ディルムッド、カルデアキッチンにてタンドリーチキンならぬタンドリーワイバーンを作る。
立香、ディルムッドの料理に胃袋を掴まれる。
エミヤ、ディルムッドに弟子入りを懇願するも断られる。
自称魔物食研究家のディルムッドはガワがガワなのでイケメンだけども、中身はあのセンシなのが影響して空気が読めない超マイペース仕様となっています。
特異点。
それは、本来の歴史において存在しない過去そのものである。
その大きさは大小様々だが、いずれにしてもそれを放置していては歴史介入という事態に発展するため、カルデアのマスターである立香はマシュやサーヴァント達と共に特異点が発生したその時代にレイシフトしては、その時代に発生した特異点を修正する....ということを繰り返してきた。
この日も小さいながらも特異点が見つかったので、立香は最近召喚されたディルムッドと共にその微小特異点へとレイシフトし、そのまま聖杯回収の任務に当たっていた。
ちなみに、今回のレイシフトメンバーはディルムッドの他に諸葛孔明・メドゥーサ・ベディヴィエールだったのだが、いつものように立香達と共にレイシフトに臨んだ彼らとは裏腹に、ディルムッドはどんな魔物に会えるのだろうか?と胸を踊らせながらレイシフトしたとか。
そんなわけで、微小特異点へとレイシフトした立香達はそこで銭湯を交えつつも順調に特異点攻略に向けて進んでいた。
「この様子だと、明日明後日に決着が着くと考えた方が良いのかもしれないな」
「あ、それは私も思いました」
「何はともあれ、それで警戒を怠っていては元も子もないんですけどね」
微小特異点が発生した原因が解決しそうだからか、周囲を警戒しつつもそう声を漏らす孔明達。
一方、初めてレイシフトディルムッドは立香達の後ろを着いて行く形で歩いていたのだが、時々道草を食うようにハーブ等の食材を採取しながら移動していたため、それを見た孔明達はマイペースだな....と思ったようで、その顔には呆れたような表情が映っていた。
そして、森の中を移動すること数分後....立香達は森の中で一体エネミーと遭遇したのだが、そのエネミーがいわゆる厄介な敵扱いされている方のエネミーことゲイザーだったため、孔明達は厄介そうだなと思いつつも戦闘準備に入っていた。
もちろん、ディルムッドも槍を構える形で戦闘態勢に入っていたのだが、内心は目の前にいるゲイザーを如何に調理するのかを考えていたようで
「.....ゲイザー、だったか?あの生物は目玉も食べられそうだな」
そんなことをポツリと呟いた後、フィアナ騎士団の一番槍であるディルムッド・オディナとして所有している二本の槍を使って、他のサーヴァントと共にゲイザーとの戦闘に入った。
ゲイザーはその目玉部分からレーザービームのような攻撃を繰り出してきていて、マシュを筆頭にしたサーヴァント達はその攻撃を避けながらもゲイザーに攻撃を仕掛けていた。
ただ、ゲイザーもそう簡単にやられてたまるかと思ったようで.....拡散形のレーザービーム攻撃を行う形でサーヴァント達に反撃しようと試みていた。
「これは.....!?」
「アイツら....こんな技も使えるのか!!」
「くっ........厄介ですね」
「これでは距離が.......」
ゲイザーの攻撃に対し、マシュ達は拡散型レーザービーム攻撃によって距離が詰められないと感じたようで、やられたという顔になっていた。
その様子を感じ取った立香は、やっぱりゲイザーは厄介な敵であることを再認識したのか、サーヴァント達を心配するような表情がその顔に出てきていた。
と、その時....ゲイザーはサーヴァント達の隙を突いたのか、拡散型レーザービーム攻撃を立香に向けて放ったのだが、その攻撃は立香に当たることはなかった。
何故なら、その攻撃はディルムッドの所有するアダマント製の鍋が盾になる形で弾き返され、逆に自らに着弾したからである。
「キュオオオオン!?」
ゲイザーは自らの攻撃が跳ね返ってくるという展開を想定していなかったのか、自身の肉体を焼き尽くす痛みに耐えかねたようで、思わず悲鳴に近い鳴き声を上げていて、その光景を見たサーヴァント達はそりゃあの攻撃は痛そうだもんな....という感じで、何故かこの時ばかりはゲイザーに同情していたのだった。
「主人よ、無事ですか?」
「ありがとう!!ディルムッド!!」
ディルムッドの咄嗟の判断によって、レーザービーム攻撃で黒焦げになるのを何とか免れた立香は、彼の持つアダマント製の鍋が元々盾だったことを思い出したようで、レーザービームを跳ね返す鍋って凄いなぁ....と思ったとか。
