどうしても恥ずかしくて上手く声が出ない。つい声が裏返って、変な風になってしまう。
「こっ、この町をォー! 踏み潰してやるぞォー……!」
そんなマヌケなボクの姿を観て、子供たちは口々に笑い声をあげた。
「あはは、なにあれー」
「怪獣なのに、声が女の子みたーい」
「かっこわるーい」
う、うるさいなっ。君たちだって、着ぐるみの中身が普通のヒトだってことぐらいわかってるだろ……っ!
そんな文句も出そうになったけれど、なんとかぐっと呑み込んだ。
憤懣やる方ないボクの心情はさておき、司会役の隊員は子供たちへ朗らかに問いかけた。
「さあ、みんなー! 怪獣が来たらどうすればいいでしょうか?」
「「「おかしもちー!」」」
声を揃えて答える子供たちに、司会役の隊員もニコニコ笑いながら応じる。
「そうです、『おかしもち』です! 『押さない』『駆けない』『喋らない』『戻らない』、そして危ないところに『近寄らない』! 先生や大人の言うことを聞いて、決められた避難場所に向かいましょう!」
そう説明した途端、特徴的なサウンドエフェクトが響き渡った。怪獣出現を知らせる怪獣接近警報のアラート、そのサイレンだ。
サイレンの音が収まったあと、司会役の隊員は子供たちに告げた。
「……はい、聞こえましたか? これが怪獣接近警報、アラートです! この音が聞こえたら、すぐに避難の準備をしましょうね!」
「「「はーい!」」」
元気よく返事する子供たち。続いて劇は次の段階に入った。
「みんなが避難している間に、頼もしい味方が到着します。さあ、アースガロン! 出動だー!」
司会役の隊員の合図と共に、ステージの反対側から登場したのはアースガロンだった。
とはいえ、本物の全高60メートルの巨体ではない。2メートルほどのサイズに縮小された、自動操縦式のロボットだ。青い装甲にオレンジのアクセント、ドラゴンを模したフォルムは本物を忠実に再現している。関節部が滑らかに動き、目の部分が発光している。まるで本物のアースガロンが小さくなったかのようだ。
「「「わあああー! アースガロンだー!」」」
子供たちの歓声が一気に高まった。さっきのボクへの冷ややかな反応とは雲泥の差だ。
「アースガロン、かっこいいー!」
「やっつけてー!」
「がんばれー、アースガロン!」
……くっ。
着ぐるみの中でボクは歯噛みする。本物のウルトラマンであるこのボクよりも、ロボット怪獣のミニチュアの方が人気だなんて。
そんなボクの複雑な心境をよそに、2メートルのアースガロンが颯爽とステージの中央へ進み出る。ステージ袖で防衛チームのベテラン隊員が操縦しているのだろう。本物さながらの機敏な動きで、アースガロンは勇ましいポーズを次々と決めてゆく。
スピーカーから金属の咆哮が響く。
「ビーッ! アースガロン、出動します! みんなの町を守るぞ!」
「さあ、アースガロンがゴロゴロンと戦います! みんな、応援してあげてくださいね!」
司会役の隊員の言葉に、子供たちは口々に声援を送る。
「がんばれー!」
「アースガロン、ファイトー!」
「そのブサイク怪獣をやっつけろー!」
……ブサイク怪獣って。ボクのことを言ってるのか、それ。
ともかく、こうなりゃヤケだ。ボクは思いきり声を張り上げ、腕を力いっぱい振るいながらアースガロンへと向かっていった。
「が、がおー! おまえみたいなヘナチョコロボなんかこわくないぞォー!!」
「とうっ、やぁーっ、ターッ!」
舞台の上で取っ組み合うボクとアースガロン。電動アシストモーターで強化されたアースガロンの身のこなしは軽やかでヒロイックな一方、重たい着ぐるみを纏ったボクはのそのそ動くしか無くて、どこまでもブザマでカッコ悪かった。
当然、子供たちの声援が向けられるのはブザマなボクじゃなくて、カッコいいアースガロンで。
「がんばれー、アースガローン!」
「怪獣なんかやっつけろー!」
「そんなブサイクにまけるなー!」
子供たちがアースガロンを応援する中、司会役の隊員はさらに子供たちへと問いかけた。
「アースガロンは町を守るために戦います。でも、みんなの協力も必要です。どうすれば協力できるでしょうか?」
