白銀かぐやはどうにかしたい 〜2周目の恋路〜   作:チャリンコ2025

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───騒動の翌日

 

 

 

 

『ムスッ━━━!』

 

『フンッ!』

 

 

白銀御行と四宮かぐやは非常に不機嫌だった。

その不機嫌は互いに対してではなく、自分達二人を見世物の様に楽しんだ同級生達に対して向けられていた。

 

 

 

『お前達が俺達二人をどう見てるか、よ━━━くわかったから。

おぼえておけよ!』

 

『いいですよ、いいですよ。

皆さん、そうやって面白がって楽しんだら!』

 

 

今、白銀御行と四宮かぐやは世間(面白がった同級生達)の理不尽に対する怒りでかつてない強さの絆で結ばれている。

 

デリケートなお年頃故に(かぐやは違うが)の過剰反応である。が、あまりに機嫌が悪いので最初は引け目のあった同級生達も大人げないと反撃に転じる。

 

口火を切ったのは白銀御行の友人の豊島と風祭。

白銀のらしくない意固地さに楔を打ち込む。

 

 

 

『いい加減観念して付き合ってるって言えよ。

悪く言ってんじゃなくてお似合いだって言ってるだから。

人の好意は素直に受けろよな!』

 

『俺達は生徒会の仕事で一緒にいるんだ!

大体、四宮の気持ちはどうなんだよ?

四宮の気持ちを考えろよ!』

 

『それは悪かったって言ってるだろうが!』

 

 

 

喧々諤々の言い合いになった。

 

 

 

 

 

 

一方、四宮かぐやは───。

 

 

 

『かぐや、私は度々貴女達がイチャついてるところ見てるんだけど?』

 

『あれは討論や対話してるだけ!』

 

『まあまあ、二人とも。

(色々聞いてるから、こういう時困るな〜。)』

 

 

 

かぐやには、四条眞妃&柏木渚が懐柔に掛かる。

 

この態度こそが余計妄想を駆り立てて、二人の仲を周りに確信させてるとも知らず、二人は余計に意固地になる。

 

因みに、二人の交際の可能性に関しては、藤原千花も負けず劣らず不機嫌である。

 

 

 

 

 

 

 

─────昼・屋上

 

 

 

『なんか騒がしいなと思ったら、そんな事になってたのか。』

 

 

愉快でたまらないという態度で、龍珠桃は白銀達に応える。

 

今日のランチは昨日の気分転換にと屋上で、白銀御行・四宮かぐや・藤原千花・石上優・四条眞妃・柏木渚・龍珠桃・伊井野ミコ・大仏こばちというメンバーで食べる事になった。

教室だと周りの視線がうるさくて食べた気にならないのだ。

早坂愛は嫌な予感がしたので遠慮して参加してない。

 

しかし、白銀御行は龍珠桃が余計な事を言わないか、四宮かぐやは柏木渚が余計な事を言わないか、気が気ではない。

 

 

 

『まさか、藤原書記や石上会計までギャラリーに居た、とはな。

俺は良いクラスメートや後輩を持ったもんだ。』

 

『藤原さんも石上君もお楽しみな様で。』

 

『ちょっとちょっと、かぐやさん。

それはこっちが言いたい事なんてですけど。

二人は付き合ってるって聞いても、度々否定したじゃないですか?』

 

『会長、僕は作った選挙の資料を会長に持って行ったら、理由も解らず巻き込まれただけなんですけど。』

 

プリプリしながら藤原千花と石上優の弁明を聞いてる白銀御行と四宮かぐやを見ながら、当人二人以外の参加者は思う。

 

弁当食べるだけなのに、手が触れただけで赤くなるは(主に御行)、おかず交換や食べ物の感想の言い合い(褒め合ってる様にしか聞こえない)、阿吽の呼吸でお茶や味噌汁(ランチの定番化しつつある)を出してきたりと、どう見ても高いレベルで意思疎通が出来てる二人はお似合いの「カップル」だと。

 

四宮かぐやに声を掛けたが無視され続けて落ち込んでるの見たり、ハッタリかませば良いんだと喝を入れた事もある龍珠桃は二人をニヤニヤしながら見ていた。

しかし、生徒会会長選挙の候補同士がご飯食べてていいのか?とは、疑問に思うが。

 

一方、集団で屋上に上がっていく一同を見かけて、気になって声を掛けたら一緒にお昼をする事になった伊井野ミコと付き添いの大仏こばちは、面食らっている。

 

 

 

「「言い合ってるけど暖かいな。」」

 

 

それが二人の率直な感想だった。

人数が増えたから、紙コップで貰った四宮先輩の味噌汁もホッコリ感を足してくれる。

 

 

 

『四宮先輩。

このお味噌汁、何が入ってるんですか?』

 

 

場が硬直しそうなので話題を転じる為に大仏こばちが味噌汁の具を聞いてみる。

 

 

 

『大仏さん、でしたね。

今日は京風にしてみたんですけど、味噌は薄めで出汁を効かせてるんです。

具はカブを入れてます。』

 

『へぇ~、これは大根じゃなくてカブなんですか。

なんか甘いなと思ってたんですけど、味噌汁に合いますね。』

 

『なんか、どんどん腕上げてるわね、かぐや。』

 

『もう下手な主婦さんじゃ太刀打ちできないですよ、かぐやさん。』

 

『私も練習しようかな。

何かイマイチなんですよね。

この間は、彼にちょっと辛いとか言われちゃったし。』

 