そう思っている立香を尻目に、さっきの攻撃に激怒したゲイザーは強力な一撃を喰らわせようと思っていたようで、その攻撃用に多くのエネルギーを溜めていた。
「あのゲイザー....エネルギーを溜め込んでから攻撃を放つつもりみたいです!!」
だが、ゲイザーのやろうとしていることに気がついたマシュの発言によって、孔明達はゲイザーが攻撃を放つ前に仕留めようと一斉に攻撃を仕掛けた。
孔明が風を起こす形でゲイザーを錯乱し、メドゥーサとベディヴィエールがその足元を切断、ゲイザーが放った攻撃からみんなを守るように盾を構えるマシュ、そしてゲイザーを貫く形で槍を放ったディルムッドの活躍により、ゲイザーとの戦闘は無事に終わりを告げるのだった。
「ふぅ....何とか倒せたな」
「やはり、ゲイザーは厄介な敵でしたね」
「えぇ、そうですね」
ゲイザーを倒したことに加えて、自分達のマスターである立香の身に怪我などが無いことを確認したサーヴァント達は、ホッと一安心するような表情になっていた。
一方、ディルムッドの方はと言うと
「....なるほど、ゲイザーという魔物はこういう身体の作りをしているのか」
一安心したからか胸を撫で下ろしているサーヴァントの最後で、ゲイザーの解体をしていた。
その光景を見た孔明とメドゥーサはギョッとした顔になっていたが、ベディヴィエールは彼がこの場でゲイザーを調理するのだと理解したようで、ディルムッドの方に近づくとこう言った。
「ゲイザーの触手はアク抜きをすれば美味しく食べられます。あと、目玉もコラーゲンたっぷりですのでオススメですよ」
その言葉を聞いたディルムッドはピクリと反応すると、料理人としてベディヴィエールの言葉を聞き流すことが出来なかったのか、もしや彼はゲイザーを食べたことがあるのか?と思いながらこんなことを呟いていた。
「ふぅむ....ならばアレを試している価値はありそうだな」
そんなことをボヤいた後、ディルムッドは解体したゲイザーを置いてどこかへと向かっていったかと思えば、戻ってきた時には二本足が生えたキノコを.....一体の歩き茸を確保していたため、立香とマシュはこれから彼が料理を作るのだと理解したのか、ワクワクとした表情になっていた。
ベディヴィエールはベディヴィエールで、過去にゲイザーを調理したことがあるからかディルムッドに対して手伝いたいと申し出たところ、彼はその提案を頷く形で了承したため、ディルムッドはベディヴィエールと共にゲイザーの調理を始めていた。
「まず、アク抜きのためにゲイザーの触手を沸騰した鍋で茹でている間に、調味料とハーブを混ぜてソースを作る」
ディルムッドはさっきの鍋とはまた別の鍋の中でゲイザーの触手を茹でている間、森の中を歩いている際にゲットしたハーブ等をオリーブオイルやニンニクと一緒に潰す形で混ぜ、テキパキとした手際でソースを作っていた。
その様子を見た立香とマシュか美味しそうだと主張するような顔になり、ベディヴィエールがこの場にメモを持ってくるのを後悔し、孔明とメドゥーサが何だ何だと思っていた最中、ディルムッドはゲイザーの触手のアク抜きが終わったことを確認した後、それを鍋から取り出して触手の皮を剥いた。
そして、ある程度触手の下処理を終えたディルムッドは、解体したゲイザーの水晶体の辺りを調理場へと持ってくると....今度はそれを調理し始めたため、孔明とメドゥーサはマジで?という反応になっていた。
そう思っている彼らを尻目に、ディルムッドはベディヴィエールに対してこう尋ねた。
「一つ聞くが....このゲイザーの水晶体は熱で溶けるのか?」
「いえ、そもそもゲイザー自体がビーム攻撃をするタイプの敵ですので、ある程度の熱に耐えられるようにはなっています」
ディルムッドの問いに対してそうそう答えた後、この水晶体が美味しいんですよね....と声を漏らすベディヴィエール。
その言葉を聞いたディルムッドはゲイザーを食べたことのあるベディヴィエールが羨ましいと思ったのか、より一層熱が入った感じで調理を進めていた。
「ゲイザーの水晶体を一枚ずつ丁寧に切った後、調味料や他の具材と共に水の張った鍋の中に入れる」
「....なぁ、ゲイザーの水晶体はともかく、その半透明のプニプニしたやつは何だよ?」
「乾燥スライムだが?」
「乾燥スライム!?」
ディルムッドの言い放った言葉に対し、思わずそうツッコミを入れる孔明。
と言うのも、この世界には一応は幻想種としてスライムは存在するのだが....それを食べるという発想は無かったようで、歩き茸・野菜と共に切った乾燥スライムを鍋に入れているディルムッドを見た孔明はこう思った。
