【書籍化】救いない怪異の世界をRPGの世界と勘違いしてるやつ   作:流石ユユシタ

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小話 黎明と呪いのビデオ3

 老婆は震えていた。それは怪異を恐れているのではない。目の前の少年を恐れていた。

 

 

 

(なんじゃ……これは……)

 

 

 

 長い人生の中、怪異に襲われた者を見てきた。他にも呪いで狂った者も見てきた。

 

 

 

 だから知っている。怪異とは何か、それは人間には決して及ばない化け物。人間は封印をして、怪異を遠ざけるしか道がないことに。

 

 

 そう、知っているからこそ……理解できなかった。

 

 

 

 怪異たちは恐怖の象徴だった。そして、人間が逃げ惑う側だった。だが、ここでは反転をしている。

 

 自分も怪異も、ただの、一人の少年をこれでもかと、恐れていた。老婆の目に映るのは信じられない光景。

 

 

 

 たった一人の人間により、それら全てが蹂躙されていた。晶子(あきこ)が黎明に襲いかかる。飛び蹴りを繰り出すが、それを黎明は片手であっさりと足を掴んだ。

 

 それをそのまま、タオルでも持っているかのように振り回す。

 

 

 

 

晶子(あきこ)ソード!!!」

 

 

 

 晶子(あきこ)の足首を掴み、静子(しずこ)澄子(すみこ)文子(ふみこ)をぶち当てる。当てられた各々の怪異はミサイルのように飛んでいき、地獄の山々に激突した。

 

 

 怪異をまるで剣のように振り回す姿を、老婆は冷や汗を垂れ流しながら見るしかない。

 

 

 

(ありえぬ……に、人間ではない。か、神か、はたまた悪魔か……)

 

 

 

 

 老婆の額から汗が流れ足が震える。何十年も怪異と向き合ってきた。その経験が全て通じず、全く意味がない理外の光景が広がり続けている。

 

 

 

 

 

 

晶子(あきこ)律子(りつこ)、ダブル二刀流ソード!!」

 

 

 

 右手に晶子、左手に律子、それぞれの足首を掴みそれを振り回し、残りの雪子(ゆきこ)綾子(あやこ)和子(かずこ)園子(そのこ)千代子(ちよこ)雪子(ゆきこ)恭子(きょうこ)雅子(まさこ)房子(ふさこ)恵子(けいこ)澪子(みおこ)祥子(しょうこ)翠子(みどりこ)紀子(のりこ)菫子(すみれこ)琴子(ことこ)

 

 

 などの怪異に体を当てて、全てをあたりに吹き飛ばす。だが、黎明が見たビデオの数は百を超える。

 

 

 

 残った桜子(さくらこ)が黎明の後ろから腕を振り上げる。だが、それすらも無碍にするように黎明は回避し、そのまま回し蹴りを繰り出す。

 

 

 子供が小石を投げて遊ぶように、桜子は吹き飛ばされていく。そこに黎明に一瞬で追いつき、さらにラリアットを入れて地獄の山に突き出す。

 

 

 

 岩盤が大きく、クレーターのような大穴が空いて、そのまま怪異は霊力へと返った。

 

 

 

 

 

(あ、悪魔じゃ……)

 

 

 

 

 

 こんな存在が、同じ世界に存在してもいいのか。

 

 

 そんな老婆の疑問に答える者などここにはいない。明らかに人間とは別次元の存在。怪異ですら、ただ滅ぼされるしかないほどの化け物。

 

 

 

 

「さて、残りを倒すか。紅い波(レッドウォール)

 

 

 

 まるで虫取りでもするような声。しかし、それに反して、煉獄に潜む、灼熱の溶岩。それが津波となり怪異を覆い消滅させていく。

 

 

 苦しむ間もなく、怪異達は灼熱の津波に滅ぼされるだけ。

 

 

 

 

(何者じゃ……人間ではない。そして、こいつは怪異でもない。両方すら超越する、神。いや、もうこれはそれすらも超えているような……むしろ怪異なら理解が早かったッ)

