次のジムがあるクチバシティに差し掛かった時、急に空模様が怪しくなり始めた。
黒い雲が渦を巻き、雷鳴が轟く。ゴロゴロ。
普通の嵐ではなかった。雲の動きが不自然だ。
まるで生きているかのように、一点に集中している。
そして、雷雲が裂けた。
その中から現れたのは、青色の巨躯なポケモン。雷を纏った筋骨隆々とした体。鋭い角と好戦的な目。
ボルトロス。腕を前に組んだその格好はまさに雷様だ。
ボルトロスの視線がフリーザーに向けられた。その目は明らかに挑戦的だった。
フリーザーも応えるように前に出る。
空中でぶつかり合う、氷と雷。
フリーザーの氷がボルトロスを襲うが、ボルトロスは雷で迎え撃つ。
電撃が空間を切り裂き、フリーザーの翼を掠めた。
激戦だった。
彼はフリーザーへ雪を降らせるよう指示する。
ボルトロスは次第にフリーザーを見失うようになり、攻撃も当たりづらくなっていく。
こちらにとっても視界は悪いが、彼はフリーザーと呼吸を合わせる。
心の眼。
フリーザーはボルトロスの死角から攻撃を仕掛ける。
そして決定打。
絶対零度。
氷の冷気がボルトロスを包み込み、その動きを止めた。
ボルトロスが地面に落下する。
一撃必殺!
ニビジムでの苦戦。ハナダジムでの勝利。それらの経験が、彼らのユニゾンを成長させていた。
しばらくして氷が溶け始める。ボルトロスはゆっくりと立ち上がり彼らを見た。
その目には、もはや敵意はなかった。
ボルトロスは雷を上空に向かって放ち咆哮すると、ワクワクした顔で彼へと目線を向けた。
察する。
はあ、こんなやつおれに扱いきれるのか?やる気満々なのはいいがそもそも言うこと聞いてくれるかな…
彼はモンスターボールを投げた。
何はともあれ、初めての心強い仲間ができた。
そのまま臨んだクチバジムでは、早速元気の余ったボルトロスが大活躍した。
電気タイプ同士の激突。雷の撃ち合い。ボルトロスの一撃は圧倒的だった。
うまくいったことを褒めたことがよっぽど気に入ったのか、電気の扱い方を教えてくれようとしているみたいだが、よくわからん。
さて次はタマムシジムに向かおう。あの人がいるはずだ。
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タマムシシティ。
花に満ちた街。
エリカのジムは、庭園のようだった。花々に囲まれた空間。そこには穏やかな空気が満ちていた。
エリカはジムでもやはり上品で美しかった。落ち着いた雰囲気。優雅な立ち振る舞い。
ジムリーダーであると同時に、花道の家元の娘。二つの世界を器用に行き来する女性だった。
バトルではフリーザーを出して戦う。
バトルが終わり、彼女は静かに笑った。
「本当に強くなりましたね」
その言葉には、単なる褒めではなく、何か深い意味が込められていた。
その夜。エリカは彼をジムに招いた。
部屋へ案内されると、そこは花に囲まれていた。
二人は話をした。
彼は自分の旅について語った。ふたご島から始まったこと。フリーザーとの出会い。ポケモンたちとの絆。
誰にも話してこなかったのに。
なぜか全てを聞いてほしいと思った。
エリカは静かに聞いていた。
「あなた、何か抱えていたのですね。心に」
彼は答えなかった。だが、エリカにはわかっていたのだろう。
エリカは手を差し伸べた。
その手はとても優しく暖かかった。
エリカに対しては甘えてしまう。
彼女もそんな自分を受け入れてくれたようだった。
ふと、彼女もまた、孤独だったのだろうか。
ジムリーダーとしての責任。家元の娘としての期待。その中で、本当の気持ちを誰かに伝えることがない日々。
朝になると、彼はエリカに別れを告げた。
エリカは微笑んだ。少し悲しそうに、だが温かく。
「また来てくれるかしら」
彼はエリカを抱きしめた。全てのきっかけをくれた感謝の気持ちを込めて。