そう問われて、子供たちは口々に声をあげる。
「避難するー!」
「皆でたすけあうー!」
「おちついて行動するー!」
「そうですね!避難をしっかりすること、お友達や家族と助け合うこと、そして落ち着いて行動することが大切です。それが、アースガロンの力になるんです!」
そんな司会役の隊員の説明に応えるように、アースガロンも
「みんなが安全に避難してくれたおかげで、私も思い切って戦えるぞ! 必殺、荷電粒子砲アースファイアー!!」
そして雄叫びを挙げながら口を開くアースガロン。口から吐くのはもちろん本物じゃない。ただの特撮、発煙筒とフラッシュを使ったスモークだ。
アースガロンは強烈な勢いで光るスモークを吐き出し、ボクに向かって浴びせかける。
ボクは悲鳴をあげながら、ステージ上で大袈裟に倒れた。
「ぐわーっ! 負けた~。もう悪いことはしないよ~!」
すかさず2メートルのアースガロンが、子供たちに向かって勝利のポーズを取る。モーターの駆動音が小さく響き、関節が滑らかに動く。その姿を、ボクは床に転がったまま眺めていた。
「わー! アースガロン、かっこいいー!」
「アースガロン最強ー!」
「ありがとう、アースガロン!」
……これが、現実。子供たちは、ロボット怪獣のアースガロンを讃えている。そして本物のウルトラマンであるはずのボクは、ダサい怪獣の着ぐるみの中で倒れている。
胸の奥が、じんわりと痛んだ。
「やりました! アースガロンの活躍と、みんなの協力で町を守ることができました。覚えていてくださいね!」
そして司会役の隊員は、子供たちと約束した。
「警報が鳴ったら落ち着いて行動する! 大人の指示をよく聞く! 決められた場所に避難する! 友達や家族と助け合う! これらを守れば、みんなもアースガロンの大切な仲間になれます!さあ、一緒に練習しましょう!……」
「「「はーい!!」」」
そうして今日の防災安全訓練は、次の進行へと移っていった。
外回りが終わったあと、再びボクは隊長に呼び出された。場所は防衛チームの休憩室。
「……なかなか不服そうね?」
ボクは答える。
「……別に、不服だなんて」
「嘘が下手ね。顔に書いてあるわよ、『なんでボクがこんな目に』って」
「……っ」
……図星だった。ボクは何も言い返せず、黙り込む。
「言っとくけどね、あなたをイジメたくてやってるわけじゃないのよ?」
そう言って隊長はコーヒーカップを二つ、テーブルに置いた。一つは自分の前に、もう一つはボクの前に。促されるままに椅子に座ると、隊長もボクの向かいに腰を下ろした。コーヒーの湯気が立ち上る。
隊長はコーヒーに口をつけてから、ボクをまっすぐ見た。
「今日のあなたの任務、何だったかわかる?」
「……子供たちへの、避難訓練の啓蒙活動、です」
ボクが答えると、隊長は「そうね」と頷いた。
「じゃあ、もう一つ質問。今日までの外回りであなたが見てきたもの……防衛チームの作戦行動から街の防災計画、子供たちの避難訓練まで、いざというときにウルトラマンが駆け付けてくれることを当てにしているようなものは一つでもあった?」
ボクは少し考えてから答えた。
「……ありません」
先週は役所で街の防災計画の確認作業だった。怪獣出現時の避難経路、緊急シェルターの位置、備蓄物資の配置。それらすべてが、市民が自力で避難することを前提に設計されていた。
一昨日には地域の自治会と連携して、避難訓練の打ち合わせ。お年寄りや身体の不自由な人をどう誘導するか、どこに集合するか。そこでも「ウルトラマンが来るまで待つ」なんて項目は一つもなかった。
そして今日の啓蒙活動。子供たちに教えたのは「おかしもち」――自分たちで安全に避難する方法だ。ウルトラマンが助けてくれることを当てにしたものではなかった。
隊長は小さく頷いた。
「そう。わたしたち地球人にとってウルトラマンは最後の手段、いや、本当だったら選択肢にすら入れちゃいけないの」
隊長はコーヒーを飲みながら続けた。
「だから自分たちで出来ることは最大限やらないといけない。『地球は、わたしたち人類自らの手で守りぬかなければならない』、そのことをわかってもらいたかった。特にウルトラマンであるあなたにね、ナガレヤマ隊員」