 

 

 

 しかし、黎明は人間だった。決して信じられないが、人間だ。

 

 

 

 

 

(こんな、人間が現れるとはな。だが、もしかしたら──)

 

 

 

 

 恐ればかりを抱く老婆。しかし、微かにそこに光の感情が湧いた。もしかしたら、この少年がいる限り。

 

 この世の怪異は、いつか根絶やしにされるのではないかと。

 

 

 

 

 

 ──そんな、確信めいた予感が恐怖の心を照らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◾️

 

 

 

 

 

 三十分ほどで、地獄の中は静かになった。そして、それと同時に二人は元いた場所に戻ってくる。

 

 

「ふむ、こんなものか」

 

 

 黎明はノートに書き込みながら言った。老婆は腰を抜かしたまま、天井を見上げている。

 

 

 

「……お、お前、本当人間か」

「人間ですよ。れっきとした」

「……そうか」

「それより、ビデオはあれで全部ですか?」

「……いや、実はもう一つだけあるんじゃ」

「え!? ならなんでさっき出さなかったんですか?」

「──そのビデオは、あまりに危険すぎるからじゃ。他のビデオは見た人間が最後に死ぬか、他の人間に呪いをなすりつければ話は終わる。じゃが、これはそう言うレベルではない。だからこそ、最悪お前が死ねば問題なと思い、あれらは渡したのじゃ」

 

 

 

 

 そう語る老婆はなんだか疲れているようだった。

 

 

 

「じゃが、お前を見て……お前ならば問題ないと判断した。渡そう、【節子のビデオ】を」

 

 

 

 

 やつれた様子の老婆は部屋を一度出る。その後、封印の札が何枚も貼られている木箱を一つだけ持ってきた。

 

 

 

 

 

「これは……節子(せつこ)と呼ばれる怪異が封じられているビデオじゃ」

「へー、さっきのと似たような感じです?」

「そうであり、そうでもないと言える。この怪異は突然変異なんじゃ。この怪異は、ビデオを映すと、相手を喰らう。ここまでは普通じゃ。じゃが……ビデオが再生され続ける限りに、無限に怪異が増え続ける」

「え、まじ」

「本当じゃ。だからこそ、これは封印するしかない、万が一、これが世に出回りどこかで再生され続けることがあれば……この世は節子で埋め尽くされてしまう」

「えー」

「霊格だけで言えば節子は、低いが。突然変異でもあり、脅威は神格、に届くかもしれん。だが、お前なら、これを扱っても平気じゃろう」

 

 

 

 

 そう言って、老婆は黎明に節子のビデオを受け取った。その時、黎明の脳内に電流が走る。

 

 

 

 

「……これ、地獄でテレビを再生するじゃないですか」

「あの場所に電気があるのか?」

「電撃魔法使います」

「そうか。便利じゃの」

「はい。それで、再生し続けたら永遠にモンスターが出てくる……一定時間経ったら、節子モンスターを仮に地獄入って狩る。その後、また出る……しばらく時間経ったら……これ繰り返したら経験値が永遠に手に入りませんか?」

 

 

 

 

 いや、何言ってるんだこいつ。さっさと破壊してくれよ、と老婆は思った。

 

 

 

「いや、知らんが。さっさと破壊してくれんかの」

「これ革命では……経験値の積立NISA!!」

「いや、破壊してくれんかの」

「とりあえず、この貴重品は預かります。有効的に活用させてもらいます。それと、あのビデオデッキとテレビもらってもいいですか?」

「……もう、勝手にしてくれ」

 

 

 

 

 老婆はやつれた顔で黎明を見た。それから窓を開けて空を見上げる。空は異様なほどに澄んでいた。

 

 

 

 

「……こんな形でわしの旅が終わるとはな」

 

 

 

 

 老婆は深く、深く、息をついた。しかし、どこか笑みを持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──そこに、誰かが急いで走ってくる音が聞こえてきた。

 

 

 

