頭痛がひどいデビルハンターの話   作:kanesa

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永遠の痛み

 

 

 

 

 

 デンジが寝てから数時間。

 

 

 原作では餓死の恐怖と出られない不安で皆は憔悴しきっていた。

 

 だが《小麦の悪魔》のお陰で餓死の恐怖は無い、出られない不安も最悪階層ごとブッ壊せるので薄いということで、現在わりと皆リラックスした雰囲気だ。

 

 アキと荒井は手分けしてこの階層の調査(原作とは違いちゃんと休憩もしている)

 

 パワーは寝てるデンジの上でピョンピョン跳ねている……デンジは魘されているがまぁ大丈夫だ。

 

 コベニは最初は不安が残っていたようだったが、今では俺から大量にパンを受け取って食べている…なんならさっき「あ…あのせ…くっクナイ先輩!こっ…このパンの種類とか…もっと無いですか…!?」とか言ってきた……クロワッサンとスコーンは作れた、メロンパンは無理だった。

 

 そして姫野先輩は──

 

「ねークナイくーん…タバコの悪魔とか契約してたりしない?あと残り3本しか残ってないや…」

 

「してませんし、してたとしても絶対アンタには言いません…あとタバコ吸うのやめてください」

 

「いーじゃん別にー」

 

「《停滞》…煙、こっちに寄越さないでくださいよ」

 

 俺が手を翳すと、俺の近くに来ていた煙の動きが止まる。《停滞の悪魔》の力だ。

 

 

 そんな会話をしていると、部屋のドアが開き、アキが顔を出す

 

「クナイ…ちょっと来い、あと姫野先輩も」

 

 言われるがままにアキに着いていくと、そこには予想通り、大きくなった《永遠の悪魔》がいた。

 

「うわキモ」

 

 生で見るとクッソ気持ち悪かった

 

 

「俺たちが殺した悪魔だ、コイツが大きくなっている」

 

「お~こりゃおっきいねー」

 

『人間よ 人間達よ 愚かな人間達よ』

 

「とりあえずクナイ、やってくれ」

 

「んー分かった、<痛覚5倍>」

 

 そう言いながら、腰に差した短刀で斬りつける

 

『私は契約をい"だあ"あ"あ"っ』

 

「とりあえず能力は通じるな」

 

 なんか言おうとしていたが、どうせ原作と同じ内容だろうし聞かなくても良い、そもそも悪魔側からの契約なんて余程のことがない限り耳を貸してはいけない。

 "()()()()()()()()()()()()"、それが悪魔と関わる上での最善だ。

 

「うーん…攻撃する度増えてる?ちょっと攻撃力が足りないか」

 

「私のゴーストでやろっか?」

 

「いや…もっと攻撃力の高いやつでやります…二人ともちょっと下がって」

 

 二人を下がらせると俺は手を前に翳し───

 

 

「《車》」

 

 そう呟くと前方に、ヘッドライトが目であったり、サイドミラーが耳であったり妙に生々しい、廊下にギリ収まるサイズ、そんな赤色の車が現れた。

 

 

「お前それ…《車の悪魔》か…?」

 

「えェーっ!!!ナニソレ~!いつの間にそんなの捕まえてたのクナイくん!?後で乗らせてよソレ!」

 

「いやコレ乗り心地最悪なんでやめといた方がいいです」

 

 呼び出したのは《車の悪魔》

 マキマが原作で言及していただけあって攻撃力はかなり高めだ。

 

 ブゥンとその生々しい質感には似合わない音を立てて車の悪魔は唸りをあげる。

 その声は次第に高まり、最高潮に達した時──

 

「突っ込め!」

 

 俺が声を放つと同時に猛スピードで発車される。

 摩擦で若干床が焦げ付き、焼けた匂いが鼻を擽る。

 

 その赤い車体は減速することなく永遠の悪魔に向かって行く───

 

 

『にっ 人間よ 契約を"ッ痛ッヅ"グギア"アアッッッ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ"!!!』

 

 喋ろうする永遠の悪魔を黙らせるかのような一撃は、悪魔の大きな体に風穴を空け───

 

「んーやっぱダメか…」

 

 ──だがその風穴もすぐに塞がり、悪魔の大きさも増大する。

 

「とんでもない再生能力だな」

 

