天神ハルキはおバカ
「おっすナギサちゃん。こうしてオレを呼び出すのって超久しぶりじゃない?何?もしかしてオレが恋しくなった?」
「確かにそうかも知れませんね。今はあなたの手も借りたいほどに……いえ、やはり何もしなくて結構です」
「?」
「それと、貴方をここに呼び出した理由ですが……天神ハルキさん、貴方には補習授業部に入部してもらいます」
「……?なにそれ」
「補習授業部とは様々な理由で成績の良くない方達を、何とかしてテストで良い点数を取れるようにしよう。そういう部活です」
「今までナギサちゃんとかミカちゃんとかセイアちゃんとか、それに他のみんなもオレに勉強教えてくれてたじゃん。別にそんな部活入らなくてもナギサちゃんたちがまた教えてくれりゃいいじゃん」
「……エデン条約、これについて私達は色々とやらなければならないことがあるのです。私は立場もありますので、今までのように勉強を教えるという事は難しいのです。それは他の方々も同じです」
「……?」
「……つまり忙しいので私が貴方に勉強を教えることはできません」
「そうなんだな!分かった!じゃあ忙しくなくなったらまた勉強教えてね!」
「ええ、必ず……」
そう言って天神ハルキは走って出ていった。それを眺めながら桐藤ナギサは、天神ハルキと言うおバカが補習授業部での生活で少しでも成績が上がることを祈っていた
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"補習授業部?"
「はい、つまり落第の危機に陥っている生徒達を救っていただきたいのです。「部」と言う形ではありますが、今回は顧問というより「担任の先生」と言ったほうがいいかもしれませんね」
「トリニティ総合学園は、昔からキヴォトスにおいて「文武両道」を掲げる歴史と伝統が息づく学園です。それなのにあろうことか、よりにもよってこの時期に、成績の振るわない方がなんと5名もいらっしゃいまして……」
「私達としてはちょっと困ったタイミングっていうか……エデン条約の件で、今はバタバタしててね。あの子たちの件も何とか解決しないといけないんだけど、その時にちょうど見つけたの!新聞に載ってた「シャーレ」の活躍っぷりを!」
「それでどうかな?引き受けてくれると私達すごく助かるの!」
"うん、いいよ。私にできることなら喜んで"
「ありがとうございます。そしてもう少々説明しますと、この補習授業部は常設されているものではなく、特殊な事態に応じて創設し、救済が必要な生徒達を加入させるものです」
「少々特殊な形ではありますが、急ぎということもあり、シャーレの超法規的な権限をお借りしつつ、と言った形ですね」
「ではこちらを」
そう言ってナギサは先生に補習授業部の名簿を渡す。その名簿に載っている生徒を確認していると、ある生徒の欄に目が止まった
"えっと、この天神ハルキって子なんだけど……"
「あはは、やっぱり気になるよね。だってキヴォトス唯一の男子生徒だもん」
「彼については特に気を掛けてあげてください」
"もしかして、何か深い理由が……?"
「いや?ハルキ君はただ単純におバカなだけだよ?」
「はい、彼とは1年生の頃からの付き合いですが、なぜこの学園に入学出来たのかすら分からないほどにおバカなんです」
「うんうん、入学して初めての試験で全教科0点だったもんね!毎日遅刻せず授業にもちゃんと出席してるのになんでだろうね?」
"………"
ちなみにハルキは家が近いという理由だけでトリニティ総合学園に入学している。そして入学するために1000時間近く猛勉強してやっとギリギリ合格点に届いたのだが、なぜか入学後には綺麗さっぱり記憶から消えていた。そのため、入学直後の試験で全教科0点という前代未聞の点数を叩き出したのである
「でもね、ハルキ君は1年生の頃に私たちに絶対一緒に卒業しようね!って言ってくれたんだよね」
「ですがこのままでは、彼は確実に留年します。今までは私達が勉強を教えていたのですが、最近はそうもいかない事情があり……」
"彼が合格出来るように点数を上げればいいんだね?"
「はい、どうかよろしくお願いします」
この後、先生は幾つか質問をし、もう聞くことがなくなったところでその場を後にした
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現在、補習授業部の部室にメンバーが集まり、自己紹介となるはずだったのだが、どういう訳か、この場に天神ハルキの姿がないのだ
"えっと、誰かこの天神ハルキ君がどこにいるか知ってる?"
「え、えっと、ハルキ先輩なら後から来ると連絡が……」
"あ、もう連絡はあったんだね。じゃあ彼が来るまで……バタン!!……ん?"
先生の言葉を遮るように部室の扉が開く。そしてそこにいたのは、クエスチョンマークの形をしたヘイローを持ち、長い茶髪を後ろで結んでいる切れ長の目をした男子生徒がいた。そう、史上最低知能の持ち主、天神ハルキである
「おっす!ごめんね!ちょっと遅れた!」
「あ、ハルキ先輩」
「よ、ヒフミちゃん。それとハナコちゃんも元気してる?」
「ふふ、ええ、元気ですよ」
ハルキは知り合いであるヒフミとハナコに挨拶をした後、初めて出会う先生や後輩達に向き直る。そして声を張り上げ自己紹介を始める
「はじめましてだね!オレは天神ハルキ!3年生だよ!!これから一緒に勉強をする仲間だ、よろしく!」
「は、はい、下江コハルです、よろしくお願いします……」
「白州アズサだ。よろしく頼む」
"私は今日から君達補習授業部の担任として来た先生だよ。よろしくね"
「コハルちゃんにアズサちゃんに先生ね!みんなで一緒に試験に合格出来るように頑張ろうな!」
"よし、自己紹介も終わったことだし、早速勉強しようか"
先生の一言で、それぞれの学年のテスト範囲を勉強することになった。そして、その次の日からも毎日放課後に勉強をしている。そして今現在、ハルキはというと
「………ッ!!」
「おお、すごいなハルキは、あんなにスラスラとペンが動いている。完全に理解しているんだな」
「確かに動いてはいますが……」
「あら、止まってしまいました」
「え、もしかしてもう解き終えたの……?」
先ほどまでスラスラとペンを動かしていたハルキはペンを止めて立ち上がり、先生に答案用紙を持っていく
「ふふーん、多分90点は堅いな」
"どれどれ……?"
─────数分後
"……ハルキ"
「ん?どうした先生。もしかして90点どころか100点だったとか……」
"0点だね"
「なん……だと……!?」
"解答欄は全部埋まってるけど全部間違ってたよ"
「え、ええっ!?そ、そんなことあるんですか!?」
「まさか全部間違っていたのか」
「うふふ、ハルキ先輩らしいですね」
「ちょっ、バカすぎるでしょ!?」
なんとハルキは模擬テストをやってみた結果、解答全てが間違っており、先生とヒフミの頭を抱えさせる結果となったのだった。ちなみにはじめは3年生ということでハルキに対して敬語を使うコハルだったが、ハルキが喋りにくいなら敬語じゃなくてもいいと伝えたことと、自身を遥かに下回る低知能だったことで遠慮はなくなった
「ちょっと!なんでそんなので3年生まで進学できてるの!?」
「ナギサちゃんとかその他のみんながオレに勉強を教えてくれたからかな。今は忙しいらしいから、補習授業部に入って勉強を教えてもらってくれってことで今ここにいるわけだ」
「あ、あうう、ほんとにこの調子で試験に合格できるのでしょうか……?」
「ん〜……ま、なんとかなるなる!」
「楽観的過ぎますよ〜!!」
果たして、ハルキは試験に合格することができるのだろうか
ちなみにここの先生は女先生として書いてます