 参道の入り口に、黎明に依頼をした七海が立っていた。七海は焦ったような表情で黎明の元に向かう。

 

 

 

 

「……れ、黎明さん」

「あ、七海さん。どうしたんですか、こんなところに旅行行ったんじゃ?」

「あの……すいません、それは嘘で。いや、全部が嘘で……それを謝りたくて」

 

 

 

 七海は俯いた。そのまま一滴涙をこぼし、懺悔をするように口を開き始める。

 

 

「私、嘘をついていました。DVDを見てもらったのは……本当は呪いを移そうとしていたからで。黎明さんが来てから連絡しなかったのも、呪いが移れば私は助かると思って、遠くに逃げていたんです」

 

 

 黎明は少し首を傾げた。彼女は泣いているが、黎明からすれば泣くような状況ではないからだ。

 

 

「え、そうだったんですか」

「……え、あ、はい。本当にすいません」

「いえ、お気になさらず」

 

 

 

 七海が黎明を見た。しかし、彼の瞳に一才の非難がないことに驚く。むしろ、どこかスッキリしているようだった。

 

 

 

「怒ったり、しないんですか……?」

「普通に依頼だと思って来たので。まぁ、なにより楽しかったんでね」

 

 

 

 

 

 七海はしばらく黎明を見ていた。それから、泣きそうな顔で続けた。

 

 

 

 

「……その、あれは呪いのDVDで。友達にも、家族にも、移せなかったんです。誰かを巻き込むくらいなら死んだ方がいいと思ってたけど、死ぬのも怖くて。それで全然知らない人なら、と思って依頼を出したんです。本当に、ごめんなさい」

 

 

 

 

 黎明はしばらく考えてから、答えた。

 

 

 

 

「あ、そうでしたか。まぁ、それも含めて依頼みたいなもんでね。あと、経験値も沢山もらえたので」

「……あ、えと。あのそんなあっけらかんとしてるのはどうしてですか?」

 

 

 

 

 あんな怖い呪いを移したのに、何とも黎明は思っていない。それが七海には謎で仕方なかった。しかし、そこに老婆が現れる。

 

 

 

 

「それは、この男には呪いなんてチンケはものは効かんからだ」

「あ、あの時のおばあさん」

「久しぶりじゃ。黎明。お前さんに呪いを移すように提案したのはわしだ。正確には、別の人間に移さないと死ぬと言ったのがな」

「あ、そうなんだ」

「流石に死ぬとわかってるのを見過ごせなかった。対処療法としてもな。じゃが、心配は何もいらん。この男は原因療法がができる。紛れも無い傑物、凡人のお前が心配などする必要がない」

 

 

 

 

 そう言われて、七海は黎明をゆっくりと見る。彼女からしたらそんなすごい人間には見えず、ただのコスプレ侍にしか見えない。

 

 

「あえと、大丈夫だったってことですか?」

「うん、俺は気にしてないよ」

「よく、分からないですけど……それなら」

 

 

 

 その時、境内の奥の暗がりから、黒い影が動き出した。これは、黎明の結界から逃れた、最後の怪異である。

 

 

 

 

「お、俺の魔法をすり抜けてたか。まぁ、まだ慣れてないしね」

 

 

 

 黎明は刀を抜いた。炎が刀に纏い、猛々しく燃える。闇夜全てを照らす太陽のような輝きだった。

 

 

 

 

「狩るか」

「……あぁ、すごい。それに温かい」

 

 

 

 七海はその淡い光に目を奪われていた。そして、その炎は怪異に向かっていく。黎明が振り下ろした刀により、怪異(亜子(あこ))が悲鳴を上げた。

 

 

 

 そのまま炎は空へと昇り、霊力となり霧散する。

 

 

 

 

 微かに漏れ出た霊力、その様子を見て桐島七海は理解した。彼が老婆の言う通り、異次元の強さを持っていたことに。

 

 

 

 

 

「これ、本当に人間か怪しいの……まぁ、今更か」

「……人間ってこんなことできるんだ……」

「諸説ありに決まっておるじゃろ」

 

