白銀かぐやはどうにかしたい 〜2周目の恋路〜   作:チャリンコ2025

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───前回までのあらすじ


父親・四宮雁庵と墓参りに出掛けた四宮かぐやは、故人の母親・名代竹の墓が四宮家の墓とは別にされ、近い将来に雁庵も入る予定だという事と、その墓の管理をかぐやは雁庵から託される。


013『二学期期末試験』

 

 

 

───月曜日・生徒会室

 

 

生徒会は会長の白銀御行の発案で二学期期末試験の試験休みになってはいるが、あの御行が生徒会業務を休むとは考えられず、四宮かぐやは早朝に生徒会室に顔を出して自分の予想が当たった事に溜息が出る。

 

 

 

『なぁ、なんだ四宮!?

えらく早いじゃないか!!?』

 

 

入室したかぐやは先に来ていた御行の問い掛けに答えず会長席まで一気に近付くと、御行の側に置かれていた申請書などの束を掴み取り、取り出したペンで処理を始める。

 

 

 

『おっ、おい、何をするんだ?』

 

『会長に言ってもいつもさせてくれませんから、実力行使です。

副会長ですから私にも決裁権はあります。

会長、この申請はこの様に決裁しますよ?』

 

 

かぐやは手際良く決裁を済ませて処理済みの書類の束を作っていく。

その流れる様な処理の早さに御行は口を挟む余地もなかった。

 

 

 

『はい、これで終わりです。

会長、隠してる分も出してください。』

 

『・・・もうねぇよ。

たく、四宮は仕事熱心だな。』

 

『・・・怒りますよ?』

 

『それで四宮、用件は?』

 

『・・・ありませんよ。』

 

『この為だけに早く来たのか?』

 

『そのお言葉、そっくりそのままお返しします。

では、終わったので失礼します。』

 

 

そういうと、かぐやは生徒会室を出て行ってしまい、御行は呆気にとられる。

しかし、いつもとかぐやから受ける雰囲気が違う様に感じれた。

 

 

 

『たく、何なんだか。

・・・試験勉強でもするか。』

 

 

かぐやの目的は、実はこれである。

アメリカで交際中に試験勉強の話になった時に、この頃は御行がかぐやを目で追ってしまい勉強に集中できなかったと、半ば白状した様に喋ってしまったのだ。

前々から仕事を一人で片付ける御行に不満があったかぐやは、「今回」は仕事を奪ってでも負担を減らそうと考えていたので、こういう行動に出たのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───お昼・生徒会室

 

 

生徒会は休みにはなっているのだが、御行とかぐやは生徒会室位でしかゆっくり食事ができなくなっている。

暖かさがあれば屋上という選択もあるが、流石に11月にもなると風が冷たいので断念した。

そして、当たり前の様に龍珠桃と四条眞妃が食事に来ていた。

今日は会計の石上優も顔を出している。

 

 

 

『会長、生徒会を休みにしても意味がないのでは?』

 

『(俺には意味があるんだよ!)

昼はいいだろう、放課後の時間が大事なんだから。

それより、石上会計は今回は大丈夫なのか?』

 

『四宮先輩からは参考書と問題集頂きましたし、龍珠先輩達からも教えて貰ってますから。』

 

『なんなら、白銀が教えたら良いだろう?

男同士だし、会長なんだから。』

 

『次回考えておく。

今から加わったら、教える人数が増え過ぎて混乱するだろう。

教え方・教わり方は人それぞれだからな。』

 

 

かぐやが先に面倒を見ると言い出したのに、自分がしゃしゃり出るべきではないと御行は考えていた。

「言った事はやり抜く」「面倒見がいい」という、かぐやの人となりを知っているからこそ、御行は邪魔をしたくないのだ。

 

また、家業の事で周りと壁のあった桃が優と親しく話しているのを邪魔するのも気が引ける。

 

一方、御行の横に済まし顔で座っているかぐやは、「経験」した二学期期末試験は優は努力したが点数は奮わなかった事を知っている。

中間テストから一月強経つとはいえ、直ぐに点数が上がりはしない。

 

彼が本当に勉学に励むようになるには、今回の試験でも挫折を経験する必要がある。

その観点で見れば、子安つばめ直々に教えて貰う方が良いのではないだろうか?

かぐやはそう考えて静観している。

 

それより、気になるのは書記の藤原千花である。

所属しているテーブルゲーム部に行ってる様だが、また新しいゲームでも開発しているのだろうか・・・。

サッカーボールぐらいはありそうなサイコロを持ち歩いてるの見てるだけにかぐやは警戒しており、御行も警戒していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───夜、かぐやの寝室

 

 

 

『未だ、糸口すら無しね。』

 

 

先日のマスメディア部号外偽造配布事件以降、早坂愛が調査を続けているが、号外以外の物証がない事と目撃者がおらず、不審人物の目撃情報もない。

把握できる範囲内で、撮影時に校内や正門付近に居た人物達のアリバイもあった為に手詰まり状態になっている。

 

 

 

『この号外の写真のアングルから、正門付近から望遠レンズで撮影されています。

現行、最もカメラ性能の良いスマホで同じ様に撮影してみましたが、この号外の写真の様にはなりません。

画像修正のソフトなどを使ってもここまでの鮮明さが出せませんでした。

再現した方法では、望遠レンズ付きのカメラでしか撮影方法は考えられないです。』

 

『監視カメラには写ってなかったのね?』

 

『それも奇妙なんですが、アングルから正門の上に立たないと撮影できなかったのです。しかし、正門付近の監視カメラの映像にはそんな事をしてる人物や機械等は写っていませんでした。

会長さん達が撮影された場所も監視カメラがあったのですが、二人が通った後には誰も通過してません。また、その写真のアングルから割り出した推定の撮影現場を収めていた監視カメラにも何も写っていなかったんです。

不審人物の目撃情報もありません。

時折、特定の生徒の追っかけと思われる人物は正門付近に出没しますが警備員に排除されてます。』

 

『伊井野ミコさんのお友達の大仏こばちさんでしたか?

彼女は元子役さんで人気があるみたいね。』

 

『当人はうんざりしてる様ですね。』

 

『煩わしいけど迂闊な事はできないものね。』

 

『この手の輩は質が悪いですからね。』

 

『生徒会として介入すると、なんだけど、生徒会にも苦情は来てたのよ。

主に周りの住人さん達から、だけど。』

 

『難しいですね。』

 

『何度か生徒会として直接当人達に抗議したり、学校側も警備員さん達を配置したりしたけど、一過性で直ぐに元に戻ってしまうのよね。

全く、どこで調べてきてるのやら。』

 

『引き続き調査をします。』

 

『程々でいいわ。

手掛かりがないと捕まえ様がないし、愛の負担も大きくなるから。』

 

『ありがとうございます。』

 

『ところで、愛は試験勉強はいいの?』

 

『まあ、大丈夫ですけど。』

 

『前から気になってたんだけど、どんな勉強法を使ってるの?』

 

『えっ? かぐや様と同じですよ。』

 

『でも、愛の方が仕事で時間取れないじゃない?』

 

『同じですって。

私の方が順位は下なんですから。』

 

『・・・今回の試験、お互いに全力でやってみない?』

 

『失礼ながら意味が解りません。

私の方が頭悪いんですから。』

 

『嘘おっしゃい。

私と変わらないぐらいじゃない。

私の愛が、そんなに低い点数な訳ないもの。

ねえ、やってみましょうよ?』

 

『そんな事、言われましても・・・。』

 

『それなら、壁に貼り出される順位になったら、一日オフはどう?

