シロガネ山。
ジョウト地方とカントー地方の境にそびえる、最高峰の山。
そこに、最強のトレーナーがいると聞いた。
レッド。
伝説のトレーナー。誰もが認める、最強の存在。
おれでも聞いたことがあるくらいだ。
幽霊だとかなんだとか。
彼は三匹と共に、山を登った。
雪。吹雪。極寒。
頂上に、一人の少年が立っていた。
赤い帽子。静かな目。
レッド。
言葉はなかった。
... ... ...
... ... ...
戦いが始まった。
レッドはモンスターボールを取り出した。
最初に繰り出されたのは、ピカチュウ。
小さな体。だが、その目は鋭い。歴戦を潜り抜けてきたようなピリピリした強いオーラを感じる。
フリーザーが前に出た。
ピカチュウの「ボルテッカー」。
電撃を纏った体当たり。凄まじい威力。
フリーザーが吹き飛ばされた。一瞬だった。
彼は確信した。
これが、最強格のトレーナー。
強い。
真っ白い吹雪の中、彼は一瞬目の前が真っ暗になった。
レベルが違いすぎる…
これは無理かもしれない、そんな事が頭によぎる。
だが、フリーザーが立ち上がってこちらを一瞥する。
フリーザーの目に迷いはなく、次の指示を待って備えているようだった。
おれが諦めてどうするんだ。
やってやろうじゃねぇか。
フリーザーをすぐに戻し、ボルトロスと交代する。
電気タイプ同士の激突。
ピカチュウとボルトロス。小と大。だが、力は互角だった。
「10まんボルト」と「10まんボルト」がぶつかり合う。「かみなり」と「かみなり」が空を裂く。
ヒートアップする戦い。
ボルトロスが咆哮する。ピカチュウが鳴く。
だが最後はボルトロスが決め、ピカチュウが倒れた。
レッドは続けてカビゴンを繰り出してくる。
あまりの大きさに体が勝手に後ずさりしそうになる。
ザシアンを繰り出すが、交代際にヘビーボンバーを食らってしまう。
完全に読まれていた。
体勢を立て直し、聖なる剣をお見舞いする。
スピードではザシアンの方が何枚も上手だ。
破壊光線を避けながら、何度も高速で切り刻む。
さすがのカビゴンもこれには耐えきれなかった。
続くラプラス、カメックス、フシギバナに対して三匹は総力を挙げて戦った。
全てを駆使して、レッドの手持ちをあと一匹というところまで減らした。
出てきたのはリザードン。
炎が口からも尾からも吹き上がり、吹雪の中、周囲だけ温度が上がる。
ザシアンを前に出し剣の舞で状況を立て直そうとする。
ザシアンは油断などしていなかった。
心綺楼で空気が歪む。
ブラストバーン。
一瞬で周囲の雪が蒸発し、地面が黒く焦げる。
熱風がザシアンを刺す。
ザシアン、戦闘不能。
経験したことのない威力。
相手の動きを止めなければ。
ボルトロスを繰り出し、電磁波を指示する。
だが、リザードンは即動いた。速い。
瞬間、真上。
リザードンが完全に死角に回っていた。
オーバーヒートが降ってくる。
白熱の炎が一直線。
衝撃で視界が吹き飛ぶ。
ボルトロス、戦闘不能。
残されたのはフリーザーしかいない。
煙が晴れる前に、リザードンが突っ込んでくる。
ドラゴンクロー。
鋭い爪がフリーザーの氷翼をかすめる。
フリーザーが少しだけよろめく。
リザードンは逃さない。畳みかける気だ。
フリーザーの羽が揺れ、空気が冷える。
体勢を整えた。
リザードンが吠えて真紅の炎を纏う。
フレアドライブ。
突進してくる。
追い込まれた。もうこれしかない。
絶対零度!
冷気が一点に収束し、視界が一瞬真っ白になる。
その時、わずかだがリザードンの動きが一瞬鈍くなった。
炎と氷のぶつかり合い。雪と火花が弾ける。
次第に温度が下がっていくのがわかる。
煙が収束すると、リザードンは凍っていた。
リザードン、戦闘不能。
勝てたのか?
一瞬、リザードンの動きが止まったが、ボルトロスの悪戯心で電磁波が当たっていたのだろう。
とにかく、最後に立っていたのはフリーザーだった。
... ... ...
... ... ...
レッドは何も言わずその場から姿を消した。