 

 

 老婆が呆然と空を見上げていた。七海も、空を見るしかない。それほどの衝撃だからだ。

 

 老婆も桐島七海も思わず、天を仰いでしまった。理解ができない存在を見ると、誰でもこうなる。二人は明るい空を眺め続けた。

 

 

 

 

 

◾️◾️

 

 

 

 

 翌朝。七海は依頼料を用意して、黎明の前に差し出した。二人は町の喫茶店で向かい合って話している。

 

「……本当に、ありがとうございました。これ、相場が分からないのですが、私に出せる範囲で精一杯持ってきました」

「あ、どうも。あと、一つお願いが」

「なんですか」

「冒険者ギルドのサイトに、レビューを書いてほしくて。それと写真とか嫌じゃなければ、それとできれば星五つで」

 

 

 

 七海は少し間を置いてから、笑った。

 

 

 

「……分かりました。それぐらいなら」

「助かります。初依頼なので」

 

 

 

 ニコニコと笑う二人、そこに老婆もやってきた。

 

 

「わしも書こう」

「え、本当ですか」

「わしも、救われたしな」

 

 

 

 後日、冒険者ギルドのサイトに二件のレビューが投稿された。

 

 

 

 

 

 

◾️◾️

 

 

 

 

【依頼者:桐島七海(きりしまななみ) 評価:★★★★★】

 

 呪いのDVDの件で依頼をさせていただきました。

 

 まず最初に、本当にありがとうございました。

 

 今だからこうして落ち着いてレビューを書けていますが、依頼を出した当時の私はかなり追い詰められていました。

 

 知り合いから送られてきたDVDを見てから、おかしなことばかり起きるようになったんです。

 

 

 

 

 夜になると誰もいないはずの部屋から笑い声が聞こえる。

 外へ出れば黒い影がついてくる。

 家に帰れば壁や床に血のような文字が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 最初は気のせいだと思おうとしました。でも、一日ごとに状況は悪くなっていき、気づけばまともに眠ることもできなくなっていました。

 

 

 

 そのうえ、誰かに相談することもできませんでした。

 

 友達や親に話しても信じてもらえない気がしましたし、自分自身ですら現実だと認めたくなかったからです。

 

 だからこそ、冒険者ギルドのサイトを見つけた時は、本当に藁にもすがる思いでした。

 

 

 

 

 ただ、実際に来てくださった方を見た時は、別の意味で驚きました。担当の方が高校生くらいにしか見えなかったからです。

 

 しかも和服姿で刀まで持っていて、正直に言うと「大丈夫なのかな……」と思ってしまいました。

 

 

 

 ですが、その不安は話し始めてすぐになくなりました。というのも、私がどれだけ支離滅裂な話をしても、最後まで真剣に聞いてくれたからです。

 

 

 

 

 

 笑われることもありませんでしたし、怖がりすぎだと言われることもありませんでした。

 

 むしろ、どんな話をしても当たり前のように受け止めてくれました。

 

 

 私は、自分のことだけ、自分が助かることだけを考えて行動していたのに、この人は全く違いました。精神的な余裕が違い、その上で凄まじい強さと腕を持っており、すぐさま解決をしてくれました。

 

 

 未熟な私の言動に目くじら立てることもなく、優しく安心させる言葉を何度もかけていただきました。

 

 

 

 彼によって救われたのは、呪いだけではありません。ずっと自分を責め続けていた心まで救われた気がしました。

 

 また、最後に化け物を倒す場面も見ることができました。正直に言うと、今でもあの光景は忘れられません。

 

 燃え上がる炎。刀に宿る赤い光。そして、それを振るう姿。

 

 現実離れしすぎていて、まるで映画や物語の中の勇者を見ているようでした。格好良いという言葉だけでは足りません。

 

 むしろ、本当に同じ人間なのか疑ってしまったくらいです。それでも、人を助ける時はどこまでも優しくて、偉そうなところも全くありませんでした。

 

