あらすじにオリ主のイメージ絵を追加しました
──悪魔の刃がぶつかり合う中、沢渡アカネと浅鳴クナイは向かい合った。
一瞬の静けさの後、ピクリと沢渡が指を動かしたのを合図に攻撃が始まる
「《ヘビ》<噛み付き>」
沢渡の爪一つが消えると、巨大なヘビが動き出す。その強靭な顎を大きく広げ、目前に佇む矮小な獲物を噛み砕かんと迫り来る───
「《熊》」
───だが、その口が閉じることはなかった。
クナイの前に現れたのは黒い獣、鋭い爪、多くの傷痕が身体に残り、成人男性より一回り大きな身体を持つ《熊の悪魔》であった。
その凶悪な爪のある前足で、ヘビの悪魔の上顎と下顎をガッシリと掴み、閉じないように固定する。
「《カッター》」
クナイの指の隙間にカッターの刃が音もなく出現、そのまま刃を開いたヘビの口へ投げ飛ばし…
「《肥満》」
…そう呟くと、ヘビの喉を肥大化したカッターの刃が突き破る。
熊の悪魔が消えると、固定されていたヘビの顎はダラリと垂れ下がり、その口から血を滴らせた。
「な……っ!?」
ヘビの悪魔がダウンしたことに驚きを隠せない沢渡、その隙を逃さず、クナイは沢渡を仕留めにかかる
「──ッ!《殻》」
咄嗟に《殻の悪魔》で向かってくる
クナイが振り向くと、そこには銃を構える複数の男達、どうやらヘビの悪魔を倒している間に援軍を呼んでいたらしい。
「ソイツは複数の悪魔の力を使う!全員でかかれ!」
その叫び声と共に、一斉に彼らの凶弾がクナイを襲──
「《霧》」
──突如としてクナイを中心に濃い霧が現れた。
男達は動揺、己以外何も見えない視界を恐れ、その場から一歩も動けなくなる。
「《静寂》」
………いつの間にか何も聞こえなくなっていた。
──そこまで自分は恐怖していたのか?
仲間の声も
風の音も
己の息遣いすらも
いくら耳を澄まそうと何も聞こえない
不気味な程の《静寂》があった
──おかしい
男がそう思った瞬間、地面に赤い液体が垂れた。どうやらそれは、男自身から流れているモノのようだ
ふと、首に違和感を覚える。
そのまま首元に手をやり、確認してみる。
………その手のひらは真っ赤に染まっていた。
……いつの間に斬られた?
…なんで痛みがない?
なんで───
「<痛覚10倍>」
──激痛。
それだけでは言い表せない程の痛みが脳に、身体に響き渡る。その衝撃で男の意識は深い闇の底へ沈んでいった…
───静寂が消え、霧が晴れる。
それと同時に、ドサリと倒れるような音がした。
クナイが辺りの惨状を無視し音のした方向へ目を向けると、デンジの身体が真っ二つに斬られ、倒れていた。どうやらそのスピードに対応しきれず、敗れてしまったようだ。
デンジを殺した男サムライソードは、クナイのいる方向へ身体を向けると
「次はテメェだ…!」
居合の構えを取り、しゃがみこむ。
対するクナイは迎え撃つようにナイフと短刀を抜き、構えた。
ニヤリと男は邪悪な笑みを浮かべると、その姿が掻き消える。
"居合"
その超速はもはや眼では捉えきれず、目の前の敵を斬り裂かんとばかりに、クナイへ迫る───
──瞬間、構えを解いたクナイは上に飛んだ
「《油》ッ!」
ここでその超速が仇となる
凄まじい速度、地面には油、目の前に壁は無い
そしてここはビルの三階。
導き出される結末は───
「ハアアアアアァアァァァ!!?
───射出。
……一瞬の沈黙
だがそれも、新しく援軍に来た者達によって破られる
沢渡は一瞬思考が追い付かず、呆けた顔の後、すぐにその顔を歪ませた
「ッ──クソっ!ヘビ<脱皮>!!」
倒れていた巨大なヘビの悪魔がピクリと動く。
次の瞬間、ダラリと開かれた口の中からヘビの頭が顔を覗かせる。
そのまま皮を脱ぎ捨て、新たな口がクナイへと襲いかかった
「コン!」
だが、巨大な狐の顔がそのヘビを文字通り喰い止める
クナイは声の方向へ目を向けると、そこには負傷した姫野と埃にまみれたパワーを、無理矢理抱えているアキがいた。
「クナイッ逃げるぞ!」
それを聞いたクナイはデンジの死体まで向かう
「ッ待て!」
「<小麦粉>」
煙幕代わりに白い粉が広範囲にばら撒かれる
皆が目を開けられず咳き込む中、ブォンとエンジンの音が嫌に大きく耳に残った──
──沢渡達の視界が開けた時には既に遅く、そこにあるのは瓦礫の山と薄く残るタイヤの痕だけであった。
───病院内
俺は歩きつつも報告書を読み返す。
「デンジと人外を除いた、生存者
重傷者3名…一人は姫野先輩だ。ヘビの攻撃で負傷、足の骨にヒビが入り、暫くは歩けないようだ。
もう一人は荒井ヒロカズ、1発目の弾丸が首に命中。2発目は腕に着けた盾で防ぎ、相手が怯んだ隙にコベニが迅速に処理。
その後パニックになりつつもコベニが近くの公衆電話で救急車を呼び、ギリギリの所で間に合った。
現在、容態は安定しているのでじきに目覚めるだろうとのこと。
そして最後の一人…この人は確か生き残って退職した円さんのバディだ。肩に1発撃たれ、命に別状はないが、現在治療中………
……もしやだが、この間の飲み会の占いの話が効いたのだろうか。
事前に襲撃の警告をするにしても情報元が明かせない以上、ダメ元であのような形で言ったのだが…
…そういえばあの時、円さんだけが何も喋っていなかったな。聞いていないのだろうとばかり思っていたが、もしも俺の話を聞いて考えていたのだとしたら…?
