頭痛がひどいデビルハンターの話   作:kanesa

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痛みが無い

 

 

 

 

 

 

 デンジが来て数日

 

 

 アキはデンジと魔人の駆除に向かったそうなのだが、デンジが使って見せろと言われた悪魔の力を使わずに殺したことをメッチャ愚痴っていた。

「アイツは甘い」とか「あんなんじゃ1年も生き残れない」とかブツブツ言っていた。

 

 それ慈悲とかじゃなくてグラビア汚さない為だったんだよとは口が裂けても言えない雰囲気だ。

 

 そんなことがあった次の日、俺は珍しく任務が早く終わり、浮き足だって歩いていると廊下の先からなにやら言い争っている2人組がズカズカと歩いて来た───

 

「テメェのせいだからな!俺は悪くねぇ!」

 

「ワシのせいじゃない!ウヌが言った!!ウヌのせいじゃ!!」

 

 ──どうやら悪魔を勝手に倒してマキマに怒られた帰りらしい。

 ぶっちゃけ話しかけたくないがパワーとも初顔合わせだし、デンジとも友好関係を築いておきたいのでとりあえず挨拶をしておくことにした。

 

 

「やぁデンジくん数日ぶり!そっちの子は誰だい?」

 

「ン……お、オォ!パンくれた先輩!久しぶり!こっちはパワー、俺のバディっす!」

 

「ア…?なんじゃチビ人間!気安くワシに話しかけるな!殺すぞ!」

 

「チビッ…………ず…ずいぶん元気なバディだねぇ…俺はクナイ…!よろしくパワーさん!」

 

「フン!誰が人間の名なんぞ覚えるか!」

 

「オイ先輩に失礼すんじゃねェよ!パン貰えなくなっちまうだろうが!」

 

 後輩としてではなく、自分のパンの為にパワーを注意するデンジを、俺は生暖かい目で見ながらパンを取り出す。

 

「じゃあ…いい後輩なデンジくんにだけパンをあげよう!」

 

「マジすか!あざす!!」

 

「はァ!?盗るな盗人!ワシのパンじゃ!よこせ!!」

 

「ヤーダよ!俺が貰ったんだから俺んだぜ!先輩にケーイをはらってないお前にやるパンは無ェ!」

 

「はァー!?はらっとるが?むしろワシが先輩なんじゃが!?」

 

 うわぁこのパワースタイル…生で見るととんでもない傲慢さだ…あと基本大声だから頭に響いて頭痛が増す。

 そんなことを思って頭を押さえていると…

 

「人間!ワシのパンじゃ!よこせ!!」

 

「え~?でも~?パワーさん後輩じゃないらしいしなぁー??」

 

「は?後輩じゃが!?」

 

「ほーぅ…そうかそうかじゃあ"クナイ先輩"って言ったらあげようじゃないか」

 

 これは別に煽ってるわけじゃない…

 最初にチビって言われたことを根に持ってるわけじゃないぞホントに

 

「グッ!?……グゥゥゥヌゥフグググ…!クッ………………ク…ナイ先輩…」

 

「…いい子だ、ほらお食べ」

 

「よこせ!!」

 

 とんでもなく渋った上、とんでもなく小声でパワーは呟いて、俺の手元からパンを奪った。

 

「ハハハ…まぁこれからよろしくね!じゃあまたねー!2人ともー!」

 

「おーう!またなー先輩!」

 

「フン!」

 

 デンジは笑顔で、パワーはそっぽを向いて俺を見送った。

 まぁ食べ物で釣ってるとはいえ、多少友好関係は築けたか…

 

 それより、明日あたりデンジはコウモリの悪魔と対峙するのだろう。

 とりあえず予定を空けて、いつでも現場に向かえるようにしておくとしよう…

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コン」

 

 

 アキがそう呟くとヒルの悪魔は大きな狐の顔に呑み込まれた。

 それを確認したアキは狐を帰還させ、他の者に指示を出し始める。

 

「新人は生存者の救出保護と避難誘導!姫野先輩は悪魔の警戒!クナイは負傷者の手当てと瓦礫の除去を!」

 

「りょーかい……じゃあまずは一番ケガした人からだなぁ」

 

 クナイはそう答えるとブツブツと呟きながら倒れているデンジの元に向かい──

 

<痛覚0倍>…どうかなデンジくん」

 

「夢バトル…俺は……あ…ああ…?……い…たく…ねぇ…!…なん…だ…これスゲェ…!」

 

「うん…ちゃんと効いてるね、とりあえず病院着くまでは保つだろうから安心してね」

 

 そう言うとクナイはデンジから離れ、瓦礫の除去作業に向かっていった。

 

 そしてアキに肩を貸されたデンジは、パワーの胸と籠に入ったネコを一瞥するとそのまま意識を失った───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────バタン

 

 アキが少し弱めに扉を閉める。

 

 手枷を嵌められたパワーは解除を要求するが、姫野は少し不安げな顔をしてアキに話す

 

「ホントにいいのかな~この魔人ちゃんがいつか人を殺した時は見逃したアキくんの責任だぞ?」

 

「まぁまぁ安心してください先輩、パワーさんはそんな悪い子じゃなさそうですし…ついでに俺も見張っときますから…」

 

「えークナイくんじゃちょっと安心できなーい!」

 

「んだとこの酒カス……!」

 

 アキは2人のやり取りを横目で見て、パワーの手枷を外しつつ言葉を紡ぐ

 

「俺たちはデビルハンターです、悪魔だろうと魔人だろうと使えるモンはなんでも使うべきだ。クナイ、人の形をしてようと悪魔は敵、利用するだけだ。馴れ合おうなんて思うなよ…()()()()()()()()()()()()()()

 

「………頭も耳も痛いね…"()()()()()()()()()()()()"それが最善だからねぇ…」

 

 クナイは廊下の床に目をやると、頭から手を離して噛み締めるように両手を見つめる。

 

 

 

 

 わずかに開いた窓の隙間から、冷たくも暖かくもない風が、3人と1人の顔に吹き付けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「公安に悪魔の駆除要請、森野ホテル内部で悪魔の目撃、ホテル宿泊者の生存不明、駆除に当たった民間のデビルハンター複数人が死亡してる模様」

 

「銃の悪魔の肉片に動きあり、おそらく肉片を食べている悪魔です」

 

「公安対魔特異4課()()を出動させます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




<痛覚0倍>痛覚を一時的に無くせる、自分にも使えるが、頭の痛みは無くせない。やっぱり医療現場に欲しい能力だ
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