完全なオフよ、朝から晩まで。』

 

 

かぐやに「私の愛」と言われてむず痒いが悪い気はしない愛は、「考えておきます。」とだけ返事をしてお茶を濁す。

無理をして明るく振る舞ってるが、本宅で父親から告げられた事はかぐやにはショックだろうと思う。

愛自身は「クソジジイ」と言った事もある程に、かぐやの父親の四宮雁庵には悪印象しかない。

ろくに接する事もなく、夏休みの本宅への緊急招集は「居たのか」の一言のみで、腹立だしかった。

あれが為に、かぐやは楽しみにしていた千花達との外出もキャンセルせざるを得なかった。

何より、今も苦痛を強いられる「ある任務」をやらされている愛は、雁庵どころか四宮家自体に嫌悪感しかない。

愛にとって大事なのは、かぐやと家族である両親だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───二学期期末試験結果発表の日

 

 

午前中に張り出された順位で、一年生は生徒会会計監査の伊井野ミコが490点で、高等部進学以来の連続学年一位を死守。

 

会計の石上優は奮闘虚しく五十位圏内には入れず、悔しい思いをしていた。

しかし、彼は自分の悔しさなど話ならないぐらいの激しい後悔に襲われる事になる。

 

昼休みに訪ねて来て、返された彼の答案の点数を見た子安つばめが、優が悪い点数を取ったのは自分のせいだと激しく落ち込んだのだ。

つばめは、優の実力を知らなかった。

「ごめんね」と言ったかと思うと突然泣き出してしまい、優はつばめを泣かせてしまったと打ちひしがれてしまう。

同時に、周りの敵意も増大したが・・・。

 

子安つばめは泣き上戸でよく泣くのでいつもの事なのだが、三年生のトップ10に入る成績上位者が教えてこの点数は、彼女を落ち込ませた。

 

最も、順位上位の生徒が教えて成績が簡単に上がるなら、かぐやが指導した前回の中間テストで順位が飛躍的に上がっているはずである。

 

しかし、当の四宮かぐやとしては複雑ではある。

試験の事で掲示場で優を見掛けなかったかぐやは、優の教室を訪ねてつばめが泣くところに居合わせてしまった。

 

つばめ達の参加は優の奮起材料になればいい程度に思っていたのが、つばめが泣いた事で優に余計なプレッシャーになるのではないかと懸念が生まれた。

つばめが去った後、トイレに向かった優をかぐやは追う。

 

 

 

『石上君?』

 

『・・・四宮先輩・・・、すいません。』

 

 

返ってきた応えは暗いものだった。

 

───不味い、非常に不味い。

 

せっかく明るくなっていたのに、これでは台無しになる。

 

 

 

『落ち込んでる場合じゃないわよ?』

 

『・・・僕は何やってもダメな人間なんです。

会長や四宮先輩みたいには・・・。』

 

『買いかぶりだった?

女の子に泣かれて、逃げ出すのが貴方なの?』

 

『そんなつもりは・・・、

 

でも、

 

子安先輩に泣かれて・・・、

 

頭が回らないんです!

 

こんな筈じゃなかった、

 

こんな筈じゃなかった!!

 

 

 

けど、僕は・・・。』

 

 

とんでもない逆効果になってしまった。

 

これなら無理矢理にでもつばめ達の輪に割り込んだ方が良かったかもしれない。

溜息をつきながら、洗面台に手をついてうなだれる優の背中に手を回して、かぐやは詫びる。

 

 

 

『謝らないといけないのは私の方よ。

大見栄切ったのに、貴方に付いてないで他の人達に任せて。』

 

『・・・そんな事、ないです。

あの参考書、解りやすかったですし、あの問題集も解いてると楽しくなって・・・。

・・・なのに、僕は・・・。』

 

 

うなだれたまま顔を上げない優の背中に、かぐやは手を添え続ける。

やがて、ひとしきりうなだれた優は心の整理に区切りが付いたのか、かぐやに再度謝って自分の教室に歩いていった。

それを見送る、かぐや。

 

しかし、二人は周りを見てなかった。

場所が男子トイレで他の男子生徒がいる中でかぐやが慰めていた事、優の返答が周りに聞き取りにくかった事、直前に子安つばめが泣いた事、何より優が周りに嫉妬されていた事が無理矢理点と点を繋げてしまい、

 

 

「石上優が子安つばめに告白して振られて四宮かぐやに慰められたが、男子トイレ内まで付いてきたかぐやは優に惚れてる。」

 

 

という、勝手なストーリーが作られ、優を取り巻く環境はややこしくなっていた。

 

 

───そして、厄介事はもう一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ニ年生二学期期末試験順位──

 

 

一位、四宮かぐや 500点

 

二位、四条眞妃  496点

 

三位、白銀御行  490点

 

 

 

 

 

貼り出された順位を前に生徒会会長・白銀御行は、真っ白になって立ちつくて動けなくなっていた。

 

優を激励した後、恐る恐る自分達の順位を見に来たかぐやも、かぐやに満点のお祝いを言おうとした眞妃も、友人の柏木渚も、いつもなら喝の一つも入れる桃も、石像の様に固まっている御行を前に掛ける言葉が見つからない。しかし、そこは御行の友人である風祭豪と豊島三郎が二人がかりでシメて、正気を取り戻したがうなだれる御行を引きずって教室に戻った。

周りから見れば、学年三位で十二分以上の点数でありながら、嫌味と皮肉にしか取れない御行の態度に、豪と三郎は苛ついていたのだ。

 

 

 

『余程、ショックだったのね。

連覇が途切れた事が・・・。』

 

 

豪達に連れて行かれる御行を見ながら眞妃は独語する。

五教科満点なんてなかなか出来ないからかぐやにお祝いを言おうと思っていたのに、御行の様子にショックを受けてる今のかぐやには何も言わない方がいいとも考える。

 

かぐやも満点なんて取れるものでもないと思っていたので嬉しかったのだが、こんな事になるなら答案を一部白紙で出せばよかったとも考えてしまう程だった。

 

思いの外、全員が冷静な判断力を欠いている状態だった。

 

ちなみに、かぐやの近侍の早坂愛は五十位になっていた。

狙った順位になれる彼女もまた、かぐやや眞妃並の才女である。

 

 

───一日オフにボーナス付き(軍資金)の確約をかぐやから貰ったので、誘惑に負けたのだ。

これで検証できなかったデートプランが検証できると、人目の無いところで喜びを爆発させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───放課後・生徒会室

 

 

生徒会メンバーの会長と会計の男子二人が非常に重い空気を纏って沈黙している為、生徒会室全体も重苦しくなっていた。

 

石上優は名前を貼り出される五十位圏外だったから、まだ理解できる。

 

問題は白銀御行だ。

合計点数490点は、五教科平均98点の非常に高い点である。

 

が、四宮かぐやがまさかの五教科満点。

 

二位の四条眞妃も五教科で二問しか間違えなかった事になる。

対して御行は、各教科で一問づつの五問間違えてる事になる。

掛ける言葉が見つからずに立ち尽くすかぐやを尻目に、この状態に噛み付いたのが書記の藤原千花である。

 

 

 

『何なんですか!

