実況パワフルプロ野球another~一夏の思い出~ 作:かぼ茶
「えー、であるからして我が恋恋高校に入学して一月がたつ君たち・・・」
「ふあぁぁ・・・っ」
はふぅ、あれだよな、校長の話に欠伸とかデフォだよな!?
俺だけが眠そうであとのやつら全員真面目に聞いてる・・とかあるわけないか・・・
とりあえず早く終わりやがれこんのババアぁぁっ・・・・・・!!
そんなこんなで俺の学校生活が始まった。
もともと推薦入学だったのであんまり気にしてなかったが
ここもなかなか進学校だった。忘れてたぜ、勉強嫌だなぁ・・・。ま、できるけどな!
まずはメンバー集めだよなぁ・・・、どうしようか・・・
とりあえず投手が一人と、捕手は俺がするとして・・・野手が7人かぁ・・・
「あのー・・・突然でごめんでやんす」
む、話しかけられたな、てか隣のやつ男子だったのか・・・今更だけど良かった!
「もし間違ってたらごめんでやんすけど君、あかつきの曽二君でやんすか?」
俺を知ってるのか・・・、誰だ?ていうかこの話し方、メガネに見覚えが・・・
「おいら矢部明夫って言うでやんす。何度か中学時代に試合したことあるでやんすよ」
「・・・!、ああ思い出したぞ、たしか滅茶苦茶足の早い奴じゃなかったか?」
「滅茶苦茶かどうかはわからないでやんすが、自信はあるでやんす。
そんなことより、あのあかつき正捕手の曽二君がなんで恋恋にいるでやんすか?」
「ん?あぁ・・・まぁいろいろとな。そうだ、俺はこの恋恋に新しく野球部を作ろうと思うんだが矢部君経験者だよな、一緒にどうだい?」
「おいらもう野球がいやで恋恋に来たでやんすが・・・、自主的に生徒が作った部活っていうのはなかなか楽しそうでやんす、それなら頑張れそうでやんすし・・・、これから3年間よろしくでやんす!」
おっしゃあ一人目ゲット、幸先いいじゃないか!
この調子ですぐに野球部作るぜー!!
「おし!こちらこそよろしくな、矢部君!」
さっそくホームルームが始まるまで二人でこれからの活動について話をしてたら
同じクラスにいる他の数名の男子が話を聞いてたみたいで、
放課後他のクラスで野球やりたがってる生徒を数人紹介してくれることになった!
やったね、この際経験者じゃなくても大丈夫だぜ、
恋恋高校野球部始動にむけて順調順調―!
キーンコーンカーンコーン・・・
「ふぅー・・・、終わったーっ!」
「お互いお疲れ様でやんすね」
「なんつーか、結局先生の話一言も聞いてなかったけどな!」
「結局新しい野球部の話と女の子の話だけになってしまったでやんす」
「あのおさげの子とか俺結構・・・じゃなくて!んなことより飯食おうぜ、飯っ」
「あ、オイラは学食でやんす、曽二君はどうするでやんす?」
「俺弁当あるから食堂で一緒に食おうか、すぐ用意するわ」
きょーうのおかずはなーんだろなー・・/なんてことつぶやいてたら
噂のおさげちゃんが出てくところが見えた。
なるほど、彼女のお昼ご飯は今日はグローブなのか。
・・・・・・・・ぐ、グローブぅ!?
「悪い矢部君、さっそくで悪いが急用ができた。男同士のムサい飯は無しだ」
「分かったでや、んすぅ!?どこ行くでやんすかぁぁぁ!?」
矢部君の叫びが聞こえてきたがすまないねぇ、もっと大事な用ができたのさ!
「えーと・・・」
別に走って逃げられてたわけでもないし、特徴的な髪型してるから
後ろ姿にすぐ気づいたのはいいけどこれは、なんだ・・・?
ザッ・・・バンッ!!
(どーみてもこれ、ピッチャーが壁相手に投げてるようにしか見えねぇぜ・・・)
しかしまぁ、なかなか綺麗なアンダースローじゃないか。
重心はブレてねーし、腕の振りもきちんとしてる。
球のノビも良い、何より―――――
「受けて見てぇなぁ・・・」
ビクッ!
