アース、デンジ、ビーム、アキ、天使の5人は”ボム”から逃れるため、車で対魔2課の施設からなるべく遠くへ向かっていた
「──はっ!?」
「デンジくん、最低限の血は天使くんが飲ませてくれたが……うん、身体に不調はなさそうだね」
「ねぇねぇ、チェンソーくん蘇ったけどさぁ……ボムガールもう後ろ来ちゃってるよ」
「チキショウ… クソッ、どうなってんだ? この車、無線イかれてやがる!」
「まずいよアキくん、どうする?」
ビームに血を飲ませながら、アースは後方を見て眉間にシワを寄せた
「2課の野茂くんと副隊長くんがやられてるんだ、分かってると思うけどレゼは強いよ……正直、人外の私たちならともかくアキくんは、まともに戦えば死ぬと思う」
「…いよいよとなれば、あいつに車ごとぶつかります。あいつにデンジをやる訳にはいかない」
「うわあ!?」
「ちょっ、デンジくん!?」
「なんだ!!」
けたたましいチェンソーのエンジン音が、狭い車内に響く。
車の天井に、穴が開いた
「車の上を切ってる!」
「はぁ!? やめろ、デンジ!! まだそんな血ィ飲ませてねぇぞ!!」
「痛くて死にそ〜って思いながら、俺のこんがらがった脳みそでよォ〜く思い返してみたんだけどよ〜」
車の上に乗ったデンジは、外に出て”ボム”と対峙した
「俺が知り合う女がさぁ!! 全員、俺んこと殺そうとしてんだけど!!
みんなチェンソーの心臓ばっか欲しがっちゃって! デンジーの心臓は欲しくねぇのか!?」
「こんなこと言ってる場合じゃないけど、女性運悪いねデンジくん…」
「そ〜なのよ!!」
「私がデンジくんを好きなのは本当だよ」
「えっ、マジ…?」
「ちょっと、デンジくん!?」
「敵の言葉を聞くな!! お前はチョロ過ぎだ!!」
レゼの罠にまんまと引っ掛かるデンジを、アースとアキで窘めた。良くも悪くも素直だな、とアースはこんな状況で心底感心してしまった
「…はっ、危ね〜な!! 危うく騙されるとこだったぜ!!」
「ッ──レゼ、聞こえてるかい!?」
「アース…」
「誰に命じられているのかは分からないが、
「もう……待つとか待てないとかじゃないんだよ、アース」
「レゼ!! 聞いてくれ、私は───」
アースの苦しそうな顔を見て、デンジは妙に心が絡まる感じがした。
自分を信用してくれた人間が辛そうにしているのを見たからか、はたまたレゼに殺されそうになったからか…デンジの心は、少なくとも気持ちの良いモノではなかった
「あ゙〜もぉ、2人で難しい会話すんじゃねぇ!! 俺が何も分かんねぇでしょうが!!
まっ、どんな理由で俺を殺してぇか知らねぇが別に俺いいも〜ん! 俺にゃあマキマさんがいる!」
「マキマ………デンジくん、あの魔女に飼われちゃってるのか。なら一緒に逃げても無駄だったか、はぁ…あ〜あ」
「俺もキスすんじゃなかった! あ〜あ!!」
口には出さなかったが、密かにアースは『騙されていたとは言え、よくキスできるな…』と、ちょっぴり苦笑しながら思っていた