男二人が揃いも揃って、落ち込んで!!

私に対する嫌味ですか!!?』

 

 

今回も、千花は順位を下げた為にお小遣いを減らされる事が確定していた。

吠える千花を横目にミコは優の前に立つ。

いつもなら何らかの反応をする優は、無反応だった。

彼の脳裏には、つばめが泣いてる光景が、大友京子が泣いていた光景と重なっていた。

 

 

「つばめ先輩を泣かしてしまった。」

 

 

それに彼は堪えていた。

 

 

 

『・・・石上?』

 

 

声を掛けても無反応の優に、ミコは静かにキレた。

いきなり優の顔を両手で無理矢理自分に向ける。

流石に予想できなかったミコの行動に優は目を見張る。

かぐや達も反応できない。

 

 

 

『石上・・・、アンタどれだけ恵まれてるか解ってんの?

点数低くても生徒会に入れて、私はどんなに入りたくても毛嫌いされて門前払いで・・・。

勉強だって、四宮先輩はじめ何人に見て貰ったの?

私は、自分一人だよ。

それで、結果が出なかったからって腐っても皆に見守られて・・・。』

 

 

知らずに涙が出ていたミコの声は嗚咽混じりになっていた。

 

 

 

『私は、アンタが羨ましいよ。

私が毎回どれだけプレッシャー掛かってるか解る?

試験が近付けば、毎晩夢に見るのよ。

一位から最下位に落ちて、真っ暗な場所に落とされて侮蔑と嘲笑と罵倒に晒される惨めな思いをする自分を・・・。』

 

 

同じ思いを、小学生から挫折を経験させられた御行は、ミコの言いたい事が痛いほど理解できる。

 

 

 

『アンタ、そんなプレッシャーに潰されそうになった事、ある?

ねぇ、あるの!?』

 

 

周りの期待と練習の日々にピアノが嫌いになった千花や、何事も出来なければ手の甲に鞭を打たれたかぐやは、ミコの叫びに共感する。

 

 

 

『・・・って、

 

・・・だからって、

 

どうしろっていうんだよ!?

 

僕は・・・、期待に応えられなかったんだ。』

 

『立ち止まってたって、どうにもなんないでしょって言ってんのよ!?

もがくしかないのよ、それしか手段はないのよ!!』

 

『お前に、僕の何が解るっていうだ!』

 

 

言い合いから取っ組み合いの喧嘩に発展したのをかぐや達が止めようとする。

直後、自分の席から立ち上がって二人の居たテーブルに辿り着くまでに、視界が暗転して御行は意識を手放した。

御行が倒れた事にかぐやと千花の悲鳴が上がり、取っ組み合いになっていた優とミコの二人は我に返り、救急車や教師を呼ぶなど対応に追われる事になる。

 

救急車が到着し、かぐやが付き添う形で御行が搬送される中、居た堪れなくなった優は逃げる様に帰ろうとするが、校舎の陰で泣いてるミコを見て帰れなくなった。

 

 

 

『・・・伊井野。』

 

『・・・なによっ。』

 

 

涙声で返事が帰ってくるが、冷静さを保とうと自制してる事が傍目からも解るほど、ミコは震えていた。

ついさっきまでの立場が逆転してしまった事に、優はやり切れなさを覚える。

諸々、泣きたいのはこっちなのに先に泣かれて、正直女はズルいと思う。

 

その後、互いに交わす言葉はないがミコが落ち着くまで優は側に居続けた。

 

 

 

その頃、病院に搬送された御行を診察した医師は、一目で過労と診断してベットに安静にさせて、念の為の点滴を付けた。

かぐや達は御行の目の隈を毎日見てるから見慣れてしまい変化に気が付かなかったが、とても高校生がなる様なレベルの隈ではなくなっていた。

最も側にいて、御行の極端な勉強時間も知っていた筈のかぐやは、自分の迂闊さを呪った。

前回の中間テストでかぐやが一位同位であった事が御行に大きなプレッシャーを掛けてたのは想像できるが、倒れるほどに勉強しては意味がない。

 

では、当の御行はどうなのかというと、試験前で追い込みを掛けていて連日徹夜であった事、にも関わらずかぐやだけでなく眞妃にも負け三位になった事、風祭達に現実に戻された後に聞いた男子トイレでのかぐやと優の噂話が御行の思考力を奪い思い詰めてしまった。

 

 

───四宮に劣る自分に価値はない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───御行の病室

 

 

運ばれた御行は過労と診断され、点滴を投与された事でニ時間以内には目を覚ますだろうと、医師から付き添いのかぐやは告げられる。

既に近侍の愛も合流したが、かぐやにはタイムスリップ時の光景と重なり不安でたまらない。

 

ただ、時よりうなされているのか、寝言の様な事を言う違いがかぐやを落ち着かせている。

愛が合流する前に、「四宮」と呟かれた時は心臓が飛び上がったかと思うぐらいに鼓動が早くなるが、その後は寝息を立てるだけだったので期待外れに苛立ちを覚えた・・・。

 

 

 

『愛、皆さんの様子はどうかしら?

さっきから引っ切り無しに通知が来てるから、会長を起こしてはと思ってバイブレーションをオフにしてたのよ。』

 

 

そういうと、かぐやは愛に自分のスマホを見せる。

表示された画面には生徒会の優とミコ、友人の眞妃や柏木渚等からメールやラインが入っていた。

 

 

 

『返事を送ろうと思うと他の人から連絡が入るから、なかなか返事ができなくて。』

 

『心配はありがたいですが、混線していては意味がないですね。

あるあるですけど。』

 

 

画面を見てやや呆れ気味になる愛。

その時、病室のドアがノックされ医師と見られる白衣を着た初老の男性が、女性看護師を伴って入室してきた。

かぐやが応対する。

 

 

 

『こんばんは、担当医から状況は聞いております。

私は医師で田沼正造と申します。

四宮家の専属も承っておりまして、お嬢様にはご無沙汰しております。』

 

『初めまして。

大変不躾で申し訳ありませんが、生憎お医者様にお会いした記憶がございませんで・・・。』

 

 

かぐやは田沼医師を「知っている」が、この段階では初対面に近い為、あえて知らないと返答する。

しかしながら、「経験」した今年と先日の墓参りの折りの父親の四宮雁庵の発言から、田沼医師に聞きたい事がかぐやにはあった。

向こうから機会を作ってくれたのなら聞きやすい。

 

田沼医師は気分を害した風もなく応える。

 

 

 

『無理もありません、定期検診の際にお会いして以来ですから。

実は先程、急患対応をしていましたらお姿をお見かけしまして。

その後、御身体の調子はよろしいですか?』

 

