"DISASTER"   作:榊 時雨

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世知辛いよね

「特異1課2課3課4課が、銃で襲撃された」

そう連絡を受けたアースは、血相を変えて公安を飛び出した

 

「銃……」

 

厄介なことになった、とアースは奥歯を軋ませた。

銃となれば、狙われているのが誰なのかは想像に難くない

 

「店が、壊れてる…」

 

彼らのパトロール管轄区域に、明らかに倒壊している建物があった。誰かが悪魔を使った形跡だと、すぐに理解した

 

「デンジくん、パワーちゃん……」

 

無事であってくれ、と祈りながら店へ急ぐ

 

「アキくん、姫ちゃん…!! すまない遅くなった、無………事──」

 

アースの目に飛び込んできたのは、上半身だけのチェンソー姿のデンジと、出血したままのアキと…

 

「姫、ちゃん…」

 

服や眼帯だけとなってしまった、姫野

 

「公安の制服を着てる…魔人か?」

 

 

 

 

『震度 3』

 

 

 

 

「!?」

 

地鳴りのような音と共に、建物が、大地が揺れた……地震だ

 

「デンジくんを返してもらおう、銃撃犯」

「!! こいつ、災害の悪魔か…!」

「ご明察だ」

「急げ!!! あいつはこれ以上、震度を上げられないハズだ!!」

「ッ……は、勘がいいね」

 

ヘビの悪魔を扱う女の言ったことは正しく、これ以上は建物が更に崩れ、アキが巻き込まれてしまう可能性があるので時間稼ぎ程度の『震度3』が、この場では限界だった

 

「チッ」

 

アースはデンジを奪っていた銃撃犯を追うべきか迷ったが、アキの治療を優先することにした

 

「銃撃犯とデンジくんは、きっとマキマちゃんが京都(向こう)で対処してくれる…来るのが遅くなって、すまなかった」

 

既に気を失っているアキの応急処置をし、救急車を呼んだ

 

「傷が深い……君は死なないでくれたまえよ、アキくん」

 

処置を終えたアースは煙草を取り出したが、火はつけず、結局しまった

 

「君が死んだら、姫ちゃんの死を悲しむ『人』が…1人減ってしまうからね」

 


 

「ふぁ〜あ…」

 

練馬での銃撃犯との戦闘が終わり、アースはアキが入院している病院の屋上で、東京の街を眺めながらアキの目覚めを待っていた

 

「特異課は人外以外ほぼ全滅かぁ〜……

生きてるのはマキマちゃんと私を除いて、デンジくんとパワーちゃんとアキくんとコベニちゃんと(まどか)くん…は辞めたんだったか」

 

デンジとパワーはマキマに呼び出されていて、これから指導だと聞いている

 

「ふふっ、岸辺くんの指導か…あれは辛かったなぁ」

 

特異1課の岸辺を思い出し、アースは懐かしさから口元をゆるめた

 


 

「…お前が災害の悪魔か?」

 

岸辺は、アースが公安に入って数週間経ってから、墓地で初めて知り合った

 

「そうだけど、できればアースって呼んでほしいな。君も『人間』って呼ばれるのは嫌だろう?」

「…いいぞ、だがまずは俺の質問に答えろ」

「うん?」

 

アースはいまいち岸辺の意図を掴めなかったが、岸辺は構わずアースに質問した

 

「仲間が死んでどう思った?」

「……死んだなと思った、人間が死にやすい生き物なのは知っているし」

「敵に復讐したいか?」

「……どうして特に思い入れのない人間のために、私が命を懸けなくちゃいけない?」

「お前たちは、人と悪魔どっちの味方だ?」

「……」

 

少し考えて、アースは慎重に言葉を選んでから答えた

 

「私と、私の友人を害さない方」

 

言葉は選んだが、それは紛れもない彼の本心だった

 

「及第点だ、いいだろう…アースとか言ったか、俺がしっかり指導してやる」

「え? ああ、うん……どうも?」

 

ことが早く進み過ぎて、彼は最初、岸辺にそれなりに気に入られたことに気付いていなかった

 


 

「私も長く生きたからかな、最近は仲間が死んだら、人並みに喪失感を感じるようになってしまったよ」

 

自嘲するように、アースは目を伏せる

 

「昔は、人間が何人死のうと特に何も思わなかったのになぁ…」

 

携帯を取り出し時間を確認すると、彼は屋上を離れた

 

「……アキくん、目ぇ覚めたかな」

 




アキと姫野先輩、いいですよね
幸せになってほしかったです
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