プール掃除が終わり、水を入れはしたのだが、時間がかかり外は暗くなってしまっていた。しかしそんな状況でも愛すべきアホであるハルキは服を脱いでプールに飛び込んだ
「ちょっと!?」
「あらあら、そう言えばハルキ先輩は遊びたいと言っていましたね」
「まさか制服の下に水着を着ていたとは。用意周到だな。私も見習わなければ」
「この場合は別に見習わなくてもいいのでは……?」
"でもこんな時間だし、そろそろ寝ないと明日に響くから、ハルキを呼んで戻ろう"
「そうですね、あの!ハルキ先───ええっ!?」
ヒフミは未だにプールの中にいるハルキを呼び戻そうとしたが、ハルキの体勢を見て驚いてしまった。なぜなら、ハルキは水面から脚を出した状態で頭が水の中にあるという、某長編推理小説のあのシーンを再現していたからである
「まさか、ハルキは泳げないのか!?」
"あれは……!?"
「先生!なにか知ってるんですか!?」
"うん、あれはキヴォトスの外にいた頃に見たことがある推理小説のシーン……!プールの底に手を付けた状態で逆さになってるんだね。まさかキヴォトスであれを見ることになるなんて思わなかったよ"
「そんなのどうでもいいから早くやめさせないと!ほんとに溺れちゃうから!?」
「いえ、わざわざ私たちが止めるまでもありません。そろそろ上がってくるでしょうから」
ハナコがそう言うと、ハルキは体勢を変え、頭を水面から出した。そしてその顔は妙に清々しく、何処かやりきった感を出していた
「ちょっと!なんであんな態勢してたのよ!もし溺れちゃったらどうするの!?」
「いや、なんか体が勝手にあの体勢を……まあ眠いし早く戻ろうよ」
「ひとりだけプールに飛び込んだあんたには言われたくないわよ!」
「あはは……では戻りましょうか」
こうして1日目を終えた補習授業部達は部屋に戻った。ハルキは戻った瞬間ベッドに入り一瞬で爆睡した。ちなみに部屋は先生以外は全員同じである。ハルキは男だが純粋、バカ、無知、など"そういう事"が起こる可能性が限りなく0に近いため、一緒になっている。というのは建前で、こいつが一人部屋だとなにするかわからないという理由がほとんどだ。それにコハルが一緒の部屋になることを許可している時点で全く問題はない。他三人も肯定したことにより、ハルキは同じ部屋で過ごすことになった
「戻ってきた瞬間爆睡したわね……」
「体は男性らしくガッシリとしているのに、寝顔は可愛らしいですね」
「そうだな。先生から聞いたんだが、こういう時には尊い、という感情を抱くらしい」
「うふふ、本当に可愛らしいですね……♡」
「ちょっと!あんた何考えてんのよ!?まさかハルキ先輩に変な事しようとしてないでしょうね!?」
「コハルちゃん、そんなに大声を出してはハルキ先輩が起きてしまいますよ?」
「あっ……」
「それとコハルちゃん?」
「な、なによ……?」
「変な事、とは一体どういったことなのでしょうか?私は頭を撫でてあげようかなと思っただけなのですが、もしかして何か他のものを想像して……」
「ち、違うから!?やましい事なんて何も想像してないんだから!?」(小声)
「あら、私はやましい事だなんて言っていないのですが、それが口から出てくるということは、想像したという根拠になる、そうは思いませんか?コハルちゃん」
「う、うう……!わ、私ももう寝るから!邪魔するんじゃないわよ!?」
そう言って顔を赤くしてベッドに入っていくコハル。それに対して流石にからかいすぎたと、にこやかに反省するハナコ。それを見てあはは……と笑うヒフミ、そしてベッドに入った瞬間に眠れるほどの睡眠スキルに今更ながら驚いているアズサと言った風に、なんともカオスな状態になっていた
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翌朝、補習授業部のメンバーは起きて支度をしていた。しかしハルキとヒフミはまだ眠っていた。ヒフミはまだしもいつまで寝てるんだこのおバカは。しかしそれを見かねたアズサがハルキを起こした
「……んあ?」
「ハルキ、朝だぞ。おはよう」
「……おはよう。じゃあおやすみ……」
「コラー!なんで一回起きたのにまた寝ようとしてるのよ!ちゃんと起きなさいこのおバカ!」
「……zzzz」
「あらあら、二度寝してしまいましたね」
「ああもう!」
この後ハルキはコハルに叩き起こされた。だがあろうことかアズサがハルキとコハルをシャワールームに連れ込み、服を脱がせた。なんとコハルはまだしも、ハルキとも一緒にシャワーを浴びるつもりなのだ!