隊長の言葉は、ボクの胸に重く響いた。
……ボクは、ウルトラマンとして地球を守りたいと思っていた。憧れのウルトラ戦士のように、颯爽と怪獣を倒して人々を救いたかった。
だけど――だけど、それって。
「……つまり、今の地球にウルトラマンは要らないってことですか?」
ボクの言葉に、隊長は一瞬驚いたような顔をした。そしてすぐに、小さく笑った。
「……あはは、極端ね。そんなこと言ってないでしょ」
隊長はコーヒーカップを机に置いた。
「『要らない』んじゃない。『最初から当てにしてはいけない』ってこと。わかる? この違い」
「……わかりません」
ボクが目線を逸らしながら答えると、隊長は溜息をついていた。
「……そう。今わからないならまあ、それでもいいわ」
そしてコーヒーを飲み干して席を立ち、落ち込んでいるボクの肩を叩いた。
「あなたはまだ新人よ、ナガレヤマ隊員。まずは防衛チームの一員として、わたしたち防衛チームと一緒に働くことを覚えなさい。そうすれば、ウルトラマンとしてのあなたの力も、きっと本当に必要なときに活きてくると思う」
それに、と隊長は付け加えた。
「ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って、どうにもこうにもならない……そんな時に来てもらうものでしょ? ウルトラマンってさ」
じゃ、そういうことで。
そう言って、隊長は休憩所から去っていった。あとにはボクが残された。
今の地球にウルトラマンは要らないのだろうか。
休憩所に残されたボクは、ベンチに座って考え込んでいた。窓の外には夜の街が広がっている。静かで、平和な光景。手元にはもうすっかり冷めてしまったコーヒー。飲む気にもなれず、ボクはただカップを見つめている。
……ボクは、ウルトラマンは本当に必要なのだろうか? 隊長の言葉が、頭の中でぐるぐる回っている。
『本当だったら選択肢にすら入れちゃいけない』
『地球は、わたしたち人類自らの手で守りぬかなければならない』
そしてこれまで見てきたもの。人類が自分たちの力で築き上げてきたもの。
防衛チーム。綿密な作戦計画。科学技術担当の天才的な発明。アースガロンという強力な兵器。避難経路。防災計画。子供たちへの教育。それらすべてが、ウルトラマンなしでも機能するように作られていた。
……考えてみれば、そうだ。
コッヴは、アースガロンが倒した。
メザードは、科学技術担当の頭脳と隊長の作戦で倒した。
ガンQは、ボクが失敗して、結局アースガロンと防衛チームが倒した。
アルギュロスもそうだ、アースガロンが倒してくれた。
ボクがいなくても、地球は守られていた――
「こんな遅くに何をしている」
突然の声に、ボクは顔を上げた。
休憩所の入り口に立っていたのは、防衛チームの科学技術担当だった。手には空になった給湯ポットを持っている。こんな夜まで作業していたんだろうか。
「……なんだ、ナガレヤマ=ホタル隊員か。早く休みたまえよ」
お湯が切れた。水をもらうぞ。そう言って科学技術担当は給湯ポットにミネラルウォーターを注ぎ、スイッチを入れた。お湯が沸くまでの待ち時間、彼女は窓の外を見ている。
その横顔を見ながら、ボクはふと思った。
……この人は、ボクのことをどう見ているんだろう。
「あ、あのっ!」
「なんだ、ナガレヤマ=ホタル隊員」
振り返る科学技術担当に、ボクは訊ねてみた。
「あなたは、ボクの正体に気づいてたんですよね? いったいいつからだったんですか?」
隊長の言っていたことが本当なら、科学技術担当もボクの正体がウルトラマンだという事実に気づいていたことになる。
しかし毎日顔を合わせている隊長ならともかく、科学技術担当とはそれこそ数えるほどしか会ったことがない。なのに彼女がいつボクの正体に気づいたのか、ボクは気になって仕方なかった。
科学技術担当は給湯ポットでミネラルウォーターを沸かす作業を続けつつ、事も無げに答えた。
「……ああ。メザード戦のミーティングで会ったときからだな」
「メザードのときから!?」
メザード戦の作戦会議って、初めて顔を合わせたときじゃないか!?
