白銀かぐやはどうにかしたい 〜2周目の恋路〜 作:チャリンコ2025
『かぐや様は告らせたい』
(仮)アニメ最終シーズン
五夜連続放送
※省いた話を全部アニメ化して欲しい
───第68期生徒会長投開票日翌日
『副生徒会長職拝命は、私は辞退したいのです。』
『し・・・のみや・・・。』
第68期生徒会長選挙は、白銀御行の辛勝となった。
白銀かぐやが「経験」した生徒会長選挙と異なり、今回は白銀御行の出馬動機は「かぐやに頼まれた」という受動から、「やりたくないかぐやを生徒会長にしない為」という能動に変わった。
また、「立候補演説で上がってしまいまともに喋れなかった」伊井野ミコは、今回は良い意味で適度な緊張感を持って「上がらずに演説」出来た。
かぐや自身も、「経験」した選挙では色々と「工作に動いていた」が、今回は自身の強制出馬の可能性排除に注力させられ、歴史が変わってきてる事に躊躇いがあり普通の選挙活動しかしていない。
応援演説は学友達に例の騒動で皮肉を聞かせた内容になったが、石上優演出の映像に合わせた内容だった。
つまり、普通の選挙だったのだ。
白銀御行の立候補演説の最後に、伊井野ミコに問いかける形で伊井野ミコの言いたかった事を全て出させたので、正面からの正々堂々の殴り合いの選挙結果は、
白銀御行 309票
伊井野ミコ 291票
18票差の僅差で白銀御行の勝利となった。
二人の討論終了後、白熱した議論に割れんばかりの拍手が送られた事がこの選挙への生徒の関心の高さを証明し、白銀御行は第68期生徒会長に選出されたのだが、冒頭の白銀かぐやの副生徒会長就任辞退の流れになった。
『・・・それは、俺の元では仕事はできないという事か?』
白銀御行は努めて平静を装ってはいるが、絶望感に襲われていた。
『・・・考えさせて下さい。
お願いします。』
『・・・解った。返事は早めに頼む。』
生徒会室を辞しようとするかぐやを掴む手が、かぐやの動きを止める。
『かぐやさんが生徒会に入らないなら、私も辞めます。』
いつものおちゃらけた雰囲気など微塵もない藤原千花に言われて動揺する、かぐや。
『待って下さい、藤原さんまで辞め・・・。』
その時、藤原千花以外に、白銀御行と石上優とかぐやの三人が生徒会室にいたのだが、三人の頭に浮かんだのは、
『藤原(さん、書記、先輩)、普段何してたっけ?』
だった。
妙な沈黙に室内が満たされる。
必死に良い事を思い出そうとするのだが、ゲームに巻き込まれて嫌な思いしたり、何かしらやらかしたりと、仕事で何かしてた記憶は、御行とかぐやは「大友京子の調査」位しか思い出せない。
石上優に至っては皆無だった。
生徒会室内を気まずい空気が支配する。
『なんで、そこで止まるんですか!
かぐやさん!?』
三者アイ・コンタクトで会話をする。
(まさか、居なくて大丈夫とは言えないしな。)
(僕は辞めてもらって構いませんが。)
(そうはイカンだろ、生徒会役員はなり手が少ないんだから、いないよりは。)
(私達、色々酷い目に遭いましたしね・・・。)
(四宮、お前は友達なんだから何とかしろよ。)
(何で私なんですか?
こういう時こそ、会長の出番でしょ。)
(お前ズルいぞ、こういう時は共同で脅威に対抗するべきで。)
(藤原先輩はモンスター認定なんですね。)
(・・・否定する材料がない。)
(その前に、手を掴まれてるから私は痛いんですけど?)
(ここは穏便に、友達の四宮から伝えてくれ。)
(酷いです、私だけに押し付けないでくださいよ。
たった今、脅威には共同で対抗しようと言ったじゃないですか!)
(君の犠牲は無駄にはしない。)
(仕事終わったので僕はそろそろ。)
(待ちなさいよ、一人だけ逃げるのは酷いわ。
私も帰ります。)
(藤原と二人にするな。
それは酷い裏切りだぞ!)
アイ・コンタクトだけでなく、身振り手振り首振りまで混ぜた三人の白熱した議論は熱を帯びるが、蚊帳の外の藤原千花は事態が解らないが、三人の不可解な動きに何故か不快感が増していく。
『・・・三人共、何してるんですか?』
かぐやは手を掴まれてる為に動きが制約されるが、石上は野球のサインのような動き、白銀に至ってはドジョウすくいの様な怪しい動きをしているので、言い返せない。
席に着き直して咳払いをして仕切り直すと、平常運転に戻した白銀御行は場を収める為に動く。
『とりあえず、仮はだめか四宮?』
『と、いいますと?』
『お試し期間というかな、取り合えず年内は行事が詰まってるから手を貸して欲しい。
どうだろうか?』
『・・・副会長ではなく、あくまでお手伝いだけでしたら。』
『OK、そうしよう。
とりあえずそれでいいか、藤原書記?』
『かぐやさんが生徒会を辞めないなら、私も辞めません。』
『では、早速だが、藤原書記。
この書類の処理を頼む。
やってくれるよな?』
『任せてください。』
白銀御行がデスク上の書類の束から一部を藤原千花に渡す。
満面の笑みで受け取るが、石上優と四宮かぐやは微速度カメラで撮影してたかの様に平常→咀嚼→理解→驚愕に表情が変わる。
早速ソファに座り書類の処理に取り掛かる藤原千花を尻目に、石上優と四宮かぐやと白銀御行の三人の激論が始まる。
(会長、危険ですって!
