一日三食食べたくて 作:ケツバット
『ちょっとやることがあるからまた明日で。アレクシア殿下もお疲れでしょう』と言い残しその場から去ったサード。
そして翌日、城の一室。徹底的に人払いがなされたその部屋に集まるのはたった三人。アイリスの右腕とも呼べるグレンすら、その場にはいない。
アイリス、アレクシア、そしてサード。サードはアレクシアを見る。
「彼女も?」
「当事者ですから」
「確かに………しかし、ずいぶん顔色が悪い」
「今朝方、多くの貴族、商人、騎士が殺されまして………」
昨晩の騒ぎとはまた別だ。別にしていいのかは不明だが、少なくとも一度時間が空いていた。
ダクアイカン家などを筆頭に悪名高い貴族はもちろん、そうでない者達まで多くが殺され現場には『陰に与し我等が秘事を明かした者共にディアボロスの災いを』と血に書かれていたらしい。
「シャドウガーデンは教団と敵対していますが規模は大きく劣りますからね。おそらく教団に与していた者達から情報を得て、先日の騒動の際にそれがバレ粛清されたのでしょう」
こんな事を言ってるが、やったのはサードである。あくまで把握出来ている者達だけたが、教団に与していた貴族、商人、騎士を全部殺した。
金の為に教団と組んでる奴等は今後粛清と裏切りを警戒してまともに連携を取れないだろう。因みに騎士の中にはアイリスが高く評価していた若い騎士と何人かいた。まあ教団に与するということは一般よりも力を得られるということだし。
「教団、シャドウガーデン………彼等は何者なの」
「ディアボロス教団………末端も末端な俺が知ってるのは教育係が語った歴史程度ですが……………」
まずディアボロス教団の前身は魔人ディアボロスを打ち倒した
確かに今の様々な国の王族は勇者オリヴィエを筆頭とした魔人ディアボロスを打ち倒せし英雄………
「だが魔人は実在し、勇者達は確かにそれ打ち破った。打ち破ったんだが…………まあ3対1。素の力は魔人が上で、そもそも勇者達も魔人の力を利用して
「良くないもの?」
「魔力による細胞の活性化。それに伴う老化の停止と超再生………早い話が、不老不死」
なんなら切り刻まれたディアボロスの肉体は今も生きている。そうでなければ1000年間も血を取り続けることなど出来ない。
そう、血だ。『ディアボロスの雫』と呼ばれる薬剤はディアボロスの血から作られる。完成品は年に12粒しか作れない。設備は元より、取れる血の量も関係している。さらに生きているとは言え刻まれた魔人の肉片はその力を大きく削がれている。
「だから悪魔憑きを集めて日夜魔人の研究。その中でも特に血の濃い王族を狙ったのが今回の事件の発端でしょう」
「っ…………確かに、王族にも悪魔憑きが生まれることはありますが……魔人を復活させるための血が濃い?」
「血を重んじて傍系、分家……遡れば王家の血筋の公爵や侯爵………後魔力に適応した力ある者達の血を取り込んでますからね。他より濃いんですよ。その分魔力は上がっても、肉体の魔力への適性も高いから発症しにくいけど」
まあそれでも全く発症しないわけではないが。
だが言ってはなんだか、アレクシアの場合そもそも発現する可能性があまりない魔力量で、アイリスはそこそこ魔力制御が出来ているのに加え肉体の魔力に対する適性が高い。
「あれ、待って? でもその血って、三英雄の血よね? どうしてそれが魔人復活の鍵に…………」
「三英雄はディアボロスの細胞から作られた兵士ですから」
「「────!!」」
まさかもまさかの発言に固まる王族2人。英雄の血を引く者という王家の誇りはあった。しかし、その力がまさか英雄が打ち倒した筈の魔人の物?
「元々劣化品の『雫』による強化はつまりは勇者作成のノウハウを流用した者。こちらも劣化品ですが……………元々ラウンズの一人が『ディアボロスの雫』を生み出したのですが、その者はどうも不老不死に興味などなかったようで、ある日向こう側に消えたのです」
「向こう側?」
「魔力の源…………その際自分の研究を封印。なんとか再現したのが今の現状で、ディアボロス教団は今や少ない雫を求めて派閥争いを続ける日々」
ゼノンという男も、おそらくはラウンズの何者かの派閥だったのだろう。末席とはいえ収まれば発言力を得る。一人より二人と、まあ分かりやすい数の力に訴えようとしているわけだ。
「ディアボロス教団とあなたの関係は? 確か、ディアボロスチルドレンだとか………」
「彼処は昔っから子供を拐い、或いは孤児の保護を訴え取り込み教育するんですよ。全身筋肉痛がマシに思える副作用の薬とか、寝かせず思想を教え続けるとか色々して洗脳し、時に殺し合わせ鍛えた子供達………強さは下から3rd、2nd、1st……1stの中には
勧誘したかグリフィ家が元々教団と繋がっていたかのどちらかだろう。
「じゃあ、貴方は1st?」
「3rdですよ。まあ、俺の場合赤子からなので自意識が育たず精神が壊れた奴等と同じ扱いでしたが……………」
「……………そう。ディアボロス教団についてはわかりました。ではシャドウガーデンは?」
「スタイリッシュ盗賊スレイヤーを頭目とした……………あ、違った。シャドウを頭目としたディアボロス教団に抗う存在。それ以外は詳しくは………教団もそもそも名前すら知らなかったですし」
サードは教団から抜けた後、世間知らずの彼が教団の格好のままだったので襲ってきたシャドウガーデンを返り討ちにして拷問して情報を吐き出させた。とはいえ本当に少しだが。狂信的なシャドウへの忠義とディアボロス教団への憎悪を
「元々悪魔憑きだったみたいですね。シャドウはそれを治療し、シャドウから手ほどきを受けた七陰なる連中も同様に治療が可能」
「悪魔憑きの治療…………貴方もやっていたわね」
「襲ってきた奴等が悪魔憑き保護、移送中だったのでその悪魔憑きを治してみました」
初めてやったら、なんか出来た。
「元々俺は教団の実験体でしたからね。自然発生の悪魔憑きは基本的に女ですが魔力暴走自体は薬物投与で起きたりしますからね………3rdは使い捨て、薬物投与はよくあること。他の奴等が腐り果てる薬物でも俺は無事でした。魔力の制御が出来たから」
恐らくは自然発生の悪魔憑き以上の魔力暴走。
3rdのみならずあまり強くない2ndも投与されたりしていた。内何人かは症状が出た後に抑えることに成功し1st、ネームドへと上がっていった。症状を抑える………魔力暴走を操れるようになる期間………成りかけと呼称される期間が短い程強力な兵士になった。
因みにサードには成りかけの期間は
「3rdって………貴方、まんまの名前だったのね」
「………………まあ」
「でも、貴方死の恐怖が自我を生んだと言っていなかったかしら?」
「はい」
「でも、その、貴方って殺し合いをしたり、薬物を投与されたりしてたのにその時は………」
死の恐怖を感じなかったのだろうか、とアレクシアは疑問を口にする。
「ああ、簡単ですよ。チルドレンでの殺し合いでも、団員としての仕事で向かった魔物狩りでも、他の多くが死んだ薬物実験でも…………俺、
サード
シャドウに会うまでラウンズ候補やラウンズと出くわそうが一度も自分を殺しうる存在に会った事がなかった最強のチルドレン3rd。
こいつが薬物に耐えちゃうもんだから強化薬の実験が原作より進んでたり、チルドレンの教育係をさせられたりしてたせいでディアボロスチルドレンの中に一部強いのが混じることになったりしてる。