これ、本当に大丈夫なのか....?と。
それはメドゥーサも思っていたようで、孔明と同じく不安そうな顔になっていた。
しかし、孔明とメドゥーサがそう考えているとは知らないディルムッドはそのまま調理を続けていて、いつの間にかベディヴィエールもまた立香とマシュと同じように目を輝かせていた。
「鍋に蓋をして具材を煮込んでいる間、ゲイザーの触手にソースを塗って焼く」
「焼くって言ったって....これ、フライパンには入らないだろ?」
「あぁ、だからこれを使う」
そう言った後、ディルムッドが取り出したのは....本来の自身の宝具の一つである赤い槍こと
「あのなぁ!!いくら料理が好きだからって自分の宝具を串扱いするサーヴァントが居るかぁ!!」
「だが、エミヤならそうするだろう?」
「ゔっ....まぁエミヤならやりかねないけども!!」
興奮した様子であーだこーだ言う孔明に対し、まぁまぁと言うように落ち着かせる立香とマシュ。
その隙にディルムッドはやっぱり槍じゃなくて串の方が良いなと思ったのか、結局ソースを塗ったゲイザーの触手に串を刺すとそのまま火の近くで焼き始めた。
すると、ゲイザーの触手が少しずつ焼けるのと同時にハーブと調味料を混ぜたソースの良い香りが漂ってきたのか、その場にいた立香達は喉をゴクリと鳴らしていた。
それから数分後.....ゲイザーの触手に焦げ目が付くぐらいに焼けたことを確認したディルムッドは、それをフライパンに移すと今度はゲイザーの水晶体や野菜等を煮込んでいる鍋の蓋を開けた。
勢いよく煙が出た鍋の中には、これまた美味しそうに煮込まれた具材の数々が見えたため、さっきまでワーワー言っていた孔明は自然と言葉を飲み込んでいた。
「出来たぞ」
ディルムッドがそう宣言したところ、分かりやすく喜ぶ立香とマシュ。
孔明・メドゥーサ・ベディヴィエールもそれは同じだったようで、キラキラとした目で出来上がった料理を見ていた。
最も、尊敬の念も含めてディルムッドを見ていたベディヴィエールとは違い、孔明とメドゥーサはすぐに我に帰った模様。
「わっ!!美味しそうだなぁ!!」
「ゲイザーの鍋と香草ソース焼きだなんて、なんか贅沢ですね!!」
そう口々に言った後、待ってましたとばかりに食事をする立香達。
ゲイザーの触手はゆっくり時間を掛けて茹でられたことにより、クセのない柔らかな食感となっていて、それに爽やかなハーブやオリーブオイル等のソースがプラスされることにより、ゲイザーの触手本来の旨みが増していた。
一方のゲイザーの水晶体鍋は、プルプルコリコリとした水晶体の甘みと食感がこれでもかと引き出されていて、その旨みが野菜・歩き茸・乾燥スライムにも染み込んでいたため、これもまた美味な一品となっていた。
そんな料理を食べた立香やマシュ、それからサーヴァント達はお互いに顔を見合わせた後、ゲイザー料理のその美味しさに体を震わせていた。
特にゲイザー料理に思い入れのあるベディヴィエールは、普段はゲテモノ扱いの末に敬遠されていることが多いゲイザーがここまで美味しくなっていることに感動したようで、その目には涙を浮かべていた。
「これが....これこそが、ゲイザー本来の旨み。いや、ゲイザーの味なのですね!!」
「ベディヴィエール、とりあえず落ち着こう。ね?」
「でも、その気持ちは分からなくもないですね」
そんな会話を繰り広げているサーヴァント達の横で、立香とマシュはディルムッドの振る舞ったゲイザー料理の可能性を感じたようで
「あ〜、やっぱりディルムッドの料理は美味しいなぁ〜」
「ゲイザーがここまで美味しくなるなんて....凄いです!!」
と口々に言っていたので、当のディルムッド本人がニコニコしていたのは言うまでもない。
こうして、ゲイザーを美味しく楽しく食べた立香一行は微小特異点を修正したのだが.....ベディヴィエールはゲイザーを美味しく調理するサーヴァントと出会えたことが嬉しかったのか、この日以降ディルムッドと仲良くなっていた。
それはディルムッドと同じだったようで、彼と共に美味しくエネミーを食べる方法を語り合っている光景がカルデア内で見られるようになったため、他のサーヴァント達やカルデアスタッフ達はドユコト?と思ったのは仕方のない話なのだった。
ディルムッド(センシ)、ゲイザーを倒した後に美味しく調理するの巻。
ディルムッド(センシ)は魔物食を研究しているので、例えゲテモノ扱いされているエネミーでも美味しく調理することが出来るのだ!!
だから多分、これをキッカケに円卓の騎士勢とも仲良くなる可能性はあると思う。
特に腹ペコ王....ゲフンゲフン、騎士王とか。