「ちょちょちょッ!?百歩、いや千歩譲ってアズサはいいとして、ハルキ先輩はダメ!」
「なぜだ?わざわざ分けて入るぐらいなら一緒に入ったほうが効率的だろう」
「そういう問題じゃないの!ていうかなにあんたも普通に脱がされてんのよ!少しは抵抗しなさいよ!?」
「……?」
「いつまで寝ぼけてんのよーー!!」
「……しかし、昨日から思っていたが、凄まじい肉体だな。極限まで鍛え上げられている」
「ほんとだ……うわっ、腹筋すご……て、いやいや!なに考えてるのよ私は!?」
今のハルキは寝ぼけた状態で上裸になっている。プールに飛び込んだ際に肉体を見てはいるが、改めて近くで見てみると凄まじいと感じるアズサ。そしてハルキの腹筋を見て頬を赤らめるコハル。無意識に手が腹筋に伸びるが、それを止めてなるべく視界に入らないようにしていた
「と、とりあえずハルキ先輩はダメ!」
「分かった。そこまで言うならハルキと一緒に入るのはやめよう。悪いがハルキ、少し部屋に戻っていてくれないか?」
「……うん」
まだ若干寝ぼけた状態でトボトボとシャワールームから出ていくハルキ。なお、服は着ていない模様。あろうことか上裸の状態で部屋へと戻ったのである。アズサとコハルはすでにシャワーを浴びているため、それを止める者はいない。だがそうなれば、部屋にいた者たちはどうなるか……
「うわぁぁぁ!!な、なんで上裸なんですか!?」
「あらあら、どうかしましたか?」
「コハルちゃんに……一緒にシャワーを浴びるのはダメだって……」
「そりゃそうですよね!?」
「うふふ、それにしても素晴らしい肉体ですね……」
「ハナコちゃん!?なんで腹筋に手を……!?」
「まあ……こんなに硬いです……♡」
「腹筋を触っているだけなのに何かいけない事をしているように見えます……!?」
「……くすぐったい」
「ほら、胸筋だってこんなにたくましくて……♡ヒフミちゃんも触ってみますか?」
「いえ、私は……」
「ヒフミちゃん、こんな機会はめったにないんですよ?キヴォトスで身近にいる男性はハルキ先輩だけなんです。この機会を逃せば次はいつになるか……」
「あうう……わ、わかりました!触ってみます……」
ハナコにそう言われたヒフミは頬を赤くして目を瞑りながら優しく腹筋に触れる。ハナコに胸筋を触られ、ヒフミに腹筋を触られる。それにより寝ぼけていたハルキの意識は段々と覚醒していき、最後には完全に目が覚めた
「2人とも、ちょっとくすぐったい」
「あ!ご、ごめんなさい!?」
「あら、完全に目が覚めたみたいですね?」
「うん。でも何でオレ服着てないの?」
「それはですね……」
ハナコは服を着ていない理由を簡潔にまとめて伝えた。アズサとコハルとハルキの3人でシャワーを浴びようとしていたがコハルが恥ずかしがって追い出したから、と。それを聞いたハルキは一旦黒い長袖インナーを着た。そしてアズサとコハルがシャワールームを出てから、ハルキはシャワーを浴びた
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"朝からハプニングがあったんだね"
「あはは……」
「よし!今日からまた勉強だね!!」
「はい、今日は補習授業部の合宿、その大切な初日です!今は大変な状況ですが、難しく考える必要はありません!1週間後の第二次特別学力試験に合格する、それだけです!いえまあハルキ先輩に関してはどうすればいいかまだわかっていませんが……」
「大丈夫だよ!きっとなんとかなる!」
「ほんとその自信はどこから湧いてくるのよ……」
「私もハルキはやる時はやる男だと思っているぞ」
「ふふふ、ハルキ先輩がやれば出来るというのは、今ここに3年生としている事が何よりの証拠です。これまでの試験で合格点を取ってきたという事なんですから」
