実況パワフルプロ野球another~一夏の思い出~   作:かぼ茶

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第二球:部員は全部で9人です(前編)

「湖南君、昨日はどこに行ってたでやんすか!」

「え、ああ。ごめんごめんすっかり忘れてた」

なーんか忘れてると思ってたんだよね・・・、ごめん矢部くん。

 

 

なんとか早川に練習に参加してもらう約束を取り付けた次の日、

矢部君とその他のメンバーについて話をしていた。

 

 

「はぁ、まぁいいでやんす。あおいちゃん可愛かったから許すでやんす。

それより他のメンバーでやんすけど、昨日教えてくれた子達に野球経験者だと聞いて

昨日あれから一度会いに言ってみたでやんす。

野球部には入ってくれるそうでやんすよ、でも・・・」

「でも?」

「まぁ詳しくは会ってみれば分かるでやんす、やんす・・・」

「矢部君がそういうなら分かるんだろうね。とりあえず会いに行こうと思う」

 

 

ちょっと引いてる矢部君が不安だけど大丈夫、野球好きに悪い奴はいない!

「あ、メール返ってきたでやんす。今日の放課後向こうのクラスに会いにいくでやんす」

おっしゃ順調順調ー!!

 

 

―――放課後―――

 

 

(悪いやつらじゃない。悪くないけどッ!!!!)

「「「ぬーん」」」

「よ、よろしく荒井君達・・・」

「改めて自己紹介するんだなぁ~、僕は荒井金男なんだなぁ~」

「僕は荒井銀次なんだなぁ~」

「僕は荒井晴男なんだなぁ~」

「僕は荒井かn」

「何度も自己紹介いらねぇよっ!」

「三兄弟で上から金銀パールなんだなぁ~、よろしくなんだなぁ~」

 

(なんだおまえら宝石かなんかかよ、ぱるおってなんだぱるおって・・・)

 

 

「僕がファースト、銀次がセカンドで晴男がサードなんだなぁ~」

「ま、まぁこれで6人でやんす、あと3人でやんす!」

「あと3人かぁ・・・」

「ぬーん、一人心当たりがあるんだなぁ~」

「ほんとかっ!?」

「僕は嘘なんてつかないんだなぁ~、ついてくるんだなぁ~」

スタスタスタスタ・・・

 

 

「あ、ちょっと待てよ!」

タタタタタタッ・・・

 

 

(ちぇ、マイペースなやつ。でも誰だろう、変な奴じゃないと良いな・・・うん)

なんてことを思いながら俺は銀次に一緒に野球してくれそうな

心当たりを紹介してもらうことになった、のだが・・・あれ?

「湖南くんまた置いていくでやんすかぁぁぁっ!?」

 

 

あー、矢部君マジでごめん。また忘れてた。

 

 

「ぬーん、彼なんだなぁ~」

銀次が指差す先では、金髪のモデルみたいな男が黒板を消していた。

いや、顔もそうだけどあの特徴的な髪型と、グラサンになんか見覚えあるんだよなぁ・・・

「彼は友沢君なんだなぁ~、中学ではスーパープレイヤーだったんだなぁ~」

友沢・・・友沢・・・!?

「友沢ってあの帝王の友沢亮か!」

「ぬーん、多分そうなんだなぁ~」

友沢といえば中学時代猪狩の全力のストレートから唯一ホームランを打ったやつだ。

投手としても猪狩と互角ぐらいの実力で、スライダーは上をいくかもしれないくらいの実力がある超有名選手だったはず。どうりで見たことあると思ったぜ・・・

「でもあの友沢がなんで恋恋に・・・」

 

 

「入口でやたらと俺の名前を連呼してる奴がいると思えば・・・

どうした銀次、何か用か。それと隣のやつ、お前あかつきの曽二だな」

「ぬーん、こんにちは友沢君、彼は曽二君なんだなぁ~」

「ああ、知っている。シニアで2度ほど試合をしたことがあるからな・・・

それで、有名人の曽二はなぜ恋々にいるんだ?」

「俺は野球を楽しみたい。常勝!なんて野球とはもうオサラバしたかったんだ。

だからこの野球部のない恋々高校で自分の手で野球部を作りたいと思った。

でもただ楽しむだけじゃそのへんの草野球チームと一緒だ、高校生活をかけるなら

一生懸命全力で取り組みたい。今メンバーを集めているところなんだけど

経験者がいるってんで荒井次男にお前を紹介してもらった。一緒に野球やらないか?」

「・・・そうか、大きな目標があるのは素晴らしいな。だがすまないな、

俺はもう野球はしないんだ。わざわざ来てくれたのに悪いな、他を当たってくれ」

「あ、ちょ友沢・・・」

スタスタスタ・・・

 

 

それだけを簡潔に伝えると彼はカバンを持って教室から出て行ってしまった。

くっそー、絶対野球部に入れてやるぞチクショウ―――!!