『はい、お陰様で。

あの、すいませんが・・・。』

 

 

そう言うと、かぐやは寝ている御行に目線を向ける。

 

 

 

『おお、そうでした。

では、拝見致しましょう。』

 

 

田沼医師が診察を始めて寝ている御行の脈を見ていると、御行はうなされているのか頭が動いた。

つられて、顔を覗き込む様に田沼医師の顔が御行の正面に来たタイミングで、目を覚ました御行が酷く慌てた様に起きようとして、田沼医師と顔と顔がぶつかってしまった。

二人の顔は唇の位置でV字を作る様に、重なってしまった。

所謂、キスの状態である。

 

かぐやと愛と女性看護師は唐突な出来事に目を見開き、当事者の田沼医師と御行は事態が飲み込めず、固まってしまった。

 

永遠に感じる一瞬が過ぎた時、どちらからともなく離れた二人の男は唇に手を当てながら激しく動揺し、田沼医師は室外に出て、御行は屈んで、我が身に起きた事を処理しようとする。

両名とも認めたくないのだが、ちょっと良かった事が余計混乱させてる。

その間、三人の女性達は動けなかった。

 

先に立ち直ったのは年長で経験豊富な田沼医師で、室内に戻って来ると何食わぬ顔で動揺が収まってない御行の診察をし、大丈夫そうだが少し休んでから帰るといいと告げると、酷い隈を作って倒れる程の徹夜は以後は止めなさいと釘を差して病室を出ようとする。

 

その頃には動揺が収まり現実に復帰した三人の女性は、女性看護師は仕事で、かぐやは父親の雁庵の病状を聞く為に、田沼医師に同道し、病室には愛と御行が残された。

この状況で御行にどう声を掛けていいかかぐやは判らず、少し時間が欲しい気持ちもあった。

 

が、残される愛は内心、

 

(かぐや様、それはないでしょ!?

気まずいんですけど!!)

 

とは思ったが、動揺収まらず混乱してる御行を一人にするのも可哀相には思える。

当の御行は、好きな女の目の前で知らんオッサンとキスしてしまい、それが少し気持ち良かったのが余計混乱を引き起こしていた。

 

(俺、そっち系なんだろうか?)

 

という、おかしな事まで考える程に混乱していた。

 

二人っきりの病室を、気不味い空気が重く支配する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───意識を失った間、御行は夢を見ていた。

酷く現実味のある、起きる可能性のあった現実の夢。

 

かぐやに初めて試験で挑んだ時の「あり得た現実」の夢を。

 

奮闘及ばず、かぐやに負けた御行がかぐやからある事を突き付けられる。

 

 

「二度と私に話し掛けないで。」

 

 

その恐怖が彼を叩き起こした。

 

実際、そうなのだ。

かぐやの最初の頃の態度から考えれば、御行は有象無象の一人に過ぎず、生徒会長であり続けても、学年一位を死守し続けても、かぐやがそれを一顧だにしなくなった時点で価値は無くなる。

かぐやの横に立ってても、御行はかぐやの気持ちを御行に向かせ続けなければいけない。

その最低条件であり、それ以外に御行には無い唯一の勉学においてかぐやに負けた事は、御行には死刑宣告でしかなかった。

 

だから、寝起きに知らんオッサンとのキスは、御行にはある種の罰と理解した。

動揺はするが、「これで済んだ」とも思える。

 

何故なら、かぐやが居てくれたからだ。

 

かなり卑屈な思考になっているが、実際にはそうなのだ。

かぐやが御行に興味を失えば、破綻する関係でしかない。

 

頭の整理をして、気不味いが折角の機会を無駄にする訳にはいかない御行は、愛に話し掛ける。

 

 

 

『・・・その、早坂さん?

俺は、どうなっていたんだ?』

 

『・・・生徒会室で倒れて、この病院に運ばれてから三時間ぐらい経ってるよ。

診断は過労で点滴を打って貰った。』

 

『そうか・・・、ありがとう。

心配・・・、掛けたな。

その、四宮達は?』

 

『会長が倒れてからバタバタだったみたいで、かぐやと私だけ来てる。

他の人達からは連絡がかなり来てる筈だよ。』

 

『・・・そうか。』

 

 

また、妙な沈黙が室内に降りる。

田沼医師と女性看護師は戻って来ないだろうが、かぐやも時間が掛かるだろう。

間をもたせようと、御行は話を振る。

 

 

 

『・・・その、君が以前教えてくれたメイドのハーサカさんと同一人物、という事だが、別人に変装しないといけない事情というのは、何なんだ?

変装ならひょっとしてとも思うが、四宮がウチに来た時の執事の人も、君なのか?』

 

 

妙な所で記憶力があるなと愛は考えたが、変に勘繰られるのも困るので事実を話す事にする。

 

 

『・・・四宮家は、面倒な家なんです。

外にも中にも敵がいます。

私はかぐや様の側付きですけど、状況に合わせて演じ分けをする必要があるんです。

会長さんの予想通り、夏休み明けの執事は男装した私です。

私は、かぐや様の影となりかぐや様をお守りするお役目なんです。』

 

 

そうは言いつつ、かぐやを裏切ってかぐやの情報を本宅に流してる事に、拭い様の無い罪悪感を抱えてかぐやに仕えてはいるが・・・。

 

事実を告げられた御行は唖然としていた。

自分と同い年の少女が護衛役として男装までしてかぐやに尽くすとは、映画かテレビの世界の出来事に感じていた。

だが、同時に四宮家の異常さを実感させられもした。

 

 

 

『・・・いつからなんだ?』

 

『小さい時から、ずうと・・・。

もう十年にはなるよ・・・。』

 

『・・・昼も夜も休みなしか?』

 

『前はね。

今は、少し違う。

・・・かぐや様が、気を使ってくれてるから。

・・・貴方のおかげだと思う。』

 

『俺が?』

 

『去年からだけど、最近は特にかぐや様は変わられました。』

 

『まあ・・・、確かにな。』

 

 

九月からのかぐやの変化は、それしか考えられないのが愛の見方になる。

御行にしても、あの不意打ちのキス以来、かぐやに驚かされる事が多い。

 

 

 

『驚いた?』

 

『まあ、な。』

 

『・・・驚きついで、というとおかしいけど、協力して欲しい事もあるの。』

 

『・・・なんだ?』

 

『私は、・・・かぐや様の身辺調査も仕事なの。

かぐや様の交友関係とか、そういう情報を報告しないといけないの。

密偵、という存在なんです。

だから、事実を知った貴方に避けられたりすると、仕事に支障が出るの。』

 

『・・・何を、するんだ?』

 

『普通に、お友達になってくれませんか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───田沼医師の個室

 

 

 

『はい、申し上げました。

以前から認知症の兆候が出ていましたし、体は丈夫な方と言っても高齢である以上、確実に衰えてきます。』

 

『先生の見立てでは・・・。』

 

『───数年の内に。』

 

 

既に「経験」した事ではあるが、改めて告げられると避けられない事実に衝撃を受ける。

 

 

 

『この事は、どれ程の人が知っているのでしょうか?』

 

『貴女と御本人、秘書の方ぐらいです。

他の方々には言うなと御本人から口止めされてます。

御本人がお話なられている方は判りませんが。』

 

『そう、ですか・・・。

先生、ありがとうございます。』

 

『まだ、です。

あくまで長くてであり、急変しないとはとても言えません。

それだけ、御身体に気を配る必要があります。』

 

『・・・解りました、留意致します。

お忙しいところを、ありがとうございました。』

 

 

謝意を述べて、かぐやは御行の病室に戻る。

わざわざ個室で、付いていた女性看護師を遠ざけて話す内容は軽い筈もないが、かぐやにはショックだった。

事前に知らされる・知っている事と、突然訪れる訃報は、どちらがまだマシなのか?

