頭痛がひどいデビルハンターの話   作:kanesa

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痛快な惨状

 

 

 

 

 

 

 

 パチンッ

 

 

 ───ボムが指を弾く音、それに続くようにして爆発が引き起こされる

 

 ──だが既にターゲットの姿はそこになかった。

 

 

「ッ…すばしっこいね」

 

「身軽なもんでして」

 

 

 背後に回ったクナイに、続けざまに爆破を浴びせようとするも、《カラスの悪魔》に乗ったクナイはそれを紙一重で回避していく───

 

 

 カラスの突進により遥か上空へとかち上げられたボム、だが彼女は小刻みな爆破による滞空、加速、減速と、爆発そのものを巧みに操り、クナイと空中戦を繰り広げていた。

 

 

「これじゃキリがないね」

 

 

 度重なる爆発、だがこのままではクナイには当たらないだろう…それを察したボムは、一度攻撃の手を止める。

 

 そして力強く両手を握りしめると、次の瞬間にはその手同士を胸の前で思いっきりぶつけ合わせた──

 

 ──自身を中心とした広範囲爆発。

 

 今までの比ではない大きさの爆発が爆音と共に周囲の空間を包み込んだ。

 

 

 

 

 ……爆炎が収まり、爆煙が晴れていく。

 

 だがそこにあったのは謎の箱がひとつだけ、現在は黒く焼け焦げているが、元はおそらく白い箱であったであろうことが想像出来た。

 

 そして──

 

 

「……うお暑っ」

 

 

 ──ガチャリと、その箱が扉のように開かれると、中から現れたのはクナイの姿。

 

 その焦げた箱は《冷凍庫の悪魔》

 爆発する寸前、クナイはその悪魔の中に入りシェルター代わりにすることで広範囲爆破を防いだのだ。

 

 

「へぇー面白いね、いったいどれだけの悪魔と契約してるんだか…」

 

「──じゃあもっと面白いのを見せてやりますよ」

 

 

 そう言い放つと、クナイはボムより上空へ一直線に飛んでいく。

 そして、目的の高さまで到達すると…

 

 

「流石にこれは屋内じゃあ出せなくって──

 

 ──《クジラ》

 

 

 現れたのは巨大な悪魔の姿。

 例えるのなら、それはまるで白いマッコウクジラの上顎と黒いシロナガスクジラの下顎を無理矢理継ぎ合わせたような…そんなフランケンシュタインの怪物の如く継ぎ接ぎの《クジラの悪魔》であった。

 

 

「ダメ押し──《肥満》」

 

 

 そんな巨体が《肥満》により更に数倍以上に膨れ上がり、ボムに向かって墜ちてくる──

 

 ──圧倒的な巨躯、圧倒的な質量。

 もはや彼女に逃げ場はなかった

 

 

「………真っ向勝負か、いいよ!やろうか!」

 

 

 そう叫び、自身の両手を合わせる。

 握り合った両手は形状を変え、腕を含めて混ざり合い、ひとつの巨大なミサイルのような形となる。そしてそのまま足元を大きく爆発させると、突き刺すように真っ直ぐに、迫り来る巨体へと突っ込んでいった

 

 

 さらに爆破による加速、加速、加速を繰り返す

 

 もはや彼女自身がひとつのミサイルであるかのように突き進み、あと少しで接触、着弾するその間際───

 

 

 

 

 ────目の前の巨体が、消えた。

 

 

 

「っ───!?」

 

 

 驚愕するボム、一度爆破で減速をするも、加速しきったその身体は急には止まらない。

 

 

「《錆》」

 

 

 背に触れる掌の感触と声、いつの間にかクナイが背後まで近付いていた。

 

 すぐに反撃しようとするものの、ギギギ…と音を立てて上手く身体を動かせない──

 

 

 ──その隙を突き、クナイはボムの両腕を短刀で切り落とした

 

 

「ッ──バンッ!!

 

《ゴキブリ》

 

 

 即座に切り落とされた両腕を爆破させようとするボム、だがクナイが召喚した、筋肉と骨の巨人のような姿の《ゴキブリの悪魔》の剛腕が振るわれ、爆破と共に地上へと突き落とされた──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───避難の為に乗り捨てられたのか、無人の車が残る道路の真ん中へとボムは叩き付けられた

 

 衝撃と轟音、悪魔発生の警告と避難を誘導するサイレンが辺り一帯に響き渡っていた。

 

 未だに身体が思うように動かない。

 

 仰向けで倒れながら、なんとか起き上がろうともがいている彼女の下へ、上空からクナイが下り立つ。

 

 そのまま彼は手に持った短刀で、彼女の心臓を突き刺す───

 

 

 ───瞬間、ボムの身体がいきなり爆発した。

 

 

 クナイはギリギリ下がってそれを回避。

 

 だがボムの首は身体の爆発を推進力として、叩き付けられる直前に視認した()()()()の所へと向かっていた。

 

 

 ──そこにいたのは避難中の民間人達

 

 中でも老人、子供、妊婦など、特別避難の遅い者達であった。彼らは現在、デビルハンターの補助を受けながら少しずつ避難を進めている。

 

 そんな彼らに悪魔の手が迫る

 

 

「ッ──マズイ!」

 

 

 もしも彼らを人質にされてしまったら…

 そんなクナイの焦りを嘲笑うかのように、身体を再生したボムは爆破と共に加速し───

 

 

 ───そんな彼女の前にあるモノが降ってきた。

 

 

 ──サメだ。

 

 

 正確には《サメの魔人》、ベチャリと音を立てて地面に叩き付けられ、「キヒャッ」と小さく声を上げる。

 

 そして、そんなサメの上にまた更に誰かが降ってきた

 

 それは人であり、悪魔であり……

 

 

「よお…元気か?()()

 

 

 チェンソーであった。

 

 

 立ち止まったレゼは何も言わない。

 だが代わりのように、近くの廃ビルがピシリピシリと音を立ててひび割れていく───

 

 

「ちなみに俺ァグッスリ寝て…すっかり回復してなんだかアタマもスッキリでよォ~」

 

 

 そして、ビルが完全に破壊され───

 

 

 

「最強に元気イッパイだぜェ~!!」

 

「最強!チェンソー様元気最強!!」

 

「台風タダイマサンジョウシマシタ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオスだなぁ…」

 

 

 この状況を見てクナイはポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 




《クジラの悪魔》:デカイ、とにかくデカイ。クジラのする事は大体出来る、あとなぜか雲のようにふわふわ飛んだり出来る。クナイがプライベート旅行中に発見、契約した。

《錆の悪魔》:錆にまみれたロボットのような悪魔、コイツに触れられると身体が錆付いて動かしづらくなる。持っててよかった《油の悪魔》

《ゴキブリの悪魔》:この世界じゃクナイに契約させられてしまった。ぶっちゃけシンプルにデカイし速いし強い、あと飛べる。

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