衝撃の事実を明かされてボクが驚いていると、科学技術担当はポットでお湯を沸くのを待ちつつ言った。
「先代のウルトラマンもたいがい朴念仁だったが、君の場合は輪をかけて明け透けだったぞ。本当は隠す気がないのかとさえ思っていたくらいだ」
「そ、そうですか……」
一生懸命隠してたつもりだったんだけど、わかる人にはやっぱりわかっちゃうらしい。
悄然とするボクだけれど、科学技術担当は気にもしない。沸かしたてのお湯で紅茶を淹れながら、平然と続けるのだった。
「ま、わたしからすれば別に構わんがね。君があのときやらかしてくれたおかげで、ガンQという新しい研究材料が手に入った。君という新しいウルトラマンも興味深い研究対象だ。ナガレヤマ=ホタル隊員、今後ともせいぜい頑張って“やらかす”と良い」
「……たまに『無神経』って言われません?」
「ああ、よく言われるな。わたしは外星人だから地球人と神経構造が異なるのは当然だと思っているが、それがなにか?」
「……ナンデモナイデス」
ボクは遠回しに咎めてみたけれど、科学技術担当は平気の平左。ボクからの嫌味にまともに応じることもなく、平然とお茶の準備に専念している。
……なんかもう暖簾に腕押し。これ以上この話を続けてみても、ボクの方ばっかりドツボにハマってゆきそうな気がする。
なのでボクは話題を変えることにした。
「あの、隊長とは古い知り合いだったりするんですか?」
ボクの問いかけに、科学技術担当は蜂蜜紅茶をかき混ぜる手を停めた。
「どうしてそう思う?」
「いや、なんとなくそんなふうに見えたので……」
科学技術担当は少し考え込み、やがて口を開いた。
「……ふむ。言われてみればたしかに、地球人基準でみればわたしと隊長の関係性は比較的“長い”と言えるかもしれん。だが、それがどうかしたか?」
……やっぱり思ったとおり。日頃の会話の気安い様子から思っていたとおり、科学技術担当と隊長は古くからの友達だったようだ。
推測が確証に変わったところで、ボクは思い切って訊いてみた。
「前から気になってることがあって……隊長って、本当はウルトラマンが嫌いだったりするんでしょうか?」
「……どういうことだ?」
怪訝な様子の科学技術担当に、ボクは説明した。
コッヴやメザードとの戦いにおいて、ボクは出番すらなかったこと、ガンQ戦ではなんとか変身したものの、却って足を引っ張って大失敗してしまったこと。そして隊長からはウルトラマンへの変身禁止令が出てしまったこと……。
「知りたいんです、隊長が本当に何を考えてるのか。どうしてあんなことを言ったのか。本当はこのボク……ひいてはウルトラマンのことが嫌いになっちゃったのかな、って……」
「なぜわたしに聞く。本人に直接聞いたらどうだ?」
「聞けないから教えてほしいんです」
「……非合理の極みだな」
「そうかもしれません、けど……」
縋りつくようなボクの求めに、科学技術担当は少し考え込んでから口を開いた。
「たしかに今の防衛チームの隊長、ミネ=アンナは先代のウルトラマンが戦うところを目の当たりにしてきた世代だからな。今の君、ナガレヤマ=ホタル隊員の姿を見ていて、思うところもきっと多いのだろう」
だがな、と科学技術担当。
「少なくともわたしの知る限り、彼女は気に喰わない相手を陰湿に甚振って喜ぶようなタチの悪さとは無縁の人間だ。君たち自身がお互いをどう思ってるのかは知らんが、むしろナガレヤマ=ホタル隊員、君の方こそ性格的には彼女と近いように見えるがね」
「隊長がボクと、似てる……?」
もしかしてこの人、ボクを励ましてくれてる……? ほんのかすかな期待がよぎる中、科学技術担当は続けた。
「単純で直情径行、猪突猛進でとにかく力押し。なんでも努力と根性と気合とやらの精神論で解決を試みる、知的生命体にあるまじき論理性のなさ。そのくせ人一倍に不器用で気が回らなくて繊細で、なにかあるとくだらないことでもすぐ一丁前に落ち込んで悩んでしまう。地球人的な言い回しで言えば“熱血単純直情バカ”だな」
「ぜんぜん褒めてませんよね、それ!?」
「当然だ。君のような愚か者の無能が、なぜ褒めてもらえると思った。その方が理解に苦しむね」
「…………。」