 

かぐやには、解らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───夜・白銀家の近く

 

 

運ばれた病院は御行の家から離れていたのと、白銀御行の父親は遠方に泊まり込みの仕事に行っていた為に、四宮かぐやの勧めで御行は自宅まで四宮家の車で送って貰った。

 

 

 

『すまない、助かった四宮。』

 

『お気になさらないでください。

その、ここでよいのですか?』

 

『ウチの周りは一方通行とかややこしいからな。

ここまで送って貰ったら大丈夫だ。

ありがとう、四宮。』

 

『・・・では、おやすみなさい。』

 

 

名残惜しそうにかぐやは御行を見つめながら、車は走り出す。

車が走り去るのを見届けてから御行は自宅のアパートに帰るが、自宅の玄関ドアの前には妹の圭が、制服姿のまま御行の帰りを待っていたのか体育座りで眠りこけていた。

 

 

 

『圭!

こんな所に居たら、風邪引くぞ!!

ほら、こんなに冷えて。』

 

『・・・おにい? お兄!』

 

 

揺さぶり起こされて目を覚ました圭は、御行に抱き着いて泣き出してしまった。

兎も角も、体の冷えてる圭が心配な御行は宥めながら自宅に入る。

思いの外、強い力で掴まれてるので入って直ぐの玄関の横で宥めるが、直ぐに落ち着いて体を離してくれたので風呂の準備をする。

 

 

 

『直ぐに入れる様になるから、体を温めろ。

風邪を引いたら大事だ。

 

・・・心配掛けて済まなかった。』

 

『・・・うぅん。』

 

 

鼻声で答える圭を促して風呂に行かせると、御行は部屋着に着替える。

風呂から直ぐには出て来ないだろうと考えて、その間に自分のスマホのチェックをする。

藤原千花・石上優・伊井野ミコとラインが入っていたので、それぞれに返事を返す。

 

間髪入れずに千花から返信が来て、御行が帰り着く少し前に圭と電話をしており、御行が運ばれた直後に連絡した時はかなり動揺して取り乱していたと告げられる。

再度連絡したら普段の圭と違う為に、藤原家に泊めようと家を出たところだともラインをされたが、会長が自宅に帰り着いているなら後はお願いしますと締められていた。

 

次いで、優からはご迷惑をお掛けしましたとラインが来ており、御行が運ばれた後はミコが動揺した為に付いていて動けず申し訳ありませんとあった。

 

 

「こっちこそすまん。」

 

 

と、御行は返信する。

 

 

次いで、ミコのラインに返信すると、間髪入れずにミコから電話が掛かってきた。

慌てて御行は電話に出る。

 

 

 

『もしもし、伊井野か?』

 

『───会長、大丈夫ですか?』

 

『ああ、心配掛けた。』

 

『───良かったです。』

 

『その、石上とは仲直り出来たみたいだな。』

 

『───してないです。

石上なんかと、仲直りなんかしてないです!』

 

『そうなのか?』

 

『───・・・喧嘩自体してないです。』

 

『・・・そうか。』

 

『───会長?』

 

『どうした?』

 

『───・・・四宮先輩が一位取ったら、ダメなんですか?』

 

『・・・どういう事だ?

話が見えないんだが?』

 

『───四宮先輩、会長が倒れて運ばれてる時に言ってたんです。

会長は倒れぐらい頑張ったのに、私なんかが一位取るべきじゃなかったって。

聞いた藤原先輩が怒ってましたけど四宮先輩らしくないし、それだけ会長の事を心配してたんです。』

 

『・・・。』

 

『───私も、会長が生徒会を試験休みにするって言った時に、皆が言うなら仕方ないって言いましたけど、本当は勉強に集中できるから嬉しいと思いました・・・。』

 

『伊井野・・・。』

 

『───私は会長は四宮先輩と同じぐらい勉強できる人だから、試験勉強なんて要らないんだろうなって思ってました・・・。』

 

『・・・俺も伊井野と一緒だよ。

倒れぐらい徹夜を繰り返して、このザマだ。』

 

『───一位を取り続けるのって、』

 

『・・・シンドいな。』

 

『───正直、石上が羨ましいです。

あんな点数と順位で、それでも四宮先輩達に勉強見て貰えて・・・。

私が、一位じゃ無くなったら・・・。』

 

 

ミコの声は震えていた。

それは、御行には痛い程解る。

一位でなくなれば全てを失う。

成績以外に、勉学以外に武器のない自分が、唯一の武器を失えば・・・。

 

『───でも、だからこそ、他の人が一位を取れたなら、自分以上の成績を出せたなら、私は喜んであげたいです。

その大変さ、辛さを知ってるから。』

 

『・・・。』

 

『───会長、満点取ったらいけないんですか?

 

 

・・・四宮先輩を褒めてあげてくださいよ、

 

「満点取ってすごいな、やったな!」って。

 

・・・そうでないと、救われないですよ・・・。』

 

 

電話口からはミコの啜り泣く声が聞こえてくる。

 

 

 

『伊井野・・・、解った。

 

なら、最初にお前だな。

 

伊井野、一位おめでとう。

よく頑張ったな。』

 

『───○□△☆✕っ!!』

 

 

何言ってるか解らない言葉を最後に、ミコからの電話は切れる。

あいつも思い詰めてたんだなと、スマホの画面を見ながら御行は思う。

 

 

 

『けれど、伊井野。

 

そういう事じゃないよ・・・。』

 

『そういう事じゃないって、どういう事!』

 

 

声に驚いて顔を向ければ、圭が風呂から上がっていた。

ラインと電話で、気が付けば一時間近くも費やしていたのだ。

 

 

 

『圭、大丈夫か?

うがい薬か風邪薬はいいか?』

 

『うん、平気。

お兄こそ、大丈夫なの?』

 

『ああ、点滴も打って貰ったしな。

心配掛けた。』

 

『この2週間、徹夜を続けてたからだよ。

お兄、何言っても聞かないから。』

 

『期末試験だったから、最後の追い込みだったんだよ。』

 

『中等部にも話は広がってるよ。

四宮先輩、満点だったって。

千花姉からも聞いたし。

 

・・・お兄を見てるから、私は・・・。』

 

『・・・。』

 

『私ね、考える時はあるんだ。

お兄じゃなくて、私がお母さんに置いて行かれたらどうなっていただろうって・・・。』

 

『そんな事は・・・。』

 

『無いなんて言い切れないじゃない?

