青の旅   作:daruma00

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四章:理想

深夜、寝ているカミツレを置いて一人外を歩いていると、空がざわつきはじめた。空気が重く震えている。

ヒノヤコマは羽を逆立て、ロトムは身を縮め、グレイシアは耳を立てて空を見つめる。

雲が裂けた。

青い稲妻が縦に走り、その中心から巨大な黒い影が降りてくる。

低い唸りが、大気そのものを震わせた。

ゼクロム。

漆黒の体から青い電気が放たれ、光を宿した目でこちらを見下ろしている。

お前の理想はなんだ。ふと、そう問われている気がした。

正直、確たる答えは持ち合わせていない。

途端、ゼクロムのモーターのような尻尾に電力が集束し始める。

おいおい、何だって言うんだよ。勘弁してくれ…。

ロトムが戦闘態勢に入り、こちらも青白いプラズマを全身へ集める。

雷の柱がゼクロムをめがけて落ちるが、黒い翼がそれを受け止める。

電気と電気のぶつかり合い。空気が焦げる。

ヒノヤコマも負けじと、赤い彗星の如くフレアドライブで突っ込む。

グレイシアはれいとうビームで支援する。

息もつかせぬ攻防の中、ゼクロムが一層青白く光り始める。

瞬間、空が裂けた。

雷撃。

青黒い電気を纏いながら、バリバリと音を立て突進してくる。

爆風が周囲の木々をなぎ倒し、大地に亀裂が走る。

三匹のポケモンともども吹っ飛ばされる。

凄まじい威力だ。

ゼクロムがこちらを射抜く。

視線が合った瞬間、身体のどこかが内側から崩れていく感覚がした。

逃げ場がない、というのはこういうことかと思った。

雷が落ちてくる。

クロスサンダー。

次の瞬間、視界が白く弾けて、何も分からなくなった。

意識を失った後、目を覚ますと、病院の天井が揺れていた。

MRI検査の結果、特に異常はないという。

だが肩に黒い電紋が刻まれてしまったようだ。

リヒテンベルク図形というらしい。

考える。

何かを問われていた気がする。

覚悟を試されていたのだろうか。

少しわかる気もする。

なぜ彼の前に姿を現したのか。

自分は理想を押し殺している。

確かにそう言えるかもしれない。

なぜ、ふたご島に向かった?

絶望していたから。

何に?

自分の人生が未来に向かって閉じていく感覚、に。

だが、この旅の果てには、きっと何か答えがあるんじゃないかと予感しているんだ。

三匹のポケモンが心配そうに顔を覗き込んでくる。

格上の相手との闘いに何かを感じたようでもあった。

 

「は?寝ぼけてるの?」

明朝、カミツレのところに帰り、起こったことを全て話してみると、眠そうな目をこすりながらこう言われてしまった。

本当なんです。

「ふーん、本当だとしたら呪われてるんじゃない?」

それは確かにそうかもしれない…

寝れる気はしないが、とにかくベッドで横になる。

イッシュ地方でもたくさんの新しい出会いがあった。

日本にはない魅力があり、とても楽しい日々を過ごせている。

直近、死にかけたが。

あいつはまた現れるだろうか。

だが、どうしても最後に訪れてみたい地方が頭によぎる。

ガラル地方。

昔から一度行ってみたかった、イッシュとはまた違う海外。

小さいころからの夢、蓋をして諦めてしまったが、それらを全部叶えていこうと思う。

じゃないと、また雷が落ちそうだしな。

そして、彼女にも会っておきたかった。

次の日の朝、起きると、横にいたカミツレは彼に言った。

「ね、あなた、また旅に出るのね」

え?何?エスパー?

そして圧が凄い。

あー、別に彼女と言っても、ヒトジャナイヨ?

彼は彼女を見つめ渋々頷いた。

カミツレの目が潤んだ。

「必ず帰ってきてね?」

彼は彼女を抱きしめた。

なんで女はみんなこうも勘がいいのだろう。

こうして彼は新たな都市、ガラルへ移動することにした。

 

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