白銀かぐやはどうにかしたい 〜2周目の恋路〜   作:チャリンコ2025

27 / 61
✕編集中✕

 

 

─────夜・かぐやの寝室

 

 

 

『はぁ〜〜〜〜。』

 

 

テーブルに突っ伏して長いため息の出る白銀かぐや。

これは聞いてほしいのだなと察した早坂愛は、ベットを整えながら四宮かぐやに尋ねてみる。

 

 

 

『どうしたんです、かぐや様?』

 

『・・・失敗したな〜、と思ってね。』

 

 

テーブルに突っ伏したまま、かぐやは愛に自分のスマホを見せながら答える。

 

 

 

『み・・・、会長に先にスマホに変えさせるより私が先にスマホに変えておけば、生徒会でスマホではなくなるのは会長だけになったのに。

 

そうすれば、会長は焦って・・・。

 

少なくとも夏休みの連絡はもっと取りやすかったのに。

 

そう思ってね。

 

ハァァ〜〜〜・・・。

 

バカよね、私。』

 

 

「ええ、十二分に承知してます。」と言いそうになって慌てて口を抑えた早坂愛。

 

他愛のない会話ではあるが、気楽に話せるのは泉岳寺別邸内はかぐやの寝室ぐらいである。

別邸内を全ては調べきれてないが、既に10機以上の盗聴器の存在を別邸の建物内外に確認している。

かぐやの寝室は早坂愛が居るから盗聴器は付けられてないのだろう。

 

あり得るでしょうねと思って調べてみたら、この結果だったのでうんざりもしてる為に出たのが冒頭のため息でもある。

 

四宮家の近侍制度には密告をさせるのが慣例の様であり、側にいる早坂愛にも密告をさせている。

 

白銀かぐやが経験した通りであれば、「来年」早々に愛とかぐやの関係は変化する。

最悪な結果にならなかった「だけ」マシなだけで、心底最低な思いをさせられ、愛には今させている。

 

 

 

───子供が生まれたら犬を飼えという。

 

子供の成長と犬の成長が重なり、犬は大事な友になるが、犬は寿命が人間より短い。

老いと死別を経験させ子供の成長に寄与するから良いのだとか。

 

 

 

それを人間に強制するのが、四宮家の近侍制度と密告制度。

何時から制度されたか、解らない。

四宮家の先祖の誰かの経験か知恵か、他者の入れ知恵か。

四宮家が没落していれば消滅していた制度だろう。

 

 

 

『つくづく、因果な家・・・』

 

 

愛にも聞こえない様に小声で呟く。

愛が『クソ爺』という気持ちが良く解かるし同じ気持ちになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お父さん・・・

 

 

 

私は貴方を、そう呼べなくなってしまいそうです・・・

 

 

 

黄光達兄弟にも好印象は持てない。

 

 

 

 

 

 

 

しかし・・・、

 

スマホ絡みで何か忘れてると思うのだが、それが何か思い当たらない。

 

何かしら?と思っていて、かぐやは気が付く。

 

 

 

『あっ!?

 

あああああぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 

『いっ、いきなり、どうしたんですか!?』

 

 

突然のかぐやの大声にひっくり返りそうになりながら愛は理由を聞く。

 

 

 

『どうしよう、愛!

会長とライン交換してない!!』

 

『えっ・・・、してなかったんですか?』

 

『・・・完全に、・・・忘れてた。

 

私のバカーーー!』

 

 

整えたばかりのベットに飛び込んでジタバタを始める。

 

今晩はこれで既に3回目だ。

のたうち回るのはかぐやの勝手だが整え直すのは大変なんですけど・・・、とは言えない愛だった。

今夜は久々の「わがままかぐや」になってるなと、諦めモードになる。

 

まあ、会長とあれだけやらかしてれば仕方ないか・・・。

 

と、いうより、アホな作戦で会長をスマホに替えさせたのに、何やってるのこの子は?と、愛は呆れてしまった。

 

 

 

 

 

─────一方、夕食時の白銀家

 

 

 

白銀圭は上機嫌で料理を食卓に並べる。

普段はご飯担当は御行なのだが、今日は疲れてるだろうと圭が代わったのだ。

 

圭の悪い癖は、作れるのに面倒がってやらない事なのだが、今夜は野菜炒めを作ってる。

 

昼間はなかなか良いもの見れたし、千花ねぇと久々に楽しかったなと。

 

しかし、帰ってからの御行のご機嫌取りが大変だったが・・・。

久々に「怖い御行」だったが、かぐやの話をすると途端に軟化したから多少楽だったが恨み節を言われはした。

 

 

 

『お兄、出来たよ。』

 

『ああ、ありがとう。』

 

 

参考書を読みながら待っていた御行と二人だけの食事が始まる。

父親は、今日から数日は泊まりの臨時の仕事に出掛けた。

 

 

 

『前から親父はたまに泊まりの仕事に行くけど、何の仕事なんだろうな?』

 

『前に聞いた時は、山の中の高圧電線の鉄塔に登る仕事で欠員出たから行ってくるって言ってたから、それじゃない?』

 

『正直、親父の変なところで垣間見れる高スキルは、毎回驚かされるけどな。』

 

『凄いよね、普段が普段なだけにギャップがね。』

 

 

