"DISASTER"   作:榊 時雨

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頼みごと 2

「そんで、頼みごとって何なんだ?」

「私が死んだ後のことを、君に頼みたいんだ」

「……はぁ?」

 

アースは淡々と、しかし穏やかな表情でそう言った

 

「なに言ってんだアンタ、これからすぐに死ぬ予定でもあんのかよ?」

「すぐじゃないよ、ただ…私が来年の東京の姿を見ることはできないだろうなと思って。早めに伝えておきたかったんだ」

「なんで分かんだよ、そんなこと」

「伊達に長生きしてる訳じゃないからね、私も。勘だよ、勘」

「勘って、お前……」

「そういうことが分かる知り合いにも聞いたからね…絶対、たぶん間違いないよ」

「どっちだよ」

「あははっ」

 

まるで他人事のように自分の死を語るアースに、デンジは胡乱な目を向けた。まだアースと付き合いの浅いデンジにとって、彼の意図や本心を汲み取ることは、そう容易なことではなかった

 

「さっきも言った通り、死んで蘇った後の私は『アース()』じゃない。『次の私』がどんな人格で形成されるかも分からない」

「アンタは災害の悪魔だし、野放しにしとくのは危ねぇって話か?」

「そうだね……私が最も危惧しているのは、自分の友人を傷つけてしまうこと。そして、己で己を孤立無援に追い込んでしまうこと…」

 

そう話すアースは、友人もなく、独りで寂しく生きていた昔を思い出すように遠い目をしていた

 

「既に手は回してある、ただ保険は掛けておくに越したことはないからね」

「その()()が俺、ってことね」

「…そういうこと

そのチェンソーがあるんだ、君はきっと銃の悪魔を倒して強いデビルハンターになるよ。だから、私を探しに来てほしい」

「探しにって……探してどうするんだ? 次のアンタは、もう俺のこと分かんねぇだろ」

「デンジくんには負担を掛けるけど…何とか頑張って、災害の悪魔を公安で飼ってくれ。たとえ災害の悪魔(そいつ)が嫌がっても、だ」

「公安でまた雇えばいい訳だな」

「まぁ、危険そうだったら無理に雇わなくっても大丈夫。公安であろうと民間であろうと、デビルハンターと契約さえさせてくれれば役には立てるハズだよ。

──頼まれて、もらえるかい?」

 

申し訳ないと言わんばかりに眉を下げて穏やかに笑うアースに、デンジは何とも言えなくなってしまって、ガシガシと頭を掻いた

 

「なぁんか思ってたより重いこと頼んでくんじゃん……」

「すまないね、君が私の想定以上に成長してくれたモノだから」

「そりゃあどーも」

 

一瞬とも永遠とも思える沈黙。2人の青年は、暗くなっていく街並みを見下ろしていた

 

「……マキマさんとのデートが懸かってるんだ、俺にできる限りはやってみるよ」

「うん、ありがとう──デンジくんに、頼んでよかった…」

 

安心したように息を吐いたアースの声は、普段の毅然とした彼からは想像もできないほど震えていた

 




たぶん次からレゼ篇に入ります、たぶん(保険)(大事なことなので2回目)
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