「出れた……」
8階に閉じ込められていた公安特異4課の一行は、全員が疲れた表情でホテルから出てきた
「銃の悪魔の肉片も取れたし、晴れてるしクソした後みてぇな気分だぜ……浮いてるみてぇだ……」
全身血まみれな金髪の少年──デンジはグラリとバランスを崩した
「っと、寝ちゃった……」
すかさず姫野が彼の身体を支え、後輩たちに指示を出した
「ずっと寝ずに悪魔を殺し続けてたからね… アキくんとデンジくんは私たちで病院に連れてく、残り2人で今回のことを報告しに行って」
4課のメンバーは4人と2人に分かれて、それぞれの目的地に向かった。
──そんな6人を、公安の制服を着た1人の若い男がホテルの屋上から眺めていた。
上空を飛ぶ飛行機はどこに誰を運んでいるんだろう、と他愛のないことを考えながら
「短時間なのに、あの返り血の量と疲弊具合……なるほどね、銃の悪魔の肉片を取り込んでいたのは永遠の悪魔か」
肉片を取り込んで強化された永遠の悪魔の攻略方法は、デンジの返り血を見れば粗方想像がついた
「くくく、心配するまでもなかったようだね。マキマちゃんが目をかけてるだけはあるわけだ」
彼はズボンのポケットから煙草を取り出して口に咥え、ふうっと煙を吹かした
「チェンソーか……いいね、しっかりイカれてるじゃないか」
心底楽しそうな表情で、彼はくるりと踵を返した
「早く挨拶したいな…私
その男──『災害の悪魔』は、軽い足取りで、やがて路地裏の暗がりに消えた
「カンパーイ!!」
町中の居酒屋で、公安特異4課の新人歓迎会が始まり、場の流れでの自己紹介が終わったところで、遅れて参加予定だった2人が到着した
「キス?」
「え!?」
「すいません 生1つお願いします」
「マキマさん、ここにどうぞ」
「本物のマキマさんたち初めて見た……」
「マキマさんたち〜!」
「姫ちゃん、飲み過ぎだよ。あ、こっちはノンアルで」
アキの隣に座ったマキマと、サングラスを外しながら姫野の隣に座った…頭に角の生えた若い男
「マキマさん、そっちの人(?)は?」
デンジの疑問に、マキマは思い出したようにジョッキから口を離した
「そっか、新人の子たちは知らないよね」
「自己紹介くらい自分でするよ、マキマちゃん」
「ま、マキマ…ちゃん!!?」
口には出さずとも、デンジのメンバー以外も彼のマキマへの「ちゃん付け」に驚いていた
「私はアース、災害の悪魔だよ よろしくね
東京ではマキマちゃんの近くで仕事してることが多いかな 最近は忙しいからそうとも限らないのだけど」
「あれぇ〜あーすさんノンアルなの〜?」
「姫ちゃんが飲み過ぎなんだよ…君は私が下戸なの知ってるだろう」
アースの紹介が済んだところで、マキマはデンジに目線を戻した
「それで? デンジくん、誰かとキスするの?」
「しません!」
「え〜! デンジくん、キスしないのおぉ!?」
「しまァす!」
その後、姫野のデンジへのゲロキスで新歓会が幕を閉じることを、彼らはまだ知る由もないのであった──