飛行機はフキヨセシティに着陸する。
滑走路の存在感が凄く、そこを中心に街が栄えていったのではないかと思うほどだ。
カントーとのスケール感の違いに圧倒されていると、何やら空港全体がざわつき出す。
どうやら予報にはなかった急な悪天候らしい。
飛行機の予定が続々とキャンセルになる。
空が黒く染まるのがわかった。
雷雲。
だが、それは普通の雷雲ではなかった。
雷雲が割れ、そこから現れたのは——
ボルトロス。
「師匠!」
思わぬ再会に声を上げた。
だが、以前とは違う姿。
霊獣フォルム。本来の姿。
ボルトロスは彼に気付くと近くまで降りてきた。
あ、仲良く話してるの見られると、フライトへの影響、おれのせいにされない?
だがそんなことにかまうはずもなく、ボルトロスはロトムに攻撃を仕掛けてくる。
応戦するロトム。
さっきまで、仲良く談笑してたじゃない。
電気と電気。
膨大なパワーの雷がロトムを押し潰す。
ボルトロスの咆哮がイッシュに空に響き渡る。
圧倒的な力にたじろぐロトム。
だが、同時に自分の力の限界を超えた、新しい可能性も感じた。
試してみたい。
ボルトロスは次の一撃を用意し始めている。
ボルトロスから、より強大な電気が放出される。
雷嵐。
ボルトロスが放った技は、もはや一本の電撃ではなかった。
複数の雷が、空から地上へ降り注ぐ。
幾つもの雷が、ロトムの体に落ちる。
だが、ロトムはボルトロスの技術を瞬時に解析し、膨大な電気の柱を逆流させていく。
拮抗していたパワーだったが次第にロトムが押し始める。
ロトムはついにボルトロスの技を見破る。
雷嵐!
上空へ膨大な電撃が放電され、そして、やんだ。
ボルトロスは無傷でピンピンしているようだったが、満足そうにそして豪快に笑い、空へ飛び去った。
相変わらずだな…
新しい土地でも楽しくやっていそうで何よりだ。
おれもさっさと退散しよう。
少し歩くと、ライモンシティという街に到着した。
街には遊園地やスタジアム、ミュージカルホールなどがあり活気づいていた。
日本では見たことのないポケモンもたくさんいて、人と共生していた。
人種も文化も多種多様で、それぞれが互いを尊重しながら生活しているようだった。
遊園地の中に電気タイプのジムを見つける。
電気とは相性が良い。
ロトムもやる気だ。
ふらっと吸い寄せられるように入ってしまった。
ジムリーダー、カミツレ。
最初、彼女は単なる見た目がいいだけのジムリーダーだと思っていた。
クールで無機質、どこかミステリアスな印象だったが、バトルに対する情熱は誰よりも熱かった。
バトルを通じて、彼女の本質を知る。
電気タイプ使いとしての腕はこれまで戦ってきたトレーナーの中でも群を抜いていた。
多用されるボルトチェンジ。ボルトロスとの日々を思い出す。
カミツレのそれは、おれより上手だ。
美しく、気が強く、戦術も優れた女性。
だが、最後の一匹まで追い込む。
クライマックスに、ランウェイとステージが煌びやかにライトアップされる。
勝利は目の前!
バトルが終わり、カミツレは笑った。
「強いのね。あなた。ポケモンたちが輝いている」
そう言って彼女は彼の目を見つめるが、彼女の目もまた輝いていた。
バトルの中で何かを見いだすことでもあったのだろう。
二人はその夜、ライモンシティを歩いた。
街の灯りが彼らを照らしていた。
二人で歩く街並み。
交わされる言葉。
笑い。
あ、意外とダジャレとか好きなのね。
対等でいてくれる彼女は、とても居心地が良かった。
「ね、聞いてもいい?」
カミツレは聞いた。
「何でそんなに強いの?ただポケモンが強いだけじゃない。何か別の力がある。目を見ていたら、わかる」
彼は考えた。多分、心が一度死んだからかな?
カミツレは彼の手を取った。
「もう大丈夫。生きてるじゃない。ここに!」
そう言った彼女の笑顔は太陽のように輝いていた。
認めざるを得ない。彼女は、魅力的だ。
その後、おれは彼女と度々逢瀬を重ねるようになった。
一緒にいろいろな橋を巡った。電気石の洞穴でのデートは一生忘れられないだろう。