 

・・・本当言うと、お兄やお父さんを見下してた時も、・・・あったよ。

私は優秀で、だからお母さんは私を選んでくれたんだって。

 

・・・でも、それは私は寂しさを紛らわせる為にそう思い込もうとしてただけだった・・・。

 

お母さんの期待に応えて良い点数を出す事が正しい事だって・・・。

 

でもね、ドンドン辛くなってきて・・・。

 

お母さんに嫌われたくない。

嫌われたら捨てられるって、そう思って。

 

頑張って勉強し続けたけど、いい点数をとっても、先生やお母さんから褒められても、ちっとも嬉しくなくなっていったんだ。』

 

『・・・辛かったんだな。』

 

『・・・うん。

辛くて、全て投げ出したくて・・・。

でも、お母さんの言ってる事も解るから、応えたいとも思ってたの。

そうしたら、全部グチャグチャになって訳が解らなくなって、私は何がしたいんだろう?って。』

 

『・・・俺も、そうだったよ。』

 

『私も友達が、萌葉とか、私より良い成績だったら、素直に喜べないと思う。

でも、それじゃ、嫌な奴にしかなれない。

そんな自分が、私は嫌だから・・・。

 

ごめん、お兄。

私、何言ってんだろう?・・・。』

 

『負けたっていい・・・。

そんな事は、絶対ないな。

どうせなら、勝ちたいよな。

勝ち負けだけじゃないって、いくら言っても偽善にしか聞こえないしな・・・。』

 

『でもね、私は、お兄とかぐやさんの仲が、こんな事で悪くなって欲しくないの・・・。

 

 

二人は、お似合いだと思うから・・・。』

 

 

御行は妹からの爆弾発言(御行的に)に反応できず、呆けた顔になってしまう。

 

この男、妹の目の前でキスまでされたのに、自分の恋心と相手がかぐやだという事が今だバレてないと思っている。

壁に張り紙までしてるのに・・・。

 

 

 

『・・・私からはそれだけ!

お兄、大丈夫そうだから、先に寝るね。』

 

 

照れ臭さが勝った圭はそそくさと自分のスペースに逃げていく。

暫し呆然としていた御行は、考えをまとめると意を決してある人物に電話を掛ける。

 

 

 

『はいっ、もしもしぃ。』

 

『四宮か? 遅くにすまん。』

 

『み・・・会長。

いえ、問題ありません。

何かありましたか?』

 

 

声から、意中の相手のかぐやが動揺している事が解る。

御行から電話する事も、この時間帯に電話するのも、初めてになる。

時計の針は22時を指そうとしていた。

 

 

 

『どうしても言いたい事があってな。

 

 

 

・・・四宮、一位おめでとう。』

 

『えっ!

 

・・・あっ、ありがとうございます・・・。』

 

 

今、四宮かぐやの頭は「?」で埋め尽くされてる。

 

 

 

『唐突に、すまん。

 

俺が倒れてたせいで、四宮にお祝いを言ってなかったと思ってな。

 

 

 

・・・約一年ぶりだな、四宮が一位になったのは。』

 

『ありがとうございます。

 

・・・ですけど、

 

今は嬉しくないです。

 

私のせいで会長が倒れてしまうなら・・・。』

 

『四宮、馬鹿にしてるのか?』

 

『・・・もっと、もっと嬉しいものだと思ってたんです!

 

・・・貴方に勝つ事が。

 

ですけど、違いました。』

 

『・・・。』

 

『私は、貴方と競い合う事が楽しかっただけなんだと。

 

結果や順位は、あくまでそれだけなんだと。』

 

『・・・俺に取っては、違うな。

一位は自己証明だ。

一位を取る、取り続けるのは俺が俺であると証明し続ける事だ。』

 

 

───そうでなければ、俺に価値はないんだ。

 

───何より、それはお前の横に立ち続ける資格の様なものだ。

 

───そうでなければ、勉強しかお前に勝るものがない俺は。

 

 

 

『だから、喜んでくれ四宮。

お前は満点で一位を取った凄い奴なんだ。だが、次は負けん。』

 

『・・・解りました。

 

なら私も、次は会長に期待してますよ。』

 

 

この人はこういう人だと、かぐやは諦めなのか納得なのか、何度抱いたか判らない感情を抱く。

 

 

 

『ああ、次は負けん。』

 

『はい、受けて立ちます。』

 

 

───今はこれでいい。

 

 

かぐやと御行は、寂しさを抱えつつ納得し合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───週末・四宮本宅

 

 

いつもの週末の光景ながら、父親の雁庵を前に、娘のかぐやは緊張していた。

今週はかぐや達の三者面談が予定されていた。

「経験」した三者面談は、最後まで雁庵は出席しなかった。

一つ上の兄である四宮雲鷹は保護者ではあるが親権者ではなく、かぐやが中等部の段階で学校行事等には関わらなくなっていた。

高齢などの理由もあり、父親は今回も出席はしてくれないだろうとは考えるが、せめてスマホのテレビ電話で参加をしてくれないだろうかとは思う。

 

 

 

『お父さん、お暇をさせて頂きます。』

 

『そうか、気を付けてな。』

 

『・・・お父さん、今週ですが、私の三者面談があります。

出席は難しいと思いますが、テレビ電話で参加しては頂けませんか?』

 

『・・・そうか、考えておこう。』

 

『・・・お願い致します。』

 

 

感触から恐らく今回も期待はできないと思いながら、かぐやは本宅を後にする。

東京への帰途の途中、沈んだ様子のかぐやに近侍の早坂愛は声を掛けようとは思うが、物思いに耽る主人の邪魔をするのは憚られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───月曜放課後・生徒会室

 

 

その日、会長の白銀御行は会計監査の伊井野ミコから、前期の第67期からの繰越金が多過ぎると指摘があった。

 

 

 

『これだけの繰越金が出るなら、各種の予算等に当てるべきです!』

 

『これは、これでいいんだ。』

 

『伊井野さん、予算はこうしておかないといけないんです。』

 

『四宮副会長まで・・・。

どうしてもというなら、納得のいく説明をしてください。

会計監査として合点がいきません!』

 

『会長、僕も前から疑問だったので説明をお願いします。

言われた通りに慣例に沿って処理してますが、やや不可解な慣例もあるので。』

 

 

 

ここで会計の石上優も話に加わる。

と見せつつ、御行に向かってるミコの意識を散らすのが目的だ。

書記の藤原千花は頃合いかなと、電気ケトルに水を入れ始める。

 

 

『・・・解った。

長くなるから、藤原書記。

コーヒーを人数分頼む。』

 

『は〜い、美味しいの淹れちゃいますよ。』

 

『なら、お茶請けもいりますね。

この間、お土産に買ったお菓子がありますから出しますね。』

 

『いつもすまないな、四宮。』

 

『その代わり、味や食感等の感想は皆さん聞かせてくださいね。』

 

 