 

 

―――――次の日

 

 

「お―い、友沢ーっ!」

「俺は野球はやらないといっただろう」

「そんなこと言わずにさー、せめてキャッチボールだけでもやろうぜー」

「そんな暇はない。俺は忙しいからな、じゃあな」

スタスタスタ・・・

 

 

――――その次の日

 

 

「とーもざーわくーん!」

「・・・しつこいやつだな。俺はやらないと何度も言ってるだろう」

「いやー、なんかさ。売り言葉に買い言葉じゃねーけど、こっちもムキになっちゃって」

「なんだそれは・・・、まぁいい。今日はバイトがあるからな、じゃあな。」

スタスタスタ・・・

「あ・・・くっそー、俺は諦めねーからなー!!」

 

 

 

(くそっ、はこちらの台詞だ。なんなんだお前は・・・)

スタスタスタ・・・

「・・・あ、沢井先生さようなら」

「あら友沢君、今日もバイトなのね。勉強との両立は大変だろうけど頑張ってね」

「ありがとうございます、それでは」

スタスタスタ・・・

 

 

くそっ・・・俺は、俺はもう野球を捨てたんだ。

中学2年のあの時、あの事件で肘さえ壊さなければ、俺はもっと・・・

 

 

 

 

 

 

「ここにいたんですか、友沢君」

「あ、蛇島先輩。お疲れ様です」

「うん、お疲れ様。今も投げ込みしていたのですか?」

「はい、せっかくレギュラーを頂いたのでもっと練習して頑張らないといけませんから」

「・・・そうですね、わたしも君にはとても期待しています、頑張ってください。

それと・・・、忘れないうちに監督からの伝言を伝えておきます。

一日30球に制限しているスライダーを明日から50球にしてください。

あと、より肘を意識して投げるように、とのことです」

「分かりました、わざわざありがとうございます。

じゃあ、僕は走り込みがあるのでこれで。お疲れ様でした」

タッタッタッタッタッ・・・

(クックック・・・、これでいい。この俺に恥をかかせた君には

少し痛い目にあってもらわないとなぁ・・・!)

 

 

 

 

 

 

あのとき、蛇島先輩が嘘をついたのは多分俺のレギュラー入りからだろう。

どんな理由があったとしても、そのせいで俺は結局投手生命を絶たれてしまった。

それに、母さんの入院のこともあるからどのみち強豪で野球なんてできなかったんだ。

だから、だから俺は諦めるしかなかったんだ・・・

「っと、バイトに遅れてしまうな・・・、少し急ぐか」

タッタッタッタッタッ・・・

 

 

 

ガチャッ。

「悪い、遅くなったな」

「ほんとだよー、コナミくん早く練習しようよーっ!」

「そうでやんす、いい加減ランニングだけじゃつまらないでやんす」

「ごめんごめん、今日はグラウンドの使用許可もらってあるからキャッチボールとかできるぞ、

あとはノックとバッティングだな」

『やったー(でやんす)!』

「よーし、じゃあ各自ランニングとストレッチを済ませて

20分後にホームベースのところに集合だ」

 

 

皆が思い思いにグローブとバットを抱えて行く中、早川とコナミは部室に残っていた。

「コナミ君ここ2,3日部室に来るの遅いよね、なにか用事?」

「ああ、部員勧誘だよ。シニアで有名な友沢って奴を今誘ってるんだけど

なかなかいい返事がもらえなくてな、教室に通ってるんだ」

「友沢君なら僕も知ってるよ、でも彼って3年生の頃に肘・・・だったかな、

かなりひどい故障があって投げられなくなったって聞いたよ?」

「本当か!?」

「うん。なんか先輩とトラブルがあったみたい」

「野球をやらないってのはそういうことがあったのか・・・、

うーん、もう一度明日話してみるか。あ、それと早川。お前の知り合いで誰かいないか?」

「誰って、誰?」

「野球したがってるやつだよ。メンバーがあと3人足りないんだけど

もし友沢が入ってくれたらあと2人だろ?

早川はシニア時代からやってたみたいだから知り合いとかいないかなーって」

「なるほどね。一人あてがあるからちょっと頑張ってみるよ!」

「悪いな、助かる」

「ううん、そんなことより早くグラウンド行かないとまた遅れちゃうよ?」

タタタタタッ・・・

 

 

「そうだな・・・っておい、待ってくれよー!」

タタタタタッ・・・

 

 

友沢、どんな理由があっても俺はお前を絶対に野球部に入れてやるぜー!!

 

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