「あの威力でダメってなるともしかしたら本体じゃないのかもね~」

 

 

『む"っ 無駄ッだ 私の心臓は8階にはな"っないっ"』

 

「ということらしいですね…戻れ

 

『私と契グア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッッ!!』

 

 ブゥンという音と共に車の悪魔が永遠の悪魔の中から破り出る。

 永遠の悪魔の絶叫が響くがその直後、負けず劣らずの叫び声が背後から響いた──

 

「ア"ァ!!俺のご褒美(チュー)!!!!」

 

 

 


 

 

 

 ──デンジは焦っていた

 

 悪夢に魘されている中、急に響いた轟音によって跳ね起きた。

 音の原因を探す為、上に乗っかっていたパワーを無理矢理退かすと直ぐに部屋から飛び出す。

 

 そこで目に映った光景は、悪魔らしきデカブツが血を流す姿。

 

 ──まさか俺が寝てる間に倒しちまったのか!?

 ──これじゃご褒美のチュー貰えねェじゃん!

 

 と思い、咄嗟に叫んでしまった。

 

 

 

「おーちょうど良かったデンジくん」

 

「お…おっおお…クナイ先輩……もっ…もう悪魔倒しちまったンですかぁ……?」

 

「いやいやまだだよ…それでデンジくんにお願いしたいことがあって…」

 

「お願いしたいことォ……?」

 

「やってくれればご褒美は君のものだよ」

 

「やります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ンじゃあ俺はとにかくチェンソーになってアイツを斬りまくればいいんスね!!」

 

「そうそう、悪魔が『もう殺して~』って言ったら一旦手止めて俺を呼んでね…姫野先輩はもしデンジくんが倒れたらゴーストでスターター引いてください」

 

「ハイハイ~…こりゃえげつないね」

 

「本体が8階にないんじゃ仕方ないですよ…クナイ、お前は大丈夫なのか…?」

 

「まぁ頭痛が増すだけだから…デンジくんに比べりゃ安いもんだよ───さて」

 

 クナイはそう言うと、永遠の悪魔に向かって能力を発動する──

 

<痛覚50倍>

 

 

お腹空いた

 

 痛みの悪魔【ツウ】の声がクナイの頭で響く

 それと同時にクナイの頭痛が増大した

 

「ッ──!!」

 

 痛みの悪魔の力はより強い力を使う度、頭の痛みが増大する。力を使う分、痛みの悪魔は腹が減り、腹が減った分、より多くの痛みを食べる為に頭痛が増すのだ。

 

「……ッよし大丈夫!デンジくん<痛覚0倍>!やっちゃってくれ!!」

 

「いよっしゃァァァァァッ!!!!」

 

 ヴヴンとスターターを引き、頭と腕からチェンソーが生えた悪魔へと変身すると、そのまま永遠の悪魔に突っ込んでいった。

 

 

 

 

「これが終わりゃァご褒美(チュー)だァァッ!!!!!」

 

『ひッィヤ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アッッッッ!!!!!!!』

 

 

 欲望の絶叫と恐怖の絶叫が廊下に響き入り交じる。

 

 どちらがより悪魔らしい叫びかは、言うまでもないことだろう────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──10時間後

 

 

 

 

『も"う"嫌 で"ず" 』『だ" ず" げ" で"』『い"だ"い"い"だ"い"い"だ"い"い"だ"い"い"だ"い"』『ばや"ぐ"殺"じ" で"』『あ ぁ あ あぁ』

 

「俺にすべてを捧げると言えばその痛みを無くしてあげよう…」

 

『あ" り"がどう"ご"ざい"ばずぅ』『ぜん"ぶあ"げま"ずが"ら"ぁ』『あ ぁ ぁ あぁ』

 

「よし契約成立」

 

 

 

 クナイは永遠の悪魔と契約した!

 

 

 

 

 




停滞の悪魔:モノの状態を停滞させることができる悪魔、信号機の状態を停滞させてわざと渋滞を引き起こしたりしていた。便利なのでクナイはよく使う。
車の悪魔:見た目は気色悪い車、人を轢き潰すのが趣味の悪魔だったらしい。乗り心地はクソ。
永遠の悪魔:原作よりスピーディーに終わった、かわいそう。
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