「!?」
あ、やっべぇ声に出ちまった。おさげちゃんこっちみてるよ・・・
「だ、だれ・・・?」
「あ―・・・、悪い。別に驚かせる気は無かったんだ。
俺は同じクラスの曽二湖南。グローブ持って教室出るおさげちゃん見つけてさ、
ちょっと何するのか興味があってね、ついてきてみたら投げてる姿に会えたってわけ」
「僕おさげちゃんじゃないよ!僕はあおい、早川あおいって言うんだ」
「早川か、早川は野球やったことあんのか?」
「中学の頃にリトルシニアでピッチャーしてたんだ。恋恋は家から近いからここに来たんだけど、
野球部ないから・・・。でもどうしても投げたくて休み時間投げてたんだ」
なるほどね、なかなか苦労してるみたいだな。
経験者だとしてもこの実力はなかなかすごい、おまけに野球好きときたもんだ。
いずれは野球部に入ってもらいたいが、ここはまず・・・
「俺にその球受けさせてくれねぇか?」
「・・・え、危ないけど大丈夫?これ硬球だから怪我するかも・・・」
「大丈夫、まぁ騙されたと思って投げてみてよ」
「う、うん・・・。まぁそこまで君が言うなら・・・」
あわよくばキャッチボールできるかと思ってミット持ってきて良かったぜ。
さぁて、どんな球なんだろうなぁ・・・ワクワクしてきたぞ!
・・・だいたいこんなもんだろ。
適当に目算で図った18mぐらいの距離で腰を下ろす、のだが
「あ、そういえば早川は変化球は投げられるのか?」
「うん。一応カーブとシンカーを投げられるけど」
「よっし分かった。んじゃあまずはストレートからな」
バシッ、バシッとミットを鳴らし、座って構える。
「じゃあ、いくね」
そう言って振りかぶる早川。綺麗なノーワインドアップじゃねえか。
そのまま地を這うようなフォームからの・・・っ!
「ふっ!」
―――ッパシィーン!!
「ナイスボール、もう1球!」
ピッ―――――スパァーン!!
――――「俺にその球受けさせてくれねぇか?」
えぇぇ!?
な、なにをいきなり言っているんだろうこの人!?
僕の球を、受ける・・・?
「え、危ないけど大丈夫?これ硬球だから怪我するかも・・・」
そうだよね、当たり所が悪かったら骨折とか、大きな怪我もするかもしれないし。
「大丈夫、まぁ騙されたと思って投げてみてよ」
な、なんだろう、凄く真っ直ぐな目。そんなに僕の球受けたいのかな。
「う、うん・・・。まぁそこまで君が言うなら・・・」
構え方も様になってる、もしかしたら本当に、本当に捕ってくれるのかもしれない。
でも、もし捕ってもらえなかったら・・・、またあんな思いはしたくない。
「じゃあ、いくね」
一言断りをいれて、投球モーションに入る。
いつもみたいに1歩左足を後ろに、膝と肘を胸元まで引っ張って、
腰の回転と腕の振り、手首にスナップをきかせて――――――ッ!
壁相手に投げてるときと同じ。そう、どうせこの人も昔のチームメイトと同じで取れない。
なんて期待を裏切られることを怖がって、でもあの目は本当かもしれない思ってしまって。
そんなあやふやな期待と諦めの反する2つの思いをボールにのせて、投げた。
「ごめんな、無茶言いまくって。疲れたろ」
「ううん、僕も楽しかったしこっちこそごめんねずっと受けてもらってて」
結局10球ずつくらい投げさせてしまった、ダウンさせないと・・・
クールダウンのためのキャッチボールをしながらふと思った。
(こいつはすげぇピッチャーだ。ノビのあるストレートもそうだけど
あのキレのいいシンカーには驚いた、下投げであんなに変化させられるなんて・・・)
絶対にこいつは野球が大好きだ。こんなやつの球を受けたかったんだ!
俺はこいつと一緒にいろんな強いやつと戦いたい。猪狩とも、椿とも。
だからさ・・・、なぁ早川?
「早川、俺と野球しようぜ!」