「それもそうですね……では今日の勉強なのですが……今から、模擬試験を行いたいと思います!」
「……模擬試験?」
"以前ハルキにやってもらった過去の試験問題みたいに、みんなの分もヒフミと協力して作ったんだ"
「それは分かったけど、急に何で試験なの!?」
「闇雲に勉強しても、あまり効率がいいとはいえません。今自分がどこが出来てどこが出来ていないか、それを把握する必要があります」
「さあ、まずはこれを解いてみましょう!」
こうして模擬試験は始まった。のだが、やはりというべきか、ハルキは問題を見た瞬間頭が「?」でいっぱいになっていた。そしてそのまま模擬試験は終わりを迎えた
"さて、それじゃあ模試の結果を発表するよ
ハナコ──4点
アズサ──33点
コハル──15点
ヒフミ──68点
ハルキ──1点
「あ!ハルキ先輩が0点じゃなくなってますよ!」
「なによ、0点以外も取れるんじゃない」
「やはりやる時はやる奴だったな」
「うふふ、一歩前進ですね」
本来このままでは試験に合格など絶対できないのだが、今まで0点しか見たことのないハルキが1点を取ったことによって補習授業部は感心していた。よく考えなくてもおかしい状況である
「さて、では皆さん。ここから1週間、みんなで60点を超えるためには残りの時間を効率的に使っていかなければならないのです!コハルちゃんとアズサちゃんは1年生用試験ですので私とハナコちゃんがお二人の勉強内容を手伝います!」
「それとハナコちゃんは何があったのかは知りませんが、一年生の時の試験では高得点だったんですよね?」
「あら……?えっと、まあそうですね……」
「実はその、1年生の時のハナコちゃんの答案を見つけてしまいまして……それでハナコちゃんの方については後ほど、今の状態になってしまった原因をしっかり把握したうえで、私と先生と一緒に解決策を探しましょう!」
「ハルキ先輩に関しては3年生用の試験内容なので私達が教えるということはできませんが、そこは先生にお任せしようと思います」
"うん、任せて"
「まだ途中ですが他にも試験を作成中ですので、今日から定期的に模試を行って、進歩具合も確認できればと思っています。これがおそらく、今できるベストの選択……がんばりましょう!きっと、頑張ればどうにか、みんなで合格できるはずです……!」
「うおお!やってやるぞー!」
「ああ、指示に従う」
ヒフミの頑張りに皆、さらにやる気を出し、勉学に取り組もうとしている。そこで更に、ヒフミはご褒美を用意しているようだった。その名もモモフレンズ。それに対して各々反応を示すが、コハルに関しては要らないと断言してしまった。だがそうではない者もいた
「か、可愛い……!!!」
「「「!?」」」
「か、可愛すぎる……!なんだこれは、この丸くてふわふわした生物は……!!」
「おお、アズサちゃんが見たことない反応してる。まあかく言う俺もモモフレンズは別に嫌いじゃない」
「ほ、ほんとうですか!?」
「うん、家にもぬいぐるみとか置いてあるし。だからまぁ、もらえるならもらうよ俺は」
「や、やった……!私の周囲にはモモフレンズが好きな人はあまり居ないので、こんな身近に二人も居たなんて、とっても嬉しいです!」
「ハルキ、私はモチベーションが最高潮に達している。共にこのふわふわした動物を手に入れよう!」
「うん、俺は元々モチベーションはあるけどご褒美があるならもっと頑張れるよね!」
ちなみにハルキはモモフレンズだろうがなんだろうがご褒美があれば気合が入るので、とりあえず報酬を用意しておけば単純なこいつならすぐに釣れる。こうして気合の入った者が2名。こうして、補習授業部の合宿は幕を開けた
ハルキ君はね、頭は弱いけど体は強いんですよね。バカはバカなりに鍛えているというわけです