刺々しくなりかけた空気を千花のコーヒーと、かぐやのお菓子とその感想を考えて貰う事で解す。

最近は、御行もかぐやと千花の阿吽の呼吸のこの手の場作りを理解できる様になった。

最も、相手が感情的になってると逆効果になるので、どんな状況でも使える訳では無いが。

ミコみたいな優しくされる事に弱い人物には大変有効ではあるが。

 

 

『さて、伊井野監査の指摘も最もだが、事情があるんだ。

場所を変えよ。』

 

 

そう言うと、御行は会長席からテーブル席に移動し、コーヒーとお菓子が各人の前に用意される。

 

 

 

『伊井野監査の指摘の件だが、生徒会の通期の活動に理由がある。

歴代の生徒会が腐心した事柄があって、それは寄付金集めだ。

石上、会計資料に明るいから解るだろう?』

 

『まあ、類似例の仕分け方を調べるのに当たりましたけど、ピーク時で支出が年10億円超えてましたね。』

 

『そ、そんな金額になるの!?』

 

『半分近くは、修学旅行の費用で持っていかれてたけどな。』

 

『その通りだ。

今より生徒数の多い時期に海外旅行が当たり前だったからな。

生徒一人100万円は下らない中で200人以上、それを毎年だ。

流石にいつまでもそれでは寄付金だけでは持たない。

歴代の生徒会長はじめ生徒会OBの多くが参加してる鳳凰会からも、保護者会からも、高過ぎる支出に不満が出る。が、一部の保護者達や在校生からは支出抑制に不満が出る。

板挟みに合うのが歴代の生徒会だったんだ。

そこで過大と思える繰越金を用意しておかないと、寄付金の集まり具合では修学旅行まで乗り切れるか不安なんだ。

記録に当たれば、予算が無くなった時が何度があった。

 

・・・最低な話だが、寄付金を集めるのに猥褻な行為を強いられた時期もあったそうだ。

 

生徒会役員が嫌煙される理由の一端が、寄付金集めと各種折衝、それらに伴う業務となる。』

 

『・・・そ、そんな事が。』

 

 

思わぬ話に女性陣は身震いする。

 

 

 

『あっ、いや女子にも全くない訳では無いが、主に男子がその役目をしてたらしい。

この手の活動に熱心なのは、ご婦人方なんだそうだ。

頻繁にお茶会が開かれて談笑相手をしていたそうだ。

所謂、接待だよ。

 

ただ、

 

・・・まあ、

 

・・・スキンシップが激しかったそうだ。』

 

 

五人とも、おぞましい光景を想像してしまう。

 

 

 

『・・・僕は会計だけですから、折衝は会長がしてるんですよね?』

 

『俺と、四宮だ。』

 

『あら?

いえ、私は何も。』

 

『四宮、根回しや強情者への直交渉をしてくれてるのを、俺は知ってるぞ。

四宮が出てくれるだけで、黙る相手もいるからな。』

 

『「四宮」の名は、それぐらいしか使い道がありませんから。』

 

『藤原書記や石上会計にも感謝してる。

藤原の人脈や情報も、石上が作る資料も交渉を有利に進める事ができてる。』

 

『一つ、忘れてますよ。』

 

『何だ、四宮?』

 

『白銀会長、「貴方」だから、私達は頑張るんです。

「貴方」でなければ、私を含めてここにいる皆は集まりませんでした。』

 

『・・・そうか。』

 

 

そういうと、御行はかぐや・千花・優の順に居並ぶ役員達を見渡す。

 

 

 

『そう言われると、心強く居られる。

皆、ありがとう。』

 

 

「四宮が言うと」という言葉は流石に飲み込んだが、他の二人が言っても同じ気持ちになるなと御行は思う。

感謝の気持もも言葉も御行の本心からのものである。

それに対して、三人は笑顔と信頼の眼差しで応える。

 

まだ参加して日の浅いミコは、そんな四人の信頼関係の中に入っていける程の貢献ができるのかと、焦りを覚える。

 

 

 

 

 

───御行はつい一年前を思い出す。

 

一年次の二学期半ばからスタートした第67期は、引き受けてくれるとは思わなかったかぐやが副会長に就き、書記に千花を迎え、他は滅多に生徒会室に顔を出さない当時の三年生達が卒業までの期間限定(三学期は殆ど不在)で参加してくれていた為、当初は折り合いが悪く対立する事が多かったかぐやとの不協和音で危うく機能不全になりかけたが、貸しのあった龍珠桃が時折様子を見に来てくれて、時には頑ななかぐやを叱責してくれた事もあった。

その分、御行も活を入れられたが・・・。

 

 

 

『・・・それで、会長。

繰越金の理由は解りましたが、会計の絡みでもう一つお聞きしたい事がありまして、語り草と言われてる去年の生徒総会での会長の大立ち回りというのは?

 

会計が原因だとは聞いたのですが、風紀委員会の先輩達も、会長本人に直接聞いた方がいいと教えてくれないんです。』

 

『その話、僕も知りたいです。

何があったんですか?』

 

 

 

さり気なくミコに合力する優。

噂の様な話は聞いていたが、具体的な内容は優も知らなかった。

 

 

『大した事をした訳じゃない。

第66期生徒会も、生徒会任期終盤の生徒総会と各部活との予算折衝という山場がある。

どんなにしても反発する者は出てくるが、その時に標的にされたのが龍珠だった。』

 

『龍珠先輩が標的って。

それは、一体?』

 

 

石上からすればぶっきら棒だが男っぽくハッキリしてる桃は付き合い易く、良い先輩だった。

優だけでなくミコもサバサバしてる桃には好感を持っている為、前のめりに話を聞こうとする。

 

 

 

『龍珠の実家の家業と、会計という立場が「良からぬ事をしてる」と流言を生む土壌に利用された。

前会長・・・、俺が庶務で龍珠が会計だった時の生徒会長が、龍珠がその事柄で前から非難されている事を知っていたからな、反論したんだ。

それで余計に騒ぎ立てられてな。

龍珠を非難する奴らは、能力不足で断られたか、生徒会入りを断って好き勝手言っていたからな。

 

で、頭に来るから俺が流言の出処を突き止めて張本人達を生徒総会で追い詰めたんだ。

流言の内容も、不正会計での資金流用という決め付けと特定の生徒や部への贔屓という、見方・取り方次第の流言だったからな。』

 

『そうだったんですね。』

 

『年々寄付金も減っていて、切り詰めておかないと体育祭や文化祭でも予算を食うからな。

俺達も最初は面食らったよ。

なあ、四宮?』

 

『二人して駆けずり回りましたからね。

今思えば、しょうもない言い合いにもなりましたしね。

会長、あの時は申し訳ありませんでした。』

 

『いや、今となればいい思い出だよ。

俺も庶務で参加していたのに、金の流れとかは把握してなかったからな。

四宮には、大分鍛えられたしな。』

 

『あらぁ〜、それはどういう意味ですか?』

 

『なあ? こういう事さ。』

 

 

そう言うと、御行とかぐやは二人で笑い出す。

修羅場を潜り抜けた戦友同士でなければ出ない笑いである。

 

笑い合うかぐやと御行を見ていて素敵だとミコは思った。

 