あれから俺の話を信じて、周囲の警戒をしていたのだとしたら───
──まぁ…おそらくそういうことなのだろう。
数名生き残りが増えたことに喜ぶべきか、他は救えなかったと悲しむべきか…
…いや、少なくとも原作よりは生き残っているんだ。ここは喜ぶ所だな。
─そんなことを考えながら病室の扉の前に立つ。
ここはアキがいる病室だ。大きな怪我はないが一応大事をとってアキも入院している。
「アキー入るぞ~」
ノックをしてガラリと扉を開くと、中にいたのは3人。
アキ、そして黒瀬ユウタロウと天童ミチコの2名。京都から特異課の指導に来たようだ。
「あれー?あん時の迷子くん?なんでここに…」
「……もしかして特異課の
俺がいることに驚いて不思議そうな反応をする2人
「…クナイ、知り合いなのか?」
「あぁ…京都旅行の時にちょっとねー」
そう、実は京都へ旅行に行ったときに道案内を通行人に頼んだのだが…ちょうどその時会ったのが、偶然見回りをしていたこの2人だったということだ。
あの時は道に迷って焦っていて、自己紹介もしていなかったので驚くのも無理はない。
「うわぁ~ショックやわぁ…礼儀正しい普通の子だと思ってたんにご同業て、しかもよりにもよってあの特異課て…」
「失礼やろ…私達マキマさんに頼まれて特異課の指導に来ました、天童と黒瀬です。」
「どうも、浅鳴クナイです。あの時はホントありがとうございました…」
自己紹介も済んだところで…
「ところで
「ん?あぁ京都じゃ結構噂んなってるよ。
「マジか」
マジか、いやそりゃそうか
これだけ悪魔と契約結んどいて噂にならないほうがおかしいか
「やっぱキミが多重契約者ですか…ならクナイ君に関しては指導は不要らしいです。あとでマキマさんに話聞いといてください」
「今日はもう遅いんで帰ります、明日またアキ君の書類とか持ってきますんで…それとクナイ君、今度俺等が東京観光する時はキミ呼ぶわ、次はクナイ君が案内する番ってことで~」
「ハッハッハ…まぁそれくらいだったら全然」
「おおきに、それじゃ」
そう言って2人は病室から出ていった。
「………迷ったのか」
「迷ったの…」
ガチで迷ったんです……
『アホ』
──ガチャリと受話器取る
電話が鳴る前からしていた嫌な予感がさらに増す
「はいもしもし…」
『クナイか、俺は今良いおもちゃが手に入って機嫌が良い』
「…?そりゃよかったですね」
『なのでお前の腕が鈍ってないか特別にテストしてやる』
「ッスー…いやーちょっと頭痛くて行けな
『来い』
「はい…」
《熊の悪魔》:デカイ、強い、怖い。その狂暴すぎる性格とシンプルな強さから要討伐対象として指定されていた悪魔。クナイも内心ビビりながら戦っていた
《肥満の悪魔》:生物無生物問わず、対象を肥大化させる能力を持った悪魔。見た目は太りすぎていてギリギリ人型ということしかわからない、そのブ厚い脂肪は相手の攻撃を吸収する。クナイが契約した時は暫く女性陣から距離を置かれていた
《殻の悪魔》:カタツムリのような見た目をしている悪魔。その殻はかなり硬いが、一度ヒビが入ると脆い。
《霧の悪魔》:悪魔自体が霧の形をしている。物理攻撃はほぼ無効、攻撃する瞬間だけ一塊になるので、そこを狙おう。
《静寂の悪魔》:周囲の音を消し、静かに人を襲う悪魔。悲鳴も聞こえず喰われるので失踪という形になり、クナイに契約されるまで被害が表に出ることはなかった。
《油の悪魔》:油で出来たスライムのような見た目の悪魔。いくら斬ろうとぬるぬる滑って斬れない、クナイは油凝固剤を使って動きを封じた。