 

 

 正直言えば、超常現象なんて、もう二度と経験したくありません。ですが、もしまた何か起きてしまった時は、迷わずお願いすると思います。

 

 

 

 私にとっては命の恩人です。本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【依頼者:神主・響木梅子(ひびきうめこ) 評価:★★★★★】

 

 

 

 若い頃、呪いのビデオによって両親と兄二人を亡くしました。

 

 それ以来、自分と同じ被害者を少しでも減らしたいという思いから、全国各地に散らばる呪いのビデオ、DVD、USB、その他の呪物を回収し続けてきました。

 

 気が付けば数十年です。回収し、封印し、保管する。その繰り返しでした。

 

 ですが、被害者はなくなりません。一つ封印しても別の場所で新しい呪いが生まれる。一人救っても、また別の誰かが犠牲になる。

 

 私のやっていたことは結局のところ対処療法であり、根本的な解決など不可能なのではないか。

 

 

 

 そんな風に考えたことも一度や二度ではありません。むしろ、それが現実なのだと半ば諦めていたと言っても良いでしょう。

 

 だからこそ、最初はこの若者のことも信じておりませんでした。失礼ながら、どうせまた一人の犠牲者が増えるだけだと思っていたのです。

 

 

 

 

 ですが、その考えは完全に覆されました。私が何十年もかけて集めた呪物。数にして百近く。

 

 それら全てを、この方はたった数日で終わらせました。

 

 

 誇張ではありません。

 本当に全てです。

 

 

 私が人生を費やした問題を、この方は終わらせてしまいました。そして何より衝撃だったのは、その過程です。

 

 

 

 

 怪異を恐れる様子が一切ありません。むしろ興味深そうに観察し、図鑑の虫でも眺めるように接していました。

 

 

 

 私からすれば恐怖の象徴であり、家族を奪った存在です。ですが、この方にとっては違いました。

 

 

 

 怪異とは恐れるものではなく、倒すものだったのです。私は長年怪異と向き合ってきました。

 

 

 

 それなりの修羅場も見てきました。ですが断言します。

 

 

 

 私がこれまで見てきた数多の存在……誰一人として、この方には及びません。

 

 

 比較にすらなりません。実際に目の前で見たからこそ言えます。常識の外側にいる存在です。

 

 

 

 そして、私は見ました。化け物が人間を恐れる光景を。それも一体や二体ではありません。

 

 数え切れないほどの怪異が、一人の少年を前に怯え、逃げ惑い、消えていきました。

 

 あの光景を私は生涯忘れないでしょう。さらに言えば、私は化物よりも彼を恐れました。

 

 決して悪い意味ではありません。それほどまでに圧倒的だったのです。人が到達して良い領域を超えている。

 

 そう思わずにはいられませんでした。ですが、その恐怖と同時に希望も感じました。

 

 

 もしこの方がいるのであれば。

 もしこの方が今後も怪異と戦い続けるのであれば。

 

 

 

 

 怪異による被害は本当に終わるかもしれない。私が長年夢見ていた未来が実現するかもしれない。

 

 本気でそう思えたのです。数十年続けてきた私の役目は、この日終わりました。

 

 それを寂しく思う気持ちもあります。ですが、それ以上に安心しています。

 

 私が死んだ後も、この世界は大丈夫だと思えたからです。料金についても正直申し上げます。

 

 

 

 

 安すぎます。

 

 

 

 

 私が見たものを知れば、誰もがそう思うでしょう。知人に呪いの人形や呪物を管理している者が何人もおりますので、ぜひ紹介したいと思っています。

 

 

 

 

 

 これはお世辞ではありません。長年怪異と向き合ってきた人間として断言します。

 

 

 

 この方は本物です。そして恐らく、人類史上でも類を見ない存在です。常識が通用しない、新時代の幕開けを感じました。

 

 

 

 

 何かあれば、ぜひまた頼りたいと思います。





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そして、本章ですが、明日で最後となります。最後までお楽しみに!
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