頭痛がひどいデビルハンターの話   作:kanesa

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原作開始
始まりの痛み


 

 

 新人が入って約半年が経った。

 たまに顔を合わせる程度だが、そこそこ仲良くなれたと思う…多分。

 

 荒井(あらい)ヒロカズには戦闘のアドバイスついでに話をした。「荒井さんは体格いいから守りを上げた方がいいよ~」的なことを言って腕に付ける盾を装備としてオススメしておいた。

 素直な性格なのでそのまま受けてくれた、これでいずれ来る銃撃の致命傷を少しでも防げるといいのだが…

 

 もう1人の後輩の東山(ひがしやま)コベニには、とにかくメシをあげた。訓練のついでに差し入れしたり、時間がある時はとりあえず奢っておいた。

 東山コベニは飯をくれる相手に懐く傾向がある。少なくとも、それなりに良い印象は持たれてるはずだ。

 年下に奢られるのを少し気にしてたようだったが、食った直後にはそんなこと忘れて気にしなくなっていたので問題はない。

 

 

 そうして年上の後輩達との交流にも慣れてきた頃。

 

 ゾンビの悪魔の確認、その討伐にマキマが向かったとの報告が耳に入る。

 

 さぁ始まるぞと、まるで試合のゴングのように頭の痛みが強まった気がした──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 マキマが帰還したとの知らせを聞いた。

 

 悪魔の討伐報告ついでに確認に向かおうとすると、そこには、若干内股気味になったアキに肩を貸して歩く金髪の少年がいた。

 いるのは分かっていたとはいえ、実際に目にすると妙な感動を覚える。

 

 それにしても、既に金的済みか。

 一応<痛見(いたみ)>で確認しても、痛みが股間の辺りに集中しているのが見てとれた。

 

 ふーむ…とりあえずちょっと煽ったろ!

 

 

 


 

 

 

 見回りの報告に向かうデンジは、自身の蹴りで金玉を痛めた先輩、早川アキに肩を貸し、ヨロヨロと執務室まで歩いていた。

 そんな中、急に後ろから声がかけられる。

 

「おはよォーアキ…ずいぶんと男前な姿になったようだねぇ?」

 

 まだ幼さの残る声。

 振り向くとそこには、若干長めな茶髪を後ろにまとめ、黒いマスクをした少年。

 だが、なにより印象に残るのは─────

 

「んだこのチビガキ」

 

「チビって言うなよ!」

 

 

 

 

 

「で、先輩コイツ誰だよ」

 

「………浅鳴(あさなき)クナイ、お前の先輩だ。クナイ、コイツはデンジ、マキマさんが連れてきた新人だ。」

 

 股間の痛みも若干引いたのか、アキが少しの間を置いて答える。

 

「んまぁさっきのことは置いといて……浅鳴クナイ18歳、一応キミの先輩になるのかな?よろしくねー」

 

「ふーん…年上とはいえ俺よりチビな男とか先輩扱いしたくねーな」

 

「オイお前…」

 

 

 

「そりゃあ残念、新しい後輩ということで差し入れにこのパンをあげようと思ったけどいらな───」

 

「なんてジョーダンですよォ!俺デンジっす!先輩のことマジソンケーしてるんでェ!よろしくお願いしまァす!」

 

「お前……」

 

 嬉々として手のひらを返しながらパンを受けとり食べるデンジと、何処からともなくパンを取り出して「うんうんいい後輩だね」なんて言いながら渡すクナイを見て絶句するアキ。

 

「それで…さっきのアキはあれかい、ちょっと後輩脅そうとしたら反撃を喰らったって所かぁ?飼い犬に手どころか玉まで噛まれるとはなぁ?」

 

「チッ……まぁ…そうだな」

 

「心配ですって素直に伝えりゃいいのにー」

 

「うるせぇ」

 

 先ほどのことを掘り返されて機嫌が悪くなるアキ、そんなことは露知らず、デンジはクナイに貰ったパンを食べ終えると

 

「あっいっけね!今からマキマさんとこ行くんだった!んじゃあなァ先輩!パンうまかったぜー!!」

 

 と叫び、執務室に向かって走って行った。

 

「あのバカ!1人で先に行くんじゃねぇ!あー…とりあえずまた後でな!」

 

 アキもまたデンジを追い、一言残して去っていった。

 

「またなー」

 

 クナイはいつもより感情的な友人の姿に、どことなく安心感を覚え、笑顔で見送っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 ──アキとデンジが去り、マキマしかいなくなった執務室にノックの音が響く。

 

「どうぞ」

 

 ガチャリと扉を開け、クナイが部屋に入ってくる。

 

「失礼します…戻られたって聞いたので悪魔討伐の報告を、これ書類です。」

 

「そう…一応見せてくれるかな?…うん、ありがとう。」

 

 渡された書類をマキマは軽く目を通していく。

 

「そうだクナイくん、デンジくんにはもう会ったかな?」

 

 書類を確認している最中、マキマは雑談代わりにそんなことを口にする。

 

「あぁはい、会いましたよ。元気な子でしたね」

 

「うん、そうだね…他には?」

 

「他にはって……まぁ()()()()()()()()()()

 

「…………ふぅん…」

 

「………………………」

 

 会話はそこで終わり、お互い話しかけることもなく、しばらく無言の時間が続く。

 

 

「うん、大丈夫そうだね…もう戻っていいよ」

 

「どーも、それじゃあこれで失礼しまーす…」

 

 終わったとばかりに、クナイは頭を押さえ直して扉を開こうとする

 

ねぇ

 

「…なんです?」

 

「デンジくんと…()()()()()()()()()

 

「………えぇ…()()()()()()

 

 そう答えると、開きかけの扉からするりと去っていく。

 マキマはそんな彼の出ていった扉をしばらく見つめていたが、1回だけ瞬きをすると、書類作業に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「──やっぱりキミの匂いはわからないなぁ…」

 

 

 無念と疑念、そしてほんの僅かな()()──

 

 さまざまな感情が入り交じった声でソレは呟く。

 

 

 その呟きは、人のいない部屋の中で、長く…永く滞在していた───

 

 

 

 

 

 

 

 




<痛見>痛みの悪魔の能力の1つ。痛覚の有無、痛みが何処にあるのか等を見ることができる。医療現場に欲しい能力だね。
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