実のところ、かぐやも最初は御行に反発していたがそれ以上に御行に周りからの風当たりが強く、それでも腐らずに踏ん張る御行を見直したのと、怒涛のごとく押し寄せる折衝と業務でくだらない反発などやってる場合ではなくなったのだ。

当時の三年生生徒会メンバーは、それを理解していたのだろう。

殆ど姿を見なかった。

要するに「押し付け」られたのだ・・・。

 

空気が和んだところで、来る文化祭「奉心祭」に関して、かぐやからある「提案」がなされた。

 

 

 

『文化祭に生徒会として何か出し物?』

 

 

かぐやの意図はクラスとしては出し物を予定(コスプレ喫茶に決まりかけている)してるが、クラスの違う御行との思い出を作りたいのだ。

 

 

 

『昔は生徒会用の枠もあったみたいですけど、廃れたみたいですね。』

 

『そりゃ、これだけ業務が立て込めばな。

その代わりに伝統のオブジェじゃないのか?』

 

『オブジェは会長職の専任事項ですし、一度飾れば終わるまでそのままですから。

生徒会として、私は皆さんとやりたいんです。』

 

 

かぐやは、メンバーを見渡す。

 

 

 

『しかしな、出し物と言っても何をするかな・・・』

 

『和楽器バンドとかどうですか?』

 

『バンドか・・・、やれるならやってみたいな。

文化祭のステージでギターかき鳴らすとか1度はやりたいしな。』

 

『和楽器は私がやりますから。』

 

 

バンド演奏をやってみたかったとは、後々御行自身からかぐやが聞いた話だったので乗ってくると計算していた。

 

だが・・・、

 

 

 

『絶対、嫌です!』

 

『藤原書記、ダメか?』

 

『会長が原因です!

かぐやさんが凄くやる気なのは解りましたけど、かぐやさんとミコちゃんと三人でならやります。』

 

 

 

ここで石上優が手を上げる。

 

 

『僕は実行委員会に参加しますから、スケジュールが解らないので無理かも、です。

伊井野も風紀委員があるから、無理じゃないか?』

 

『スケジュール次第だけど、時間合わせて貰うのと、キーボードなら出来るわよ。』

 

『いけるのか?』

 

『石上こそ何が出来るのよ?』

 

『・・・ギター。下手だけど。』

 

『なら、教えてくれ石上。

楽器はちょっと苦手なんだよ。』

 

 

途端にかぐやと千花がジト目になる。

千花に至っては「やっぱり」と顔に書いてる。

かぐやも可能性は考えていた。

御行が「壊滅的」かもしれないと。

 

 

 

『なんだよ、二人ともその目は。

ちょっと苦手なだけだって。』

 

『そうは言われましてもね、千花さん?』

 

『ですよね、かぐやさん?』

 

『本当に「ちょっと苦手」なだけだって。』

 

『とりあえず、一度やってみませんか?

相性もありますから。

楽器と場所が問題ですね。』

 

 

空気が帯電し始めたのを感じたミコが、話を一段進める。

ここで温めていた腹案をかぐやは出す。

 

 

 

『ここの上はどうです?』

 

『ああ、隠し部屋か。』

 

『確かに、ここの上ならスペースありますね。

生徒会室に近い大きさのスペースはありますから。

デッドスペースで使ってませんし、移動も手間ですからね。』

 

『でも、石上。

照明とか電源とか大丈夫なの?』

 

『先月見た時にコンセントはあった。

以前に修繕したみたいで、埃は被っていたけど新し目のコンセントだったから、電気とかは大丈夫だろう。』

 

『換気は大丈夫なのか?

二酸化炭素中毒とか洒落にならんしな。』

 

『通風孔はありましたよ。

意外と空気は淀んでませんでしたから。』

 

『とりあえず、見てみるか。』

 

 

(皆に分からない様にこっそり改造しておいて良かった!)

 

 

かぐやはアメリカに留学してる間に、詳しい学友達からDYIなどアメリカ仕込みのスキルを磨いていたが、日本に帰ってからは殆どする機会が無かったので、この機会にと夏休み明けから秘密部屋を密かに改造していたのだ。

 

来るべき「来年」の騒動に向けて・・・。

 

生徒会メンバーで確認して、換気と電源と照明と防音は問題ない事を確認したが、楽器をどうするかが問題だった。

この日は遅くなったので後日考える事となった。が、かぐやは早かった。

 

 

 

『これで楽器は揃うかしら?』

 

 

石上優に100万円入りの封筒を渡して手配を依頼したのだ。

 

 

『いきなりでビックリしますよ。

しかし、何故僕なんですか?』

 

『信頼できてネットに強いのは、貴方しか居ないじゃない。

私はお金は出せても、家がうるさいから実際に購入は無理だから。』

 

『ですけど、誰がどの楽器を担当する事が決まってない段階では。

とりあえず、予算として預からせて貰います。』

 

『やっぱり石上君に頼んで正解だったわね。』

 

『そんな、四宮先輩・・・。

 

しかし、今回かなり力入ってますね。

あの部屋の改造、こっそりやってたの知ってますよ。』

 

『・・・気付かれてた?』

 

『多分、会長達は知らないと思います。

僕があの部屋を見つけた時は、コンクリ壁に通気口と裸電球しか無かったのが、壁は防音板に床にカーペット敷かれてれば、流石に解りますよ。

先輩が大きな板を持って上がるところ見ましたし。』

 

『・・・見られてたのね・・・。』

 

『手伝うべきだと思ったんですが、誰にも言わずにやってるのは、会長の誕生日パーティーみたいなサプライズなのかと思ってました。

凄く意外で、やっぱり四宮先輩は凄いなって実感しました。』

 

『力が強いって事かしら?』

 

『・・・腕相撲は完敗です。』

 

『しょうがないじゃない、嫌でも身に付いちゃったの。』

 

『・・・失礼な言い方になりますけど、とんでもないお金持ちで何でも出来てしまう、けれど冷酷で近寄れない氷のかぐや姫・・・、僕達一個下の学年でも色々噂めいた話は聞いてましたから、一学期の時は先入観で怖さがありました。

 

でも、先輩は花火大会にも自由に行けないなんて・・・。

 

二学期になってから毎日楽しいですし、今は良い先輩だと思ってます。』

 

『怖がらせてたのね・・・。

私なんて、世間知らずの子供だわ。

・・・でも、ありがとう、石上君。』

 

秘密部屋の改造は、「来年」の騒動を見越しての準備のひとつなのだが、今は言う必要はない。

 

こうして二人の密談は直ぐに終わったのだが、たまたま目撃した御行はモヤモヤした気持ちで家路を自転車で飛ばして走っていた。

 

 

「四宮と石上、距離が近すぎないか?」

 

 

と。

 

ただ、かぐやも御行もお互いどう接したら良いか手探りだった一年生の頃を思い出して、あの頃に比べれば変わったなと実感するのだった。

特にかぐやは、二人の馴れ初めの時期だったが慣れない事が多く、それがブレーキの役割を果たして決定的な事にならずに済んだとも考えている。

そうでなければ、生徒会を辞めていたかもと・・・。

 

 

 

 

 

─────つづく

 

 

 

 

 

 

 

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