愚か者の無能。辛辣な言葉にボクは俯いた。
「……どうかしたか?」
……ああ、そうとも。ボクだってわかっちゃいるんだ、本当は。ボクは口を開いた。
「ボクはやっぱり防衛チームに要らない人材なんでしょうか……」
ボクの言葉に、科学技術担当は紅茶のカップを持ったまま動きを止めた。
そしてしばらく沈黙したあと、ゆっくりとこちらを見た。その表情は、何かを観察するような、値踏みするような目つきだ。
「……ナガレヤマ=ホタル隊員」
「は、はい……」
「君は本気でそう思っているのか?」
科学技術担当の声音は、いつもの飄々とした調子とは少し違っていた。呆れているような、それでいて何かを確かめるような響きがある。
「だって、実際にボクは何の役にも……」
「答えろ。本気で『自分は要らない』と思っているのか?」
いつになく強い口調に、ボクは返す言葉に詰まった。
……本気で、そう思っているのか。自分は本当に防衛チームに必要ないと、心から信じているのか。
答えられずに俯くボクを見て、科学技術担当は小さく鼻を鳴らした。
「……ふん。答えられないということは、まだ完全には諦めていないということか。それとも単に、落ち込んでいる自分に酔っているだけか」
「そ、そんなんじゃ……」
「どちらでもいい」
科学技術担当は紅茶を一口飲んでから、カップをテーブルに置いた。そして両腕を組み、じっとボクを見つめる。
「いいか、ナガレヤマ=ホタル隊員。わたしは感傷的な慰めを言うつもりはない。それは人間どもに任せておけばいい。わたしは論理的な指摘しかしない」
そう前置きしてから、科学技術担当はボクに告げた。
「ひとつだけ教えてやる。くだらん迷妄に囚われるあまり、君が見落としている“論理的事実”をな」
「事実?」
「ああ、そうだ」
科学技術担当は言った。
「それは、『君は今も期待されている』ということだ」
……今も期待されている、このボクが? そんなわけはない。
たしかについ先日まではそうだったろう。だって、ボクは本当はウルトラマン、地球を守るヒーローだったんだから。
だけどボクはその期待を裏切ってしまった。これまでの戦いでもずっと役に立たなかった。ガンQのときに至っては功を焦って変身して、かえって皆の足を引っ張ってしまったじゃないか。
「だけど、ボクはウルトラマンで……!」
「それが迷妄だと言っている」
反駁しようとするボクを先回りするかのように、科学技術担当はぴしゃりと言った。
「言っておくが、我々防衛チームが期待しているのはウルトラマンとしての君じゃない。防衛チームの新人隊員、ナガレヤマ=ホタルに期待している。これが論理的事実だ」
『防衛チームの新人隊員、ナガレヤマ=ホタルに期待している』だって? バカな、そんなはずはない。だってボクは本当はウルトラマンで……!
だけど科学技術担当は言うのだった。
「状況を俯瞰して、そして論理的に考えろ。君の正体がウルトラ戦士であることを知っているのは、防衛チームの中では隊長とわたしだけだ。そしてウルトラ戦士として君はあまりに未熟すぎる。ハッキリ言えば役立たずだ」
「それは、だけど、でも……っ!」
あまりに耳の痛い指摘、何か言い返したかったけれどボクは何も言い返すことができない。だって事実だから。
しかし、と科学技術担当はなおも続けた。
「ああ、そうだ。何の見込みもない愚か者の無能を養っておけるほど、防衛チームも
「…………っ。」
もはや、返す言葉も無い。
科学技術担当から向けられた言葉はこれまで以上に手厳しいものだった。けれど一方で、彼女の言葉はいつになく真剣なものでもあるように今のボクには思えたんだ。
黙り込んでしまったボクに、科学技術担当は続けた。
「そして隊長は君をクビにするでもなく、『まずは防衛チーム隊員として日々の務めを果たせ』と言ったのだろう? もし君にウルトラマンとしての役割しか期待していないなら、防衛チーム隊員としての務めも期待はしない。それとも君は防衛チームへ入ったとき、ウルトラマンだと名乗って入ったのか?」
「……違います」
……たしかに科学技術担当の言うとおり、防衛チームに入るときボクはウルトラ戦士であることを隠して入った。そのとき名乗った名前がナガレヤマ=ホタルで、そしてこの人間の姿である。