『・・・。』

 

 

柏木渚から彼(田沼翼)の話が出ると、途端に重い空気を纏う四条眞妃。

 

彼女もかぐや同様に大変分かり易い。

 

流石、血は争えない。

 

かぐやの影響で、かぐやの周りは少し味噌汁ブームが来ていた。

 

 

 

『柏木さん、そういう時は砂糖や水飴を入れると良いですよ。』

 

 

すかさず、藤原千花が合いの手を入れる。

 

 

 

『いやいやいや、砂糖はないでしょ藤原先輩。』

 

『煮魚なら解るけど、味噌汁に砂糖って。』

 

 

石上優と伊井野ミコからツッコミが入るが、

 

 

 

『いえ、入れますよ?』

 

『『『『えっ?』』』』

 

 

幾人かは信じらないといった面持ちで発言者の四宮かぐやを見る。

 

 

 

『し、知らなかったんですか?』

 

『かぐやさん、これは上級者向けの話でしたかね。

そっかぁ、石上君は知らないんだ〜。』

 

 

普段やられる分、藤原千花が馬鹿にした態度で石上優を弄り始めるが、言い返せず口惜しがる。

 

実のところは白銀御行も知らなかった(予算の関係で白銀家では味噌汁は・・・)が、こういう時は何も言わずに知らん顔を決め込んだ方がダメージが少ないと経験則から判断して沈黙する。

 

 

 

『あれと一緒ですよ。

厚焼玉子に砂糖と、隠し味に塩を入れるのと。』

 

『『『『えっ?』』』』

 

 

段々、何で知らないの?とかぐやは疑問に思い出す。

料理をしない人間には無縁な知識でしか無い。

 

 

 

『そういえば、四宮は卵入りの味噌汁は最近は作らないのか?』

 

『あれは、結構手間がかかるので最近は止めてます。

朝食の時に作るのですけど、量が多いので他の人の手伝いができなくなってしまうので。』

 

 

食後の団欒で少し残念そうな白銀御行の話に、伊井野ミコが反応する。

 

 

『四宮先輩、量が多いってどれだけ作ってるんですか?』

 

『そうですね。

3〜40人分ぐらい?かな。』

 

 

指折り数えながら、家庭の主婦でも作らない量が出てきて伊井野ミコと大仏こばちは呆気にとられる。

前に聞いて、たまに味噌汁を振る舞って貰ってる白銀御行達も動揺する。

 

 

 

『量だけ聞いたら、食堂にでも勤めてるかと思うわよね。』

 

『前より増えてますよ、かぐやさん。』

 

『なんか、勝てる気がしない。

勝てる訳ないけど。』

 

 

四条眞妃・藤原千花・柏木渚の順に感想を漏らす。

 

 

 

『一人でやってる訳じゃないですからね。

大体、五人ぐらいで二十人分の朝ごはん作って、お昼や夜の下準備とかしたりで。』

 

『四宮、いじめられてないかそれは?』

 

『私からやりたいとお願いしたんですから、それは無いですよ。

周りと同じ扱いをお願いしましたから。

たまに、間違って怒られますし。』

 

 

恥ずかしそうに舌を出して俯くかぐやに白銀はときめき、眞妃と渚は「四宮かぐやが叱られる」事に届いてる。

 

 

 

『前は軽いものしか食べない子や一日一食しか食べない人も、私の御味御付を食べて美味しいって残さず食べてくれるから、嬉しいですよ。』

 

『かぐやって、自分の立場理解してるのかしら?

聞いた事無いわよ、朝から厨房に入って使用人達の料理作る「ご令嬢」なんて。』

 

『まあ、今風で良いんじゃない?

ただ、料理の腕はプロ並みになりそうよね。

 

・・・もし、何か四宮さんと作る事になったら、自身失くすのは確かね・・・。』

 

 

四条眞妃とヒソヒソ話をしてる柏木渚は、絶対にかぐやの料理を田沼翼には食べさせてはならないと固く決心した。

 

 

「四宮さんの方が美味しいね。」

 

 

───そんな事言われたら、絶対立ち直れない。

 

そう思う柏木渚だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────夜・かぐやの寝室

 

 

 

『そうですか、仲直り出来ましたか。』

 

『私と会長は・・・、

 

喧嘩なんか・・・、

 

してません!』

 

 

早坂愛は昨日の事を思い出す。

 

二人で逃亡した後、我に返った当人達は御行は黒歴史がまた一ページ刻まれ、かぐやはお姫様抱っこ(白銀かぐやとしても久々)されたと喜んでた。

 

しかし、帰宅した辺りからかぐやは回し蹴りをした事を深刻に受け止めて、寝室で突然泣き出したかと思ったら「私みたいな女は居なくなった方が御行さんには良いのよ」と絶叫するし、久々に手のかかるかぐや様になって大変だったなと。

 

抱き締めて頭ナデナデして、どうにか落ち着かせ様としたら泣き疲れたのかいつの間にか寝ていて、シーツを掛けて手の掛かる妹だなと思いながら頭を撫でたなと、シミジミ思い出す。

 

かぐや自身も何故ここまで心が安定しないのかと思うが、御行もかぐやもテンパるとやらかすタイプなのだ。

 

ファーストキッスがディープキスだったのが良い証左である。

 

結局、今回の事(お姫様抱っこで二人で逃亡)は同窓会の鉄板ネタでイジられる未来しか待ってないのだが。

そういう意味では歴代で一番人気のある生徒会メンバーではある。

 

 

 

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