何を書くか理解してないですよ、藤原先輩は。)
(仕方ないだろう、いつまでも遊ばせる訳にはいかん。)
(むしろ、遊んで貰ってる方が被害が少ないんじゃ?)
(・・・それじゃ何の為に居るのか分からなくなるだろう。
一人でも出来る様になって貰わないと。)
(誰かスカウトしますか?)
(無理だろう。
俺と四宮とで探したが誰でも良い訳ではなく、守秘義務を守り実務能力を持ってる者がなかなか居ないんだ。
・・・ところで、何故二人はドアのところにいるんだ?)
(いえ、僕は仕事が終わりましたから。)
(私も所用が・・・。)
(逃げるな!
ベリーハードモードだぞ、これは!!)
((さようなら))
『会長、ここはどう書くんですか?』
二人を引き留め様としたら藤原千花に質問攻めにされて、白銀は遅い時間まで藤原千花に付き合う事になった。
一方、選挙後に伊井野ミコは生徒会入りを白銀御行に打診されていたので生徒会室を訪ねたら、ドアを開けかけた瞬間にドアを開けた隙間からかぐやの副会長辞退を聞いてしまい、頭が真っ白になって逃げ帰ってしまった。
顔面蒼白でショック状態を大仏こばちに発見され、その日は連れられて帰宅の徒についた。
何故ショックなのか、伊井野ミコ自身にも解らない。
それだけ四宮かぐやの影響力というものが強いのだろうと大仏こばちは受け止めた。
それは白銀御行も同じで、四宮かぐやが副会長を引き受けてくれないなら、自身も生徒会長を辞め様かとも考えてしまう。
沈んだ気持ちのまま、眠りについたが翌日以降もこの気持ちを引きずってしまう。
言い訳など出来ない程に、白銀御行の中での四宮かぐやの存在の大きさを再認識してしまった。
─────夜・かぐやの寝室
『どうしちゃったんですか?』
かぐや自身が白銀御行から離れる選択をするなど考えられないと思っていたのに、そのまさかの選択をしかけたかぐやに早坂愛は戸惑いしかない。
『自分でも解らないの。
だからなのかしら・・・、このまま御行さんの側にいて良いのかしらと考えてしまって、気が付いたら副会長を断ってたの。』
ついに名前で呼び出したと思う愛。
それがかぐやの心理を表しているというか、そんなに好きになったんですね、と。
安堵感と寂しさを感じてしまう。
『しかし、困りましたね。
副会長不在では生徒会の仕事は会長さんに集中しますよ。』
『それは何とかするわ。
仕事を奪ってでも御行さんの負担は減らす。
そうでもしないと、あの人は頑張ってしまう人だから。』
『なら、副会長の方が都合が良いでしょ?』
『そうなんだけど、そうじゃないの。
・・・結局、私は自惚れてたのかなって。
ダメだわ、整理がつかない。』
『この間からですけど、かぐや様は最近は変ですよ。
夏休み明けの色々はびっくりの連続でしたけど、メンタル的には反対に凄く安定してました。』
『・・・そんなにおかしい?』
『今やってるそれは、どう見てもおかしいと思いますけど?』
白銀かぐやはノートPCで将棋と囲碁、スマホで麻雀しながら早坂愛と会話してるのである。
『だって、モヤモヤして何やっても上の空になっちゃうのよ!』
将棋も囲碁も麻雀も上級レベルの設定で同時にやって勝って手がつかないとは、何の嫌味なんだろうかと思う。しかし、かぐやが思考の袋小路に入り込むのはよろしくない。
早坂愛はかぐやの影響で23:00前には就寝する習慣が身に付いてしまったのだ。
しっかり眠るのは大事!
自分の為に、かぐやを軟着陸させる為に誘導に入る。
そっと後から、かぐやを抱きしめる様に腕を回す。
『自惚れていたって、何に対してですか?』
抱き締めて、耳元で囁く様に、かぐやに問い掛ける。
最新の愛が編み出した対かぐやの対話術。
身体を密着させて、聴覚過敏に注意しながら深層心理に語りかける様に慎重にゆっくりと話すと、かぐやは落ち着いて自分の本音を話してくれる。
愛自身がかぐやにして貰って凄く癒された感覚から、かぐやにお返しとする様になった対話術。
誰にも話してない二人だけの秘密。
大した秘密ではないのだが、誰にも話したくない邪魔されたくない二人だけの濃い時間。
ちょっと危ない方向に行きそうだなと自覚はあるが・・・。