テレビは丁度気象予報の話をしていて、今夜は山間部は少し冷えるので体調管理にお気をつけくださいとアナウンサーが言っている。

 

心配になるがこういう時は父親は電話になかなか出ない。

 

 

『そういえば、かぐやさんと仲直りできたんだ、お兄。』

 

『仲直りって、俺達は喧嘩してないぞ。』

 

『ウソウソ、丸わかりだったよ。』

 

『してないって。』

 

『手を握って貰ってたのは、誰だっけ?』

 

『うっせえなぁ。』

 

 

最近、圭は御行に反発するよりからかう事が増えた。

憧れの先輩の四宮かぐやが兄の白銀御行を好きだと告白されてから、二人が上手くいく様に気にしてない様に見せて、物凄く気にしてる。

 

そうすると妹目線だけでは気が付かなかった「男」としての兄の魅力が解ってくる。

 

 

 

───目付きは悪いと思ってる点は、かぐやと違うが。

 

 

かぐやさんが姉か・・・。

なんか、嬉しいなと思ってしまう。

 

話が話だから、血が滲むほど握り拳を作るのは、そんなにかぐやさんが好きなんだと兄ながら妬けてしまう。

かぐやさんが羨ましいと思うけど、あれで二人とも周りにバレてないと思ってるのが面白い。

 

反発するより弄る方が楽しい。

もうすぐ、兄はかぐや「姉」のものになってしまうのだから。

 

 

 

─────高等部体育祭当日・・・の前に

 

 

四宮かぐやは衝撃的な出来事を見てしまう。

 

白銀御行のソーラン節(修行前)を見てしまったのだ。

 

確か今ぐらいに練習していたわよねと、ソーラン節が聞こえてきたので内緒で見ていて驚かせ様として体育館を覗き、白銀御行が悪魔に操られでもしてる様な奇怪な動きをするところを。

 

入口の引き戸に手をかけて固まってしまった四宮かぐやは、やっと合点がいった。

時折聞いていた藤原千花の白銀御行評がかなり酷かった事が、コレが原因だったかと。

 

だが、

 

段々腹が立ってきた。

 

 

「何故、藤原さんには見せられて、私には見せられなかったの?」と。

 

 

当然、幻滅されると解りきってるからなのだが、かぐやは思う。

 

 

「これぐらいで「貴方が好き」という私の気持ちが揺らぐとでも!」と。

 

 

───御行の目付きが変わって、途端に魅力を感じなくなった事で「真実の愛」云々言って、柏木渚に「頭が痒くなる」と言わしめた御仁とは思えないものだが。

 

幸いというか、かぐや自身も体育祭の練習の為に体育服だったので、乗り込んで行った。

 

 

 

『し、四宮!?』

 

『えっ、かぐやさん!?』

 

 

驚く二人を気にもせずに、強い決意をして大股で白銀御行に近付いたかぐやは、見られたくないかぐやの登場に動揺する御行に唐突なハリセンを頭に見舞う。

不意打ちの一撃に御行は痛みに震えるが、かぐやが追い打ちを繰り出す。

 

 

 

『なんですか! そのへっぴり腰は!!』

 

『だからって、叩くな!』

 

『か、かぐやさん、それはあんまりでは?』

 

『藤原さん!』

 

『ハッ、ハイ!』

 

『貴女の苦労は、やっと解りました。

私も手伝わせてください。』

 

 

言うが早いか、何処から出したんだと言いたくなるハチマキを締めると、かぐやは御行に向き直ると目から炎が昇る様な眼光で御行を睨みつける。

かぐやの眼光にビビる御行。

藤原千花が二人の間に入る。

 

 

 

『ダメです、かぐやさん!

怯えさせたら、この子はダメになります。』

 

『千花さん、甘い顔をしてはダメよ。』

 

『問題点を抽出して一つ一つクリアしないといけないんです。

ものすごく時間と手間暇を掛けないと、この子は伸ばす事が出来ないんです!』

 

『大丈夫です。

この子は「根性」だけはあります。

それに時間がありません。

即席でも形にして磨き上げれば間に合います!』

 

 

貶してるのか、褒めてるのか、そもそも何の話なのか解らなくなりそうな激論を二人は交わす。

 

とりあえず、埒が明かないのでメインの指導を千花、フォローをかぐやがする事で、折り合いがついた。

 

 

それがハマった。

 

 

根気よく基本を千花、こぼれる部分をかぐやがフォローしつつ進捗管理と第三者視点での意見。

それを全て御行が持ち前の努力と根気で達成して、訓練開始から三日で

「ソーラン節」を完成させた。

 

完成した時、三人は抱き合って喜んだ。

 

 

 

『しかし、一時はどうなるかと思いましたよ。』

 

『ごめんなさい、私が割り込んでしまったから。』

 

『いいえ、一番の原因は御行君の自覚の無さですよ。』

 

『自覚がないって、そこまで酷くなかっただろう。』

 

『『それが自覚がないんです!!』』

 

かぐやと千花が綺麗にハモる。

 

 

 

笑い合う千花とかぐや。

落ち込む御行。

 

けれど、これも悪くないなと御行は心地よい疲れと満足感で二人と歩いていた。

 

 

 

因みに、かぐやは千花と御行とライン交換して、伊井野ミコと石上優を加えた五人のライングループ「生徒会連絡網」も出来、夜もお喋りに花が咲く様になった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。