だけどそれは、そんな特別な事情があったわけじゃない。正体を隠すのはウルトラマンの御約束、じゃないと防衛チームに入れてもらえないし、人間社会へ溶け込むのに支障をきたしてしまう。ただそれだけの理由でしかなかったんだ。
そんなボクに、科学技術担当は「理由や経緯はどうあれ、」と言った。
「君は防衛チームにナガレヤマ=ホタルとして加入した。ウルトラマンとしてではなくな。つまり君はウルトラマンとしてではなく防衛チームの隊員、ナガレヤマ=ホタルとしての力を期待されていると見るべきだ。だったら、君はナガレヤマ=ホタルとしてその期待に応えるべきではないのか……とわたしなら考えるがね」
「……で、でもっ!」
ボクは絞り出すように言った。
「でも、ボクは何もできてません。防衛チーム隊員としても、何の役にも立ててない。今日だって、ダサい怪獣の着ぐるみを着て、子供たちに笑われて……」
声が震える。情けなくて、悔しくて、どうしようもなくて。
「……それでも、ボクは期待されてるって言うんですか?」
「当たり前だ」
あまりにも即答だった。
科学技術担当は、紅茶を飲み干してカップを置いた。
「君はまだ新人だ。入隊してどれくらい経った? 数週間か? その程度の期間で戦力になれるとでも思っているのなら、それこそ思い上がりも甚だしいな」
科学技術担当は立ち上がり、ティーポットを手に取った。
「それに、子供向けの啓蒙活動も立派な任務だ。君がダサい怪獣役を演じたおかげで、子供たちは避難訓練の大切さを学んだ。それは君の功績だ。ウルトラマンとしてではなく、防衛チーム隊員ナガレヤマ=ホタルとしての、な」
話はもう終わりだ。科学技術担当はそう言って、ポットを抱えたまま出口の方へ歩いていった。
ボクは、その背中を見つめていた。
……功績、だって。
子供たちに笑われて、カッコ悪くて、情けなくて。
それでも、あの着ぐるみを着て舞台に立ったことが、功績なのだという。ウルトラマンとしてではなく、防衛チーム隊員ナガレヤマ=ホタルとしての、功績だと。
まだ完全に納得できたわけじゃない。胸の奥にはまだモヤモヤとした重たいものが残っている。自分が本当に期待されているのか、確信なんて持てない。
だけど。
「……あの」
思わず、声をかけていた。
科学技術担当は振り返らずに立ち止まり、「なんだ」と短く応じた。
ボクは、少しだけ躊躇してから言った。
「……ありがとうございます」
そうやって頭を下げると、科学技術担当は振り返りもせずに肩をすくめて答えた。
「……勘違いするな。君のその非論理的でくだらん迷妄を正してやっただけだ。それに、まがりなりにもウルトラ戦士ともあろうものがこんな情けない醜態を晒しているのは我慢ならんしな」
そう言って、科学技術担当はすたすたと去っていった。
休憩所に残されたボクは、ベンチに座ってまたしても考え込んでしまった。
……隊長は「人類が自らの手で守る」と言った。だけど科学技術担当は外星人だ。アースガロンはロボット怪獣だ。それなのに、どうして「人類が守る」なんだろう?
ふと気づく。
……科学技術担当は、この地球でずっと暮らしている。防衛チームの一員として、地球のために働いている。給料をもらって、税金を払って、この星で生きている。
アースガロンだって、この星の人類が作った兵器だ。人類の技術の結晶だ。
つまり彼らは「外から助けに来た救世主」じゃない。
「この星に住む者たち」なんだ。
じゃあ、ウルトラマンであるボクは?
ボクはウルトラマンとして、この地球に「助けに来た」。いつかは光の国に帰る。
けれどウルトラマンは『外から助けに来る』。どれだけ善意でも、それは『お客さん』だ。戦いが終われば去ってゆく。この星の明日に責任を持たない。
その一方でボクは防衛チームの隊員、ナガレヤマ=ホタルとして働いている。給料をもらって、地球で生活している。
思わず独り言ちる。
「……ナガレヤマ=ホタルとして頑張る、ってどういうことなんだろう?」
今のボクにはよくわからなかった。
好きなキャラ
-
ナガレヤマ=ホタル
-
隊長(ミネ=アンナ)
-
科学技術担当(シルフィア=バルタニア)